| 道に迷ったねずみさんが、しょんぼり、考えこんでいました。 『今まで、いろんな道を歩いてきたが、どの道も、いいことはなかったなぁ。これから、一体どうしたらいいだろう。どこへ行ったらいいだろう。』 かわいそうな、ねずみさんは、独り言を言っていました。 『ねずみさん、ねずみさん。天国へ行く道をいらっしゃい。』 木の上から、小鳥さんが教えてくれました。 『ほうら、向こうに、小さい小さい道があるでしょう。あの道を行く人は、あまり沢山はいませんが、あれは天国へ行く道ですよ。外に、もう、行く所がないのなら、あの道をいらっしゃい。その代わり、あの道を行くには、辛抱ということが一番大切です。途中でいろいろ苦しいことがありますからね。』 ねずみさんは、小鳥さんにお礼を言って、天国の細道を歩き始めました。 『ねずみさん、ねずみさん。』 と小鳥さんが、うしろから言いました。 『どんなことがあっても、やさしいエスさまが、あなたとご一緒だということを、忘れてはいけませんよ。困ったことがあったら、きっと、エスさまを思い出して、おねがいなさいな。それを忘れないように。』 親切な小鳥さんが、教えてくれました。 ねずみさんは、生き返ったように、元気になって、どんどん、天国へ向かって、進んで行きました。 『ああ、こんなに花が咲いている。みんな神さまが、咲かせなさった花だ。天国みたいだなぁ。』 何を見ても、みんな、天国のように見えました。 花の中を通り過ぎると、今度は、きれいな緑の中でした。 『こんなに、青々としている。きれいだなぁ。天国のように、すがすがしい所だなあ。』 何を見ても、天国のように見えました。 だが、天国へは、なかなか着きません。そのうち、花も見えなくなり、緑の葉も見えなくなり、ただ長い長い道ばかりになりました。どこまでも、どこまでも、続いています。 だんだん、くたびれて来ました。たいへん苦しくなって来ました。苦しいばかりで、楽しい心が、だんだん、なくなって来ました。いっそ、引き返そうかと、思い始めました。けれど、引き返したって、ほかに行く道はありません。ねずみさんは重い足を引きずって、やっとの思いで歩いて行きました。 そしたら、いつのまにか、あたりがだんだん暗くなってきました。なんだがトンネルの中へでも、入ったように、暗くなってきました。ますます暗くなっていくばかりです。とうとう道が、分からなくなってしまいました。 『どうしよう、どうしよう。』 ねずみさんは、泣き出しそうになりました。 『どっちへ行ったらいいのだろう。天国への道は、どこへ消えてしまったんだろう。』 そのとき、やっとねずみさんは、小鳥さんが一番おしまいに教えてくれた言葉を思い出しました。 『困ったときは、きっと、エスさまにお願いするのですよ。』 と、小鳥さんは、言ったのです。 ねずみさんは、お祈りしました。『エスさま、エスさま、わたしは、また道に迷って、天国の道を見失ってしまいました。エスさま、馬鹿な悪者の私を、かわいそうに思ってください。助けて下さい。そして、道を教えて下さい。』 おねがいしてから、ふとポケットに手をやると、何か、はいっていました。いついれておいたのか、それとも、誰かがいれたのか、分からないが、それは、懐中電灯でした。 懐中電灯を取り出してみました。すると、それには、(のぞみ)という字が書いてありました。 『おや、のぞみと書いてある。これが、僕の天国行きを助けてくれるために、神さまが下さったものなのだな。』 スイッチを入れると、明るい光が、パッと道を照らし出しました。天国の道がはっきりと、現れたのです。 ねずみさんは、のぞみの懐中電灯の光で足元を照らしながら、また元気を出して、この道を進んで行きました。 |
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| (ロマ8の24) |
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