最北端−最南端 最速乗り継ぎの変遷



 (国鉄〜JRグループの)最北端駅・稚内(宗谷線)と最南端駅・西大山(指宿枕崎線)とを、最も速く移動する… この「最北端−最南端 最速乗り継ぎ」記録の変遷をたどってみます。
 


とりあえず、最短所要時間の一覧表です
時期 出発時刻 到着時刻 所要時間 備考
1972年9月 19:42 翌々日17:11 45時間29分 新幹線 東京−岡山のみ
1979年4月 6:12 翌日22:46 40時間34分 新幹線 東京−博多のみ
1983年11月 7:31 翌日22:48 39時間17分 東北新幹線開業
1986年11月 8:32 翌日23:01 38時間29分 国鉄最後のダイヤ改正
1988年3月 8:42 翌日18:25 33時間43分 青函トンネル開業
1990年11月 8:42 翌日17:26 32時間44分
1991年3月 5:51 翌日17:26 35時間35分
1992年7月 7:31 翌日17:27 33時間56分 つばめ誕生
1993年3月 6:07 翌日12:45 30時間38分 のぞみ本格運転開始
1998年4月 6:06 翌日12:22 30時間16分
1999年3月 6:05 翌日12:22 30時間17分
2000年3月 6:05 翌日13:28 31時間23分 スーパー宗谷誕生
2002年3月 5:58 翌日13:28 31時間30分  
2002年12月 5:58 翌日13:28 31時間30分 東北新幹線八戸開業
2003年3月 16:53 翌日20:51 27時間58分 (東京駅の乗換時間が2分のため、参考記録か)
2003年10月 13:45 翌日20:51 31時間06分 (青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道を使用)
2004年3月 16:53 翌日20:00 27時間07分 九州新幹線開業
2006年3月 13:45 翌日20:00 30時間15分  
2007年10月 16:51 翌日20:00 27時間09分  
2008年3月 16:51 翌日20:04 27時間13分  
2009年3月 16:51 翌日20:07 27時間16分  

【解説】

(この下にある乗り継ぎダイヤを参考のうえ、ご覧ください)

1.1970年代

 鉄道100年の1972年の時点では、まだ新幹線は東京−岡山間のみの運転でした。この時には、足かけ3日がかりの45時間29分もの時間がかかっていました。
 その後、新幹線の博多への延長もあり、7年後の1979年の時点では、所要は2日に短縮され、40時間34分となっています。

2.東北新幹線開業

 1983年6月に東北新幹線(大宮−盛岡間)が開業、同年11月にダイヤ改正がありました。しかし、「最北端−最南端最速乗り継ぎ」では寝台特急[はくつる]を使う関係もあり、東北新幹線の恩恵を受けることは残念ながらできませんでした。1985年3月の上野開業時も同様です。
 しかし、東海道・山陽新幹線や[有明]のスピードアップなどにより、着実に所要時間を短縮し、40時間の壁を破り(1983年11月)、1987年春に国鉄がJRに引き継がれた時の記録は38時間29分でした。

3.青函トンネル開通 1988年3月

 所要時間の大幅短縮は、1988年3月の青函トンネル開通時になされました。使用する夜行列車がこれまでの[はくつる]から[北斗星5号]に変わり青函トンネルを一気に走り抜けたこと、上野−仙台間で東北新幹線を使えるようになったことなどが重なり、33時間43分と、一気に5時間近く短縮されました。
 その後、急行[天北]の気動車化(その前は客車だった)、天北線廃止による[天北]の宗谷線経由への変更(列車名も[宗谷]になった)などにより、1990年11月時点では32時間44分にまで短縮されています。

4.記録後退へ 1991年3月

 これまで順調に所要時間を短縮してきましたが、1991年3月のダイヤ改正時に、それまでに比べ3時間近く所要時間が延びてしまいました。仙台での東北新幹線と[北斗星5号]との接続が悪くなってしまったことが大きな要因ですが、そのとばっちり(?)により九州地区でも接続が悪くなってしまいました。
 1992年7月のダイヤ改正([つばめ]が誕生(復活?)した)で、九州地区のダイヤが改善されたため、所要時間が短縮されましたが、それでも1990年11月時点の記録には及びません。

5.[のぞみ]誕生 1993年3月

 1993年3月、前年に誕生していた[のぞみ]が東京−博多間で運転を開始、東海道・山陽新幹線がスピードアップされました。これにともない、使用する夜行列車を[はまなす]に変更、東北新幹線を全区間使えるようになったため、[のぞみ]利用によるスピードアップとともに、所要時間が約2時間短縮されました(1990年11月との比較)。

