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このページでは劇場公開作品を鑑賞後、インプレッションしています。 |
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| 作品一覧 |
監督: 出演:
感想: デザスタームービーというと火災、地震、そして宇宙からの隕石襲来等、様々な題材が使われてきた。これらに対し、「ザ・コア」は地中奥深い核を扱った点が新しい。そこから様々な天災が起こり、人類滅亡の秒読みに入る。ここまではしっかりした科学考証に基づき、まさにつるべ落としの如く様々なイベントが発生。そこで立ち向かう選ばれし者たち。だがそこまで入念に練りこまれた背景も、彼らの乗り物は超(?)科学無くして成り立たなかったのは正直苦しい。 とはいえ意外とテンポがよく、無駄を省いてみせていく。非常にドライで、「アルマゲドン」のように、これでもかの愛をテンコ盛りにし、泣かせようという演出は感じられない。それに主人公とヒロイン、彼ら二人が恋愛感情に発展しないのも興味深い(演技力は認めるものの、やはりヒラリー・スワンクは美人とはいえないし...ある意味納得)。あくまで俳優たち(名バイプレーヤー揃い)の演技に任せ、映像的に地球を救う過程をVFXで魅せていこうという意気込みは感じられる。地球の中身、誰も行った事のない世界での発見。これこそ空想特撮映画の原点でもある。 しかし何故、自己犠牲を伴わないと人類を救えないのか。本作も例に漏れなかった。だがたまには自己犠牲無きデザスタームービーがあってもいいのではないか。ドライとはいうものの、結局本作も同系ヒット作の同じ韻を踏んでしまい、それ以上の印象を得られなかったのはそのためだろう。超(?)科学を武器にしながら、次々に死んでいくのは心許ない。かつてのディズニー作品にあったような、純然たる冒険映画のアプローチがあってもいいように思う。CGはいいのだが、チープさも欲しかった。このテーマで古き良き時代の東宝が作ったら、さぞかしイイ感じの特撮映画になったに違いない。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: 朴訥、あまりに淡々としていて最初はとっつき難い感じ。だが主人公や周りのキャラが判ってくると、何ともいえない味わいが出てくる。過去にとらわれずに前向きな主人公。断片的に語られる過去に相反し、エピソードを積み重ね、新たな主人公像を築いていく。とはいえ、カウリスマキの語り口なのか、あまり説明的でないところも好感。音楽、犬、小道具、少ない会話、表情から観客に訴えかけてくる。そして独特の間(ま)、人物の描き方は北野映画に相通じるものがある。醸し出すユーモアもこれに同じ。 セリフが少ない分、音楽もポイントとなっており、舞台となるフィンランドの文化と相まって琴線に触れてくる。この作品もある意味、音楽映画なのかもしれない。バンド、ジュークボックス、アナログ的な印象、味があって郷愁を演出する音楽の数々。タバコ、酒、料理、そしてそこに音楽。特に何気にマッチしている日本語、クレイジーケンバンドの曲が可笑しい。 まるで懐かしいラーメンのような映画。味付けはシンプルながら老練にして深い味わい。そこに含まれる過去、未来、郷愁、愛...受け手によって感じ方は変わってくるだろう。だがただ一つ、セリフに込められた「人生、後ろに進んだら大変だ」はタイトルに重ねて言いえて妙。けっして若者向けの映画でなく、人生の機微を感じ、筆者の好きな行間を考えさせる大人のための映画。何度食べても飽きない味。玄人好み、もう一度観てみたい気にさせられる。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: まずこの作品の敷居が高く、前作を観ていなければ全く内容についていく事ができないのを注意したい。世界観を含め、少なくとも前作を楽しめた人で無いとつらいだろう。また本作のアクションやVFXを物見遊山にやってきた観客にはもっとつらいと思う。前半はタルく、映像的に前作で手の内は見えているし刺激がない。ネオとエージェント・スミスの戦いには正直、「もういいよ」の心境。覚醒したネオをどう捉えるかも問題。また前作の核であったワイヤーアクションよりもCG偏向が強すぎ、実写である必然性を失った。まさに何でもありの仮想空間。しかし圧巻はハイウェイでのシーン。カーチェイスと銃撃戦、スピード感の織り成すテンポはいい。 今回は第三作「レボリューションズ」と対を成してはじめて成立する内容である。それだけに本作だけで評価できないのも事実。ただ本作をシリーズ最高とか、傑作というのに根拠はなく早計だと思う。三部作というより、あくまで前作を受けた完結篇前半、物語的にも中途半端。確かに宗教、哲学的な部分とコンピュータ、仮想世界の概念をだぶらせ、前作以上に内容は深い。だが今回新たに語られた内容に新味は感じられないし、けっしてその世界観はSFでは珍しいものではない。正直、ストーリーにびっくり箱が欲しかった。前作はSFとカンフーの融合が一つの個性となっていたが、続編となって単にSF作品のいいとこ取りの映画にしか感じられなくなったのが残念。 本作のみの総合採点はしなかった。とにかく評価は次作「レボリューションズ」次第としたい。したがって本作はそれ次第でプラスにもマイナスにも転ずる。さてこれだけ入り込んだ作品、次作を前にもう一度復習しなければならないだろう。それとエンドロールが終わるまで席を立たないように注意!ただ次作は相当なオチが期待できるかもしれない。しかしながらこのシリーズ、毎度見せ過ぎの予告編は何とかならないものだろうか。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: 我々が体験したワールドカップも、スポーツと同時に国際文化を感じたものだが、本作でもその意は強い。火山国モントセラトと海抜二〇〇〇メートルを超えるブータン。宗教、考え方、習慣、民族の異なる両国の対比が面白い。だが両国に共通する事情、FIFAランカーとはいえ、上位国とは雲泥の差。けっして恵まれた選手生活を送っていない彼ら。しかしサッカーの原点、シンプルなルール、ボールさえあれば成立するスポーツだという点を、彼らに思い知らされた思い。