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![]() その7 |
このページでは劇場公開作品を鑑賞後、インプレッションしています。 |
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| 作品一覧 |
監督. 出演.
感想. 作品冒頭から激しい学校同士の乱闘、その一方で巻き込まれる平凡な主人公康介。対極にある二つの構造を持ちつつ物語は進みながら、一見狂言回し的な存在だった康介によってその壁を崩していく。そのきっかけこそ、純情に愛しの子の国の文化を学び、魅せられる『イムジン河』。とにかく激しい映画だが、この『イムジン河』一曲に泣かされる。特にクライマックス、友を失ったアンソンたちの乱闘のバックでこの曲が流れた時には、何とも物悲しく感じて涙があふれ出てきた。 ぶつかり合うエネルギーに若い血しぶき。だがその背景にある社会事情、理不尽さを感じる中、彼らの伝達方法が暴力に行き着くのはやむを得ない気もする。作品的に主張の押し付けと言われる向きもあるが、理不尽さ、無知が生む何かがあるのは事実。もちろん溢れんばかりのエネルギーは『イムジン河』を唄う康介にも表れるわけで、そこが心を捉えるのだ。しかもフォーククルセダーズのメンバーだった加藤和彦による『イムジン河』のアレンジは、作品の血ともなっている。 全編で(主張、エロも含めて)井筒イズムに溢れ、単に笑いと人情で走った前二作とは意味合いが違う作品に仕上がっている。またキャスティング、脚本、演出、テンポと全てにおいて隙が無い。特に活劇たる側面をキャストは体現し、それがエネルギッシュで画面から飛び出してくる。時に笑い、そして前述の通りにぶつかって何とも心地よい。不幸の連鎖で終わらせず、前向きな終わり方も好感。あの毒舌監督にして面目躍如の傑作である。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 冒頭はややシリアスに進むが、突如面を喰らうアニメ的描写の数々。「少林サッカー」同様に日本のアニメ作品を意識した作りが踏襲されている。だからCGは誇張表現の一つで徹底して使用され、それを受け入れられるかがカギ。まともなカンフー映画を期待してはいけないが、そもそもこの作品を観る層にその心配は要らないかもしれない。むしろ路線が明確で、アニメバトルに脱線してしまった「マトリックス・レボリューションズ」よりも潔い。 確かに名目上の主役はチャウ・シンチーだが、本当の主役は『功夫(カンフー)』バトルである。登場するカンフーの達人たちの凄まじさ。こうしたキャラの構築と組み合わせの妙がこの作品の魅力となっている。物語もあって無いようなものだし、チャウ・シンチーのキャラは美味しいところだけ持っていくだけの存在。ただ物語を割り切って作っているのはよく判る。理屈は要らない、最後まで観ればカンフーバトルが全ての映画だと言わんばかりである。 ただそれだけに作品としての面白さは今一歩。CGバトルに麻痺してしまうのと同時に、笑いにも麻痺してしまう。もう少し物語に惹かれるものが欲しかった。音楽が「少林サッカー」のような盛り上がりに欠けたのもマイナス(同じレイモンド・ウォンなのだが)。しかし最後まで魅せてしまうのは、同じアニメ民族たる日本人の嗜好にあっているからかも。お正月...という限定された中で観る分には楽しく過ごせる映画である。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 話題に溢れた本作、多くのSFファンにとって期待と不安に満ちた作品だったと思う。まず探索チームの描写ばかり、前半30分は正直観ていてつらかった。しかしアンダーソンがやりたかった事は後半一時間に集約されている。エイリアンとプレデターのガップリ四つのぶつかり合い。お互いの残虐さをあらわにし、強酸と緑色の血が飛び散るデスマッチ。ラストのオチは何となく判ってはいたが、果たしてお約束なのか、続編を匂わせる終わり方もある。 物語は完全に「エイリアン」が「プレデター」に歩み寄った作り。「エイリアン」しか観た事のない人にはとんちんかんで『おいおい?』と感じたに違いない。そこに両者の異なる物語背景をバランスさせる難しさがある。リアル路線を歩んできた「エイリアン」、ややデフォルメされて描かれてきた「プレデター」の世界観の違い。また「エイリアン」の魅力たる密室劇に乏しく、何処か緊張感に欠ける面もみられた。ただそれぞれの残虐性に秘めたキャラクターの違いはよく判る。それがこの作品の骨子、彼らの対決を成立させている。 そもそも「エイリアン」はパート3での映画会社と製作サイドのドタバタ劇。その後の量産化の果て、そして今回のスピンオフ。この製作自体、映画会社主導の匂いが強く、先の続編の匂いに通じる。これも製作サイドの皮肉、『我々の悲鳴は映画会社には聞こえない』という事なのだろうか。とにかくシリーズを作れば作る程、SFホラーの傑作「エイリアン」の格は落ちていく。今回はあくまで...と言い訳がつきそうだが、もう潮時の感を強く感じた。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 本作は名目上ゴジラ生誕50周年記念であるが、実は東宝特撮作品へのオマージュを織り込んだ作品。妖星ゴラスや豪天号まで登場、また平成ゴジラ以後の作品よりも一旦シリーズを終えた初期のゴジラ作品の匂いが強い。ただそれらが着ぐるみだけでなくCGも駆使。特にハリウッド版の登場にはセリフ共々笑わせてもらった。物語の骨子も本作は劣悪なゴジラではあるが、沢山の怪獣が出てきた初期のゴジラ作品の末期に近い。しかも世界観はパラレルワールド的であり、これでもかの勢いで怪獣たちは街を破壊しまくる。また東宝特撮お約束の出演外国人は日本語吹替というのは妙に嬉しい(ドン・フライは何と玄田哲章氏...ただし後で字幕版が存在する事を確認している)。 ただ本作に北村龍平色を強くするのは、マトリックスよろしくのアクションシーンがやたら登場するところ。北村監督はマトリックスが相当に好きなのだなぁと観ていて思わせる。そもそも怪獣映画なのか、単なるアクション映画なのかと見間違うほどに挿入されているのだ。それ故、ゴジラ作品としてみれば無駄と思える点も少なくなく、そのバランスは疑問。主人公のハイパー化などは明らかにネオしている。まぁ役者たちがアクションを頑張っているというのはよく解るのだが。ただ北村色を体現した北村一輝の存在は面白く、いい感じでキレている。 しかしこれまでのゴジラファンには今回のテンポはキツイかもしれない。あの有名な伊福部昭のスコアも冒頭でそこそこに、後は北村風ロックンロールで攻めてくる。今風といってしまえばだが、前述のアクションと相まって、スケール感が乏しくなってしまうのはマイナス。またラストはキース・エマーソンのシンセで締めだが、これも合っているようで合ってない。ただ作品として東宝の特撮レベルの高さを感じたのも事実(漂うチープさも含めて)なわけで最終作というより、目くじら立てずにパラレルワールドとして楽しめればいい作品だと思う。 作品一覧へ戻る
監督. 声の出演.
