趣味の殿堂「遊舟」2000

Movie column-21世紀に残したいこの映画-
2003年8月11日更新

突然企画復活!筆者思い出の二十世紀に公開された映画を紹介しています。
正直いってほとんどDVD化されないようなマイナーなB級、C級作品ばかりです。

興味があればこれを機会にレンタルしてみてはいかがでしょうか?
作品が見つかれば更新。
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今週の映画

第21回
「打ち上げ花火、
下から見るか?横から見るか?」

1995年日本
(ビデオ・DVD有)
監督:
岩井俊二
出演:
山崎裕太、奥菜恵、反田孝幸、小橋賢児、ランディ・ヘブンス、桜木研人、麻木久仁子、蛭子能収他。
暑い夏、花火一つあれば日本人の心は熱くなる。
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
 いよいよ夏休み。典道と祐介、憧れの女の子であるなずなを賭けた水泳勝負。だがその勝負に負けた典道はなずなからの誘いを逃してしまう。クラスに戻った二人を待っていたのは「花火を横から見ると丸いのか?あるいは平べったいのか?」という仲間内の疑問。その答えを見つけに灯台へ赴く事を計画したのだが...そんな一方、典道はなずなが彼女の母親に連れて行かれるところを目撃してしまう。後悔の念に駆られる典道。そんな"勝負に勝っていれば"という想いがもう一つの結末を呼び起こす。

 フジテレビ木曜夜八時は「世にも奇妙な物語」「大人は判ってくれない」と異色ドラマシリーズが続いた時代があった。そんなシリーズの一つが「if〜もしも」。このシリーズは、一つのストーリーに二つの結末という絶対ルール。当時まだ無名に近かった岩井俊二はそれを守るもフィルムテイストを始め実験的、内容とは裏腹に野心的な作風に溢れる作品に仕上げた。なお1993年夏の放送後の反響により、1995年に劇場作品として公開されている。だからあえてこのコーナーで採り上げてみた。

 この作品、本放送の時から何度も観ているが、10年を経た今も全く色褪せていない。とにかく夏になるとこの作品を観たくなる。夏休み、花火、淡い恋心、そして子供だけが持つどうでもいい疑問と独特の文化。最近の陰惨な事件などこの作品の中には皆無。観ていて清々しくなる。実質50分のドラマ、短編ゆえの密度の濃さ、生きた会話、何とも云えない甘酸っぱさに溢れ、小学生と駆け落ちという組み合わせた岩井のストーリーテリング(もちろん脚本も彼の手によるもの)も絶妙。そしてカメラを通して感じるのは岩井のやさしい視点。岩井独特のカット割りも既に確立されており、両者が相まってひと夏の出来事を演出する。

 当時無名だった奥菜恵の美少女ぶりも見逃せない。要所に入るREMEDIOSの音楽も効果的。二人が戯れるプールのシーン、別れ際のセリフは胸キュンもの。そしてトドメはダメ押しのエンディング。別に人を傷つけなくとも、派手な演出が無くても、花火一つあれば日本人の心は熱くなる。本作がなければ映画監督岩井俊二の誕生は遅れたか、無かったかもしれない。まさに重要な位置づけの作品なのだ。個人的にフジテレビは毎年夏、この作品を地上波で放送する義務があると思う。それだけの傑作である。なおメイキングであり、キャストやスタッフが製作当時を回顧した「少年たちは花火を横から見たかった」を観ると本作をさらに深く味わえる。(「ソフトインプレッション」に加筆)

紹介映画リスト

  アルバムタイトル 更新日
第22回 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 2003年8月11日
第21回 ストリート・オブ・ファイヤー 2001年7月30日
第20回 ヒドゥン 2001年7月22日
第19回 勝利への脱出 2001年7月15日
第18回 ウエストワールド 2001年7月4日
第17回 コンボイ 2001年6月29日
第16回 プリティ・リーグ 2001年5月1日
第15回 ガープの世界 2001年4月28日
第14回 バンデットQ 2001年4月19日
第13回 タイムコップ 2001年4月12日
第12回 アルカトラズからの脱出 2001年3月29日
第11回 ビルとテッドの地獄旅行 2001年3月13日
第10回 ザ・カンニング/IQ=0 2001年3月9日
第9回 ファイナル・カウントダウン 2001年2月28日
第8回 フォード・フェアレーンの冒険 2001年2月20日
第7回 バタリアン 2001年2月13日
第6回 スペースバンパイア 2001年2月6日
第5回 メガフォース 2001年1月31日
第4回 デッドリー・フレンド 2001年1月24日
第3回 激走!五〇〇〇キロ 2001年1月19日
第2回 デス・レース二〇〇〇年 2001年1月10日
第1回 探偵マイク・ハマー/俺が掟だ 2001年1月5日

第21回
「ストリート・オブ・ファイヤー」
1984年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ウォルター・ヒル
出演:
マイケル・パレ、ダイアン・レイン、ウイリアム・デフォー、エイミー・マディガン、リック・モラリス他。
夏がくれば思い出す...一日ずっと観続けた青春の一本( &「俺たちの明日」との二本立て)
ストリート・オブ・ファイヤー
俺たちの明日
忘れられぬ二本立て。でもこちらの作品のストーリーはほとんど忘れてます。
 中学時代、突如ブームになったのがチラシ集め。ただし新聞のモノではなく映画のチラシである。ブームに乗ったといえばスーパーカーとガンプラくらいで、それ以外には手を出さなかった。ウチはそれ程裕福じゃなかったし、お金が出せてもガンプラ程度が関の山だった。ちなみにガンプラは校内の個人売買が大きな問題となって、学校がプラモデルを買う事を禁止したから、ブームといってもやや不完全燃焼であった。それに比べ映画のチラシは無料、映画館へ行けば手に入ることが幸いした。もちろん1対1や場合によっては4対1の交換が成立する楽しさ、もちろん今の映画好きのキッカケを作ったのもこの頃である。