強い者を育てるだけがスポーツではない。 そして意外な盛り上がりをみせる両国の思惑、小国の意地が垣間見える。だが土壇場でのトラブルに唖然とする部分もあり。しかし事実だけに興味深い。そんな数々のトラブルを重ねながら、両国熱狂のアザー・ファイナルにたどり着く。サッカーの技術はどうあれ、見事に決まったシュートは見事。そして勝負を超えたエンディングは万国共通。映像を観ていてカメルーンと中津江村の関係を思い出した。 時折挿入される、奇をてらった映像処理は気に入らないし、テンポが緩いと感じるところもある。だが嘘や脚色の無いドキュメントは面白い。キッカケは他愛の無いものだったもう一つの決勝戦。ネットや新聞で結果だけを知るよりも、その経緯を知る事にこの一戦の本当の意味があると思う。メジャーに汚れず、純粋にスポーツを楽しむ人々の気持は清清しい。唯一の演出、両国が掲げる勝利カップの姿は言葉にならない感動だ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: 刑務所の生活を描いた作品は少なくない。だがその傾向はハッキリ二つに分かれている。苦しい、痛々しい、逃げたいと思わせる脱出もの、そして案外と刑務所生活も悪くないと思わせる作品。本作は後者にあたる作品だが、その度合いは他作以上。刑務官の厳しい命令は飛び交うが、それ以外は学校生活と大差ない。号令の下に起床、食事、仕事をこなし、お風呂までついてくる。規律正しい生活を強いられるというより、楽しんでいるのが伝わってくる。 獄中生活、筆者的には爆笑というより微笑ましい。例えば人間の欲求は数あれど、食に対するこだわりは強く、本作では特にそれが描かれている。そのこだわり、案外我々が学生時代の給食を懐かしむ感覚に近いのかもしれない。メニューの一つ一つに感慨を覚えたり、食事の採り方にこだわったり。特にお正月の件(くだり)は、思わず羨ましくなるくらいに感じてしまった。それにしてもホント、刑務所の食事は恵まれてますよ。余談ですけど、筆者も同じ米7:麦3で食べてるんですから。 そんな彼らの食事、そして窓から見える風景で季節を感じるも、常に秋冬のような哀愁を感じるのは原作自体が持つものだと思う。それに楽しくほのぼのと描かれているが、刑務所暮らしそのものはやはり寂しいのだ。独房の生活を楽しく努力する主人公の姿は、むしろヤセ我慢に近いように見えた。だからこそ他の受刑者とのやり取りで何か補おうとするのだろう。 もとがマンガだけにエピソードの切り取り方、テンポはスロー。でも上映時間が短いせいか、エンドロールが流れるともう終わり?という印象だった。また受刑者も個性的で楽しい。何ともいえない味のある日本映画。これは淡々と進む受刑生活を疑似体験できる貴重な小品である。それにしても滑稽な体操等、ナンセンスなルールの多い日本の刑務所。外国の刑務所モノの映画なんかと比べると面白い作品かもしれない。ただ用を足す時、手を挙げるのは万国共通、同じだったなぁ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: 流れる音楽、さらに普段のセリフまでもラップの如く刻まれるリズム。今を彩る彼らの文化をテンポ良く、工場の機械、生活音に至るまでその全てに音楽を感じる。エミネムの目に惚れたという監督の発言通り、初主演と思えない力を彼の目から受け取る事ができる。物語となるフィクション、そしてエミネム自身のラッパー人生を演技的にダブらせるノンフィクションとの混在が面白い。彼から繰り出させるラップは単にノリだけでなく、社会問題、人生観を織り交ぜており興味深い。 また青春映画であり、ある意味今後の成功を匂わせる展開は、まさにエミネム版「パープルレイン」といった内容である。ただ「パープルレイン」におけるプリンスの楽曲と本作でのエミネムのラップ。映画での位置づけこそ同じであるが、やや受け取り方は異なった。メロディーがキャッチーな殿下(プリンス)の音楽に対し、エミネムは韻を踏む言葉とその内容が重要。字幕はその点を考慮されているものの、目から頭に入るまでの間が歯がゆい。しかしライブでの一体感、ポジティブなラップバトルはみどころである。なお本作がソフト化された時、日本語吹替では前述のラップの如きセリフの再現は難しいかもしれない。 冒頭、キム・ベイシンガーの登場シーンに唖然とさせられるが、愛に生きるゆえ真実が見えない母親を演じている。「LAコンフィデンシャル」の魅惑的なイメージを払拭、醸し出す疲れた感じもたまらない。日々成功を夢見るジミーの仲間たちの厚い友情、キャラクターも明確。物語が単純な分、キャラ同士のぶつかり合い、心の交流が重要である。感情移入もし易かった。ただやや本作にノリ切れなかったのは、ターゲットとなる層と筆者との年齢差のせいだと思う。それがなければ1点格上げのオススメな青春映画だ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: まずそれ程複雑ではないものの、三つの時代の流れを理解するのに手間取る。それに音楽は緩急が無く、最初の30分が辛かった。スティーヴン・ダルドリーの演出は役者の演技を重視して正攻法、そこに脚本の巧みさを織り交ぜる構成。確かにオスカー級の彼女たちの演技は大きな見どころではある。付け鼻は気になるものの、ニコール・キッドマンのイレコミ具合は感じられるし、ジュリアン・ムーアの不安定さは危うさが漂う。そして相変わらずメリル・ストリープは貫禄の演技。 しかしながら共演男優陣の演技を含め、あまりに張り詰めた緊張感が最後まで続く。ただ内容にポジティブさは皆無に近く、むしろ演技を楽しむというより、終始息苦しさが漂う。その上、観客が息を抜くシーンが無いため、映画が終わって疲れが現れたほどだ。おそらく脚本上、曲げる事が出来ない部分だろう。確かに構成の巧みさは認めるが、あまりに暗すぎて映画として成立しているかは疑問。読書のような想像世界の範囲を超え、観客にとって映画という現実を突きつけられる辛さ。それが本作を観終わった後に襲ってくる。 この作品をもう一度観たいとは思わない。感情移入できるキャラクターがいなかった事、男である筆者に本作のテーマが伝わらなかったゆえなのかもしれない。ただ女性であれば、本作に考えさせられる部分、共感できる部分があるかが評価のカギだろう。