鉄道唱歌 北海道編 北の巻(1番〜20番・小樽〜旭川〜室蘭)


1. 黒煙天に(なび)かせて 出で行く汽車の窓ちかく
見かえる小樽の港には 集まる船舶せんぱく)四時(しじ)絶えず
2. 市街は人口八万余 商業漁業繁昌(はんじょう)
それに続ける手宮町(てみやまち) 崖には奇形の文字(もんじ)あり
3. まもなくくぐる熊碓(くまうす)の トンネル出でて広々と
北には見渡す日本海 末には雲路を浸すらん
4. 海水浴と温泉の 銭函(ぜにばこ)軽川()ぎ行けば
右には手稲(ていね)の山高く 左に石狩(いしかり)原広し
5. 琴似(ことに)の次の札幌(さっぽろ)は 道庁所在の大都会
農学校に博物館 ビール製麻(せいま)の会社あり
6. 春は円山官幣社(まるやまかんぺいしゃ) 秋は中島遊園地
豊平橋(とよひらばし)の月の夜 藻岩(もいわ)の山の雪の朝
7. 稲田さかゆる厚別(あつべつ)野幌山(のっぽろやま)(すそ)の原
雪間に(かり)のおるる日は (かり)する人の行く処
8. 石狩(いしかり)川に打ち(そそ)千歳(ちとせ)の川の落口(おちぐち)
おかれて賑わう江別町(えべつまち) 石狩(いしかり)行の汽船あり
9. 幌向(ほろむい)原野岩見沢(いわみざわ) 真直ぐに行けば幾春別(いくしゅんべつ)
幌内太(ほろないぶと)と幌内と 三炭山のありどころ
10. 岩見沢(いわみざわ)にて交差せし 室蘭(むろらん)線を左へと
ゆけば峰延美唄(みねのぶびばい)には 兵村ありて地味ゆたか
11. 奈井江(ないえ)の次の砂川に おかるる三井の木工場
ここは名高き歌志内(うたしない) 炭山ゆきの別れ道
12. 雪に若葉に紅葉(もみじば)に 風景すぐれし神居古潭(かむいこたん)
ここに地形は狭まりて 上川原野ぞ開けゆく
13. 原野の西に(くらい)して 師団おかるる旭川
離宮は美瑛忠別(びえいちゅうべつ)二川(にせん)の間の神楽岡(かぐらおか)
14. 再びもどる室蘭(むろらん)線 栗山由仁の農場を
過ぎれば(きた)追分(おいわけ)の 夕張行きの乗換場
15. 時節は秋よ入日さす 夕張川の夕げしき
名所は河端(かわばた)滝の上 また紅葉山(もみじやま)鹿の谷
16. 見つつ分け入る炭山は 北海富源(ふげん)のその一つ
積み出す石炭もろともに 我らも帰るもとの駅
17. 早来(はやきた)おりて右行けば 雁鴨(がんかも)おおき千歳沼ちとせぬま
恵庭樽前(えにわたるまえ)支笏湖(しこつこ)も 皆その附近の名所なり
18. 白鳥おるる沼の(はた) (いわしの取るる苫小牧とまこまい
降り積む雪の白老(しらおい)は アイヌ土人の部落の地
19. 建築材に必要の 石切り出だす登別(のぼりべつ)
山には全国たぐいなき 壮観奇絶(そうかんきぜつ)出湯(いでゆ)あり
20. 幌別輪西(ほろべつわにし)打ち過ぎて はや室蘭に着きにけり
青森までは海一つ 海胆(うに)は此地の名産ぞ




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