感想. ファンタジーは宮崎アニメの真骨頂。過去の作品同様、少女、ヒロインを助ける少年、そして空を駆ける乗り物とアイテムは揃い、物語を駆け巡る。ただ東洋を感じさせた前二作と異なり、西洋をベースに架空の世界が展開。一見、平和で穏やかな街を戦火が巻き込み、そこに魔法使いたちが巻き込まれていく。しかし終わってみれば、巻き込まれるというより、権力者たちの力を利用したある魔法使いの私戦だと気づかされる。ハウルはその発端であり、木村拓哉の声と相まって大変魅力的に描かれていると思う。女性なら第一声にドキッとするのではないか。 難しいのはヒロインであるソフィーの扱いだろう。倍賞千恵子の声はミスキャストではないが、ベストと思えなかった。絶えずメタモルフォーゼする心情を声で演じる努力は垣間見えるが、時々難に感じる面はあった。やはり恋心と少女の成長を同時に演じるのは難しい。ただ冒頭、やや明るい面の少ないソフィー、そして老いて飾るものを無くしたソフィーを一人で演じるギャップが心地よく、それこそ宮崎監督がキャスティングに意図したのだと思う。 ソフィーとハウルの関係は「千と千尋の神隠し」の別翻訳と取れる面も多いが、本作はより観念的な描写が多い上、テンポも過去の作品ほど軽やかでなく、子供向けを離れた感が強い。またテンポ不足は映像に傾けるエネルギー不足から来るところかもしれない(とはいえハウルの城の描写は素晴らしい)。過去の作品からみて何かが物足らない気がする。描かれるテーマは少女の成長が中心であり、その点で女性映画という側面がさらに色濃いという事なのだろう。ただ我修院達也のカルシファー等、子供ウケするキャラを配する等、客層を意識して抜かりは無い。本作が全国の宮崎アニメファンからどのような評価を受けるか興味深い。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 途中、単なるB級サスペンスと誤解してしまったが、それも想定された演出上の展開。しかも一見、ジグソーパズルのピースが継ぎ足されていくようで、実は綿密に仕組まれている事に気づく。だからこそタイトルのSAW[ソウ]に込めた意味は深い。それだけでなくその言葉は前述のジグ[ソー]パズルにも込められているし、様々な要素で登場する。思わせぶりでなく、伏線となっているセリフや出来事も多い。それが真犯人(そして製作者)があざ笑うかのようなラストに思わず唸らされた次第。 なお猟奇性はあの「セブン」に勝るとも劣らない。画面を通して痛みが伝わるゆえに、思わず目を覆うシーンは少なくなかった(飛び散る血、内臓系がダメな方は要注意)。しかし深まる謎に知りたいと動機が生まれるゆえ、展開的にも物語的にも最後まで見逃せない。ただやや勿体ないと思ったのは、時々早回しのシーンが見られた事。そんな演出をしなくても十分にインパクトのある作りなのに、意外に興醒めさせられてしまったのは残念である。 出演陣は「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローバーを除けば、キャストは超マイナーばかり。だがキャストの演技を含め、その出来はメジャー級と言っていい。特にクライマックス、緊迫した展開にこちらの動悸はピークまで高まる。そして考えるほどに裏切られる。スリラーファン、怖い物見たさの方は必見、今年最恐のサイコ・サスペンスである。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 思った以上に重い作品である。前半は体の痛みが突き抜け、後半は精神的に追い詰められていく。いやむしろ肉体と精神を絶えず痛めつけられるような想いで、我々観客は画面を注視してしまう。特に主人公オ・デスが謎を追い駆けつつ陥れられる事実は衝撃的。黒幕との関係、そして事実との対峙には驚かされる。思わずオ・デスを演じるチェ・ミンシクの演技に惹き込まれた。ただ非常に難しい題材であり、誰もが受け入れられる内容ではない。 しかし単調に重々しく進まず、途中挿入されるアクション、殺陣はスピーディーだし見応えがある。また北野武作品を思わせる映像の間(ま)を織り交ぜ、作品の流れに緩急を与えていた。時に漂うユーモア、また痛みを感じる程のアクションも、何処か北野作品に相通じるものではある。ただ確かに原作マンガは日本のものだが、その文化と共に完全に韓国映画として昇華されていた。オ・デスを始めとするそれぞれのキャラクターも興味深く描かれている。 全てを失ったオ・デスに差す僅かな光明。これがこの映画で唯一の救い。ただその代償はあまりにも大きく、必ずしもハッピーエンドと言い切れず。終わってみてもそこに爽快感はない。だがその味付けこそが本作の真骨頂であり、復讐の果ての愛情と憎しみ、悲しみが交錯する人生の極論が描かれている。何度も観るような題材の映画ではないが、一度位は色々な意味で、徹底的に打ちのめされてもいいだろう。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 全体的に「たそがれ清兵衛」の姉妹編といった感じの作りとなっている。侍と剣術の道、慕う女性の影。緊迫感の続く中に笑いを織り交ぜ、緩急自在な脚本と演出は山田監督らしい。今回はかつての同門との対決。さらに控える大物との対峙と、ラストに向かって別の趣きを見せる。特にタイトルにある「隠し剣 鬼の爪」に隠された伏線。正攻法だった「たそがれ清兵衛」と違い、我が道を突き通す果て、自らに断を下す主人公。物悲しげな面もありつつ、明るさを示すエンディングである。 とはいえ「たそがれ清兵衛」との相似性が高いために損をしている面がある。しかし独特の世界観、時代の描き方は相変わらず丁寧。また実直な永瀬正敏、健気な松たか子、隠されたもう一人のヒロイン高島礼子の存在、いかにも嫌な感じの緒方拳、さらにおなじみの脇役陣が締める。特に「たそがれ清兵衛」から続投の赤塚真人は可笑しい。彼らの演技を観るための映画かもしれない。 作品そのものを考えると、大人の嫌らしさはあっても、泥臭さが少なくて話をキレイにまとめすぎた分、「たそがれ清兵衛」のほうが好きかなぁとも思った。