映画ファンでも評価が分かれそうな作品である気がした。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: 冒頭からテンポ良くスタート。あまり説明的な描写は登場しない。だからこそこのようなシリーズものに予習は不可欠。前作を観ないと単なる超能力ショーに終わってしまう。予習の分だけ、各キャラの深みは増すし、人物相関は明確になる。観に行く前日に前作DVDを観ていて正解。細かな点まで前作が踏襲されていた。話の重心は若いローグ中心から、グレイらアダルト層に移動。もちろんウルヴァリンもその中心にいるのだが、そこで彼の過去の一旦が暴かれていく。 前作を観てヒュー・ジャックマンの当たり役の印象を強くしたが、本作でもその意は強い。激しいアクションも、怒り溢れる表情と共にこの作品のパワーとなっている。一人のキャラが立てば、他のキャラも際立ってくる。中でもアメコミ顔のお姉さま、ファムケ・ヤンセンがいい。彼女も敵役とはいえ、「ゴールデンアイ」ではボンドガール。逆に同じボンドガール、ハル・ベリーは、アクション的な見どころはあっても、内面の部分の描写が物足らない。一話完結のドラマならまだしも、物語を絡ませる以上、内面を描くキャラは限定される。それが群像劇の難しさ、ただアクションと物語のバランスは前作以上だと思う。 そしてマグニートーというアンチヒーローの存在が、次作への展開の余韻を残す。また彼が居たからこそ、物語中盤のスパイスとなっていた。ウルヴァリン中心だけでは、前作と同じ展開になってしまう。ただ前作と同様、シリーズもの特有、繋ぎを意識するゆえに、ラスト近くはダレてしまった。だからこそ次作では、物語にある程度のケジメをつけなくてはならないだろう。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: ミュージカル映画を観るたびに思うのは映画化の難しさである。ストーリーだけをなぞったものから、豪華なセットやロケーションを徹底、演出されるものとある。本作は映画側から舞台描写に歩み寄った構成。もちろん突然歌が始まるのはお約束。豪華な衣装と共に舞台上の演出をラップさせ、二つの世界観が楽しめるようになっている。この演出はボブ・フォッシーへのリスペクトなのだろう。ショートヘアが可愛いレニー・ゼルウィガー、リチャード・ギアも自ら歌い踊る。特にゼタ=ジョーンズの歌とダンスはさすがオスカー級と思わせてくれる。 歌やダンスの上手さが感じ取れても、所詮はいいとこ取りの末のもの。ただそれが映画のメリット。一方で舞台なら間近で観る感覚が得られるのも本作の良さである。ただそれらが相まってもA席相当の印象は拭えない。舞台の良さは観客と舞台上の間にできる見えない緊張感、生の迫力である。そう思うとかぶりつき、S席の迫力には遠く及ばないのだ。また舞台描写に歩み寄ったのに、フィルムの持つ客観性が裏目に出た気もする。 エンターテイメントの色濃く出た故、本作にテーマは皆無(強いて挙げれば先見の明、「女性は強い」という事かな)。ただキャストを重視し、監督の色は感じさせないが見せ方は巧い。それだけボブ・フォッシーの構築した世界の素晴らしさが際立ってるという事かもしれない。明らかな大人向け。きっと本作はミュージカル映画の持つ独特の壁さえ気にしなければ、爽快感や楽しさを提供してくれることだろう。 作品一覧へ戻る
監督: 出演:
感想: まるで主人公フランクとカール、二人の戦いの構図はルパン三世と銭形警部に似ている気がする。そんな騙し、騙され合いの駆け引きが見どころ。しかしながら本作は実話である事がその面白味を増幅させている。さらに披露される騙しのテクニックの数々にニンマリ。ただディカプリオのようないい男だからこそ成立したわけでと納得(もちろんアバグネイル氏自身も含めてだが)。彼の実年齢とのギャップは観ているうちに吹き飛んでしまった。その上60年代という背景、本作はその何もかもに浸れるのが心地いい。冒頭のモダンなアニメ、ジャズテイストな御大J・ウイリアムズの音楽、そして60'sポップスが彩る。 ここのところ、立て続けに作品を発表してきたスピルバーグも、本作では力の抜けた感じが伝わってきた。個人的に彼の近作はハマらなかったが、本作は映画ファンとして素直に楽しめる。特に名作へのオマージュともいうべき描写も多く、特に「あの作品」の登場にいたっては嬉しくなってしまった。スピルバーグはセリフを決めるフランクに自分を重ねたのかもしれない。 追いかけるハンクスはやはり「ロード・オブ・パーディション」よりもコメディ的な本作のほうがお似合い。だから終演に近づくほどしんみりできるし、締まる所もしまる。テーマの一つである家族関係。C・ウォーケン共々、父親の視点でフランクを見つめ、本作を脇から支えている。だがあくまで主役はディカプリオ。アバグネイルはカッコよく、カールは三枚目、そのコントラストこそがこの作品の身上。古き良き時代の細かな描写も楽しい。笑いや涙あり、本当に気分良くなれる作品であった。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 蜷川自身がアイドル映画と公言している通り、まずビジュアルを重視した作品である。シャワーを浴びる二宮、セーラー服の松浦など、いくつかのサービスショットを披露している。さらに徹底しているのが色だ。日中、ロケでの眩しい青、そして幻想的な闇の中に浮かぶもう一つの青。シンプルながら凝った映像。全体に青春映画のアイテムに溢れ、主人公への感情移入を誘う。特にバイクや自転車でなくロードレーサーの存在。疾走する姿、青春の持つ不安定さを演出するには絶好でだろう。 しかしながらそれだけの映画に留まらないのは原作の持つ魅力か、あるいはこれぞ蜷川演出といったところなのか。原作がどのようなベクトルで書かれたものか判らないが、少なくとも本作はほぼ完璧な青春映画に仕上がっている。また主人公の独白以外、セリフも少ないし、説明になるような無駄な描写がほとんどないのも好感。 だが"ほぼ完璧"と書いたのは唯一惜しむ点がある事、竹中直人の登場である。この映画にあのようなオチャラケが必要なのだろうか。作品的にクッションとなる別シーンの美術教師とは異質。あのシーン一つで醒めてしまった。友情出演、もし蜷川のサービスなら残念。対照的にまるでTX系二時間ドラマ"信濃のコロンボ"を彷彿とさせる、中村梅雀の軽妙な語り口と渋さが光る。また主演の二人は周りのキャストの巧さに引き立てられた感もある。 観客のほとんどが学生、しかも中高生という事を考えると、少年犯罪を描いた本作の捉え方が難しいかもしれない。ただ我々のような遥か年上から見れば青春、脆さ、犯罪、取り返しのつかないものという共通点、絶妙なバランスを感じる良作だ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想:
