献血ルームでは、できれば「成分献血」をして頂けるようにお願いしています。しかし、まだまだ知らない人が多いんですよね。私が採血中に質問された事を、順にお答えしていけばより解っていただけるのではないかと思います。
| 成分献血って何? |
| 成分献血は、成分採血装置を使い、血液中の血漿・血小板を分離してバックに採取し、赤血球・白血球を一部の血漿と共に体内へお返しする献血方法です。血漿献血と血小板献血があります。 |
| 血漿献血はバスでも一部できるようになっていますが、血小板献血は、献血ルームでしか採血できません。血小板採血用の装置は大きく持ち運びができない、さらに血小板採取に必要な血球検査を行う装置がルームにしかないからです。
(一部の県では移動採血バスでの血小板献血を行われているそうです。) また、輸血用赤血球・血漿は保存期間が長いので、ある程度計画的にまとまった本数が確保できていれば、今日明日に突然不足すると言うことはないでしょう。しかし、血小板の有効期間は採血後72時間以内、検査・供給等の時間を考えるとぎりぎりなのです。平日、献血者の方が極端に少なかったりすると大変です。そのため、ルームでは積極的に成分献血をお願いしているのです。(各都道府県によって状況は異なると思いますが・・・) |
| 200mL・400mLと何が違うの? |
| 1度に採取できる成分・量が全く違います。成分献血では、赤血球・白血球をお返しすることで、全血献血で十分採取できない血漿・血小板だけをいただくのです。血漿献血では体重別に300mL〜600mL、血小板献血では10〜20単位を1人の方から採血できます。 |
| 全血(200mL・400mL)献血は、バック内にそれだけの量の血液が採取できれば、採血は終わりです。しかし今、採血に使われているのは4連バックがほとんどで、製剤課に送ってから遠心分離器にかけられます。200mLから作られる輸血用血液は赤血球MAPとFFP1単位(血漿80mL)、400mLでもその2倍になるだけです。白血球は輸血副作用を起こす原因となるため除去され、血小板は200mLからでは少なすぎて輸血用に利用できず、400mLからは必要があればPC2単位を作りますが、血小板輸血に使用する10〜20単位には全然及びません。 輸血される患者さんにとって、1度に5〜10人分の血液を輸血するよりは1人からの血液で済むほうが、副作用の確率はずっと低くなります。 |
| 時間がかかるって聞いたけど? |
| 成分献血は、成分採血装置を用いて採血を行います。採血しながら遠心をかけて分離していきますが、1度に体外へ出せる量は約400mL(体重の15%以内)ですので、一定量の血漿・血小板が採取できたら赤血球・白血球を体内へお返しします。(片腕法・両腕法で方法は異なります) 採血・返血をくり返しながら採取していくので、血漿献血で40分〜60分位、血小板献血では60分〜90分位かかります。(時間は個人のデータと採取法によってかなり差があります) |
| 針が嫌いだからずっと刺したままなんて耐えられない |
| 針を刺す瞬間は確かに痛いですが、採血・返血中は特に痛みがあるわけではありません。最初にちゃんと血管内に入っていて、きちんと固定してあれば(針が点滴をする時みたいに固定しやすいよう羽がついている)、採血側の腕を曲げない限り大丈夫です。1時間ずっと針のことを考えていては大変なので、テレビやビデオなどで気持ちを切り替えてもらえばいいと思います。しかし、どうしても針が入っていること事態がだめな方、緊張して体が固まってしまう方はお勧めしません。きっと途中で気分が悪くなってしまうでしょう。すぐ終わる200mL/400mL献血でがんばって下さい。 |
| 一度でた血液が戻ってくるなんて気持ち悪い |
| 献血に使用する針・バック・キット類は、すべて滅菌された使い捨てのディスポを使用しています。献血者一人一人新しく開封されたものをセットし、少しでも汚染されたと疑われるものは、未使用であっても破棄されます。(例、パッケージを開けたら既に針のキャップが外れていた、セット中に針のキャップが外れたなど・・・) したがって、献血したから何かに感染するというようなことはありません。戻ってくるのも自分の血液だけです。献血された血液は輸血用血液となるわけですから、自分が病気になってどうしても輸血が必要になったとき、人の血液が入るなんて気持ち悪いからイヤだといいますか?そんな人はいないでしょう?(一部の宗教の方を除きますが)患者さんの立場になって考えてみて下さい。それでも、何となく生理的にだめな方は強くはお勧めしていません。献血中に気分が悪くなる場合、精神的なものからくる場合が多いので、状況が悪化します。 |
成分採血装置について |
| 採血装置の種類 | 採血方法/採血種別 | 特徴 |
| UL-PCS (ウルトラライト) 「ヘモネティクス社」 |
片腕採血 PRP又はPPP採血用 |
コンパクトで持ち運べるように作られたタイプ。 血漿採血専用、出張採血に持っていくこともあります。 |
| MCS (エムシーエス) 「ヘモネティクス社」 |
片腕採血 PPP又はPC+PPP採血用 |
成分献血を開始した頃は、縦型式の重い血小板採血装置が主流だったため、移動できるコンパクトな横型タイプの先駈けとして登場しました。(今となっては古い方ですが・・・) |
| Multi (マルチ) 「ヘモネティクス社」 |