6.20時間台突入目前か? 1998年4月

 1993年3月からおよそ5年間は、所要時間の短縮はなく、一休みといったところでした。
 1998年4月のJR北海道のダイヤ改正で、急行[礼文]の時刻が変わり、所要時間が23分短縮され、30時間16分となりました。もう、20時間台は目前といった感じでした。

7.スピードアップなのに…記録は後退 2000年3月

 2000年3月のダイヤ改正では宗谷線の高速化と特急化により、記録更新の期待が高まりましたが、宗谷線のダイヤの関係で、残念ながら記録のほうは後退となってしまいました。新設の[スーパー宗谷1号]の運転時刻が、従来の急行[礼文]にくらべ稚内着時刻で1時間程度繰り下がったためです。
 2002年12月には、東北新幹線が八戸まで延長開業されました。今度こそ記録短縮か、と思われましたが、東北新幹線[はやて]・東北線特急[つがる]と[はまなす]との連絡が今一つのため、所要時間は改正前と変わりませんでした。

8.意外な契機で(?)大記録誕生 …でも参考記録か 2003年3月

 2003年3月のJR九州ダイヤ改正で、指宿枕崎線のダイヤが若干変わりました。なんとそれによって、北→南ルートで、これまでの記録を2時間以上上回る大記録が生まれました。が、実は東京駅での東北新幹線から東海道新幹線への乗換えがわずか2分しかありません。決して乗換え不可能な時間ではありませんが、実際には「到着前に階段近くの出口に移動」プラス「駅の階段でダッシュ」が必要と思われます。参考記録扱いのほうが良いかもしれません。ちなみに私、東海道線から東北新幹線へ70秒で乗り継いだことがあります(^^;
 残念ながらこの記録、2003年10月の東海道・山陽新幹線ダイヤ改正により、成立しなくなってしまいました。

9.今度こそ記録更新 2004年3月

 2004年3月に、九州新幹線の新八代−鹿児島中央間が開業しました。これによって、今度は文句なしの記録更新となり、所要時間は27時間07分となりました。東京で1時間近く空いてしまうのが弱点ですが、それ以外は各列車の所要時間・接続時間とも良好で、この時点ではかなり完成度の高い乗り継ぎダイヤだと思われます。

10.一時的に記録後退 2006年3月 → ほぼ復活 2007年10月

 2006年3月の改正で、[スーパー宗谷4号]の時刻が1時間強繰り下げられました。そのため、[スーパー宗谷4号]から[はまなす]への乗り継ぎが出来なくなり、これまでの最短乗り継ぎパターンが崩れました。その結果、所要時間は30時間15分となり、およそ8年前の水準まで後退してしまいました。
 しかし、2007年10月の改正ではふたたび[スーパー宗谷4号]の時刻が変更となり、2006年3月改正前とほぼ同時刻になりました。[はまなす]との接続も復活し、所要時間も27時間09分と、ほぼ元に戻りました。
 2008年3月改正と2009年3月改正で、ほんの少しずつ所要時間が延びています。

11.その後は… 新幹線延伸と[はまなす]存続が鍵?

 東北新幹線(八戸−新青森間)が2010年12月に、九州新幹線(博多−新八代間)が2011年春に、それぞれ開業予定です。関連各社の発表資料等から推測すると、現行に比べ、新青森開業では最大1時間弱、博多−新八代間開業でも最大1時間程度、それぞれ時間短縮が見込まれます。両線開業後を想定すると、北海道側のダイヤや乗り継ぎパターンが現行に準じると仮定し、さらに指宿枕崎線のダイヤも現行に準じると仮定した場合、稚内発は現行どおり16時台後半、接続がうまくいけば翌日17時台前半にも西大山への到達が期待できます。

 いまや「最短乗り継ぎ」には欠かせない存在と言ってもいいのが[はまなす]です。もし[はまなす]が消えることになれば、他に「使えそう」な夜行列車は[北斗星]と[サンライズ瀬戸・出雲]しかなくなります。これら「新幹線並行夜行列車」を使ってしまうと、その区間は新幹線のスピードを活用できなくなるため、記録後退は必至でしょう。少しでも長く[はまなす]が生き延びることを期待するばかりです。ちなみに、2009年3月改正ダイヤで、[はまなす]を使わない場合の最速パターンは、30時間25分(稚内7:10発→西大山翌13:35着。ただし東京での乗り継ぎ時間が2分)となり、10年以上前の水準にまで後退してしまいます。

 2015年度末には北海道新幹線(新青森−新函館間)の開業が予定されています。さすがにこの時には、[はまなす]や[北斗星]は確実に消えるでしょう。新幹線区間は延びても、記録更新は望み薄かもしれません。

 だいぶ先、新幹線が札幌まで伸び、360km/h程度が標準速度となり、さらに超電導リニアによる中央新幹線が走るような時代になれば、稚内−西大山間で日着が可能になるかもしれません。本当に夢のようです。それまで稚内駅や西大山駅が残っていれば良いのですが…

