鉄道唱歌 北海道編 南の巻(1番〜20番・函館〜長万部〜小樽)


1. 千里の林万里の野 四面は海に囲まれて
わが帝国の無尽庫(むじんこ)と 世に名ざさるる北海道
2. 四月に雪の消えしより 夏まで春の花さきて
わが帝国の楽園と 人に呼ばるる北海道
3. いざ(ひと)めぐり見て来んと 津軽海峡跡(つがるかいきょうあと)にして
巴の形に()ぎ入れば ここぞ渡島(おしま)の函館港
4. 出船入船(でふねいりふね)ひまもなく 商業貿易北海の
関門()めたる土地ぞとは 知らるる市街の(にぎわ)しさ
5. 是より乗り込む汽車の窓 見かえる臥牛(がぎゅう)の山消えて
緑はてなき牧場も 秋は桔梗(ききょう)の花ざかり
6. 人参(にんじん)植えて杉植えて 百年近くの昔より
開墾せられし七飯村(ななえむら) 農産よそには(すぐ)れたり
7. 馬車の便ある本郷の 十四里(じゅうしり)西に江差(えさし)あり
岩内寿都(いわないすっつ)諸共(もろとも)に 北海屈指の良き港
8. トンネル()でてながめれば 周回八里(しゅうかいはちり)の大沼に
裳裾(もすそ)をかけて聳え立つ(そびえたつ) 渡島(おしま)の富士も面白や
9. 森に()づれば旅人の 眠気もさめる噴火湾(ふんかわん)
晴れたる日には薄青く 有珠(うす)高嶺(たかね)仄見(ほのみ)えて
10. 海辺づたいに早いつか 過ぎる胆振(いぶり)国境(くにざかい)
八雲に続く国縫(くんぬい)満俺(まんがん)鉱山所在の地
11. 鰯鰈((いわしかれい)法貴貝(ほっきがい) 海産おおき長万部おしやまんべ)
南部陣屋の跡すぎて はや後志(しりべし)の黒松内
12. 尻別川の水の声 聞きつつ上がる岸づたい
岩おもしろく山深く 若葉紅葉のながめあり
13. 紅葉の如き赤心を 桜の如く香らして
阿部の比羅夫(ひらふ)の忠勇を 記念に残す比羅夫駅(ひらふえき)
14. 仰ぐ雲間に雪しろく つもるは蝦夷富士羊蹄山(えぞふじようていざん)
登れ人々陸奥湾むつわん)も 一目に見ゆる高嶺たかね)まで
15. 裾野は倶知安(くっちやん)の大原野 オンコ椴松(とどまつ)楢桂(ならかつら)
林は天を打ち掩い 面積ほとんど三十里
16. ここを開きて(たがや)して 作りし村は年々に
栄えて朝夕立ちまさる 煙あまねく民ゆたか
17. されど秋すぎ冬の来て 北風雪の吹く時は
汽車行く道さえ(うず)もれて 寒さに泣くは此附近
18. 鉱山名たかき然別(しかりべつ) 林檎(りんご)の実る余市村(よいちむら)
夕風さむく秋ふけて (くれない)ならぬ枝もなし
19. 蘭島(らんしま)塩谷の海辺には 楽しき海士(あま)の里見えて
(にしん)あみ引く春の日の 賑わい言葉につくされず
20. 土地の話を耳に聞き かわる景色を目に見つつ
(なぐさ)む程に呼ぶ声を 聞けば小樽か早ここは

北海道編 北の巻ににつづく



ご意見や誤字・脱字のご指摘はメール、または掲示板までお願いします
home