やや卑怯な感があるのもマイナスだったかも。ただそんな師匠の厳しくも優しい助言には伝わるものがある。それに映画としてこちらも十分に良かったですよ。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. この作品、いいところを探そうにも全く見つからないといっていい。演技、演出、ビジュアル、その全てにおいて見どころが無い。特に最悪なのは脚本で、漫画版のキモである飛鳥了の存在を生かし切れず。そもそも物語の水先案内人として機能し、やがてその素性が明らかになる怖さが飛鳥にはあったのだが、この作品の飛鳥はただ単に危険で人類を嫌う存在でしかない。もちろん明への想いは語られるも中途半端。何故そこに至ったか、サタンという存在が私戦から、やがて最終戦争(ハルマゲドン)への道のりを辿るという事。明と美樹の関係はその対極にあり、了との存在は必要なもう一方の両輪の一つ。そしてその末路にある虚しさ。戦いの根源はそうした極めて個人に委ねられる怖さが描かれていない。 中途半端は脚本だけにとどまらない。鳴り物入りのビジュアル(T-Visual)もほんの僅か。成熟どころか画面に馴染まないCG、好敵手たるシレーヌもジンメンとの戦いも取って付けた程度の扱い。それにCGは動いてナンボだろう。しかも変身とは言い難いデビルマンの姿を全編中ほとんどにさらす。失笑、その上主役の演技は平面的、絶叫も観客の心には届かない。時間の経過、世界が極限状態に陥る中、その緊張感が画面を通して伝わってこない。だから物語、映像を冷静に観てしまう悪循環が生まれる。しかも描かれる物語は前述の通り。最高の原作も最悪の結果となってしまった。 とにかく本作の中途半端さの所以は監督の描きたいもの、アイデンティティを感じない事である。そこにこだわりはない。結局、本作は監督の中で咀嚼されず、永井豪の世界をなぞっただけであり、なぞるだけではテーマが伝わらない。しかもあの黄色いTシャツ、織り込まれる悪趣味なオマージュが目立つ。そもそも何故この監督が...の気持はあったが、終わってみれば「ひ、デーモンを見せられた」というのが本音である。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 前作のようなスリリングな面は後退したが、その世界観、無間道はさらに大きく広がりを見せる。アンディ・ラウやトニー・レオンは出てこないので一見華はないが、一層深まる人間ドラマ。特に前作、物語を締めたウォン、サムの経緯に焦点を当てて、因果応報の果て自ら無間道にハマリ、二人のエンディングの姿は確実に前作の物語に繋いでいく。やっぱりこの二人の演技、存在感はいい。新キャラ、カリーナ・ラウ演じるサムの妻も絶妙。もちろん若き日のヤン、ラウの二人がそこに絡み、前作の欠けたパズルを少しずつ埋めていく。 三部作という事だろうか、何気に「ゴッドファーザー」を意識させるシーンも少なくない。両者に共通するのは家族。ただケータイが頻繁に登場する物語で、歴史の深みを描くには背景が物足らない。それは「ゴッドファーザー」との大きな差だろう。だが二つの組織、善と悪が絡み合う無間道は東洋的な深みに溢れている。むしろ前作以上かもしれない。また中盤からラストの急展開は本シリーズらしい。前作を気に入った人には間違いなく薦められる作品だと思う。なお本作の前に必ず前作は観て欲しい。冒頭からテンポ良く進むためについていけないし、前作からの細部は解らず、面白みは明らかに落ちる。 唯一惜しまれるのは、第三部が日本全国拡大公開されるのに対し、この第二部は前述の通り、メインキャストのネームヴァリューの弱さから公開映画館数が少ない事。確かに第三部公開前にDVDリリースは目に見えているだろうが、物語が良いだけにもっと数多くの映画館で...の気持が強い。何はともあれどんな無間終局を迎えるのか、来年公開の第三部を期待させる出来である。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. ご存知「スクール・ウォーズ」の映画化。とはいえ舞台は事実に基づき、神奈川から京都へ。またあくまで実話に即した作りでテレビシリーズのような過剰な脚色はない。むしろ本作を観て初めてその違いを理解できる。そして物語もテレビシリーズで最も熱かった京都総体優勝までの道程を追っている。確かに全国制覇までの七年間を描くのに二時間ではつらい。むしろ物語を絞った事で部員たちの更生、そして山上との熱い交流が丁寧に描かれている。だからエンディングを迎え、いい意味で「もう終わりなの?」と思ってしまったほど。 物語の結末を分かっていても、映画に惹き込まれたのは照英の熱演にある。実直で熱くてユーモアもあって、フィジカル面も含めて存在感があって良かった。またテレビシリーズの山下真司に負けず劣らず、むしろ「プロジェクトX」で見た本物の山口氏に近い気もする。つい「あの弥栄の信吾が」というセリフは同氏の言葉が重なった。もちろん両者に共通するのは「泣き虫先生」だという事。泣きのエピソードも分かっていても琴線に触れる内容である。 難しいのは70年代の物語を描くのに、子供たちは今の子の顔立ちという事。例えばSAYAKAは如何にも今の子だし(気が強いマネージャーを好演)、ヘアスタイルや背景は再現されていても少し気になった。しかしそう思うのは始めだけ、物語に没頭し始めると気にならない。試合もぶつかり合う音と共に迫力があって大画面に映える。また音楽はあっさり目、テレビシリーズを意識しない作りも心地いい。最初から最後まで熱い時間が過ごせる作品だと思う。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 前作はポール・W・S・アンダーソンの手腕が光り、ゲームの世界観を見事に構築していた。今回、監督が代わった事で危惧されたが、アンダーソン自身が再び脚本、そして製作を兼ねており、前作に引き続いたテイストを醸している。そしてあくまで序章として作られた前作から、いよいよゲームの本題、街中でのアンデッドとの壮絶なバトルが始まる。