木造派の鉄、RCへのコンプレックス   2005.6.12

木質系企業のアピール
一時期、住宅展示場回り(ひやかしで、担当営業の方すみませんでした)をした時期があり、いろんな建築の技術を聞いてきたが、他社や他工法をけなすメーカーが数社あり、やはりそういう所は悪いイメージしか残らないようです。そんな中で「新昭和」という2×4系のメーカーは、一切他社、他工法への悪口はなく、木の魅力や弱点の対策法など力説しておりました。家のデザインも一番モダンで格好良かった。本来私は木造支持ではないのですが、これなら住んでもいいかなと思ってしまったくらいです。(同社HPにセールストークに『マウスの実験』の都合の良い部分のみの引用が掲載されました。好感を持っていた企業であったのに残念です。(07.9.28追記))

このような良識ある企業ばかりなら問題ないのだが・・・。他工法をけなし、姑息な論法で木の優位性をかたる所の多さにウンザリ。展示場やHPでの説明を聞いたり見たりしているうちに木造系は、鉄やRCにコンプレックスを持っているように感じられました。

木造系は木の(情緒的な)魅力をアピールするのは良いとしても、それに付け加えてたいてい、木を正当化するような話がでてくるのであります。好き嫌いの問題が優劣に摺り替えられるから話がおかしくなるのです。強引かつ短絡的発想で代表的なもので、●法隆寺の耐用年数1000年を木造住宅に適用 ●それぞれの素材の箱でのマウス生存率の実験の都合のいい解釈 ●重量比で木は鉄、RCよりも強い 等です。はなはだしい見解として 船瀬俊介の見解である「コンクリート建築は、なぜ問題なのか」があります。

これらは初めに結果ありき。木を有利に導きだすために考えられた見解や実験であり、その内容は現実の住宅建築や構造物とはあまりにかけ離れていて、現実に照らし合わせ、冷静に判断すれば情報操作とわかるものです。しかもそのデータは自らの検証や実験でなく他人様からの引用です。木造系は他工法をけなす所が多いんですね。

静岡大学の『マウスの実験』を引用し鉄、RCを攻撃する浅はかさ
マウス生存率の実験には、面白いオチがあります。生き長らえているネズミのいる『木の箱』は生存に不利と言いたいであろう軽量鉄骨造の建物に設置されています。もうこれは笑い話です。 おわかりの通りこの実験は、外壁や断熱材や内装などは一切考慮されておりません。単に各素材の熱伝導率の比較でしかありません。なのに、この実験を短絡的に住宅環境にもっていき、鉄、RCをこきおろす様は滑稽です。殆どの木質系のHPの説明を見ても、単なる素材の比較であるものが、即住宅環境に飛ぶその馬鹿さかげんに驚きますが、まさか本気でそう思っているのではないとは思います。意識的な情報操作でしょう。それを真に受ける、思考力の弱い方も意外と多数いるようです。

上記の実験は設定温度25度で行なわれましたが、さらに続きがあり、設定温度30度の場合では、どの素材も差がなく、マウスは生き長らえたそうであり、設定温度20度の場合では、どの素材もほとんど死んでしまったそうです。この都合の悪い部分は伏せるといった行為は姑息ですね。
『名古屋・外断熱賃貸マンション物語』HP内の『コンクリート住宅は早死にする? 』の記事でこの実験の陰謀のカラクリが解説されています。この実験資金提供者は「静岡県木材協同組合連合会」だそうです。なるほど・・・。

私の場合
私の場合では、残念ながら理想とする鉄筋コンクリートの住宅を建てることが出来ませんでした。実際建てたのは強度的にコンクリートよりはちょっと心もとない軽鉄ですが, 我が家は地下部屋があり地下部分は当然鉄筋コンクリートです。引き渡し時にコンクリートは完全に乾燥するまで4〜5年かかると工事会社から言われました。当初の5年くらいは湿度に悩まされましたが、今では完全に乾燥しました。外気の影響をほとんど受けることなく、最小限の空調で夏でも冬でも快適です。もうすぐ10年ですが、大きな不具合もなく、工事会社が言っていた『当社の家は10年間はなにもしなくていいようになっている』はまんざら嘘でもなかったようです。

木造、それも木造軸組系は積極的には住みたくないです。今だに『日本の気候に合うのは木造軸組』などと旧態依然なことを云う工務店がありますが、その根拠は、夏季においては劣悪な気密性が逆に熱がこもらない利点となることからきているのだが、冬期は劣悪な気密性では死ぬ程寒いということは意識的に言わない。私は今更そんな昭和40年代のような生活様式は絶対にいやです。