 何かにつけ映画を批評するようになったのもこの頃。批評といっても映画そのものから、何と映画評論家までウンチクをつける始末。淀川長治、荻昌弘、水野晴郎、高嶋忠夫(って映画評論家?)と当時のTV洋画劇場の司会者までもその対象にあげていた。ただ淀川さんだけは別格だとなんとなく当時から判っていたようだ。もちろん水野さんの(警官)制服好きも印象的だった。ただ田舎のため、テレビ東京の木曜洋画劇場はこの中に入っていない。きっと木村奈保子なら血祭りにあげていたに違いない。

 そんなわけの判らない時代を過ぎ、本格的に映画を観始めた頃、購読していたスクリーン誌にあった「火の通り」という作品の紹介が目に入る。それこそのちにタイトル「ストリート・オブ・ファイヤー」となったこの作品だった(かえす返す直訳「火の通り」でなくて良かったと思う)。ロッククイーン役ダイアン・レインの色っぽいコスチューム、マイケル・パレの風来坊ぶりが伝わるグラビア写真、当時の僕らにはとても刺激的だった。

 公開日、この頃ちょうど夏休み。一人で観る映画もこの頃からだった。上映時間も見ずに朝から劇場へ向かった。すると劇場は「俺たちの明日」と「ストリート・オブ・ファイヤー」という二本立て。「俺たちの明日」はダリル・ハンナのセクシーなお姿と濡れ場、それと主人公のアイダン・クインのむやみなバイクによるアクションが印象的。橋の突端に缶を置き、すんでのところで止めるというありがちなパターン。映画としては駄作だった。

 そして二本目、「ストリート・オブ・ファイヤー」が始まる。激しく打つビートとロックンロール。口(クチ)パクばればれのダイアン・レインに辟易するも、キャッチーな音楽は私を虜にし、マイケル・パレの無愛想さと不器用さ、そして意外なほどにエイミー・マディガンの女ッぷりが印象的だった。本作で彼女を推す人は多いだろう。ちなみに彼女はあのエド・ハリスの奥さんである。ウイリアム・デフォーの悪ぶりも鮮烈だった。ナンチャンが真似する気持ちも良くわかる。加えてヒルの盟友ライ・クーダーの音楽、パフォーマンスシーンでのダン・ハートマンの楽曲は初めて映画のサントラを買うキッカケでもあった。ファイヤー・インクの「今夜は青春」は絶対本家、カバー曲よりこちらの方が断然良い。テープをリピートし何度聴いた事か。そんな「ストリート・オブ・ファイヤー」は90分という短さ、ましてあらゆる面でこれほどインパクトのある作品は初めてだった。

 一日中観続けた。最後の上映が終わるまで観続けた。でもここは二本立て。間に「俺たちの明日」を三度見た。三回ダリル・ハンナの濡れ場、缶を使ったアクションを、そしてその後に「ストリート・オブ・ファイヤー」を三度観る。ただそれでも辛くなかった。若かったんだなあ。青春映画といわれるとこの作品を挙げてしまうのは、そんな僕らを夢中にさせる映画ゆえ、そしてそんな思い出がそうさせるのかもしれない。劇場を出たら外はもう暗かった。

第20回
「ヒドゥン」
1988年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ジャック・ショルダー
出演:
マイケル・ヌーリー、カイル・マクラクラン他。
「ターミネーター」になれなかった傑作B級SF第一弾。
ヒドゥン
まず大河SFシリーズといえば「スター・トレック」が頭に浮かぶだろう。ネクストジェネレーション、ボイジャーと世代を超えて続いている。日本でこれに肩を並べるなら「機動戦士ガンダム」。今やバンダイ、いや失礼。サンライズの屋台骨と化した人気シリーズ。数々のアニメがポストガンダムとしてその牙城崩しに挑むが、いまだにこれを超える作品は生まれていない。二〇〇〇年秋、あの「宇宙戦艦ヤマト」も復活を画策するが、どうも成功に至りそうな雰囲気はない。

 シリーズものは難しい。まして映画はである。当初からシリーズ化を考えて作るなんて言語道断。最初から構想があったのは「スターウォーズ」くらいか。その壮大さゆえ、FOXと手を組んで、成功は約束された。ルーカスほどではないが、キャメロンの「ターミネーター」も人気シリーズ。特に第一作はB級並みの制作費で作られたが、優れたストーリーテリングとSFXで大ヒットを記録した。その波は第二作「T2」を引き出し、「タイタニック」でキャメロンにオスカーをもたらした。

 「ヒドゥン」。この作品もそうなるはずだった。アボリアッツ映画祭グランプリ獲得は「ターミネーター」と同じ道程。主演のカイル・マクラクランはD・リンチ作品の常連。マイケル・ヌーリーは「フラッシュダンス」にも出ていた。シュワちゃんには敵わないが、ひけを取るような配役でもない。物語は凶悪宇宙人と宇宙捜査官の追走劇が地球に飛び火。凶悪宇宙人は人体を媒介にして逃げまくる。宇宙捜査官もFBI捜査官の体を借りて追いかける。日本人にはウルトラマンの亜流と捉えられなくもないが、そのキャラが魅力。なにせスピード狂の凶悪宇宙人はクレージー。フェラーリとロックを愛するコイツにSFファンは狂喜した。

