
| 熊さんに、狸さんに、狐さんに、狼さん。キョロキョロ、キョロキョロ、もの欲しそうに、下ばかり向いて歩いています。何か良いものや、おいしいものが落ちていないかな、と思って、探して歩いているのです。 下ばかり見ていると、欲張りの心がだんだん増えてきます。あれも欲しい、これも欲しい、欲しいものばかり増えてきて、欲張りの心がいっぱいになります。すると、譲り合う心がなくなって、奪い合いが始まります。 『これ、僕が、先にみつけたんだぞ。』『いいや、僕のだぞ。』 こうして、神を信じない動物たちは、毎日、悪いことをどんどん積み重ねて行くのです。 天から神さまが、見ていらっしゃる。神さまは、みんなが下の方ばかり眺めて、罪を重ねて行くのを見て、困った顔をなさっていらっしゃる。 『みんな下ばかり見て、上を仰ごうとしない。だから、罪の泥沼に落ち込むのだ。そうだ。天を見上げるものを造ろう。そうすれば、みんなが、その者の真似をするだろう。』 そこで、神さまは、天を見上げる動物をおつくりなりました。キリンさんは、地面をキョロキョロ探したりはしない。キリンさんは、天ばかり見上げている。毎日、毎日、飽きもしないで、天ばかり見上げている。 ![]() 『変な奴だな。天ばかり見上げてるよ。おい、キリンさん。なぜ、君は、そうやって、天ばかり見上げてるの?』 不思議に思って、外の動物たちが聞きました。 『天の神様の事を、思っているの。』 と、キリンさんが、答えました。 『天の神さまの事を思っていると、何か好いことがあるのかい。おいしいものでも、貰えるのかい。』 と、みんなが冷やかしました。 『やさしい天の神さまのことを思っていると、嬉しくて嬉しくて、たまらないの。甘い、おいしい御馳走を食べているのと、おんなじ気持ちなの。』 と、キリンさんが答えました。 『こいつは、変わっている。馬鹿かもしれない。いじめてやれ。』 何にもしないのに、キリンさんは憎まれました。そして、いじめられました。でも、キリンさんは、黙っています。みんなは、キリンさんを、怒らせようと思ったのですが、キリンさんは、怒れないのです。キリンさんは、神さまを知らないこの人たちが、とてもお気の毒で、怒る気持ちなんかになれないのです。『やあい、とうとう逃げて行った。いくじなしだ。神さま信じるような奴は、みんな弱虫だ。』 そういって、みんなで笑っています。 キリンさんは、なんと笑われても、ちっともかまわない。相変わらず、毎日毎日、天の神さまを見上げている。そして、いつも心が楽しい。いつも元気いっぱいです。そして、いつも、やさしい心が、いっぱいです。みんな、神さまが、そういう良いものを下さるからです。 いろいろな動物たちの中には、どんな楽しいことをしても、『ああ、満足した。』と、心から思えない者もいます。一ばん一ばん、楽しい事って、一体何だろう、それが見付からないでいるものがいます。 ![]() そういう動物たちが、キリンさんの所へ来て聞きました。 『あなたたちは、きっと、もともと、神さまの子供なのよ。』 と、キリンさんが言いました。 『だから、この世界のどんな良いものにも、満足しないのよ。私のように、上を向いて、天を見上げてごらんなさい。神さまを「天のお父さま!」とお呼びしてごらんなさい。きっと、あなたの中に、素晴らしい事が起こりますよ。』 そこで、羊さんも、山羊さんも、鹿さんも、下を向かないで、上を向くものになりました。 そうしたら、神さまが、どんなに優しいお父さまかということがだんだん分かって来て、嬉しくてたまらなくなりました。そして、毎日毎日、天をに見上げずには、いられない者になったのです。神さまは、天から、これをごらんになって、とてもお喜びです。 『かわいい、わたしの子供たちが、こんなに出来た。』 と、おっしゃって、にこにこして、おられます。 こうして、神さまの子供が、この世界に一人でも増えると、天国中が喜びでいっぱいになるのです。 |
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