私の体験からくる木のイメージでは、腐敗、雑菌繁殖、虫の生息等マイナスイメージの方が強く、もちろん現在ではそうならない対策がとられてはいるが、不安定要素が無いに越したことはない。シロアリ防止用のオレンジ色の薬剤や各種防腐剤は、人体にも悪いことには変わりない。このことはどこの木質系企業も意識的に云わない。薬剤に頼らなくて済むRCや鉄の方がむしろ人にやさしいと思うが。また、虫とは共存していくものとの考え方もあるが、私の場合は、虫1匹たりとも侵入を許したくないです。

都合のいい測定法と情緒論
法隆寺の耐用年数1000年の話やマウスの実験を短絡的に木造住宅に適用したり、都合のいい強度比較(重量比での比較では木の数値が大きくなり錯覚する)をあおる企業に強烈な不信感を抱いています。これは情報操作と云ってもいいくらいです。私は建材としての絶対的な強度及び耐久性はRC→鉄骨→木の順だと思っておりますし、一般論でもこの順位であると思います。ところが、上記の姑息な論法や実験で必死に木の優位を語り、なんの根拠もない情緒論まで持ち出してくる企業もあります。木造住宅は好き嫌いの問題が優劣に摺り替えられているのです。なぜそんなにまでしてRCや鉄をコキおろさなけばならないかと云うと、それは『自信のなさ』からではないのかと勘ぐります。本当に強度に自信をもっていれば、その根拠を一般論でなく自社でのデータで説明をするはずだし、なにも他人様のデータ引用で無責任にRC、鉄をダメと言い張る必要もないのではと思うのだが・・・。

他工法攻撃は弱点隠しのため?
私が思うには、木造住宅の存在理由は、『素材の好み、価値観』であり、強さを求めるものではないと思う。木が好きであればそれでいいのであって、鉄やRCより強いだの等、弱点隠しは言い張る必要は無いと思う。とにかく強い家を求める人は初めから木造(2×4も)は選択しないでしょう。以前住宅展示場にてバリバリの木質系の○条工務店にて聞いた説明は、家そのものの強度、耐久性の話はついに出なかった。会社の体制(当社は自社の社員が工事をするので正しいとか、鉄骨系は丸投げなのでダメとか)や木の価値観、(ムク材が正しくて集成材はダメとか、ましてや鉄は論外等)情緒論ばかりであった。まあ展示場担当の営業のおにいちゃんも本当はつらいところなのかもしれないが・・・。

情報操作と信仰
木質系企業の、情報操作ともとれる、セールストークを意外にも真に受ける人々が多いのにはちょっと驚いています。先の『マウスの実験』では、船瀬俊介が都合のいい部分のみ引用し、短絡的に木造優位・鉄、RC危険とあおっています。少なくとも出版する立場であれば、その影響力を考え、いい加減な主張は慎んでいただきたいものであります。船瀬俊介は『買ってはいけない』の著者でもあり、こちらでも、各商品を口汚く攻撃する記事を書いています。

HPなど見る限りでは、鉄、RC攻撃は、断片的な問題点(現在では解決可能なものでさえ)を全てが危険だという方向に持って行く記事がほとんどです。それを間に受ける方も受ける方で、これらを見ていると、信仰に近いものを感じてしまいます。



オマケ(つっこみ)
●木は鉄やコンクリートより強いのに、鉄道会社等で木製車両、木製軌道、木製構造物ではないのはなぜだろう?。
●木は鉄やコンクリートより強く住環境(保管環境)も良いのに、国宝等保管される上野の美術館等はなぜ木造ではなく鉄筋コンクリートなのだろう。
●木は鉄筋コンクリートより住環境が良いのに命を預かる病院はなぜ木造でなく鉄筋コンクリートなのだろう。
●木は鉄やコンクリートより強く耐用年数1000年以上なのに、地下構造物はなぜ木造でなく鉄筋コンクリートなのだろう。(我が家の地下部屋も含む)
●木は軽いので地震の加速度の影響が小さいのに、大地震で倒壊するのはなぜ木造が多いのだろう。
●木は鉄やコンクリートより強いのに、シロアリに穴をあけられていまうのはなぜだろう。
●木は鉄やコンクリートより強いのに、木造の家でも基礎はなぜ鉄筋コンクリートなのだろう。


つっこみ改め『ホワイトウッドの恐怖』
あんしんネットワークの記事
1999年以降に建てられた木造住宅の半数以上が『時限爆弾』をかかえているようです。今後、被害が表面化してくるものと思われます。 こわいですねー。現実はこのザマです。木が鉄より強いとの強度比較を真に受けた方は御愁傷様です。


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