舞台はアンブレラ社からラクーンシティへ拡大、アクションもスケールも大きくアップしている。 本作の見どころはシリーズの人気キャラであるジルの登場。画面を抜け出したかのような激似したルックスにびっくり、アンダーソンのこだわりだろう。ゲームファンならそれだけで満足。しかもアリスに負けず劣らずのアクションをみせてくれる。総力戦に兵器アイテムもパワーアップ、ガンアクションも凄まじい。ただ惜しまれる点はストップモーションの多用に、アクション中はクローズアップの画ばかりで、観る側が動きを捉えにくい事。スピーディーなアクションはゲームにない要素だが、もう少し大事に撮って欲しかった。 ゲーム同様、こけおどしの極致だった前作を継承、今回もあっと驚かせてくれる。確かにそれ以上の印象を得る映画ではないが、それ以下の映画でもない。ウイルスの背景、アンブレラの目的など、その背景も丁寧に描かれている。本作でアリスは「エイリアン」のリプリー並みのキャラに出世したといえる(背景も話も、そして待ち受ける運命も似たような感じだが)。微妙に作品に流れるB級感も良い。少なくとも前作に納得、楽しめた人なら期待に応える出来だと思う。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 目標を失った高校生が、ふとしたきっかけで新たな目標に目覚め、これを達成していく。まさに「ウォーターボーイズ」の女性版という物語構成。ただその大きな違いは音楽映画である事。「スウィングガールズ」のタイトル通り、ジャズのノリがポイントである。前半から矢口流のギャグが散りばめられ、小さな笑いを誘う。しかし音楽映画というよりコメディ色ばかりが目立ち、正直こちら観る側の気持がスウィングするまでに至らなかった。 本作の欠点は音楽を主題にする映画でありながら、前半は笑いばかりに目が行く点である。もちろん楽器が扱えない子たちが上手くなっていく過程を追いたいがゆえ、音楽(BGM)がそれをスポイルする事を嫌ったのだろう。ただその後、最も大事な楽器が上手になる過程が端折られ、楽器を手に入れる過程ばかりにストーリーを割いた事も、そうしたノリの悪さの要因となったのかもしれない。音楽の使い方の巧い矢口監督だけに、もう少し何とかして欲しかった。 「ウォーターボーイズ」と同じ韻を踏むのなら、それ以上の印象が欲しかった作品だったが、これでは単なる二番煎じととられても仕方がない。また物語的に山形弁と女子高生、さらにジャズという題材が生かしきれたとはいい難い。確かに彼女たちの表情は惹かれるものがあり、クライマックスの演奏後の表情には演技を超えたものが感じられた。ただそこから伝わる達成感は「ウォーターボーイズ」に及ばなかったと思う。やっぱり達成感にはその過程を描く事が大事。演奏が良いだけにもったいないと思わせる作品だった。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. まず前作「HERO」のような大義をテーマにした作品ではない。物語は騙し合いの様相で一見複雑、次々と明かされる真実、またはまやかし、特に序盤はその展開に翻弄されるかもしれない。だが本作の描きたいテーマ、愛を巡る感情はシンプルである。戦いを重ねる末、素直に恋に落ちる様、じっと秘める恋、その狭間に迷う愛情。やがて掟、人を殺(あや)める三人の立場が生む悲劇が描かれていく。 本作の魅力は動のチャン・ツィイーに尽きる。静の彼女が魅力だった「初恋のきた道」から一転。本作の彼女は激しく踊り、そして剣を片手に鋭く舞う。「初恋のきた道」もアイドル映画的な側面があったが、本作は大人のためのアイドル映画かもしれない。冒頭の鼓打ちの舞のシーンの優雅さ、その美しさ。ただ激しく愛し合う姿に、初々しかった彼女はもういない。さらに殺陣のシーンにおける彼女の頑張りは、その画面を通して受け取れるだろう。 また主演の二人、金城武の激しさ、そしてアンディ・ラウの大人の目の演技が光る。三人が、がっぷり四つにぶつかってこそ美しい。また四季を感じ、「HERO」よりも素朴な映像が美しく重なり、何とも終演は虚しい。きめ細かく「HERO」とは別の映像設計で明らかに大画面向き。ただ殺陣のシーンは「HERO」との差別化は解るが、ややCG偏重なカットが目立つのは残念。またリズムを刻む太鼓、吐息に至るまで音の演出、音への気配りは印象的。特に吐息は何とも官能的であった。なおエンドロール、国際的なスタッフの中にも主題歌がキャスリーン・バトル(歌は英語詩)というのは驚いた。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 知れたキャラクター、定番の展開に思わずニヤリ。話は立ち上がりからハマちゃん節が炸裂していく。西田敏行どんなキャラを演じても、今やハマちゃんに敵う者は無し。笑いのツボは何でもありで、恒例の「合体」も健在。小ネタまでオカシイ。ただ実際こんな社員が周りにいたら迷惑するだろうし、あくまで映画の出来事、他人事だから皆に愛される。いやハマちゃんはサラリーマンの理想郷だからこそ愛されている気がする。 今回は秋田が舞台だが、若い二人の遅咲きの恋が描かれていく。秋田編の後半、どちらかというと小津作品へのオマージュが強い。さすが松竹、劇中小津の「麦秋」が流れるが、カット割りや服装まで意識した場面がみられる。ただそこは釣りバカ、ハマちゃんも笑いの仲人として参戦。笑いに始まり、笑いに終わる。ハマちゃんの息子鯉太郎クンもいい味を出している。スーさんも交えてエンドロールまで楽しめる。 「...明日はない!? 」のサブタイトルも、物語は世間で進むリストラへの小さな抵抗、そんな世間へのエールこそがハマちゃん。ましてなかなか笑えるドラマというのは少ないもの。喜劇、大きなスクリーンの映画館だからこその笑いもある。本作は派手さは無いが、だらだら放送される二時間ドラマとは質が違う。そして何より映画の日を問わず、千円で観られるのが嬉しい。秋田旅行を疑似体験できるのも含めて、コストパフォーマンスは高いです。 作品一覧へ戻る
監督・出演. 主演.
