松下君の山田錦

 故郷の町に田圃は減った。
初夏に吹く、田を渡る爽やかな風に出会うこともあまりない。

私の育った町、静岡県藤枝市で
酒米・山田錦を作っている松下明弘さんの農業への取り組みは、
近所のお兄さんの仕事。

「おまえ土って何か知ってる?」

時々意地悪な質問をしながら、
土や水、風や虫たちが生きていて、
温もりがあることを教えてくれた。

松下さんは、妻と子供3人の5人家族。
両親を亡くして耕す者がいなくなった田圃を
4年前の33歳の時に継いだ。
専業農家になる時「俺は俺のやり方でやる」と
化学肥料栽培から有機農法に切り替えた。
そして静岡では難しいと言われていた
酒米の王様、山田錦を作り始める。

松下さんの2回目の作りから3年間を追いかけた。

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