鉄道唱歌 奥州・盤城線編 (1番〜32番・上野〜一ノ関)


1. 汽車は(けむり)を噴き立てて 今ぞ上野を()でてゆく
ゆくへは(いず)陸奥(みちのく)の 青森までも一飛に
2. 王子(おうじ)に着きて仰ぎみる 森は花見し飛鳥山(あすかやま)
土器(かわらけ)投げて遊びたる 江戸(えど)の名所の其一(そのひと)
3. 赤羽(あかばね)すぎて打ちわたる 名も荒川(あらかわ)の鉄の橋
その水上は秩父(ちちぶ)より いでて墨田すみだの川となる
4. 浦和(うらわ)に浦は無けれども 大宮駅(おおみやえき)に宮ありて
公園ひろく池ふかく 夏のさかりも暑からず
5. 中山道(なかせんどう)と打わかれ ゆくや蓮田(はすだ)の花ざかり
久喜(くき) 栗橋(くりはし)の橋かけて わたるはこれぞ利根(とね)の川
6. 末は銚子(ちょうし)の海に入る 板東太郎(ばんどうたろう)の名も高し
みよや白帆(しらほ)絶間(たえま)なく のぼればくだる賑わいを
7. 次に(きた)るは古河(こが) 間々田(ままだ) 両手ひろげて我汽車を
万歳と呼ぶ子供あり 思へば今日は日曜か
8. 小山(おやま)をおりて右にゆく 水戸(みと)友部(ともべ)の線路には
紬産地(つむぎさんち)結城(ゆうき)あり 桜名所の岩瀬(いわせ)あり
9. 左にゆかば前橋(まえばし)()高崎(たかさき)に至るべし
足利(あしかが) 桐生(きりゅう) 伊勢崎(いせさき)は 音に聞こえし養蚕地(ようさんち)
10. 金と石との小金井(こがねい)石橋いしばしすぎて秋の田を
立つや(すずめ)宮鼓(みやつづみ) 宇都宮(うつのみや)にもつきにけり
11. いざ乗り替えん日光(にっこう)の 線路これより分れたり
二十五マイル走りなば 一時半にて着くという
12. 日光(にっこう)見ずは結構と いうなといいし(ことわざ)
おもいしらるる宮の(さま) 花か紅葉(もみじ)金襴(きんらん)
13. 東照宮(とうしょうぐう)の壮麗も 三代廟(さんだいびょう)の高大も
みるまに一日日ぐらしの 陽明門(ようめいもん)(これ)かよと
14. 滝は華厳(けごん)の音たかく 百雷谷(ひゃくらいたに)吼え叫ぶ(ほえさけぶ)
裏見霧降(うらみきりふり)とりどりに 雲よりおつる物すごさ
15. (また)立ちかえる宇都宮(うつのみや) 急げば(はや)西那須野(にしなすの)
ここよりゆけば塩原(しおばら)の 温泉わずか五里あまり
16. (あられ)たばしる篠原(しのはら)と うたひし跡の狩場の野
ただ見る(すすき) 女郎花(おみなえし) 殺生石(せっしょうせき)はいづかたぞ
17. 東那須野(ひがしなすの)青嵐(あおあらし) ふくや黒磯(くろいそ) 黒田原(くろだはら)
ここは(いず)くと白河(しらかわ)の 城の夕日は影赤し
18. 秋風吹くと(えい)じたる 関所の跡は(この)ところ
会津(あいず)の兵を官軍の 討ちし維新(いしん)の古戦場
19. 岩もる水の泉崎(いずみざき) 矢吹(やぶき) 須賀川(すかがわ)冬の来て
むすぶ氷は郡山こおりやま 近き湖水は猪苗代(いなわしろ)
20. ここに起こりて越後(えちご)まで つづく岩越線路(がんえつせんろ)あり
工事はいまだ半ばにて 今は若松会津(わかまつあいず《現=会津若松》)にて
21. 日和田(ひわだ) 本宮(もとみや) 二本松(にほんまつ) 安達ヶ原(あだちがはら)黒塚(くろづか)
見にゆく人は下車せよと 案内記にもしるしたり
22. 松川(まつかわ)すぎてトンネルを いづれば来たる福島(ふくしま)
町は県庁所在の地 板倉氏(いたくらうじ)の旧城下
23. しのぶもじずり摺り出だす(すりいだす) 石の名所も程近く
米沢(よねざわ)ゆきの鉄道は この町よりぞ分かれたる
24. 長岡(ながおか《現=伊達》)おりて飯坂(いいざか)湯治(とうじ)にまわる人もあり
越河(こすごう)こして白石(しらいし)は はや陸前(りくぜん)の国と聞く
25. 末は東の海に入る 阿武隈川(あぶくまがわ)も窓ちかく
尽きぬ唱歌の声あげて (おど)(きた)れるうれしさよ
26. 岩沼駅(いわぬまえき)ににぎわいは 春と秋との馬の市
千里の道に(むち)うちて すすむは誰ぞ国のため
27. 東北一の都会にて 其名(そのな)しられし仙台市(せんだいし)
伊達政宗(だてまさむね)(きず)きたる 城に師団は置かれたり
28. 阿武隈川(あぶくまがわ)埋木(うもれぎ)仙台平(せんだいひら)袴地(はかまじ)
皆この土地の産物ぞ 見てゆけここも一日は
29. 愛宕(あたご)の山の木々青く 広瀬(ひろせ)の川の水白し
桜ヶ岡(さくらがおか)の公園は 花も若葉も月雪も
30. 多賀(たが)(いしぶみ)ほどちかき 岩切(いわきり)おりて乗りかかる
汽車は塩竃(しおがま) 千賀の浦(ちがのうら) いざ船よせよ松島(まつしま)
31. 汽車に乗りても松島(まつしま)の 話かしまし鹿島台(かしまだい)
小牛田(こごた)は神の宮ちかく 新田(にった)は沼のけしきよし
32. 水は川瀬(かわせ)の石こして さきちる波の花泉(はないずみ)
一ノ関(いちのせき)より陸中(りくちゅう)と 聞けば南部(なんぶ)の旧領地

33番〜64番はこちら
松島船あそび(奥好義作作曲)はこちら



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