片腕採血 PPP又はPC+PPP採血用 |
MCSの改良版。MCSは体外循環量(脱血量)が多く、血液が薄めで体重の少ない女性には負担が大きかったこともあります。 |
| CCS (シーシーエス) 「ヘモネティクス社」 |
片腕採血 PPP又はPC+PPP採血用 |
Multiの改良版。画面が大きく見やすくなりました。更に献血者のデータを詳しく入力することで、体外循環量を少なくし、女性への負担を軽減しています。 |
| CS-3000PLUS 「バクスター社」 |
両腕採血 PC、PC+PPP採血用 |
両腕の血小板採血専用。私は操作したことが無いので詳しいことはわかりません。 |
| Amicus(アミカス) 「バクスター社」 |
両腕採血、片腕採血 PC、PC+PPP採血用 |
血小板採血専用、両腕採血が主流です。(片腕にするメリットが少ないので、認可を取っていない所が多いです。) 体外循環量が200mL程度と少なく、女性への負担は一番少ないと言えます。採血時間も一番早いです。 |
| SPECTRA (スペクトラ) 「コーブ社」 |
両腕採血、片腕採血 PC、PC+PPP採血用 |
血小板献血専用、両腕採血が主流です。(片腕は時間がかかりすぎるので)体外循環量が200mL程度と少なく、白血球の混入が一番少ない機械です。採血時間は結構かかります。 |
| テルシス 「テルモ社」 |
片腕採血 PPP又はPC+PPP採血用 |
今のところ唯一の日本製です。キットも機械もしっかりした作りなのですが、導入されているところは少ないです。これからに期待します。 |
| 両腕と片腕とどう違うの?両腕は早いの? |
両腕採血だからといって早く終わるとは限りません。基本的に装置の分離方法が違うので、その時の献血者のデータによって異なります。
片腕法 MCS 採血が始まると、遠心槽の中にあるボール(血液が250mL位はいる入れ物)に遠心がかかりながら血液が入っていきます。血液は血漿・血小板・白血球・赤血球の順に層を作り、ボールが一杯になると一番軽い血漿から出てきてバックの中に貯まっていきます。血漿が十分採取できると次の血小板の層がボール内で感知され、貯まっている血漿を、もう一度ボールの中に吹き付けるように入れることによって血小板の層を崩し、血小板を採取するバックに送ります。(サージがかかると言う) 血小板が採取できたら、次の白血球の層がバックに入らないように止めて (しかし、多少の白血球はバック内に一緒に入る)機械も一度、遠心を停止させます。ボール内に残っている赤血球・白血球と血漿の量を調節しながら、ポンプの回転を逆にし同じルートより返血します。同じ操作をくり返すことによって、血小板を必要量採取します。
献血者のデータによって3〜5サイクルになり、1サイクル15分前後かかります。1サイクルに最大、体外へ出る血液量が400〜450mLにもなるため、体重・血液の濃さが十分ある事が必要条件です。Multi マルチはMCSの改良版なので、操作はほとんど同じです。
改良点は、献血者のデータを入力すると予測値が出る、採血と同時にバックに貯めてある血漿を血液の濃さ(ヘマトクリット値)を一定にしながらボール内に送り込むため、血液が薄めでも、採血の速度が不安定でも、ボール内の遠心は安定している仕組みです。
両腕法 Amicus 採血側から採血された全血は、まず遠心層にセットされた1つめの分離バックで濃厚赤血球とPRP(血小板の入った血漿)に分離されます。濃厚赤血球は200mLの血液を処理すると、次々と処理できた分が返血側から戻って来てます。次にPRPは2つめの採血バックに入り、PC(血小板)とPPP(血漿)に分離され、PCはそのままバック内に残り、PPPは血漿バックに入っていきます。 これらの操作を同時に行っていくのです。
献血者のデータ(体重・ヘマトクリット値・血小板数・血小板採取数)を入力して全血処理量(どれだけ処理すれば血小板10単位/15単位がもらえる予定か)を算出します。体重(kg)と全血処理量(mL)とクエン酸輸注量(mg/kg/min)からその人の採血流量(mL/min)を決めます。結果かかる時間=全血処理量÷採血流量+返血時間5分SPECTRA 採血側から採血された全血は、まず遠心層にセットされたチャネルという分離装置入っていきます。(チャネルを言葉で説明するのは難しいのですが、ズボンのベルトを楕円形の輪にし、重心をずらしたような形でセットされています)。
まず第一ステージに一番G(重力)が掛りRBC(赤血球)・WBC(白血球)が集まります。次に山になっているところを超えて、第二ステージでPLT(血小板)PPP(血漿)が層になり、血小板が途中で採取されます。一番軽いPPPは1周廻って最初に分離されたRBCを薄めながら返血側から戻っていきます。このチャネル内で血小板が層を作り採取できるようになるまで、約400mLの血液を処理しないといけないのですが、ここまでに15〜20分かかる訳です。
献血者のデーター(身長・体重・ヘマトクリット値・血小板数)を入力すると、何分かけるとどれだけの単位がもらえるかが算出されるので、その時間+返血8分かかります。
アミカスは液晶タッチパネルで、青い画面をさわって操作します。
スペクトラは一見古い感じで、大きく四角い装置です。
| 片腕で済むほうが楽なのに、なぜ両腕の機械があるか? |
理由としては、以下の3つが挙げられます。
|
| 両腕法の欠点 |
|