昭和電工トリプトファン事件のウソ

 反遺伝子組み換えを主張する本やホームページをみると、必ずといったように、遺伝子組み換えの危険性を示す証拠であるように書いてある事件です。彼らが言う危険性とはだいたい次のような物です。(物によって書いてある内容が微妙に違うので、その辺はご容赦を)

「アメリカで昭和電工が販売したトリプトファンという健康食品を食べた約5000〜6000人が筋肉痛や呼吸困難などの症状を訴え、36人もの死者を出した事件である。これはトリプトファンを大量に生産するよう遺伝子組み換えされた細菌から作られたもので、遺伝子組み換えにより予測外の危険な不純物が生産された良い例である。つまり、だから今問題の遺伝子組み換え食品も国は安全だといっているが予測不可能な危険物質が生産される可能性があり、安全とは言えない」

 でも、上文の解説はウソ(それとも誤解?)です。結論から言うと生産された不純物は遺伝子組み換えの結果作られたものではないです。実際の製造課程では組み換え体はアミノ酸合成の前駆体の生成に使われていました(つまりトリプトファンを作る前の段階の発酵に使われている)。これが組み換え体により生成能力が格段に上がったため、後段階のトリプトファンの生産能力も上がったが、同時にこれまで問題にならないほど少量だった副産物の生産量も上がってしまった。というのが真相です。まとめると組み換えによりトリプトファンの生産能力を高めたら副産物の生産量まで上がったということです。
 つまり遺伝子組み換えが未知の生産物を作ったのが原因ではなく、昭和電工の品質管理に問題があった事件なのです。