 
この下のあるのが、各時期での乗り継ぎダイヤです。 (注) 西大…西大山 鹿中…鹿児島中央(旧・西鹿児島) 新八…新八代
時 期 西大 山川 指宿 鹿中 新八 博多 岡山 東京 上野 仙台 盛岡 八戸 青森 函館 札幌 旭川 稚内 所要時間
1972年9月 19:42 21:17 (758D) 45時間29分
  21:25 8:51 (月光2号)
  10:40 14:50 (ひかり4号)
(はつかり3号) 16:00 0:15  
(1便) 0:35 4:25  
(おおぞら1号) 4:45 8:55  
(天北) 10:30 17:11
1979年4月 6:12 8:01 (726D) 40時間34分
  8:12 13:04 (有明6号)
  13:19 20:20 (ひかり26号)
(はくつる) 22:21 7:11  
(5便) 7:30 11:20  
(宗谷) 11:50 22:46
1983年11月 7:31 9:22 (732D) 39時間17分
  9:26 14:15 (有明16号)
  14:40 21:20 (ひかり10号)
(はくつる1号) 22:20 7:15  
(5便) 7:30 11:20  
(おおとり) 11:40 15:55  
(宗谷) 16:40 22:48
1986年11月 8:32 9:39 (3736D) 38時間29分
  9:45 14:26 (有明22号)
  14:49 20:46 (ひかり10号)
(はくつる1号) 22:20 7:15  
(5便) 7:30 11:20  
(おおとり) 11:35 15:28  
(宗谷) 16:28 23:01
時 期 西大 山川 指宿 鹿中 新八 博多 岡山 東京 上野 仙台 盛岡 八戸 青森 函館 札幌 旭川 稚内 所要時間
1988年3月 8:42 9:50 (3740D) 33時間43分
  9:52 14:14 (有明26号)
  14:35 20:32 (ひかり10号)
(やまびこ129号) 21:16 23:26  
(北斗星5号) 23:34 10:57  
(天北) 11:30 18:25
1990年11月 8:42 9:49 (3740D) 32時間44分
  10:12 14:15 (有明28号)
  14:35 20:32 (ひかり20号)
(やまびこ129号) 21:20 23:30  
(北斗星5号) 23:38 10:57  
(宗谷1号) 11:32 17:26
1991年3月 5:51 7:23 (726D) 35時間35分
  8:35 12:15 (ハイパー有明20号)
  12:40 18:36 (ひかり16号)
(北斗星5号) 19:03 10:57  
(宗谷1号) 11:32 17:26
1992年7月 7:31 9:11 (932D) 33時間56分
  9:22 13:15 (つばめ8号)
  13:35 19:32 (ひかり18号)
(やまびこ139号) 20:00 22:09  
(北斗星5号) 23:34 10:50  
(宗谷) 11:32 17:27
時 期 西大 山川 指宿 鹿中 新八 博多 岡山 東京 上野 仙台 盛岡 八戸 青森 函館 札幌 旭川 稚内 所要時間
1993年3月 6:07 6:25 (926D) 30時間38分
  6:31 7:46 (928D)
  8:10 12:01 (つばめ6号)
  12:20 17:24 (のぞみ16号)
(やまびこ19号) 17:48 20:34  
(はつかり25号) 20:43 22:58  
(はまなす) 23:08 6:18  
(オホーツク1号) 7:05 8:39  
(礼文) 8:49 12:45
1998年4月 6:06 6:23 (5320D) 30時間16分
  6:28 7:40 (1326D)
  8:05 11:54 (つばめ6号)
  12:35 17:24 (のぞみ18号)
(やまびこ5号・こまち5号) 17:44 20:09  
(はつかり25号) 20:17 22:33  
(はまなす) 23:08 6:18  
(ライラック1号) 6:54 8:17  
(礼文) 8:24 12:22
1999年3月 6:05 6:21 (5320D) 30時間17分
  6:25 7:36 (1326D)
  8:05 11:55 (つばめ6号)
  12:35 17:24 (のぞみ18号)
(やまびこ23号・こまち23号) 17:56 20:30  
(はつかり25号) 20:38 22:52  
(はまなす) 23:08 6:18  
(スーパーホワイトアロー1号) 6:54 8:17  
(礼文) 8:24 12:22
2000年3月 6:05 6:21 (5320D) 31時間23分
  6:25 7:36 (1326D)
  8:25 12:15 (つばめ6号)
  12:35 17:24 (のぞみ18号)
(やまびこ25号・こまち25号) 18:08 20:34  
(はつかり25号) 20:44 22:56  
(はまなす) 23:08 6:18  
(スーパー宗谷1号) 8:30 13:28