感想. この作品の言いたい事ははっきりと反ブッシュ。曖昧に我が道を行く自国の大統領を、その誕生から痛烈に批判していく。ムーア流の毒舌も健在で、ブッシュ政権の閣僚までその餌食となっていく。ブッシュファミリー、オイルマネー、軍事産業、サウジとの蜜月関係。9.11の経緯を追う中で未然に防げた事実、ビン・ラディンとのただならぬ関係まで暴露する。特に中盤までテンポよく毒舌の切れ味も良い。前作「ボーリング・フォー・コロンバイン」と同様、国民に得体の知れない恐怖を与え、暴利を搾り取る点も追求していく。 ただ筆者的に新味のある内容は少なかった。この映画以前、テレビのドキュメンタリーでビン・ラディンファミリーとの関係、各軍事産業とのブッシュ政権の背景は知っていたし、イラク戦争の戦死者の家族を担ぎだして批判したい気持ちはわかるが、まとめ方は前作と同じ手法で物足らない(もちろん悲しみの重さは理解した上で)。しかも物足らなさを感じたのは、ブッシュとの直接対決はわずかワンカット(1-2分)であり、そのほとんどが被告無き欠席裁判。主役はブッシュといいつつも、ムーア流ブッシュの言動で紡いだ毒舌コラージュ集に終わっている。全米ライフル協会を相手に回し、アポ無しでグイグイ惹きつけた前作のような求心力を失ってしまった。相手が巨大すぎる故に難しいとは思うが、彼の作るドキュメンタリーとしては是非実現して欲しかった。 ただ自由の国アメリカですら情報統制を受け、多くの国民がまだまだブッシュの背景が充分に知らされていないのも事実。本作がパルムドールを獲った事も、本作の存在価値がそういう意味で評価されるべきだろう。またヒトラー並みの秘密警察の如く、民間人が取り調べられる事実も恐ろしい。そんな法律が簡単に通る怖さは我が国に重なり、今や他人事に思えない時代の始まりかもしれない。全てを真に受けるのは早計だが、普段政治に興味の無い人には観て欲しい。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 物語は相変わらず青臭さが特徴で、今回も悩み、もがき苦しむピーターの様がじれったい。しかしそれこそがスパイダーマンの持ち味であり、我々男性が感情移入し易い要因でもある。さらに第二章たる本作ではよりパーソナルな側面に踏み込み、自己犠牲の果てに己をさらけ出すピーター。サム・ライミはそうする事で、スパイダーマンにヒーローとしての成長を与えている。恋愛感も相変わらずだがよく考えてみれば、ピーターのもう一つの姿、白い糸を放つスパイダーマンという存在に、性的な印象を感じるのは思い込みすぎだろうか。恋愛に関しやや大人の味付けな「X-MEN」とは違い、やはり青春の二文字がよく似合う。 今回の敵はドック・オク。縦横無尽さはスパイダーマンにひけを取らず、しかもパワフル。空中戦の多かった前作と違い、本作では互いに壁を這い、縦型アクションになったのも映像的に面白く映った。もちろん悪役とはいえ、完全な悪でない点も心憎い。ピーターへ恋の手ほどきをするのがオクタヴィスだし、二面性に狂気を感じつつも変身後の末路は、科学者としての人間性も感じる。表情にユーモアを醸すアルフレッド・モリーナの起用もいい。 なおVFXは前作に比べCG臭さは後退し、より作品にのめり込む事ができた。コミックを題材にしつつ、物語とヒーローを見事にバランスさせるサム・ライミの手腕も極まった気がする。ただ前述の通り、中盤でじれったさを感じる人も少なくないだろう。ただ一応の結末をつけた今回に対し、彼が三度関わるであろう第三章では、果たしてどのようなまとめ方をするのか、今回からの伏線を含めて非常に興味深い。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. まずこの映画版の物語は完全にお子様向けになっている。確かにファミリー映画を意識した作りは賢明である。ただサンダーバードのテレビシリーズの優れた点は、大人の鑑賞にも耐えうる物語と映像だった事を考えると残念。また家族関係が父ジェフとアランの間に絞られすぎ、他の兄弟達は添え物程度の扱いに終わっている。しかも物語の大半がアランら子供たち中心で、友情を匂わせるものの、新味無くこれといって気を惹くような内容ではない。 そして救助活動が物足らない。そればかりか少な過ぎる。フッドの存在(俳優の格からも)を強調するあまり、オリジナル本来の魅力を欠いた物語となってしまった。さらにCGで描かれたサンダーバードにドキドキしない。オリジナルのサンダーバードは重力を感じ、サスペンションの動きに至るまで、観ている者に伝わってくるリアルさ、緊張感を有していたが、今回はそこまでの気配りは感じない。恒例、肝心の発進シーンもあまりに割愛されてしまっている。とにかくもっと救助メカの活躍が欲しかった。 ないない尽くしになったが、前述の通りにお子様向けだと考えれば、別段けなすような映画でもない。バリー・グレイのメインテーマをハンス・ジマーがリメイクし、オープニングはその映像と相まってポップさを演出。ソフィア・マイルズのペネロープ嬢は現代的で美しいし、パーカーもユーモアたっぷり。まともな日本語吹替版があればもう一度観てみたい。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. これでもかのアクションを期待した序盤だったが、かつての香港映画を思わせるありがちな展開で、やや平凡に進んで肩透かしを喰らった。しかしいざエンジンが掛かると凄い。これほど痛さが伝わってくるアクションは久しぶり。特にトニー・ジャーの超人的な動きと相まって、ぶつかり汗が飛び散る映像。暑気払いにもってこい。驚き、唖然とさせられると共に思わず笑ってしまった。あまりに凄いとただ笑うしかない時もある。 もちろん単なるアクションに終わらず、多人数との戦いやタクシーチェイス等、色々趣向を変えている点も好感、見どころを心得ている。ただ勿体無いのが、スローモーション、ストップモーションの多用だ。エンドロールで流れたトニー・ジャーの鋭く素早い動きを見ると、本編中でこそもっと見たかった気がする。それ程に素晴らしかった。ただ素のスピードで展開すると、それこそ映画本編が短くなってしまうかもしれない(笑)。時にお涙頂戴でありきたりなストーリーだが、とにかくアクションが第一。その意気込みは充分に感じられるし、邦題の勢いの如く最後まで突き抜けている。 筆者地元の映画館では日本語吹替版しか見られなかったが、むしろ気分は深夜、かつての東京12チャンネルを彷彿とさせる時間を過ごす事ができた。つい夜中に目が覚めて、テレビを付けたら最後まで観てしまう感覚。実際吹替えも悪くなかった。ただ願わくば原語で観たいのが映画ファン。言葉から文化を知るのも、映画で大事な要素だと思う。映画そのものと関係ないが、地方映画館の選択肢の無さに少し残念に感じた。 作品一覧へ戻る
監督・原案・脚本. 声の出演.