 五年後、「ヒドゥン2」が製作された。これまた「ターミネーター」と同じ道程。しかしである。ひっそりと公開され、ひっそりと終わった。ちなみに筆者はそのストーリーすら知らない。そして監督J・ショルダーは続編に手をつけず、フレディ(「エルム街の悪夢2」)に浮気した。ストーリーも重要だが、監督の個性、力は最も大きい。ただJ・ショルダーが「ヒドゥン2」を手掛ければヒットしただろうか。それは誰もわからない。彼がキャメロンになれたかは、一つの可能性でしかないのだから...
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第19回
「勝利への脱出」
1981年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ジョン・ヒューストン
出演:
シルベスター・スタローン、マイケル・ケイン、ペレ、マックス・フォン・シドー他。
スポーツの持つ爽快感と脱出劇、数少ないハリウッド産サッカー映画。
勝利への脱出
 僕ら世代のスポーツ観。やはり野球よりもサッカーである。ただバスケットまでは至らない。それがわかるのが週刊少年ジャンプの購読時期だ。日本の小中学生の男子にとっては週刊少年ジャンプの歴史とスポーツの興味はつながっている。僕ら世代の前の人達はジャンプよりもマガジンで「巨人の星」、野球世代だったといえる。少し前の話ならジャンプの「スラムダンク」、バスケットの話だ。バスケ部の希望者が膨れ上がったのは記憶に新しい。僕らはやはり「キャプテン翼」。撃てもしないドライブシュートを練習したり、スーパープレイを夢に描く。その点で今の子達はスポーツで魅せられるマンガはないのは可哀相だ。

 僕らにはサッカーは特別なもの。でも映画となると俄然、野球となる。「メジャー・リーグ」やここで紹介した「プリティ・リーグ」等、やっぱり野球だ。映画はハリウッドのものだけではないのだが、大半がここ(とインド)で作られる以上はやむを得ない事実。またテレビ中継と同じく伝える難しさもあるからだろう。しかしハリウッド産のサッカー映画も少なからず存在する。それがジョン・ヒューストン監督の「勝利への脱出」だ。

 「ロッキー」のシルベスター・スタローン主演、第二次大戦中の連合軍捕虜収容所が舞台。国威高揚を狙ったナチスが、捕らえた連合軍兵とドイツナショナルチームの選手とをサッカーで対決させる。しかしその裏には捕らえられた連合軍兵たちの秘めたる計画があったのだが...スポーツの持つ爽快感と彼らの計画とがうまく噛み合い、この作品の良さにつなげている。サッカーもとってつけたようなものでなく、"神様"ペレを代表する本物の選手も登場、もちろんプレーも本物。たださすがにスタローンにそれを求めるのは辛く、ゴールキーパーを演じていた。でもゴツイ体型はキーパー向きであった。

 名匠ジョン・ヒューストンとサッカーの組み合わせは意外。プレーシーンもそれほど長くはない。やはりメインは脱出劇。サッカー映画としては異論もあろう。来年は日韓開催によるワールドカップ。だからこそ数少ないサッカーを扱った映画として記憶にとどめて欲しい作品だ。
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第18回
「ウエストワールド」
1973年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
マイケル・クライトン
出演:
ユル・ブリンナー、リチャード・ベンジャミン、ジェームズ・ブローリン他。
元祖パックリ系、「ハンニバル」を超えるM・クライトンのSFデビュー作
ウエストワールド
 子供の時の印象ってトラウマに近いものがある。昔「ジャッカー電撃隊」が恐くて仕方が無かった。何が恐かったかというと主人公、ジャッカーたちである。なぜ主人公を恐がったのか?それはサイボーグである彼ら、腕に仕込まれたメカが苦手だったのだ。肉体とメカの融合は正直なところ大の苦手。最近の映画なら「ターミネーター」や「A.I.」が苦手になりそうだが、実はそうでもない。メカグロ(メカニカルでグロい)もいつの間にか無くなっていた。それも年のせいだろう。

 でも最後まで苦手だったのが、子供の頃に水曜ロードショーで観た「ウエストワールド」だ(昔、金曜ロードショーは水曜日だった)。舞台は遊園地、それもロボット達が舞台を演出するハイテクな今風で云うと"テーマパーク"である。そしてそのロボットガンマンを演じるのが「荒野の七人」のユル・ブリンナー。前述の「ターミネーター」の如く、回路の狂った彼らは人々を襲い始めるのだ。

 原案・脚本・監督は「ジュラシック・パーク」の原作者マイケル・クライトン。SFチックな設定は彼ならではである。派手なSFXはないが、口元から覗くメカが妙にグロい。思わず同系のTV「600万ドルの男」「バイオミック・ジェミー」の"フェンボット"や"にせゴールドマン所長"を思い出す。人型ロボットの原点は映画「メトロポリス」のマリアであるが、リアル志向の人型ロボットの原点はこの「ウエストワールド」に尽きるだろう。

 この作品、評判がよかったせいか続編が作られる。タイトルは「未来世界」。ストーリーは割愛するが、何処か「ジュラシック・パーク」と二作目「ロスト・ワールド」の関係に似た作品だ。そしてこの作品のポスターは口パックリどころか、顔パックリである。パックリ系の最新作は頭パックリの「ハンニバル」。しかし自分にとってパックリした中のメカは、脳ミソよりもグロくてならない。
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第17回
「コンボイ」
1979年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
サム・ペキンパー
出演:
クリス・クリストファーソン、アリー・マックグロー、アーネスト・ボーグナイン他。
初めて観た洋画!今思い出しても"この映画=尻"なのである。
コンボイ
 スーパーカーブームの後、車好きは一向に収まらず終い。マンガでは「こち亀」や「よろしくメカドック」が後押し。テレビでは所さんの「デイトナTV」を始めとする一連の車番組が興味をそそった。中でも正月特番で行なった首都高版「キャノンボール」は今や伝説である(番組ディレクターはテリー伊藤)。映画となると既に紹介した「激走!5000キロ」や「キャノンボール」シリーズ、H.B.ハリキの「バニシング」シリーズが挙げられるだろう。しかしそんな映画の中で忘れられないのが「コンボイ」である。何を隠そう初めて映画館で観た洋画がこの「コンボイ」だからだ。

