けんたろうの家 第弐章:鋼製建具 |
現在住んでいるアパートでは、冬になると朝には窓枠、窓ガラスに結露水がびっしりついています。
暖房器具として石油ファンヒーターを使っているため、そこから出た大量の水蒸気を含んだ空気が窓枠や窓ガラスで冷やされて結露するのですが、アパートだと壁に穴をあけないといけないような暖房器具は使えません。
新居では、石油ファンヒーターのような開放型の暖房器具は使用しませんが、窓枠、窓ガラス(鋼製建具)にも配慮してみました。
とは言っても、ソーラーサーキットの場合、窓には鐘淵化学工業のエクセルウィンドを使用することになっています。他社のものについては全く知らないので、エクセルウィンドのカタログから鋼製建具での検討ポイントと考えられる点を書きたいと思います。
鋼製建具を比較検討する場合、以下の点を比較するとよいのではないでしょうか。
まず材質についてですが、窓枠の材質として現在よく見られるものは、アルミ製、樹脂製、アルミ+樹脂製でしょう。エクセルウィンドは樹脂製です。
熱の伝わりやすさを示す熱伝導率(kcal/m・hr・℃)で樹脂とアルミを比較すると、樹脂0.13、アルミ175で約1000倍樹脂の方が熱を伝えにくいそうです。
材質という範疇にいれてよいかわかりませんが、複層ガラス、二重サッシという選択基準もあると思います。複層ガラスは、1つの窓枠に2枚のガラスがあり、ガラスとガラスの間に空気などの層があるもの。二重サッシは窓枠が二重になっているものです。
エクセルウィンドは複層ガラスになります。複層ガラスの場合、間の層の厚さにも違いがあるようです。現在は各社ほとんど12mmと聞きますが、6mmというものもあるようです。また、海外のメーカーの場合、24mmというものもあるようです。この層の厚さは、厚い方が断熱性がよくななるようです。
またこのガラス自体の厚みにも違いがあるようです。エクセルウィンドではガラスの厚みが3mmのものが標準です。4mmという商品もあるようです。ガラスの厚みは、強度に関係するとともに、遮音性に影響してくるそうですが、断熱性にはあまり影響がないとのことです。
断熱性については、熱貫流量という数値で比較されるようです。
熱貫流量とは、熱エネルギーの逃げ方、入り方を示す数値で、この数値が小さいほど熱が伝わりにくく、エネルギーのロスが少なくなります。
窓の種類によるこの値を比較してみると、
| 窓の種類 | 熱貫流量(kcal/m2h℃) | |
|---|---|---|
| アルミ一重窓 | 5.6 | |
| 二重窓(アルミ窓+木製建具) | 2.9 | |
| 断熱アルミ二重窓(一般タイプ) | 3.0 | |
| エクセルウィンド | 引違い窓 | 3.0(1.9) |
| ドレーキップ窓 外開き窓 | 2.3(1.8) | |
| 上下スライド窓 | 2.4(1.9) | |
気密性に関しての性能は、気密性、水密性、耐風圧性という3つの指標で比較できるようです。
これらの測定にはJISで決められた試験方法があるようです。
気密性については数値が小さいほど気密が高く、水密性については数値が大きいほど水が入りにくく、耐風圧性についても数値が大きいほど風圧に対して強いということだそうです。
エクセルウィンドの1616サイズの引き違い窓の場合、
・気密性 :2m/h・m2
・水密性 :35kg/m2
・耐風圧性 :160kg/m2
という値になるようです。
遮音性は、文章で表現するのはちょっと難しいです。
遮音性を性能を表す指標として、音響透過損失というものがあるようです。これは、ある周波数を持った音が物体を透過したとき、その音量(単位:dbデシベル)がどれだけ減衰するかを示す値だそうです。この値が大きいほど遮音性が高いということになるようです。
周波数によってこの値は違ってくるので、一口で性能を言い表せないということです。
一つの目安としては、主要都市の条例では、住宅地域の騒音許容値を55ホン以下と定めているようです。しかし、車両交通量の多い幹線道路の交通騒音は、道路から離れたところでも約80ホンあるそうです。エクセルウィンドの場合約80ホンある騒音を許容値である55ホン以下に抑えることが出来るようです。
私が実際に体験したこととしては、ある現場を見せていただいたときに、まだ雨樋がつけられていなかったので、雨水が2階の屋根から断続的に落ちてきて、バシャバシャ音がしていました。そのお宅は風除け室のようなものがあって、その部分は単純なアルミサッシが入っているだけなのですが、そこではその音が非常によく聞こえました。しかし、建物の中に入ってみると、風除け室よりも水の落ちてくる位置に近づいても、注意して聞かないと音がしていることがわかりませんでした。