感想. 観て感じる作品だった「AKIRA」。これに対して本作は冒険活劇という解りやすい作りとなっている。しかしながら明確な敵を設けていない。そこに科学の進歩と扱う者の立場を描きつつ、それなりの結末はあるものの、投げかけられた結論自体は観る者に委ねている。産業革命以降の目まぐるしい進歩の中、正しく進むべき道を見失った世界へのアンチテーゼ。そこに大友流のフィクション、世界観を織り交ぜ、圧倒的なスケールと映像で迫ってくる。 ただ「AKIRA」のように言葉で表せない凄さがあったかと言われると難しい。活劇としての解り易さが逆に物足りなさとなってしまった。本作を観るべきターゲット層からすればやむを得ないが、大友らしく鳥肌の立つ場面が欲しかった。しかしロンドンの空を翔るレイ、陥落するスチーム城のスペクタクルは言葉にし難い。そして大友作品の定番である破壊と創造はここでも健在だ。 「科学の子」を未来でなく、「スチームボーイ」のタイトル通りに過去、19世紀で描いた大友のオマージュ。そしてメカへのこだわり。しかも空を飛ぶ姿は宮崎アニメとは異なるアプローチ。主人公のはつらつとした姿。科学の目指す道、その道を見誤る父、信念を貫く祖父。三者にテーマを重ね、活劇として定番を踏まえていく。大友作品としては大人しくはあるが、残酷さは程ほどに子供向けとして薦められる夏休み映画だと思う。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 揺れる手持ちカメラの映像にリアルな戦場で「プライベート・ライアン」を彷彿とさせる場面が多い。ある意味あっけなく、しかし長く続く戦闘は、戦争の持つ痛みと苦しみを伝えてくる。これだけのシーンを作るだけでも凄いと思うが、それが韓国映画だという事実。そこにハリウッドとのレベル差は微塵も感じない。「シュリ」同様、監督にとって南北分断を描く事がライフワークだと思うが、エンターテイメントに徹した前作とはアプローチが違う。戦争の大義よりも個人的感情を表に出して、朝鮮戦争の行く末を兄弟の目を通して描いている。 戦争の起きた背景よりも、過程とその渦中で狂っていく彼らの心境と立場が物悲しい。しかも同じ国民同士すら狂わせる極限状態に、一途なジンテの思いも限度を超えてゆく。そんなジンテを演じるチャン・ドンゴンの目もその厳しさを強く訴えてくる。だがそんな現実に劇中のジンソク同様、理不尽な感情を抱いてしまうが、それらが戦争が生んだ悲劇というには簡単すぎるかもしれない。ただ朝鮮戦争に限らず生じる理不尽さこそ、どんな戦争でも語られている現実である。 残念なのが、従来の戦争映画以上に何かを訴えているかという点で弱い事。リアルさは判るが、映像だけでいえば二番煎じを感じなくも無い。言葉にはできないが、全体的に何かが物足らないのだ。それと手法的にスローモーションを使い、観客の感情を揺さぶる演出には古さを感じてしまう。ただ朝鮮戦争、そこに至るまでの韓国の立場を考えれば、今や風化されつつある50年前の悲劇を語り続けようとする意義を感じる。ハリウッドのようなプロパガンダでなく、この悲劇を通じて問題提起する事がこの映画のテーマだと感じた。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 「Lost in Translation」とタイトルの通り、「翻訳の中で失われるもの」の世界。その一つが異文化であり、渋谷やテレビ、広告業界等々、いろいろと出てくる。ややオーバーな面を感じ無くもないが、あくまで軽いデフォルメ。そこにコメディ的な狙いはなく、それだけを目的にしていると面を喰らうだろう。そこにはほぼ等身大の日本、東京がある。この映画にとって日本は主人公二人が漂流する海のようなもの。絶えず漂流、浮遊感が彼ら二人を取り囲んでいる。そんなヨハンソンを表すように、窓際に脚を組んでただずむ彼女が、乾いた映像と共に印象的であったりする。 そしてタイトルに込められたもう一つのTranslationの対象が解釈、互いの関係の見方だという事。互いの何処か冷めた夫婦関係、そんな中を異国で生まれた友情、愛情が欠けたものを埋め合う。だからといってお互いセリフを浴びせ、語り合うような作品ではない。むしろシチュエーションを大事にしている脚本。印象的なセリフは数少ないが、街中のラストシーンのようにセリフで決めず、表情だけを追っている点も評価されたのだと思う。ただ以上に限らず、このタイトルの持つ含蓄は深い。 元々とぼけた味が身上のマーレイだが、面と向かってコメディしていないところに中年の悲哀を感じる。ヨハンソン演じるシャーロットとの関係も実にプラトニック。本作ではそんなありとあらゆる関係に生じる「Lost in Translation」が興味深い作品である。ただ唯一いただけなかったのは街中でエアガンを連射する日本人。蛍光弾が美しいと使ったのだろうが、人に向けて発砲する姿を見ると正直気分を害した。せっかくの等身大の日本も台無しである。なお本作も例に漏れず、東京の夜のネオンが光輝く。殊更ショットの長かった三千里薬品は外国人には印象的なのだろう。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. あまりにど派手な展開に気象学や科学的根拠は?と思ってしまうが、それを思わせないくらいに圧巻、大画面スクリーン向きのCGを連発。あまりに簡単に吹き飛ばされる姿は、むしろ自然に太刀打ちできない人類を描くのに充分な描写力。ただ親子愛、友情、愛情は露払い程度に、あとはこれでもかの危機的状況の連続、特に世界が巨大な目玉(大気渦)三つに覆われると、観客としては黙って観ているしかない。ただそこにあるのは氷の世界。地味なキャスティングを配した理由(とはいえ演技には定評のある主役二人)も、あくまで自然が主役という表れであろう。 ただ本作は地球温暖化に警鐘を鳴らす一方でとどのつまり、描かれるのはアメリカ版「日本沈没」。本土は大打撃を受け、民族は母国を捨て、世界への離散を余儀なくされていく姿。そう小松左京の「日本沈没」で描かれた世界をそのまま、本作で同じ韻を踏んでいる。