絹と神々とのかかわり

 神さまは私たちと同じように、年2回、夏と冬を前にして衣替えをなさいます。この衣替えのみまつりを伊勢の神宮では神御衣祭<かんみそさい>と呼び、絹と麻の織物が、縫い糸や縫い針などと一緒にお供えされ、神さまは衣替えをなさるのです。
 現在は、その絹織物を、三重県松阪市郊外に鎮座する神服織機殿神社という神社で、麻織物を神麻続機殿神社という神社で、それぞれ織り上げております。

 神宮で、20年に一度行なわれる式年遷宮の折には、御神宝素材として多種の絹織物が用いられ、その絹織物で数々のお召し物が奉製されて、神さまにお供えされていますが、平成5年に行なわれた第61回式年遷宮では、当社副講長が、有り難いご縁を神宮で戴き、蚕の飼育から「帛」という平絹を織り上げるまでのご奉仕に参加させて戴きました。 
 この「帛」は、正倉院事務所で約10年におよぶ研究の結果、復元された奈良時代から伝わる特殊の夾纈染め技法で染色され、『青纐纈綿御衣』として奉製されて皇大神宮別宮の月読宮御料としてお供えされていますが、
来る平成25年に予定されている第62回式年遷宮でも、副講長が『青纐纈綿御衣』の奉製に関わらせて戴くことになり、まもなくその準備にかかることになっています。

 絹織物を神さまにお供えすることは、古事記の他、神道にかかわる古い書物の随所に出て参りますが、名高い神社の大祭では、幣帛と称して、絹織物が神さまにお供えされます。
 出雲大社で毎年5月14〜16日にわたって行なわれます例祭でも、14日の勅祭の折に、天皇陛下の御名代として遣わされる勅使様から幣帛を賜り、宮司様が大御前にお供え致しております。

 また、絹は、神さまのお召し物だけでなく、神社の装飾にも用いられていて、特に、御神座とその周りを囲む御壁代や御とばりと呼ばれる布には、全て絹が用いられています。
多摩講社の御神座にも絹が張りめぐらされております。
 絹は私たちの生活とのかかわりも深く、古来より伝承されている通過儀礼の中でも、着物の素材に絹が用いられ日本の伝統文化の基礎を築いて来ました。

 それでは、絹が衣の素材として、古くから、このように高い位置づけがされて来たのは、どんな理由からなのでしょうか。
それには、次のような理由が挙げられるように思います。
 その一つは、日本の温暖な気候、風土が絹づくりにもっとも適していることであり、日本の絹づくりは、素晴らしいその自然と深くかかわりあいながら、 蚕を飼い、糸をつくり、染織が行なわれているために、他国の絹にみられない多くの特質を具えているということです。
 二つ目は、繭から最終製品をつくるまでの人たちが多元的な伝承技術を重んじ、長い年月にわたって、繊細な技と豊かな感性で、育みながら、優れた絹をつくり続け、後世に伝えて来たことです。
 三つ目は、絹の素材である繭糸の優れた性質です。
 蚕がつくる繭の糸は構造が微細であり、きわめて複雑ですが、その繭糸の構造をちょっと難しいかも知れませんが、ご紹介してみたいと思います。

 繭糸は、2本のフィブロインという高分子物質を主体として出来ていて、このフィブロインがセリシンという層で被覆されたアミノ酸組成の繊維です。その繭糸は、断面が概ね三角形の2本のブランからなり、1本のブランは、約100本のフィブリルの束で出来ていて、更にそのフィブリルは、ミクロフィブリルといわれる約10マイクロミクロン(10万分の1ミリメートル)というとてつもなく細く微細な繊維によって構成されています。とても人為的な技でつくれるものではありません。
 このように、繭の糸は非常に微細な構造の繊維ですから、絹はつくり方を誤らなければ、神秘的とも言える光や音の波、そして、複合的なエネルギーによって私たちを包んでくれます。
 しかしながら、私たちは、ある段階までは官能的にその神秘さを感じることが出来ても、絹の神秘性のすべてを感じとることは出来ません。
 それらは、まだ神の領域にあり、絹には、科学の発達した今の時代でも解明出来ないことが沢山あるのです。

 いつの時代でも、絹は神さまと深くかかわりあいを持ちながら、現在に至っていますが、多摩講社の副講長は絹づくりに長年かかわって来ておりますので、大國主大神さまの信仰を通じて、この先も、絹づくりにかかわり、美しい絹をつくり出したい、そう願っているようです。
 絹の素晴らしさに魅せられたり、絹づくりにご興味のおあり方は、当社副講長を尋ねられたら如何でしょう。
 電話は042-381-5230、FAXは042-381-5240です。

甲子祭

  第4甲子祭(水のおまつり)
   平成20年の第4甲子祭は7月23日、日曜日の午前10時
より執り行ないます

 甲子の日は、60日ごとに巡って来ますので、年に6回ございますが、出雲大社多摩講社では、その甲子の日に、甲子祭を執り行っております。
 第4甲子祭は、水にかかわるおまつりを致しますので、そのおまつりに合わせて、水とかかわりの深い生糸を、副講長が御神前繰糸して、奉納致しました。
 ご自分でつくられた繭、生糸、未使用の絹製品をお持ちでしたら、今年(7月29日)、その一部をご持参の上、甲子祭に参列しては如何でしょう。
 多摩講社では、皆様がお持ちになられた絹製品を大神さまにお供えして、感謝のみこころを以て、つつがなく日々絹づくりに専念させて戴けるようお願い致します。

 おまつりの後、絹づくりをテーマに、懇親会を行ない、副講長がご参列下さった皆さま方と語り合う場を設けております。
 なお、多摩講社では、インターネットによる絹のフォーラムの開設は考えておりませんが、副講長の主宰する多摩シルクライフ21研究会のホームページを開設して、催しなどに関するご案内をしておりますので、是非、ご覧下さい。
 絹づくりは、実際に肌で触れることが大切です。絹に関するご質問やお問い合わせ等ございましたら、下記の点を含めて、電話042−381−5230、FAX042−381−5240にお願い致します。

           懇親会参加費  3,000円
 お一人でもご自由に参加出来ますが、ご面倒でも、前々日までに必ずご連絡下さい。
ただし、懇親会へのご参加は、甲子祭ご参列(御初穂料が必要です)が前提となりますので、その点はご了承願います。

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(平成19年2月6日更新)