これは窓の性能だけではなく、建物の気密性も関連するのだと思いますが、この違いはちょっとびっくりでした。
また、遮音性はガラスの厚みによっても左右されるようです。通常3mmのものが多いようですが、4mmというものも選べるようです。
耐久性については、開閉テストを行っているようです。
引き違い窓の場合、10万回の開閉テストで、
・障子(開閉部)、窓枠とも異常なし
・戸庫の外径の磨耗:0.05mm
・ベアリング:異常なし
・レール:磨耗なし
だそうです。
外開き窓の場合、20万回の開閉テストで、
・障子、窓枠とも異常なし
・丁番の磨耗:0.5mm
だそうです。
はっきりいってしまうと、この結果の妥当性はよくわかりません。(^^ゞ
あとけんたろうの家では、ルーフウィンドウがついています。日本ベルックスのものです。
ルーフウィンドウは、垂直な窓に比べて3倍の明るさがあるそうです。しかしこれは、裏を返せば3倍の日射が入る可能性があることになります。おまけにけんたろうの家では、南面の屋根にルーフウィンドウを設置します。
先程断熱性の話で書いたように、高気密・高断熱住宅の場合、一旦日射が入るとその熱は逃げにくいです。けんたろうの家では、高断熱複層ガラス(アルゴンガス入り)のものになっていました。(日射のことをわかっていませんでした。)日本ベルックスのホームページを見ると、新製品で遮熱複層ガラス(アルゴンガス入り)のタイプがあることを知りました。
内部にシェスタブラインドが設置され、日射を遮るようにしていただいていたのですが、日射を遮るのは出来る限り室外側でやった方が効果は高いとのこと。K社さんに無理を言って、遮熱複層ガラスのものに変更していただきました。お手数をおかけしました。m(__)m
【3月10日追加】
@niftyのマイホームと不動産フォーラム(FMYHOME)での話題で、
> 但し、両者では対象となる赤外線の波長が異なる。つまり、太陽は高温なので、という、高断熱複層ガラスと遮熱複層ガラスについての疑問が書きこまれました。
>太陽から達する赤外線の波長は短いが、屋内からの熱放射では室温で放射される
>赤外線であり、波長が長くなる。従って両者では膜となる金属の組成を変えた方
>がいい。メーカーでは、「遮熱」と「断熱」で区分している。
となっていますが、これは端的に「断熱性能は、内側金属皮膜(オンラインコーティングタイプ)の方が良い」と読めば良いのですよね?
で、旭硝子の資料を見ていると、いわゆるK値は、「遮熱・断熱」のサンバランスも「高断熱」のサンレーヌも同じ値になっていて断熱性という意味ではスペック上同じに見えます。これはどう理解すれば良いのでしょうか?
断熱性能
基本的には、熱伝導率或いはその逆数である熱伝導抵抗で表します。しかし、住宅に使用した時の性能であれば、熱伝達抵抗が絡んできます。
熱伝達抵抗とは、空気から壁などの材料に熱が伝わる時の抵抗です。
また、夜間では放射冷却のように、放射による熱の損失が生じます。
開口部の場合は、これらに加えて太陽エネルギーが絡むので更に厄介です。
熱伝達抵抗
焚き火に当っても、暖かいのは火の方向だけで、背中は暖かくなりませんね。放射の効果だけだからです。炎の上に手をかざせば暖かいのは伝達です。
さて、四周と上が囲ってあるところで焚き火をすれば空気が暖まります。この囲いがどんなに薄いものであっても効果があります。例え新聞紙であっても隙間がなければ十分でしょう。
では、新聞紙の断熱性能が有るでしょうか、完全にゼロとは言えないまでも、無視できる程度です。
熱伝達抵抗の効果です。
熱貫流率 K値
壁などの材料の熱伝導抵抗値と、内外の熱伝達抵抗値を加え、その逆数が熱貫流率です。
単板のガラスでしたら断熱は期待できません、熱伝導抵抗がゼロで計算すると、
外側 カ゛ラス 内側
1/20+0+1/8=3.5/20が抵抗値で、熱貫流率はその逆数で、20/3.5=約5.7になります。
何故こんな面倒な表記をするかと言えば、単位が Kcal/m2・hr・℃となり、冷暖房負荷の計算に便利ですし、直感的に理解できるからなのですが、前に書いたようにWとKでは理解しにくいです。