007シリーズは「サンダーボール作戦」以降、大作志向、荒唐無稽さに拍車が掛かり続けた。ただ何度か原点に帰る軌道修正(例えば「消されたライセンス」等)が入って現在に至っている。イアン・フレミングの原作は当の昔に使い切っているし、時代に見合った変化も求められる。そうした試行錯誤がシリーズ物の難しさを語るものであり、逆にジェームズ・ボンドのテーマが掛かれば心躍る安心感も備える(やはりマドンナの唄う本作テーマ曲はイマイチな感じであった)。 ただ一つ言えるのは007の醍醐味にライブアクション、スタントの素晴らしさだと思っている。シリーズ中、度肝を抜くシーンを挙げたらキリがないが、その点で本作は物足りなさを感じずにいられない。一番ガッカリしたのは中盤で登場する合成バリバリのシーン。途中激しいアクションもあるのだがこのシーン一つで台無しだ(特にこのシーンの必然性を感じず無駄)。十八番のカースタントも武器のオンパレードばかりが目立ち、見応えも半減。もちろん劇画的アプローチであるから、全てを否定するつもりはない。しかし時代の流れなのか、CGを用いる箇所も少なくないし、クライマックスに行くにしたがい、思わずツッコミを入れたくなるようなリアリティに欠ける点ばかりが目立つのは残念だ。 しかし貫禄のブロスナンに加え、ホットなオスカー女優ハル・ベリー、クールなロザムンド・パイクら女優陣は魅力的。またジンクス登場シーン、アストンマーチン、Rの研究室等、シリーズへのオマージュと取れるシーンも多い。そしてキャラ的にもひとクセある悪役を含め、あまりにタイムリー過ぎる位の隣国を舞台にしたのは如何にも007シリーズらしい(冷戦後の敵役模索も本シリーズの難題といえる)。全体的に辛口になったが、それも同シリーズのファンゆえの事。テンポが速く、これでもかイベントがテンコ盛りの本作。ただ個人的には正攻法に原点回帰して欲しいと切に願うばかりである。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: とにかく観ていてその映像に度肝を抜かれる。序章である前作の世界観の延長線上にある作品ではあるが、面白さは前作以上。戦(いくさ)に代表される動のシーンの凄まじさ。弓が放たれ、人がぶつかり合い、剣を交える。黒澤作品へのリスペクトともとれる群集シーンは圧巻だ。まるで痛みまで伝わってくる。この映画を観ると、SWエピソード2の「クローン戦争」など子供だましに見えてしまう。ハワード・ショアの音楽との一体感、本作のクライマックス、石の要塞の攻防で受けるカタルシスの高さ。ライブアクションとの融合、脱ILM、CGの使い方は圧倒的にこちらが上である。 そして対称的な静のシーン。ゴラムに代表される表情豊かなキャラ、ここでもCGが活躍する。もちろんCGに限らず、指輪にまつわる葛藤、運命との戦い、種族を超えた信頼、原作の持つ重さ等、緩急を織り交ぜたストーリーテリングが素晴らしい。ただ三時間に詰め込まれた内容は(観客側もついていくのに必死だが)、時に説明不足と思える部分も見られた。おそらく本作もDVD同様、エクステッド・エディションが出るのではないだろうか。 何のために戦うか、本作の持つテーマは我々になぞらえても不変である。フロドと彼に助言を与えるサム、それぞれの立場。まるで現在の世界情勢を見ているようだ。指輪から石油に変わろうとも、暴走寸前の大国に対し、果たして我々がサムのようになれるかどうかは判らない。ただそんな投げかけをされているような気がしてならないのだ。ここにも単なるファンタジーに終わらない、時を越えた原作の重みをあらためて感じる。 圧倒的な映像表現で描かれた本作。最終章でどのような結末を迎えるのか、期待は膨らむばかり。これも我々大人をも巻き込む指輪の力なのかもしれないが...とにかくこの作品こそ絶対に劇場の大画面で観るべきだと思う。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想:
ピアノに始まってピアノに終わる。ただ「シンドラーのリスト」のような美談になる脚色は一切なし。とにかく無駄なエピソードは排除され、徹底的に冷静な視点で描かれている。しかしその視点はウワディクそのものでもあり、戦火をくぐり抜ける事、生き残る事への全てがそこにある。特に生き残ったウワディク一人に対し、彼を支え逝った人々の事を考えれば、あらためてその代償の大きさに唖然としてしまう。さらに彼の目の前でドイツ兵に惨殺されるユダヤ人。ウワディクを助けたドイツ将校の末路まで考えれば、戦争の持つ残酷な運命を思い知らされる。もしこの映画に安堵があるとすれば、唯一の音楽であるピアノの音色だけだろう。 ウワディクを演じるエイドリアン・ブロディも静かなる熱演。力なく家族と引き離される心の痛み、バケツの水までもすする姿、生への執着、その全てが痛々しい。もちろん演奏、手元のアップはプロが行なっていると思うが、将校の前で演奏での彼の細い指先、流麗に動く指先すらも痩せ細い。ここにもポランスキー監督のこだわりが垣間見える。映画的にウワディクの過酷さを全身で表現しているといっていい。それゆえにエンディングでの演奏も際立ってくる。 娯楽性は皆無だが、二時間半の間、けっして観ている側の緊張は緩まない。(この種の映画では当たり前のような描写ではあるが)分かっていながらも、間髪入れず次々と射殺されるユダヤ人にハッとさせられる。そんな中で生死を賭けて生き残った結果こそ、まさに"神の御心"次第なのかもしれない。ただ天武の才がその命運を決したとはいえ、ウワディクが生き残った事の本当の意味を最後の演奏が教えてくれる。(今も世界のあちこちでくすぶっていようが、)戦争の虚しさはいつ何時も変わらないのだから。本作は好きな映画にならないかもしれないが、多くの人に観て欲しいと思う映画である。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想:
ホント、この映画好きです。時間が経つのがあっという間の作品。それだけ主人公たちに感情移入してしまったという事でもある。とにかく彼らの表情がいい。国民性の違いもあるのだが、想いが溢れる目が素敵。とりわけ目で演技する"猟奇的な"チョン・ジヒョンにメロメロ(「初恋のきた道」のチャン・ツィイー以来!)。攻撃的になる時と憂いのある時のギャップがたまらない。韓国語独特、セリフに気持ちがこもっているし、ビンビン伝わってくる。ドロドロもなく純でストレートな感情をぶつけ合う二人がタイトルと相反して清々しい。 そうした二人、本作の魅力を支えているのは脚本。どんなに漫画的であっても、一本通った運命の糸が如何にもラブコメ的でよろしい。そこに様々なエピソードが絡みあって、二人のキャラクターの差を際立たせ、一層面白くしている。そんな猟奇的な彼女に対し、チャ・テヒョンのキョヌは単に弱い男ではなく、優しさに溢れているのも好感。そして時々、彼女の前で強気になろうとする姿が微笑ましい。これってある意味、リアル。男ってそういうものなのだ。 一見、S子さんとM男の構図だが、実際はシンプルなラブコメディー。腹の底から笑うというより、筆者的には大人の目で笑っているのが正しい。ただこの作品を好んだのは、自分の中に潜在的なM気があるからかもしれない(笑)。出来過ぎとか、いかにもパクリなダン・フォーゲルバーグ風のメインテーマには目をつぶって、早くもドリームワークスによるリメイクが決まった猟奇的(?)な二時間を楽しんで欲しい。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 3週間限定公開も、主題歌のヒットも手伝ってロングラン決定。ただ本作はけっして話題先行でなく、ストーリーの面白さにあると思う。死者との関わりという点で、海外には「ゴースト」や「フィールド・オブ・ドリームス」など名作が多いが、これらに負けない魅力が本作にある。 その面白さこそ、登場人物たちが死者とどのように関わるかという事(またその逆も同じ)。中でもカギになるのは、死んだ幼なじみ俊介の存在、さらにその恋人であり友人のあおい。彼ら3人の関係を軸に物語は進んでいく。その中で竹内の出色の演技が光り、彼女の出るシーンはとにかく締まる。それを知ってか意図的に彼女に対し、長回しのシーンは多い。また絡む草なぎクンの実直さも際立って伝わってきた。それこそ竹内との相乗効果といえるだろう。まさに彼女あっての作品。意外に健闘していたのは極楽とんぼの山本で、黄泉がえった兄、心寄せる女性との関係を面白悲しく演じている。田中邦衛もベテランらしく存在感たっぷり。とにかく彼らの出るシーンは印象に残った。 そんな一方でイマイチな点も多い。たとえばクライマックスでの音楽の扱い。作品を盛り上げるというより、必要以上にライブシーンに重心が置かれてしまった感がある。まるでこの間、別の映画が入ってきてしまったようだ。また柴咲コウ演じるミュージシャンをミステリアス、断片的に描いていくが、逆に終結に向かって物語を散漫な印象にしている。説明しすぎも困るが、説明しなさ過ぎるのはもっと困る。演出も個々のシーンがいいのに、それぞれが流れの中で巧く絡まれていない所もみられた。もっとエピソードを絞るべきだったのかもしれない。 しかしドラマのTBS製作という事もあり、ラブストーリーとしてよくできている。その上でテレビでは描けないファンタジー色が身上だからこそ、この映画が支持されていると思うのだ。トラブル(途中劇場が停電で払い戻し!)で前半を二度観たおかげで伏線にも気がついたし、もう一度観てみたい気にさせられた。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想:
かつて「レッド・ドラゴン」は「Manhanter」としてマイケル・マンが映画化しているが、製作時期の違いから「羊たちの沈黙」とはテイストの異なる作品であった。今回、ホプキンスで仕切り直しで同じ世界観、おなじみの牢、そしてキャスト。中でもチルトン博士のアンソニー・ヒールドの登場は嬉しい。さらに「羊たち...」のテッド・タリーによる脚本という念の入れよう。上下巻に渡るトマス・ハリスの原作を、彼のこなれた構成力のよって手の内に入れた印象を強くさせ、娯楽作としてよくできている。まぁ原作の時代背景でやや今に合わない部分は目をつぶろう。 その上、ホプキンスを始めとして、いずれ劣らぬ芸達者が揃っており、演技的にも見応えがある。エドワード・ノートンのグレアムは知的さを感じさせ納得。レクターとグレアムのやり取りは「羊たち...」を彷彿とさせる。それぞれのキャストの個性が強く、だからといって説明過多にならないのは脚本とキャスティングの成果だろう。狡猾なタトラーの記者、危険さを匂わすヒロインもハマっている。ただレイフ・ファインズのダラハイドはいい男過ぎるなぁ。演技的に十分すぎるし、けっしてミスキャストではないのだが、原作を意識するともう少し外観的なインパクトがあってもよかった。 先に述べた通り、娯楽作としては及第点である。正直、ブレット・ラトナーの起用は疑問であったが、意外にテッド・タリーの脚本を無難に描いていた。また思わずニヤッとするシーンも多く、ラトナーのサービスぶりは買う。しかしサスペンスの重みは脚本だけでは描けない。しかもせっかくの演技もまとめるのは監督の仕事。「羊たち...」でジョナサン・デミはそうした素材からプラスアルファの要素を引き出し、傑作に仕上げていったのだ。だがラトナーの演出はいい素材でありながら、演出的にはサスペンスとしてどこか物足らない。 しかしダニー・エルフマンの音楽が「羊たち...」を踏襲し、盛り上げてくれる分、演出的にかなり助けられている。それに最後まで見せてくれるのは原作と脚本の面白さによるだろう。ただこうしてあらゆる点で比較されるのは、人気シリーズの運命ではあるのだが。「羊たちの沈黙」には及ばないものの大健闘の本作。マイケル・マン版で削除されたエピソードも復活し、エンディングを含め、少なくとも「ハンニバル」よりも原作ファンには納得できるデキだと思う。 こぼれ話.