 監督はバイオレンスの巨匠、サム・ペキンパー。その彼とケンウォーストラック軍団という異色の組み合わせ。しかも彼の遺作となった。ただ当時小学生だった私にそんな事は無関係。メインテーマをバックに「宣戦布告!コンボ〜イ」とテレビCMが打たれ、見ている僕らの心に煽るのだった(もちろん"宣戦布告"の意味を知らなかったのはいうまでもない)。そして公開日。登場する大型トラック軍団の活躍を思い浮かべ、友人と共に母に連れられて劇場へ向かったのだった。

 当時、地元の東映洋画系館で上映されていた「コンボイ」。当時ラッキーなことに東映の無料券を手に入れられるルートを持っていた私の母。早速、映画館近くで券を手に入れる。ちなみにこのパターンは「東映まんがまつり」「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」の時にも繰り返された。当時の東映は子供向け作品が多かったから重宝。この場を借りて「お母さんありがとう」。

 正直、ストーリーはほとんど覚えていない。覚えているのは冒頭のカーアクション、抗議に繰り出すコンボイ軍団、そして尻を出す男。最後はボコボコになる主人公のケンウォース。ただ、とにかく報道するカメラに向かって尻を出す男に魅せられた友人。「もう一度観たい」と駄々こねていたが、さすがにこの場、二度は観られなかった。またそれ以外は子供に退屈な映画だったかも。ただ今思い出しても"コンボイ=尻"なのである。これって一種のトラウマかもしれない。

 そしてこの「コンボイ」から数年後、テレビであるアニメが始まった。タイトルは「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」である。日本生まれ、タカラのオモチャを基にアメリカでアニメ化。そして味方側サイバトロンのリーダーはケンウォーストラックが変形する"コンボイ"だった。きっとこの映画に思い出が...タカラにもこの映画に魅せられた人がいたに違いない。ただ"コンボイ=尻"ではないだろうが。
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第16回
「プリティ・リーグ」
1992年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ペニー・マーシャル
出演:
ジーナ・ディビス、マドンナ、トム・ハンクス他。
メジャーリーグにおける歴史の1ページに清清しい野球物語。
 世界的にプレーされるサッカーに対し、劣る野球の認知率。オリンピックでの各国の反応をみればわかる通り、まだまだ世界的なスポーツとは言い切れないからだ。とはいえアメリカと日本だけ野球熱は高い。日本人にとってイチロー、新庄らの進出でメジャーへの熱い視線が注がれる今日この頃。それだけに野球映画の製作元はほぼアメリカと日本に限定される。日本なら「ドカベン」「野球狂の詩」「プロ野球を10倍楽しく見る方法」「がんばれタブチくん」「ダイナマイトどんどん」とほとんどがお笑い系ながら、印象的な作品ばかりだ。

 対してアメリカでもコメディ中心ながら傑作が多い。笑える「メジャー・リーグ」、ファンタジー「フィールド・オブ・ドリームス」「ナチュラル」等々。そしてあるのが伝記モノ。ベイブ・ルース、"シューレス"・ジョー・ジャクソン、そして第二次大戦中の秘話を作品化したのがこの「プリティ・リーグ」だ。タイトルの通り、女性野球を扱った作品だ(原題は「A League of Their Own」、"彼女たちのリーグ"の意。このリーグは11年続いた)。

 戦争の最中、男性は戦地へ出征、プロ野球選手もその渦中にあった。本土に残されたのは女性達。困った球団オーナー達はその彼女達から選抜、女性だけのリーグを作った。その設立時の一年をドラマティックに描いている。ただそこに描かれたエピソードは全て真実ではなかろう。しかし彼女達が置かれている立場、その境遇は伝わってくる。そこに織り込んでいるのが姉妹愛。特にクライマックスにおける駆け引き、そして再会。野球映画らしい清清しい感動に溢れている。そんなハートフル・コメディはおまかせ、さすがはペニー・マーシャル監督だ。

 劇中、主人公達が女性リーグの野球殿堂入りを機に再会を果たす場面。普通なら俳優が老けたメイクで登場するところを、顔の似た老俳優を配役させている。彼女達はいい年の取り方をしたんだなあとエンディングロールを観てついそう思いたくなる。先日、BS洋画劇場で再見。気の利いた演出、やっぱりいい映画と再認識させられた。助演にまわったトム・ハンクスの監督役もいい。またマドンナも出演し、彼女の出た作品の中でもイイ感じ。ただ音楽界では主役だが、映画界では主役でない方がいいだろう。本当に老けたメイクがなかったのはマドンナが原因だったかもしれない。でもエンディングに流れる彼女の楽曲は十分主役級の名曲、心に染みてくる。
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第15回
「ガープの世界」
1983年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ジョージ・ロイ・ヒル
出演:
ロビン・ウイリアムス、グレン・クローズ、ジョン・リスゴー他。
若き日のロビン・ウイリアムスの抑えた演技が光る人生賛歌
ガープの世界
 空中に上げられる赤ん坊。バックにはビートルズの「When I'm Sixty-four」が流れている。笑みを浮かべる赤ん坊、その子の名はガープ。この作品の主人公である。女性運動家である母一人で育てられ、スクスクと成長するガープ。周りには母の支援者、性転換した友人等が彼らを支え、彼を一人前にしていく。ジョン・アーヴィング原作のベストセラー、ユーモラスにして悲哀に満ちたガープの半生を描いたのが「ガープの世界」である。

 まだメジャーになる前のロビン・ウイリアムスが成長したガープを演じる。最近の彼はサービス旺盛でこれでもかの演技をみせるが、ちょっと食傷気味だったのも確か。この作品では器用なモノマネもなく、ナチュラルな彼の演技を楽しむことができる。もちろん若い。彼の母はグレン・クローズ。「危険な情事」以降は怖い印象が強いが、ここでは母性の強さを発揮している。看護婦姿も板につく。ただ当時から見た目より年にみられる女優さんである。