そして離散の現実に遭遇しても、自分たち民族と愛国の誇りを捨てず生きる事、そんな大統領のスピーチも重なるエピローグ。ただ「インデペンデンス・デイ」や「ゴジラ」であれだけ脳天気なパニック大作ばかりを描いてきたエメリッヒらしくなく、結末に光明は差すものの、何処か悲観的な未来観が織り込まれ、今のアメリカへのアンチテーゼが見え隠れしている。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 原作を知らず、想像でキャラが固定されていない分、主人公二人のなりきりぶりが心地いい。土屋アンナの凄みのある存在感、そして地で演じているような深田恭子の演技。今まで正直、深田の演技って上手いとは思えなかった。むしろ本作はそれを利用して桃子のキャラを作っているようにも思えていた。本当に途中まで。ところがクライマックス、それを逆手にとり、観客の想像を覆すようにビシッと魅せてくれる。そのギャップ、セリフ回し、表情共に完璧。ここを観るだけでも本作の価値がある。 この作品、自虐的なローカルギャグが中心の作品と思いきや、友情とマイスタイルを貫き通す事が隠れたテーマ。多少デフォルメされているキャラたちを交え、言いたい事は至ってシンプル。ポリシーを通して生きる事の難しさ、それを見つけた時の満足感を彼女たち二人を通して描かれている。同性でない分、完全な感情移入までに至らなかったが、感化されるだけで充分。好きな事、没頭できる事、浅かろうが深かろうが、それを信じて走っていけばいい。 もちろん本作の本分たるコメディ、ローカル色、カルチャーギャップも楽しみの一つ。ジャスコに限らず、田園風景、いかにも田舎な下妻駅と風情があっていい。そんなローカルなテンポと相反し、作品自体は緩急織りまぜつつハイテンポ。それがまた本作のポップな流れを作っている。奇をてらいつつ笑わせて、いつの間にかちょっとした元気をくれる、そんな映画だと思う。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 冒頭からテンポがいい作品。もちろんあの有名なテーマソングに助けられている点は多々あるが、はちきれんばかりの健康的なサトエリといい、オマージュ満載のオープニングアニメといい、ある意味木っ端恥ずかしさも認めつつ、楽しく観る事ができた。映像は総天然色、キャラが立った登場人物たち。映画である必要性は感じないが、劇画的で心地いい。サトエリからキューティーハニーに歩み寄るのでなく、サトエリ自身のキャラを生かした形。戦いの際の凛々しさ、普段のおバカさのギャップ(アニメ以上に極端ではあるが)もかつてのアニメシリーズに相通じるところだろう。 最初は単なるおバカなオマージュ実写で終わるかと思いきや、庵野監督は永井豪ワールド、キューティーハニーを語りつつ、徐々に自分の土俵へ引き込んでいく。その最たるがシスター・ジルの存在。「エヴァ」を知るファンならまたかと思わされる反面、このハニーでは非常にあっさりと描いている。むしろ前向き、ポジティブに描かれる分、「エヴァ」よりも後味は遙かにいい。アダルトチルドレン、大人の都合に走る描写は少ない。またそれだけを描くのも真意ではないだろう。 最後の決戦では特撮のチープさを織りまぜつつ、その戦いの場はアニメシリーズをほうふつさせる。笑いの点ではツボにハマらなかったが、サトエリの魅力で充分に事足りる。それにしてもキューティーハニーのテーマは伝家の宝刀。戦いの場ではマッチしていた(アレンジを程々にしたのも好感)。もちろん庵野監督の色を感じつつ、全般的にはここ一連、アニメからの実写化例では成功の部類に入る作品だと思う。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 全体マンガ的に進んだvol.1と異なり、vol.2は静かに淡々と進む。特に冒頭モノクロによるデビッド・キャラダインの表情が印象的。vol.1の千葉真一と同様、ビルは彼にとってタランティーノが用意した絶好の役。殺し屋ゆえの運命、悲しみをタランティーノ流にセリフや状況を引用しながら描かれている。そして二部作に分かれる以前にこの後半は非常に重要なパートであり、「KILL BILL」全体で描かれるテーマ「(女の)怨み節」に迫っている。 だが映画オタクたるタランティーノ、サービス精神とオマージュは忘れていない。パイ・メイのエピソードはvol.1の「刀」から、vol.2の「拳」への重要なカギとなっている。それに単なる修行でなく、一触即発な展開にマッチして、かつザ・ブライドの復讐劇の伏線も担っている。タランティーノがこの二部作を通して感じさせるアジアは、単なる女の復讐劇に留まらない。まるで「怨み節」の歌詞をなぞっているようだ。割と観客の寂しい映画館で観たおかげで、再び流れる梶芽衣子の唄がやけに心に沁みた気もする。 とはいえ、とにかく「KILL BILL」の本分はドラマでなくマンガである。ただvol.2は繊細さをメインにトドメは緩急が絶妙な殺陣。ただあまりにvol.1のチャンバラは行き過ぎた感が強く、もし当初の目論見通り、一本の映画になっていたら...と思う残念な面もある。それほどにvol.1とのテンポの違いが激しく、またそこがいい。vol.1以上にB級感は強いが、復讐劇の最後とは儚(はかな)いもの。それこそがタランティーノの作りたかった最大級のオマージュだと思う。静かながらそれぞれのキャラが一層濃い点でも、vol.2のほうが好きです。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. セリフと映像、エドワードによって修飾された世界観を構築したバートンの手腕は見事。確かに子供の目線に立った世界感だが、その切り口は絶妙に大人の視点になっている。確かに途中まで冷めた視点で観てしまうが、実はそれらが様々な伏線を生み、最後の大団円につながっているのに気がつくと、思わず胸がつまってしまう。大同小異、エドワードの語り口、そして息子に託した言葉に嘘は無い。 そしてこの作品の良さは単なるファンタジーに終わっていないところ。虚構と現実の狭間、有言実行に生きたエドワードに、その息子ウィルと観客は魅了されるのである。