自作は貧乏人の特権?   2006.3.9

スピーカー自作を始めるようになったきっかけは何だったか?23歳頃であったか、仕事関係で知り合った、スキャナー等印刷機器を扱うライノタイプ社の技術者だったS氏とオーディオの話で盛り上がり御自宅に招かれたことがあった。専用のオーディオ部屋には自作スピーカーによるオーディオセットがあった。40cmウーハー片CH3発相当である!しかもスピーカーユニットの大半はダイナミックオーディオ(お店の名前)に転がっていた中古品だとのこと。お金をかけていないのに出ている音は素晴らしい、というより恐ろしいまでの低音再生能力に驚いたのだ。JBL4343だってここまで出ないであろう。オルガン曲を聴くと、音というより『風圧』が感じられるのだ。いまだにこの時を上回る低音は聴いたことがない。その頃の自分のスピーカーは49,800円のDENON製の25cm3Way密閉型であり、詰まったような低音とややおおざっぱな高音が気になり、買え替えも検討しているところだった。今から思うと1本5万円でこの程度の音でボッタクリもいいとこである。

■筆者若き頃、S氏宅オーディオ部屋にて。
たぶん、1983年頃。
低音の風圧に酔いしれました。
Sさん、写真の使用をお許しください。


S氏と対談の中で、頭と体を使えば、金をかけずにいい音を入手できるとの哲学を伝授されたように思う。そこで次期スピーカーは自作にしなさいということになり、なんと初めて製作したのがいきなりバックロード!当時、今はなき『月刊AUDIO』という雑誌に、ちょうどバックロードの製作記事があったのだ。工作の難易度が高いにもかかわらず、方式としての面白さに魅せられた。F社のFF125を購入し、板はこれも今はなき『ケーヨーホームセンター』で購入&カット加工した。結果は組み立て精度も悪く強度不足からくる共鳴音が出て、音、見栄えともに惨澹たるものであったが、ただ低音の出方がフツーのスピーカーのと全く違うことがわかった。詰まったところがなく、開放的に軽々と出るのだ。この低音があきらめきれずに失敗原因を原物とともにオーディオ誌など参照しながら検証し、再度挑戦した。

その後いろいろ製作したが、低音域再生限界周波数がやや高めという弱点があっても、やはりバックロードの緻密であり壮絶でもある開放的な鳴り方は捨て難く、現在のメイン機もバックロードなのだが、製造原価ペアで2万5千円程度と思うと実に痛快!『頭と体を使えば・・・』の哲学のどっぷり浸かっています。私は下流階級(今流行しているが私はとっくの昔から)でもあり、金をかけない事がステータスでもあります。オーディオにかぎらず消費全般にです。経済を回転させない困った奴?です。だからブランド品等、不当に高額(高級とは限らない)なものは大嫌いだし、高額品(高級とは限らない)を買って悦にひたっている者は滑稽とさえ思える。むしろ貧乏人の方が物の本質を見る能力は高いのではないかと思う。いい例がダイソーの3m100円のスピーカーコードと某メーカーの能書きタラタラのダイソー価格の数倍〜数十倍のものとでそんなもんどっちも変わらないのである。メーカーは嘘は言ってはいないが、影響力の順位からいうと等価とみなしてかまわないのである。オーディオ以外でも、例えば子供服のミ○ハ○スの商品は原色ベタ系の色が多く悪趣味もはなはだしいのに結構高かったりする。服の値段なんかあってないようなもので、値引きされた価格が正当な評価額であると思う。

現在の使用中のスピーカーは3組あり、特に重大な不満は無い。つまり目標であった仕様が完成してしまったのだ。敢えて次を製作する必要性はないのだが、研究開発をしたい気もある。しかし完成後の処理が困るのだ。ウサギ小屋である我が家にはさらに設置できる場所がすでに無いのだ。そこで完成後はヤフオクに出すという手を考えた。僅かながら利益も出るし、一石二鳥。当初は自作物など買う奴なんかいないと思っていたが、FOSTEXのカテゴリーを覗いてみると、意外にも自作スピーカーが山のように売り出されていたのだ。これならいけそうだと、ためしに出品してみたら、買い手がついた。

これなら自分で使用しなくても研究開発、製作が可能となった。しかも万一飛び抜けて凄い設計ができてしまったら自分用にも製作して入れ替えることもできるのだ。設置場所の心配がなくなったので、自作スピーカー製作そのものが趣味になってしまった今日この頃です。

・・・とはいえ財力と豪邸を手に出来るのだったらJBL4344が欲しかったな。もちろんそうなったら自作なんかしないだろう。


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