 圧巻はジョン・リスゴーだろう。あの巨漢、やや強面(こわもて)な彼が、性転換した男を演じる。ケツアゴな顔にカツラを被り、見た目だけでもユーモラス。この作品に絶妙な悲哀を感じさせるのは彼の功績が大きい。
 ただそんなユーモアはあくまでスパイス、単純に喜劇という枠にはとらわれない。やはりこの作品は人間ドラマなのだ。ジョージ・ロイ・ヒルはアメリカン・ニューシネマの旗手として「明日に向かって撃て」や「スティング」等の名作を発表。確かにそれらとこの作品は毛色が違うが、主人公たちを生き生きと描くのには定評がおり、本作でも健在。その後生まれるロン・ハワードの「バックマン家の人々」やゼメキスの「フォレスト・ガンプ」に受け継がれるアメリカ、家族の物語なのである。
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第14回
「バンデットQ」
1983年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
テリー・ギリアム
出演:
ショーン・コネリー、クレイグ・ウォーノック、シェリー・デュバル、イアン・ホルム他。
ユーモアに溢れたギリアムの世界観!G・ハリスン製作のSFファンタジー。
 「ヤア!ヤア!ヤア!」「ヘルプ」「イエロー・サブマリン」等、音楽活動と共に映像にも積極的だったビートルズ。その一人、ジョージ・ハリスンは解散後も映画を数本プロデュースしている。そしてその一作がこの「バンデットQ」、「モンティー・パイソン」のテリー・ギリアムを監督に迎えたSFファンタジーだ。

 この作品の原題は「Time Bandits」、つまり時をかける泥棒である。時をかけるといっても原田知世のような愛らしい少女ではない。小汚い小人たち六人が主人公、だから時間泥棒というのが正しいだろう。仲間同士でガヤガヤと仲がいいのか、悪いのか。そんな彼らが悪魔の追手から逃げる途中、ケビン少年のいる子供部屋に現れる。そして騒動に巻き込まれるケビン少年。物語はケビン少年の目を通して歴史上の人物、出来事を駆け抜け、悪魔の手から逃げのびる事ができるか、そんな彼らの運命が描かれていく。

 何といってもこの作品の見どころはテリー・ギリアムの作る摩訶不思議な世界だろう。「バロン」「11モンキーズ」等、独特の世界観に溢れたギリアムの作品。後半に至る過去と現代の文明が入り混じった描写は見事。作り込まれた美術がそれらを堅実なものとしている。手抜きをしてしまったファンタジーは単なる絵空事、観客は興醒めし、最後まで作品を楽しめない。この作品は荒唐無稽でありながらそういった事がない。

 キャストにはショーン・コネリーを迎え、彼の演じる王様が物語の前半を固める。ボンドを演じた頃もいいが、年を増したコネリーはさらに魅力的だ。特に中世以前の時代劇では見事にハマる。そして顔の皺には深みすら感じさせる反面、笑顔がチャーミングだ。SFと意外なマッチングをみせる彼の存在がこの作品を支えている(といいつつも結構出演作は多い)。

 後半、登場する神様と悪魔の関係も面白い。鳥山明の「ドラゴンボール」も影響を受けたような設定だ。事実、この作品でのギリアム監督と鳥山明の世界観に共通性すら感じる。マンガ的な設定とファンタジーの融合がこの作品の真骨頂だ。そして日本公開当時カットされたというラストのオチはユーモアに溢れている。そんな後味を引きながらエンディングをまとめるハリスンの曲がまたユーモラス。ヒットはしなかったが、誰にも薦められる一見の価値がある作品だ。
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第13回
タイムコップ
1994年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ピーター・ハイアムズ
出演:
ジャン・クロード・ヴァンダム、、ロン・シルヴァー他。
演技とアクションの両立!届いたのか?ヴァン・ダムの野心作。
タイムコップ
 アクション俳優と呼ばれる人たちがいる。日本なら千葉真一、倉田保昭、デビューした頃の真田広之もアクション俳優だった。彼らは演技ができるのは当たり前、それと同等にアクションへもウェイトを置いた人たちだ。そして何といっても元祖アクション俳優はブルース・リーである。彼こそ魅せる演技、アクションを切り開いた先駆者だ。ただ彼はその偉大さから、俳優という枠を超えて神様になってしまった。

 以後、彼の遺志を継ぐかのごとく、アジアからジャッキー・チェン、リー・リンチェイ改めジェット・リー、アメリカではチャック・ノリス、スティーブン・セガールらが登場、現在もスクリーンで大暴れしている。そして「お口すっきり〜」のCMでお馴染み、ジャン・クロード・ヴァンダムも同じアクション俳優の一人だ。

 アクション俳優と呼ばれる彼らにはいつも見えないしがらみがある。それが「演技的に」という一言。演技だけで勝負ができない訳ではないが、出演する作品で際立ったアクションを要求されるだけに、注目はどうしてもそちらへ行ってしまう。シュワちゃんが「ツインズ」や「キンダーガートン・コップ」でコメディに出演するのは演技への挑戦かもしれない。ただ最終的には「ターミネーター」、アクションのシュワちゃんとなるのは宿命か。そしてヴァンダムにも同じ悩みにあった。アクションと演技の両立、それを実現しようとした野心作が「タイムコップ」である。

 監督にドラマ、アクション両方を撮れる職人ピーター・ハイアムズを据え、舞台設定はSF。時間、歴史の秩序を守るタイムコップが彼の職業だ。だが彼らは野望を抱く政治家に利用され、罠にはめられてしまう。そしてヴァン・ダム、彼の家族にも魔の手が迫るのだが...タイムトリップものにありがちな二転三転するストーリーは秀逸。今観てもSFXのレベルは高く、何よりシド・ミードのビジュアルコンセプトがそれらを支える。そして家族のために奮闘するヴァン・ダム。魅せるアクションと家族愛が見事に融合し、彼の演技とアクションが際立った作品だ。