それが最後のおとぎ話につながり、親(または大人)として子供にとってどうあるべきか考えさせられる。子供に何か伝えるものがある親は幸せ。輪廻を繰り返す親子関係の中、それが原作、監督の一致したテーマの一つなのだろう。この映画の良さはティーンエイジャーに解り難いかもしれない。 明るい太陽のような青年時代のエドワードを演じたマクレガーもいいが、味のある晩年を演じるフィニーがいい。最後に涙腺を引き出したのは彼の名演によるもの。そして時代と共に生き、観客が違和感無く作品に入れたのも絶妙なキャスティングに尽きる。この作品は、誰もが持つ父性を引き出して語られるバートン版「フォレスト・ガンプ」なのかもしれない。ただ今までの彼の作品の中で最も大人だと思う。旧作のような箱庭的なバートン色、音楽ダニー・エルフマンの個性は薄まっているが、それだけドラマ性が重視された証拠。いい映画でした。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 粋なオープニングクレジットに本作はロックの寓話だと感じさせる作り。そんな上手く話が運ぶわけ無いじゃんと思わずツッコミを入れたくなるが、あまりのジャックの熱弁ぶりに惹きつけられてしまう。特に70年代のロックシーンを語られたら、観ているこちらはたまらない。レッド・ツェッペリン、ピンク・フロイド、ザ・フーにジミヘンと当時を代表するアーティスト名が飛び出してくる。かつて少しでも洋楽を親しんだ人なら楽しめるセリフも多い。 そんなジャックに毒され、いや身も心も教育されていく子供たち。生真面目から変貌していく彼らの姿も面白い。説教臭くないのもロックで語る賜物。リズムを刻んで飛び出すフレーズがあって心地いい。自らギターをプレイするのがジャックだからこそ伝わる熱さでもある。ただ馬鹿にするだけではない、等身大の彼が本作にあるのではないか。そこには現在の音楽シーン、ロックへの愛も皮肉も込められている。 音楽映画にハズレ無しは筆者の持論だが、本作も例に漏れず。また笑わせながらもさりげなく、誰もが持つ可能性をテーマに折り込むのが憎い。エンディングは大団円的なシーンも盛り込まれているが、ロックの寓話らしく単純に終わらないのもコメディらしい。映画が終わっても楽しさとその余韻に浸れるが、思わず楽器をできる人が羨ましくなってしまった。子供たちのセリフにもあるが、いつの時代もロックンローラーはモテるんだよなぁ。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 冒頭から目を見張るCGで始まる。幻想的な理想郷はファンタジックに、一方で現実的な世界観は濃厚で劇画調にCGを用い、映像的な緩急をみせる。本作で監督の描く世界は一貫しており、まず映像こそ主張という印象。特に「キャシャーン」らしく、行進するロボット軍団(アニメでは『アンドロ軍団』と称していた)、そしてスピード感で迫るアクションは実写の凄みを感じさせる。だがその戦い、特にラストに至る総力戦は、あの「スターウォーズエピソード2」に極似した感じがして、実写作品というよりCG絵巻になってしまっていた。ただそれは、あくまで本作の世界観だと考えれば納得できる。 むしろ残念なのは大事なところでセリフに頼ってしまう作り方だろう。お互いのエゴが生んだ争いは理解できるが、あまりに語りすぎるために観客の想像力の介入を許さない。特に映像と共にファンタジックに進むエンディングではその印象が強かった。また折角の映像も、挿入されていた戦争の実録フィルムに凄みで負けていた。むしろ手抜きにも感じてしまう。何故、今キャシャーンなのか、悲しみの連鎖、争う事の虚しさ...描こうとする志の高さは理解するが、そのテーマを伝える事の難しさを露呈している気がする。 舞台劇風のセリフ回しも俳優の演技に頼るゆえなのかもしれないが、観ていて疲れる。中盤、派手なCG場面は意外に少なく、セリフのやり取りのほうが多い気がした。またアニメ版はアンドロ軍団対キャシャーンだった構図が、本作では第三の勢力を登場させる事で内容をややこしくしており、その分ブライ側の動機づけが弱くなってしまっている。凡長なシーンも少なくなく、もう少しスマートにできそうな気がして残念。ただ最後まで観せてしまう力量は感じるし、日本の映像クリエーターのレベルの高さが目立つ作品である。 作品一覧へ戻る
監督. 出演.
感想. 一見、前作「デスペラード」の続編に思えるが、作品の背景を除いてほとんどつながりはない。今やアントニオ・バンデラスも、サルマ・ハエックもビッグな俳優となったが、設定上で二人の愛情関係はそのままに、別の物語に置き換えられている。むしろ本作で気を吐くのはジョニー・デップ。物語を進める糸のカラクリは彼にかかっている。徐々にキーマンそれぞれの思惑が明らかにされていくが、意外に単純な作りとなっている。この作品の楽しみは割り切ってアクションと考えるべきだろう。 だがその肝心なアクションがいただけない。掴みとなるべき導入部分も前作のような心を捉えるものでなく、見るべきものを感じない(前作はスティーブ・ブシェミの語りの不気味さが光ったが...)。そしてラテンアクション、劇画的な美に酔った前作の良さは消え失せてしまった。『やたらブッ放せば』に終わらなかった前作を越える事はできていない。それに悪役はウィリアム・デフォーを配しながら、カリスマを感じるまでに至っていないし、観客に対して『殺されるべき動機づけ』が弱い。これは本作に乗り切れなかった要因の大きな一つだと思う。 シリーズもの、特にアクションもののシリーズは優れた前作のパロディでなければならない。仕込み銃だけに終わらない良さが本シリーズにあったはずなのに、派手なばかりの無駄なアクションで薄められている。観ていてワクワクせず、いかにもヒットしたから作りました的な内容が残念で仕方がない。それにハリウッド的な配役もほとんど機能していなかった。ただ本作にジョニー・デップがいなければ救いようのない映画になっていたのも正直な感想である。筆者も含め前作のファンには残念な出来になったと思う。 作品一覧へ戻る |
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