監督: 出演: 感想: まるでSFXや合成で安心感に浸る生ぬるいアクションに物申す、そう言わんばかりに本作は徹底して肉弾アクションを展開。これこそアクション映画の原点でもある。もちろんスタントあってなのだが、シンプルでも緊張感のあるシーンが続いて飽きさせない。殺し屋との駆け引き、ミニを使った小気味いいカーチェイスもいい。すり抜けるヨーロッパの街並みはスパイアクションを強く印象づける。 物語は劇画的な「トリプルX」と異なり、こちらは小説を読んでいくような感じ。使う銃器、小道具、そして披露されるスパイのイロハ。さすがはベストセラー小説が原作といった印象で、その雰囲気は初期の007に近いかもしれない。こなれた脚本もギリギリまで興味を引っ張りながら、本線のラストは渋い。ボーン自身の行く末にハリウッドらしさが匂うが、それは由としよう。トータルバランスの良さ、それこそダグ・リーマン監督の手腕なのかもしれない。 ルックスはともかく、マット・デイモンのアクションの頑張りは評価。CクーパーやBコックスらのこれまた渋いキャスティングも見逃せない。丁寧な作りのスパイアクション。しかしながらド派手さがない分、ハリウッド産に慣れた目には物足らない点もあるだろう。とはいえ、七十年代のスパイものを好む映画ファンにはもってこいの映画だと思う。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 新撰組というと沖田総司や近藤勇がクローズアップされるが、吉村貫一郎という無名隊士を主人公にした点が新しい。吉村を演じる中井貴一も熱演。セリフ、演技に器用ぶりをみせる。ただ個人的には助演に回った佐藤浩市が良かった。無理に悪役をやらせたり、主役を張るよりも、一歩下がって冷静な視線を送る斎藤のような役にこそ良さが光る。しかしながら劇中で年をとらせる事の難しさ、特殊メイクは如何なものか。むしろ年相応の俳優に演じさせるべきだった。 だがどうにか泣かせようとする演出に閉口してしまう。たぶん「たそがれ清兵衛」と比較されるだろうが、あまりに言葉や回想シーンに頼り過ぎる。言葉は説明し過ぎると、観ている観客としては退いてしまうし、過剰な映像面の演出は興ざめさせる諸刃の剣だというのを理解していない。「たそがれ清兵衛」はやや足らぬセリフだからこそ、観客は行間を読み、物語に身を任せる事ができた。この作品で泣ける(しあわせな)人は、記号的に使われる描写に心を動かされているだけだ。最後、カギとなる吉村の娘をスマートに描けなかった点で脚本の練り込み不足も露呈。もっと映画的な表現の仕方があったのではないだろうか。 本作は原作のイメージに対し、滝田洋二郎の現代的なフィルターがかかって我々に見えてくる。ただ先に挙げた補い切れない部分にこそ監督の手腕が問われ、本作の欠点ばかりが見えてしまう。またセット丸出しのシーンも少なくない。それに時代劇とは難しいもの。別に黒澤作品や「たそがれ清兵衛」のマネをしろと言っているのではない。中途半端な現代劇は我慢できるが、中途半端な時代劇こそツライものはないからだ。キャストも演技も良かったし、いい題材だっただけに惜しい作品となってしまった。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 世界に広がるサッカー人口に比べれば、野球というスポーツはマイノリティーなものかもしれない。そしてその理由を本作に求めると、野球はアメリカ文化そのものだという結論に行き着く。野球に父子関係を求めるのだ。それが直接的であろうが、間接的であろうが、生活の中に根付いている。本作はそれが後者に当たるが、それが主人公を流浪させた(と本人は逃げているだけなのだが)と思い込んでしまう。何とも野球を情緒的に捉える日本人にはたまらない物語である。 だからといって徹底的に泣かせようとする演出ではなく、爽やかさで描いていて好感。日本の配給会社がつけた「オールド・ルーキー」(原題「The Rookie」)というタイトルは泣かせようとする意図が見られるが、実際はスポ根ものでないし、むしろ家族、人との関わりあいこそが本分だろう。野球ではなく人間ドラマ。これは野球映画全てに共通するし、傑作となる条件でもある。もちろん本作は条件だけでなく、その内容が伴った作品だ。 その中心に立つ主人公にデニス・クエイドは合っているし、説明が無くとも時間の経過を追える登場人物たちの描写も見逃せない。またとりわけ妻、子供たち、家族のつながりが重要に思えた(この子供たちが可愛い)。この家族があったからこそ、奇跡は現実になる。わかっていても涙腺を刺激するエンディング。エンドロール前もファンタジックで、もう一つのフィールド・オブ・ドリームス。ただやけに速球を演出するSE(効果音)がウザかったけど。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 同じディックの「ブレードランナー」のような絶望的な世界でなく、かといって能天気な未来は描かれていない。またスピルバーグらしからぬややダークな未来像も披露している。そしてディックの渋い部分、つまりサイバーパンクたる未来人の、また現代人に通じる社会問題。原作のエッセンスとも思える社会システムへの警鐘。悲観した未来論が描かれるのはそうした事からだろう。一見自由でも、その徹底した管理社会は「プリズナーNo.6」にも相通じ、都市は巨大な村であった。これってスピルバーグ版の「マトリックス」なのかもしれない。 スピルバーグは「A.I.」で提示した未来を万国博覧会的に表現している。ただそれが目立つのも最初だけ。快調なテンポで追いつ追われつの逃走劇には関係ない。相変わらずスーパートム君は健在だが、やがて真相が明らかになる時点で主人公、観客ともにハッとさせられる。そういえば最近のトム・クルーズのプロデュースの作品って、SFで何処かしら必ず影がある。本作がアメリカであまりウケなかった理由も何となく判る気がしてきた。 それだけ一般的には好き嫌いのはっきり分かれる作品。またスピルバーグの幼児性も散見されて、あまり気持のいい映画じゃない。エンディング、ダークならダークに終わって欲しかったのに、余計なお世話なスピルバーグの悪いところも。その時、二時間三十分の重みがのしかかる。ただ骨子となるサスペンス部分は面白いし、若手筆頭のC・ファレル、御大M・F・シドー等、キャスティングの妙味は高い。製作者としてのトム・クルーズは評価したい作品だ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 前作のような説明的な部分はなく、わりとテンポの良い作品である。イベントの置き方も原作にならうものだと思うが、緩急織り交ぜていたせいか、筆者も飽きることなく観る事ができた。子供を使うと絶叫系演出になるクリス・コロンバスらしく、派手なシーンはより派手に、情緒的なところはジョン・ウイリアムスの音楽とともに見事に重なる。とはいえ2時間40分と相変わらず長い作品。前作同様、最後がややダラダラしてしまうのは原作者からの制約のせいなのだろう。また前作で気になった飛行シーン等のCG、その遊離感はそのまま。ただもっともこの映画を観たい年齢層からすれば、あまり気にならない点かもしれない。 