 個人的に「タイムコップ」は傑作である。だが彼の野心は通じなかった。スクリーンから離れて久しいが、日本人ならご存知、あの美人マジシャンとの噂もチラホラ。もしかして彼の復活も近い?
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第12回
「アルカトラズからの脱出」
1979年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ドン・シーゲル
出演:
クリント・イーストウッド、パトリック・マクグーハン他。
実話の持つ重みとサスペンスを直結させた脱出劇の傑作!
アルカトラズからの脱出
 映画で語られる多くの物語はフィクションである。フィクションだからこそ思いっきりウソがつけるわけだし、夢物語が語られる。観客の多くは劇場に別世界を求めるのだ。しかしそれら別世界と一線を画す、実話を元にした作品も存在する。作り事でなく(若干の脚色はあるが)、観客に対してピンと張り詰めた緊張感を持ち、サスペンスを盛り上げる。実話だからこそ得られる重みなのだ。そして「ダーティハリー」の名コンビ、ドン・シーゲル監督とクリント・イーストウッドがそんな実話の映画化に挑んだのがこの「アルカトラズからの脱出」である。

 刑務所として使用されていたアメリカのアルカトラズ島。孤島に作られた要塞と見間違える程の刑務所。海で囲まれた島の周囲は海流が激しく脱出不可能な場所であった。そんなある日収監されてきたイーストウッドが持ち前の知恵を絞り、この刑務所脱出に挑むというストーリー。もちろん一朝一夕で脱出できるはずもなく、八〇〇日以上にも渡る作戦が開始される。限られた資材の中から脱出ロとグッズをマメに作っていくイーストウッドと一派。これはある意味「ショーシャンクの空に」にも通じる脱出ロマン。だがこちらの方が実話であるアドバンテージが大きい。

 そして刑務所側、特に刑務所長を演じるパトリック・マクグーハンが子憎たらしい演技を見せる。尋問中、イーストウッドの知能を計るかの如く、罠を仕掛ける。マクグーハンといえば不条理SF「プリズナーNO.6」で村に収監された元スパイNO.6を演じていた人。囚われの身から管理する立場へ。その逆転の構図を知っているとこの作品の面白味が増してくる。

 もちろん脱出劇以外、囚人たちのエピソードも散りばめられ、イーストウッドの演じる男の人間性、脱出への意を強くさせるのだが、その辺の盛り上げ方、シーゲル監督の演出が素晴らしい。この物語はテレビシリーズとして制作されたこともあるが、映画版である本作は時間の制約を逆手にとって脱出への緊迫感を与えている。

 この脱出以来、アルカトラズ島は閉鎖される事になるのだが、その後のこの島を扱った映画があの「ザ・ロック」。本作を観ればそのディティールが深くなるのは間違えない。まさに脱出劇の傑作だ。
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第11回
「ビルとテッドの地獄旅行」
1991年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ピーター・ヒューイット
出演:
キアヌ・リーヴス、アレックス・ウィンター、
ウィリアム・サドラー他。
今や大スター、キアヌの馬鹿ノリは必見!爆笑必至のSFロックコメディ
ビルとテッドの地獄旅行
 時に有名スターになるのは辛い。デビュー作でいきなりブレイクするスターは数少ない。多くのスターには下積み時代があり、叩き上げで上を目指していく。エキストラ級のチョイ役から赤面必至な役まで貪欲に演じていくのだ。そしてスターへのキッカケをつかむ。シルベスター・スタローンは無名時代にポルノ映画へ、あのシュワちゃんでさえもヘラクレスまがいのヒーロー(あたりのコナンじゃないよ)を演じた。

 ヤン・デ・ボン監督の「スピード」で大ブレイク、以後ヒット作に主演。再び「マトリックス」がメガヒットとなったキアヌ・リーヴス。彼にもそんな過去があった。とはいえ彼がポルノに出たわけではない。ちょっと恥ずかしいおバカな映画に出演しただけ。それが「ビルとテッドの地獄旅行」である。

 実はこの作品、シリーズものである。第一作は「ビルとテッドの大冒険」(のちに「ビルとテッドの時間旅行」に改題)。高校生コンビ、ビルとテッドが電話ボックス型タイムマシンで未来に過去に大活躍するというストーリー。全米ではそこそこヒットし、それならばの続編が本作だった。実は彼らが未来でど偉い人物になるのだが、それを阻止しようと罠が仕掛けられる。未来から送り込まれるターミネーター(?)、そしてその手に落ちてしまう。地獄からこの世へ、復活を目指すべく彼らの冒険が繰り広げるのが骨子である。

 ただ基本的には観る者に脳味噌を使わせないのが本作の魅力。バカがハイテンション、ノリはロックテイスト。単なるコメディではない。馬鹿ノリなのである。特に地獄の死神(「ダイハード2」のウイリアム・サドラーが好演)との対決は爆笑必至。タイムパラドックス、SF観を超越、気がつけばビル&テッドのペースにハメられている事に気づく。

 とにかく本作に出演するキアヌに「スピード」や「マトリックス」のクールさは微塵もない。アホ気味(アホ面ではない。色男だから)な表情、セリフからは今のスターぶりは感じられない。若気の至り?そんな事は無い。少なくともこの作品の成功がスターへのステップとなったのは事実なのである。「ビルとテッドの地獄旅行」は俳優キアヌ・リーヴスを語る上で欠かせない作品なのだ。
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第10回
「ザ・カンニング/IQ=0」
1982年フランス
(ビデオ有)
監督:
クロード・シディ
出演:
ダニエル・オーターユ、フィリップ・タッシーニ、
カトリーヌ・エラルディ他。
外国語アレルギーも退散?フランス映画ビギナー向けコメディ作品。
 