この例では無断熱でしたが断熱材を入れて計算してみます。住宅用ロックウール100mmでは、ロックウールの熱伝導抵抗を0.03Kcal/m・hr・℃とすると、100mmは1mの10分の1ですから、1/20+0.1/0.03+1/8=1/20+10/3+1/8=842/240となり、熱貫流率は240/842=約0.28Kcal/m2・hr・℃です。
実際はサイディングや石膏ボードも計算に入れますし、空気層(通気層を除く)の影響も馬鹿にできません。
熱損失係数 Q値
K値は一つの面の断熱性能を表す指標としてはいいのですが、建物全体の熱損失を計算するには、壁・天井・床・開口部のK値を算出して、面積を乗じて合計します。更に換気による熱損失を加えます。暖房機器の容量などはこの計算で求められます。
しかし、建物の性能として考えると大きな建物では熱損失が多く、小さな建物では少なくなり、性能比較とは言えません。
そこで総熱損失量を延床面積で割ったものが、Q値です。
このように、Q値は計算により求められますが、実測は困難です。人工気候室など、外気が定常状態であれば、室温を一定にするのに必要なエネルギー量を測定して求められますが、実際の建物では外気温が変動するので、簡単にはいきません。
温室
温室って暖房しないでも暖かいですよね、でも、これまでの説明では温室が暖かい理由は説明できていません。
また、結露も熱伝達係数から説明できます。その辺は追ってご説明、ということで。
渋沢 冶
自己レスの形で続けます。
温室効果
以前も説明しましたが、ガラスは光(エネルギー)の波長により、透過と反射の比率が異なります。基本的には赤外線なのですが、赤外線を放射する物体の温度によって、赤外線の波長が違います、高温だと短波長、低温だと長波長になります。ガスの炎などもそうですね、高温だと青く、低温だと赤くなります。
ガラスには短波長の赤外線は透過するが、長波長の赤外線は反射する性質があります。
太陽は数千度ありますが、住宅の壁や床は20度程度です。それでも屋外が0度程度であれば壁や床から屋外に対しての放射が起こります。
住宅の断熱性能が低い時代には問題にする程の量では無かったのですが、性能が上がるにつれ、無視できなくなります。
省エネガラスの歴史
少し視点を変えて、ガラスの歴史を辿ってみましょう。住宅でガラスの性能が問題になるようになったのは、ここ数年です。それ以前はガラスでの省エネといえば事務所などのビルに限られていました。
ビルと住宅で温熱に関するエネルギー消費は逆になります。ビルでは冷房用エネルギーの消費が多く、住宅では暖房エネルギーが大半です。
従って初めに現れたのは、ビル用の熱線吸収ガラスでした。原理としてはガラスに赤外線を吸収する物質を混入します。すると、その名のように、太陽の熱エネルギーをガラスに吸収してしまうのです。確かに直接室内にエネルギーが入る訳ではないですが、長時間の内にはガラスが吸熱して高温になり、ガラスから二次放射が起きます。それでも、冷房は高くつきますから、LCC(ライフサイクルコスト)ではペイしました。
北海道等では暖房主体のため、複層ガラスが使われました。複層ガラスの断熱性能が優れているのは、熱伝達の回数が多いからです。ガラス2枚と空気層の熱伝導抵抗を足すだけでは、複層ガラスの性能を説明できません。
10年か15年前でしょうか、スパッタリングという技術が登場しました。真空中でプラズマイオンを金属に衝突させ、金属の分子を叩き出します。叩き出された金属分子がガラスに付着し被膜を作ります。金属の種類を選ぶことで、可視光線を通し、赤外線を反射させられれば理想的な遮熱ガラスができるわけです。
但し、構成される被膜は非常に薄くオングストローム(千万分の1mm)単位です。従って常に大気に晒されている状態では、埃がぶつかるだけでも剥がれてしまいます。
その欠点を補うために、複層ガラスの外側のガラスに被膜を作ります。最近のビルでガラスが鏡の様に光り、青黒い印象を受けるのがこのタイプです。
冷房対策では、ガラス面の熱貫流よりも太陽の熱を反射することが大切です。暖房では内外温度差が20度以上になりますが、冷房では10度程度です。
これに対して太陽の熱エネルギーは、1平方メートルで1KWに相当します。これは太陽の光線に対して直角な面で計ってのことですが、住宅で大きな開口部でしたら、これくらいの熱は入ります。
冷房しながら、1KWの電気ヒーターを入れたら、ナンセンスですね。だから遮熱に主眼をおくことになります。