時 期 西大 山川 指宿 鹿中 新八 博多 岡山 東京 上野 仙台 盛岡 八戸 青森 函館 札幌 旭川 稚内 所要時間
2002年3月 5:58 6:15 (5320D) 31時間30分
  6:25 7:37 (1326D)
  8:25 12:15 (つばめ6号)
  12:30 17:26 (のぞみ18号)
(やまびこ25号・こまち25号) 18:08 20:34  
(はつかり25号) 20:48 23:03  
(はまなす) 23:08 6:18  
(スーパー宗谷1号) 8:30 13:28
2002年12月 5:58 6:15 (5320D) 31時間30分
  6:25 7:37 (1326D)
  8:25 12:15 (つばめ6号)
  12:30 17:26 (のぞみ18号)
(はやて25号) 17:56 21:00  
(つがる25号) 21:17 22:18  
(はまなす) 22:45 6:07  
(スーパー宗谷1号) 8:30 13:28
2003年3月 (スーパー宗谷4号) 21:50 16:53 27時間58分
(はまなす) 5:35 22:00  
(つがる2号) 6:48 5:52  
(はやて2号) 9:51 6:55  
  14:49 9:53 (のぞみ9号)
  18:53 15:05 (つばめ17号)
  20:18 19:05 (1359D)
20:51 20:25 (5329D)
2003年10月 (サロベツ) 19:05 13:45 31時間06分
(北斗星4号) 6:47 19:27  
(Maxやまびこ102号) 9:24 7:06  
  14:55 9:50 (のぞみ11号)
  18:53 15:05 (つばめ17号)
  20:18 19:05 (1359D)
20:51 20:25 (5329D)
時 期 西大 山川 指宿 鹿中 新八 博多 岡山 東京 上野 仙台 盛岡 八戸 青森 函館 札幌 旭川 稚内 所要時間
2004年3月 (スーパー宗谷4号) 21:50 16:53 27時間07分
(はまなす) 5:35 22:00  
(つがる2号) 6:48 5:52  
(はやて2号) 9:51 6:55  
  15:57 10:50 (のぞみ13号)
  17:46 16:10 (リレーつばめ19号)
  18:28 17:49 (つばめ19号)
  19:40 18:38 (なのはなDX5号)※土休日は(なのはなDX107号)山川着19:42
20:00 19:50 (5329D)
2006年3月 (サロベツ) 19:08 13:45 30時間15分
(はまなす) 5:35 22:00  
(つがる2号) 6:48 5:52  
(はやて2号) 9:51 6:55  
  15:57 10:50 (のぞみ21号)
  17:46 16:10 (リレーつばめ19号)
  18:29 17:49 (つばめ19号)
  19:40 18:39 (3359D)
20:00 19:50 (5337D)
2007年10月 (スーパー宗谷4号) 21:50 16:51 27時間09分
(はまなす) 5:35 22:00  
(つがる2号) 6:48 5:52  
(はやて2号) 9:51 6:55  
  15:57 10:50 (のぞみ21号)
  17:46 16:10 (リレーつばめ19号)
  18:29 17:49 (つばめ19号)
19:40 18:39 (3359D)
20:00 19:50 (5335D)
2008年3月 (スーパー宗谷4号) 21:50 16:51 27時間13分
(はまなす) 5:39 22:00  
(つがる2号) 6:48 5:52  
(はやて2号) 9:51 6:55  
  15:13 10:10 (のぞみ19号)
  17:50 16:14 (リレーつばめ19号)
  18:33 17:53 (つばめ19号)
  19:47 18:44 (3359D)
20:04 19:54 (5337D)
時 期 西大 山川 指宿 鹿中 新八 博多 岡山 東京 上野 仙台 盛岡 八戸 青森 函館 札幌 旭川 稚内 所要時間
2009年3月 (スーパー宗谷4号) 21:50 16:51 27時間16分
(はまなす) 5:39 22:00  
(つがる2号) 6:48 5:52  
(はやて2号) 9:51 6:55  
  15:13 10:10 (のぞみ19号)
  17:50 16:14 (リレーつばめ19号)
  18:33 17:53 (つばめ19号)
  19:49 18:44 (3357D)
20:07 19:57 (5343D)



【参考文献】
 1972年9月および1979年4月時点の乗り継ぎダイヤは、「鉄道旅行術」(種村直樹著 改訂5版 日本交通公社出版事業局発行)を参考にしました。1990年11月時点の乗り継ぎダイヤは、「最新鉄道旅行術」(種村直樹著 二刷 JTB発行)を参考にしました。
 余談ですが、この2冊の発行年には18年もの間があります。ロングセラーですね。

TAMTAMの鉄道雑学資料館へ