 洋画の中でアメリカ映画をよく観ても、フランス映画となると苦手という人は多いのではないか。ここ数年はミニシアター系が注目されるようになり、そうは云い切れなくなったが、昔は随分と敬遠されたものだ。確かに英語なら喋れなくとも親しみが持てる。案外、中学英語もバカにできないもの。やはりフランス語にはその言葉の持つ独特の雰囲気、語気が見えない壁を作ってしまうようだ。映画雑誌の人気投票でハリウッド俳優が上位を占めるのはそのためである。

 かつてテレビで放送されるほとんどのフランス映画は日本語吹替。アラン・ドロンなら野沢那智、ジャンポール・ベルモンドなら山田康雄が定番であった。だから放送ではフランス語の持つ雰囲気はスポイルされ、会話のオシャレさだけが色濃くなる。ただ元々彼らの粋なトークにはフランス語っぽさがあり、フランス映画に興味を持つキッカケを作っていたのは確かだ。ただフランス映画を劇場で観ようという気持までにはなかなか至らなかった。そんな中で初めて映画館で観たフランス映画が「ザ・カンニング/IQ=0」である。

 実はこの映画をフランス製という意識を持って劇場に足を運んでいなかった。コメディ、カンニングというキーワードがポイント。特に当時中学生だった僕らにとって欠かせないのが二つ目のカンニングだった。TVCMや映画紹介でいいトコだけ見せるカンニング。007でカッコいい小道具に刺激された頃で、この作品に登場するはそれらに匹敵するカンニング道具(?)の数々。劇場では更なる見せ場を期待、そして予想にたがわぬシーンの連続だった。そしてコメディとしても良質。またハリウッド産とは異質。ヨーロッパ特有の(お上品な)笑い、どこか大人っぽい恋愛感等、フランス映画のエッセンスを満載し、ある意味で中学生には刺激的な作品だったと思う。

 そしてこの時感じたのがフランス語とコメディとの意外な相性。早口なフランス語はコメディには最適で独特のリズムとテンポを生んでいく。その後観るトリュフォーの作品等、それらが単なるハートウォーミングに終わっていないのはフランス語による要因が大きいと思う。またそれがあるからこそ、微笑ましく感じるものなのだ。

 とにかく今観てもこの作品は何度でも笑える。そしてこの作品だけは日本語吹替でなくフランス語で観たい。絶叫、まくし立て、リズム感、そして笑えるストーリー。ビギナー向けフランス映画としてオススメしたい作品である。
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第9回
「ファイナル・カウントダウン」
1980年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ドン・テーラー
出演:
カーク・ダグラス、マーティン・シーン、
キャサリン・ロス、ジェームズ・ファレンティノ他。
歴史的事件、真珠湾攻撃をクロスオーバーさせたタイムスリップもの。
 
ファイナル・カウントダウン
SF映画の定番として数多くのタイムスリップ物がある。洋画では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を筆頭に「ターミネーター」、日本では「ドラえもん」がこれに当たるだろう。これらの醍醐味は時代差によるギャップではなかろうか。現代人が江戸時代へ現われたり、また逆に過去の人間が現代に現われて騒動を巻き起こしたりする。そしてその騒動が歴史を変えたり、またはそれを防ごうとする姿の描かれることが多い。タイムスリップものには絶えずそんなハラハラ感がつきまとう。タイムスリップもののもう一つの醍醐味に夢の対決というのがある。時代を超えてヒーローが雌雄を決するというもの。そしてそれを実現した映画がこの「ファイナル・カウントダウン」である。

 アメリカ海軍の原子力空母ニミッツがハワイ真珠湾沖で嵐に遭遇。一見何もかもが同じに思われた瞬間、上空をかすめたのがあのゼロ式戦闘機、日本のゼロ戦である。そう彼らは1941年12月にタイムスリップしたのだった。歴史を守る方をとるか、あるいは日本軍の真珠湾攻撃を阻止するか。最新メカニズムを備えたニミッツと艦載兵器群、そして彼らはどのような回答を出すのか。果たして元の時代に戻れるのか。これはタイムスリップものの醍醐味満載の作品なのである。

 アメリカ映画で真珠湾攻撃が取り上げられるのは少なくない。「トラ・トラ・トラ」やスピルバーグの「1941」等の有名な作品もある。太平洋戦争の口火を切った歴史的出来事である。もちろんそれと同時にアメリカにとっての真珠湾攻撃は売られた喧嘩であり、日本にとっては喧嘩相手を本気にさせてしまった歴史的事件、出来事である。不意打ち、武士道の日本らしからぬ卑怯な手段。だからこそ「リメンバー・パールハーバー!」。彼らアメリカは映画に真珠湾攻撃を取り上げるのだ。本作ではそんな遺恨を(当時の)最新鋭戦闘機にゼロ戦とのドックファイトを演出する。

 カーク・ダグラスやマーティン・シーン、キャサリン・ロスといった名優を配し、歴史的事件をSFとクロスオーバーさせるストーリー。日本にも同じタイムスリップを扱った「戦国自衛隊」があるが、もう一つの可能性として興味をそそるのがこの作品なのかもしれない。ラストに仕掛けられた結末もグッド。
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第8回
「フォード・フェアレーンの冒険」
1990年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
レニー・ハーリン
出演:
アンドリュー・ダイスクレイ、ウェイン・ニュートン、
プリシラ・プレスリー、ロバート・イングランド他。
ロックンロール探偵の活躍は永遠に不滅だ!
 