我々位の年齢の者からみれば、キャストもダニエル・ラドクリフら子供よりも、ケネス・ブラナーやロビー・コルトレーンらのほうに目がいってしまう。元祖イギリスの伊達男、ブラナーの三枚目ぶりはちょっぴり笑わせる。コルトレーンはその体つき通りの存在感。ただ亡くなった校長役のリチャード・ハリスは前作以上に物語を支えただけに、急逝されたのは非常に残念。 前作同様、友情をテーマにしているが、やはり子供向きを覚悟して観る映画だと思う。とはいえ大人にとっては残らない作品。主人公たちの成長は垣間見えるが、それもあくまでターゲットとなる子供たちのためのもの。見た目のディティールは認めるが、ストーリーの厚みは感じない。我々にとって、予告編が流れていた「ロード・オブ・ザ・リング」の第二弾に心惹かれるのは本作にない重みゆえなのだろう。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 奇をてらった設定もなく、淡々と進む物語。だがそこに息づく生活感、セリフの一つ一つがリアルである。ホッとするような場面、地域色豊かな掛け合いに笑い、緊迫感のある殺陣が締める。まるでページを読み進める感覚に近く、それが心地いい。また藤沢周平の視点、平侍と現代サラリーマンに相通じる部分は琴線に触れる。一騎打ちで明らかになる武士の悲哀は何ともリストラの今と変わりない。だからこそ時代は大きく変わっても、清兵衛の言動に哀愁を感じずにはいられない。 画面へのこだわりは自然なライティングにもあらわれている。清兵衛の家等で暗いシーンが多いが、清兵衛の生活感を表す上で不可欠な要素。顔に当たる光の具合、生む表情。そのこだわりからかクライマックスの殺陣も締まるのだ。真田と田中のやり取りは観る者に呼吸すら許さない。また真田も誠実で不器用な性格の清兵衛を好演。クライマックスとのギャップ、コントラストな意味もある。他のキャストも芸達者を起用し、別の意味で隙がないといえる。 作品的には(当たり前だが)ドンパチもなく、派手さもなく、今のエンターテイメント性とは別な方向の作品だろう。ただ前述の通り、本を読む感覚を好む人であれば、爽やかな読後感を得られると思う。丁寧な作りに感心した二時間でした。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: まずこの作品は原作でなく、中田秀夫版「リング」をベースに作られている。だから松嶋菜々子をナオミ・ワッツに、真田広之をマーティン・ヘンダースンに置き換えて、中田版「リング」の韻を踏んでストーリーは進んでいく。そのため原作のディティールを期待したファンは一瞬がっかりするかもしれない。しかし中田版で再構成された原作の世界観を、アメリカ向けに良化された感は強い。特に人物描写の比重がレイチェル、ノア、エイダンに対してしっかりと置かれ、家族愛の描写は本作のほうが上である。さらに松嶋菜々子よりもナオミ・ワッツのほうが明らかに演技は上。確かに中田版は原作のアイデアをうまくまとめた点が評価されるが、大事なのは演ずる者の技量でそこに物足りなさを感じるのだ。その点本作は及第点以上にある。 終始ダークな映像、特に心理的に襲う怖さはハリウッド作品にないものだろう。アメリカではその点が受けたのかもしれない。また次々に明かされる謎、貞子の真の目的に至るハリウッド版の解釈のほうが原作に近いし説得力があった。また音響も最新作らしく心理面からも観客を刺激する。抑え目のハンス・ジマーの音楽も好感。ただ唯一の欠点は中田版同様に、貞子の目的=ビデオテープの経緯がやや弱かった事。この点で原作の設定、物量には敵わない。 つい原作、中田版を知っていると比較したくなってしまうが、それでも十分に楽しめる。もちろん知らないほうがもっと楽しめるのは事実だ。ただ個人的には原作が一番。そしてむしろ原作の持つ本当の怖さ、真の目的は、ハリウッド版完成という形で達成されたのでは...と勝手に想像してしまう。2002年、貞子は名を変え世界へ蔓延する。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 冒頭から画面に釘付けな演出。これでもかこれでもかの仕掛けられたトラップに見事にハマってしまった。漂うB級テイスト。しかも観た映画館の音響の悪さはB級っぽさを増幅させる。それでもこの映画は面白かったのだから、その秘めたポテンシャルは計り知れない。確かに「エイリアン」系の脱出劇なのだが、意外と先行きの読めない展開もあって楽しめる。もちろん脅かし系ゾンビのオンパレードは怖いというか、むしろ笑えてしまうのはご愛嬌である。 キャスト的な魅力も高い。セクシーなミラ・ジョヴォヴィッチもいいが、何といっても目が完全にイッちゃってるミシェル・ロドリゲスに尽きる。「エイリアン2」のバスケス顔負けのタフネスぶりは大きなみどころ。ただ知ってる俳優は彼女達だけであり、それもまたB級っぽいのである。そういうのってこの手の映画では大きなプラス。ハラハラドキドキの感情移入度は高くなる。 映画そのものにゾンビ、生き残りと既出でありオリジナリティはないものの、これだけ楽しめる映画は少ない。また筆者もプレイした事がある「バイオハザード」の世界観を上手く映画に生かしていると思う。おなじみの犬ゾンビやクリーチャーが登場して忠実度も高い。密室、ダンジョンの雰囲気もまさに「バイオ」そのもので、監督のイレコミが感じられる。もちろんゲーム版はゾンビ軍団対プレイヤーの関係で映画のストーリーとしては成り立たないところ。それに対し本作は序章的な扱いで再構成。ゲームをやった事のない人でも楽しめる作りは好感。ラストに「Let's play!」と字幕が飛び出しそうなゲーム映画化の成功例ではなかろうか。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: とにかく派手な映画。冒頭、前作「ワイルドスピード」のカーアクションをジャブ程度に披露。さらにこれでもかのバイクアクションへと引き継がれる。ただリアルなスパイアクションというより、荒唐無稽で劇画チックなアプローチ。スパイものとしては「オースティン・パワーズ」と同様、新たなアプローチだと思う。徹底してアウトローな風貌、言動はクール。かつての「007」が大人のスパイもの(あくまで"かつて")だとしたら、本作は大人に噛みつくB-BOYという印象。そんなキャラにヴィン・ディーゼルもピッタリ。国のために働くなんて似合わない。スパイものではおなじみ、東欧のプラハを舞台に大暴れである。 コーエン監督の着目点は若者文化。前作がチューンドカー、そして今回はXゲーム。その一つ一つをアクションの中に上手く取り込んで魅せてくれる。とにかくストーリーよりもアクション。さらに前述のバイク、クライマックスのダイビングやスノーボードと体当たりで臨む、目を見張るもの。一部CGとの合成はあるものの、やはりアクションは生身である事にこそ惹かれるのである。これぞアクション映画の醍醐味だと思う。 「007」へのオマージュとも思える秘密兵器の数々。銃や小道具も顔負け。車は"箱"だねと納得させるアンティークなポンティアックGTOの活躍。惜しむらくは「トリプルX」のテーマと呼ぶべき音楽がなかった事。