少し遅れて暖房用の被膜も開発されました。選択吸収(反射)膜です、ガラスが本来持っていた温室効果を更に高めたものです。室内から発する赤外線の反射率を向上したものです。
一方で複層ガラスの製造法に変化が訪れました。昔はガラスの間に乾燥空気を封入し、ガラス同士は鉛でくっつけていました。この方法では大規模な設備が必要なのは理解頂けるでしょう。ガラスメーカーの工場で作られていたのです。
当然高価ですし、納期も掛かりました、住宅で採用できる状況ではなかったのです。特に住宅メーカーにとっては、割れた場合の処理が問題でした、代替品を入手するのに2,3ヶ月待つようでは困ってしまいます。
優秀な乾燥剤の出現によって事情が変りました、それほど大規模な設備を必要とせずに複層ガラスが製造可能となったのです。乾燥剤の他にシール材も進歩しました。適当な硬度が有り、ガラスに密着するシール材です。
これらの部品の開発によって、多数の加工場が作られ、複層ガラスが安価で手軽に入手できるようになったのです。
省エネサッシの歴史
背景として複層ガラスに触れたら、サッシも説明しておく必要があります。外壁などの断熱性能が向上し、複層ガラスを使用するようになると、サッシの断熱性能が問題になります。アルミサッシの結露が話題になっていますが、アルミは熱の良導体です、そして、枠も含めれば開口部面積の1割以上を占めます。
※一般に可動部分を障子、外壁に付いていて動かない部分を枠と呼びます。
ビル用のサッシではアルミ型材の中間にプラスチックを挿入し、内部と外部を遮断してサッシの熱貫流率を下げるタイプは、北海道のビルでは40年前から採用されていました。しかし、もの凄く高価でした。
住宅用としてプラスチックサッシが登場したのは、20年ほど前でしょうか。
また、複層ガラスが入る住宅用サッシも販売されていましたが、少数派ということでこれも高価でした。
サッシはガラスを入れる溝が有ります、通常は網入りガラス(6.8mm厚)が入る寸法になっています。しかし、複層ガラスは最低でも3−6−3(3mmガラス−空気層6mm−3mmガラス)なので、12mmの厚さがあり、普通のサッシには入りません。
その内に輸入サッシが増えました、木製のもの、木の外側にアルミを付けたもの(アルクラッドと呼びます)等です。これらに対抗して日本のメーカーも新商品を開発しだしました。アルミサッシの室内側をプラスチックで被覆したものなどです。ビル用に使われていたプラスチックを中間に挟んだタイプも開発されました。
このような背景が有って、複層ガラスが普及し始めたのです。
Low−E
住宅の断熱性能の向上により気密性が重視されるようになったように、複層ガラスが一般化し、弱点であったサッシの断熱性能も向上すると、ガラスも尚一層の高性能化が期待されます。そこで登場したのがLow−Eガラスです。
低放射を意味するLow−Eですが、ここで問題になっている放射は、ガラス同士での放射です。
冷房時には外側のガラスが熱くなります。熱くなった外側のガラスから熱線が内側のガラスに放射されます。暖房時では内側から外側に放射が起こります。
ガラス同士が近距離で向合っているので馬鹿にできない量と言えます。というか、他の性能が上がったので無視できなくなったと言う方が正しいでしょう。
いずれも断熱の見地からはマイナス要素です。この放射を少なくしたのが、Low−Eガラスです。
従って、遮熱・断熱タイプでは、太陽のエネルギーを反射することに主眼が置かれ、断熱タイプでは波長が長い赤外線を反射するのが主眼です。つまり、コーテイングされる被膜の物性が異なっていなければなりません。
被膜が外側のガラスか、内側かで使い分けられるような文章を見かけますが、そんなことは有りません。Low−Eという目的だけであるのならば、それでいいかもしれませんが、Low−Eは複層ガラスの断熱性能向上技術の中では末端というと言葉が悪いですが、効果から見ればずっと後の技術です。
コーティングによる選択反射の効果の方が大きいのです。
選択反射と言ってもそんなに都合良く特定の波長帯だけを反射することは出来ません。従って断熱タイプでも日射カット率26%という数字になる訳です。
また、ガラスメーカーの資料では熱貫流率は、遮熱・断熱タイプが1.5、断熱タイプが1.6となっていますが、トータルとしての断熱性能は熱貫流率だけでは計れないのは、これまでご説明した通りです。
ふう〜っ、こんなことで宜しいでしょうか。
渋沢 冶
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