しかし最後の見せ場はオーケストレーションを選んでくれたのは嬉しい。なおエンドクレジットはもろ「007」を意識させるカッコよさ。アクション映画ファンは最後まで席を立たずに観入って欲しい作品だ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 冒頭からさりげなく各キャラクターの性格を描写していって見事だ。如何にも几帳面なリーダー格の雅子、今風のおバカな若主婦弥生、世話好きな最年長の師匠ことヨシエ、借金女王の邦子と、ダラダラと説明されなくともよくわかる。出色は雅子を演じる原田美枝子。腹をくくったら実行あるのみ、クールでカッコいい。弥生の西田もホントに腹が立つほどハマっているし、嫌と癒えない倍賞の表情とセリフ、バブリーな室井は相変わらず。要は四人四様がキッチリ描かれているという事だ。 この作品の見どころは何といっても解体(?)シーンだろう。弁当工場で働く彼女達とラップさせる部分があって興味深い。ただこのシーンをどれだけの人が冷静に観られるだろう。怖い物見たさ?痛い、痛々しい。そしてこの作品の助演男優賞はこの死体となる弥生の夫ではないだろうか。そして気がついてみれば最も冷静なのは画面上の彼女達だ。彼女達の前で死体は"物"でしかないし、むしろドライな映像と相まってそれを意識した演出ともいえる。 やがて女同士の友情も、むしろ恐怖の井戸端会議に思えてくるから不思議。また主婦にとってカラオケは必須アイテムなようだ。その点も含めて全てドライ。物語も順調に思えた計画が破綻していく中盤までグイグイと引っ張る。だがそれだけにラストはテンポ良くキメて欲しかった。ちょっと蛇足な感も。初っ端、配給の20世紀フォックスのロゴに驚くが、中身はしっかりと日本映画。死体というより、男全てが"物"扱いなのかも。あまりに痛々しくて男性諸氏は覚悟なされ。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 物語は単純である。単純であるがゆえにセリフは少なく、むしろそれを埋めるように美しい自然が映し出されていく。主役の二人は無表情。「Dolls」のタイトル通り、人形のような表情である。事の前後での表情の違いは大きい。微妙に違う歩調、無言で歩く姿も北野作品らしい。そして春夏秋冬、歩み続ける二人の姿はその末路を予感させ、冒頭の文楽人形の芝居と重なっていく。また他の二組の描写も同様で無機質な感じ(とはいえ三橋はやや抑えた演技に留まっている)。その点、サイドストーリーの深田恭子はちょっと大根ゆえに上手くハマっている気がする(歌が多くて登場は少ないが)。 北野作品では死生観を描く事が多いが、本作では純愛の果ての死生観がテーマとなっている。暗示的な描写はあるが説明的でない。前述の通り、セリフが少ないのが北野流。一見不親切な作りであるが、全体的に観客に行間を訴える作りとなっている。だからこそこの作品から得る印象、答えは観客それぞれで異なるだろう。それに文楽という主旋律がスローである分、人によってはテンポがツラく感じるかもしれない。ただホーキング青山をクッションとするあたり、北野のセンスに感服する。彼が出るシーンがある事で物語をネガティブ域から振り戻してくれるからだ。 個人的に本作は前作「Brother」より好きだ。ただ映画で漫才をしていない北野映画というのは割引材料。もちろん本作の背景からそれは無理だし、映像、特に色彩に力を注いでいるのはわかるのだが、やはり作品全体のテンポが緩い。ただサイドストーリーの絡み方は面白く、最後までみせてくれる。久石譲の音楽も抑え目で良かった。それらを含めて実験的な作品ととったほうが良さそう。北野監督の操る六体が織り成す人形劇。万人受けはしないだろうが、映像からいろいろとインスパイアさせてくれる作品だと思う。もう一度観てみたい。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: この作品のテーマは「夢」。シンプルなテーマだが、映画となった本作ではその矛先が宇宙に向かっていく。そもそも日本のお笑いにとって「ロケット」と「コント」は切っても切れない関係なわけで、その失敗が笑いを誘っていたものだ。だが本作は真面目に取り組んでおり、意外と背景、設定がリアル。虚構は吉本オールスターに任せて、ストーリーの大基はシリアスに迫る。そうでなかれば観客はシラケるし、「明日があるさ」という希望になるまい。そしてそれを支えるのが浜田の熱演だ。 浜田の演技は幅広くない分、ストレートで心地よい。浜田節炸裂!だからこそ本作で彼の存在が上手く働き、観客を惹きつけるのはいうまでもない。無駄と思えるシーンもあるが(松本との絡みはヤリ過ぎ、長過ぎ!、それに青島幸男、西川きよしの政治家もどきを使うのは気にいらない。ただこれは完全に個人的な意見だが...)、ベテラン中村嘉津雄との息もピッタリ。二人三脚でストーリーを引っ張っていく。もちろん夫婦、親子の絆もホームコメディらしくほのぼのしたもの。十三課のメンバーもストーリー的に上手く機能している。単なるテレビのブローアップでなく、全体的に魅せる作品に仕上がっている。また観終わってからコメディにとって言葉の通じる強みも痛感した。 確かに大笑いする、感動するまでには至らなかったが、本作はこの不景気に何処か微笑ましく希望を持たせてくれる。基本設定は確かにテレビ版の延長線上だが、これなら「テレビでいい」と思う無かれ。無駄な説明がない分楽しめ、かつしっかり映画している本作。「THE MOVIE」の冠に負けない拾い物だろう。 作品一覧へ戻る
監督: 出演: 感想: 新聞広告等では「ゴッドファーザー」と比較されるが、実際は背景、スケール感に大きな違いがある。本作の原作は小池一夫の「子連れ狼」にインスパイアされたコミックであり、むしろ本作では個対個の関係を描いている。それが父と子であったり、宿敵、男同士で生まれるものもある。だから「ゴッドファーザー」のような群像劇ではないし、周りの人間は背景のごとく扱われている。描くキャラクターを絞る、その点ではサム・メンデスは前作を踏襲した演出方法だろう。何処かマイルドだが、非常にクールな印象である。 テーマは親と子。作品中、いくつかの関係が描かれるが、筆者的には物足らない。特にマイケルと息子、その二人に初めて親子らしい絆を育んでいくが、グッと引きつけるものが無かった。それは監督の持つクールなテイストが、親子愛をみせていく上で合わなかったのかもしれない。確かにいくつかのエピソードはそれを補うが、お涙頂戴を排除し過ぎた気がする。モチーフが「子連れ狼」だけに日本の古典的な親子関係は重なるが、本作でのマイケル親子に感情移入するに至らなかった。 ただ役者的には見所が多い。ポール・ニューマンは重厚だし、ジュード・ロウの殺し屋も劇画のコマから飛び出したようで奇怪。もちろんトム・ハンクスも演技は堅実。だからこそストーリー、演出よりも演技で観る映画。ただもっと泥臭い演出で観たかった気もする。個人的にはいまだ「ゴッドファーザー」を超えるギャング映画を知らない。 作品一覧へ戻る |
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