フォード・フェアレーンの冒険
アメリカのTVバラエティショー「サタデーナイト・ライブ」は有能なコメディアンが誕生する発掘の場でもある(実は日本版「サタデーナイト・ライブ」があの「オレたちひょうきん族」)。「ブルース・ブラザース」のジョン・ベルーシとダン・エイクロイド、「ゴーストバスターズ」のビル・マーレー、「ビバリーヒルズ・コップ」のエディー・マーフィらを始めとして、最近では「オースティン・パワーズ」のマイク・マイヤーズらがその出身者。これらメンバーを見ただけでもそのレベル、そして層の厚さを知ることができるだろう。しかし全ての出演者がトップスターになれる訳でもなく、逆にそれが本場ハリウッドの厚い壁なのだ。

 アンドリュー・ダイスクレイもそんな番組出身者。プレスリーライクなルックスと破天荒な言動。そんな「サタデーナイト・ライブ」での彼を生かしたのがこの「フォード・フェアレーンの冒険」、ハリウッド進出の野望を秘めた銀幕デビュー作でもある。監督はアクション派のレニー・ハーリン。ただ時期的にブレイク監督作となった「ダイ・ハード2」の後に公開されたものの、本作を知るファンは少ないと思う。ちなみに地元の映画館では一週間で打ち切りの憂き目に遭った作品である。

 作品はロック&ハードボイルド。ダイスクレイ演ずるロックンロール探偵が殺されたロック歌手に端を発した難事件の解決に乗り出すというもの。派手な演出も目立つが、とにかくロックがメイン。シーラEやモトリー・クルーなどゲスト出演するアーティストも見どころで彼らの楽曲が収められているサントラも豪華。特にビリー・アイドルの「クレイドル・ラブ」はビルボードのチャートを賑わせた。

 そんな作品であるから公開当初は初登場米興行収益第一位と支持された。しかしニュー・ヒーロー誕生もつかの間、チャートは下降線をたどっていく。その最大の原因はマニアックすぎること。ストーリー、ディティール、全てにおいてである。特にストーリーはバカである。それにダイスクレイはアクが強すぎるし、敵役のロバート・イングランドもメイクを落とせばフレディの面影はない。ただそれだけにツボにハマれば意外と面白い映画なのだ。ダイスクレイのロックンロール探偵ぶり、アシスタントとのやり取りはイカしている。アクションの派手さはさすがジェエル・シルバーのプロデュース。

 結局、ダイスクレイは本作以降泣かず飛ばずでハリウッド制覇の野望も潰えた。でもロックンロール探偵の活躍は永遠に不滅だ。
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第7回
「バタリアン」
1986年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ダン・オバノン
出演:
クルー・ギャラガー他。
時代を超えて残るのは内容よりもこのタイトルなのだ!
 
バタリアン
ダン・オバノンを知っている人は映画ファンでもかなり通である。あの偉大なる「エイリアン」第一作の脚本家の一人であり、フィリップ・K・ディックの短編「模造記憶」を「トータル・リコール」として脚本化したその人である。特に「トータル・リコール」はその内容の膨らませ方に映像化不可能のレッテルを貼らせてしまった程の才能の持ち主なのだ(できた作品はバーホーベン監督のやりたい放題だったが)。一見彼はSFホラーの旗手と思いがちだが、自らメガホンを取ったこの「バタリアン」は一風変わったホラー作品である。

 ジョージ・A・ロメロの傑作「ゾンビ」(原題「ザ・ナイト・オブ・リビング・デッド」)へのオマージュはこの作品のタイトル、「ザ・リターン・オブ・リビング・デッド」にも表れている。もちろん死者の復活を扱った点も同じ。しかしそのアプローチはギャグ満載、笑えるゾンビ達のオンパレードである。タールマン、オバンバ他、見た目気持ちは悪いが、その動きやリアクションはとにかく笑え、その後登場する「ビートルジュース」に相通ずるものがある。とにかくこの作品に一貫しているのはドキドキ感と笑い、つまりダン・オバノンは「ゾンビ」のドキドキ感を笑いと共にブローアップさせたのだ。

 日本の配給元は登場するクリーチャー達の名前を勝手に付け(オバンバなんて日本でしか通用しねえだろー)、タイトルも先述の原題とは程遠い「バタリアン」。一体、何処がバタリアンやねんと思わせるも、その絶妙なネーミングが功を奏してこの作品のヒットを呼んだ。ただ作品に漂うテイストは案外的を得ているかもしれない。またこの「バタリアン」が、後の流行語「オバタリアン」(マンガのタイトル)の原点ともなったのは周知の事実である。

 この映画につけられたキャッチコピーは「驚異のバイオSFX誕生」。当時の流行、バイオ、そしてSFX。とにかく得体の知れない言葉の羅列が新鮮だった。特撮をSFXと呼び始めたのはこの頃からだったかもしれない。スペシャルエフェクトがSFXという言葉になるのも日本らしく不思議なところ。けど配給に当たってタイトルや作品全体に日本の手がここまで入り、かつヒットしたのもこの作品が初めてではないか。「バタリアン」はそんなエポックメーキングな作品なのである。
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第6回
「スペースバンパイア」
1985年アメリカ
(ビデオ有、DVD有)
監督:
トビー・フーパー
出演:
スティーブ・レールズバック、マチルダ・メイ、
フランク・フィンレー他。
結局頭に残るのは巨乳とテーマ(曲)ばかりなり!
 
スペースバンパイア
宇宙モノと呼ばれるジャンル。ルミエールの「月世界旅行」に始まり、「エイリアン」「スターウォーズ」でピークを迎えることになる。敵は宇宙人やゲテモノ、同じ人類まで限りない。これら宇宙モノに共通するのは高い制作費とSFX、そして「スペース...」「スター...」の頭文字があればそこそこのヒットに恵まれるメリット。しかし先のような傑作もあれば、文字通り星の数ほど駄作も多い。それらは大抵、キャストやSFXがチープ。それに結局はヒット作の二番煎じや3番煎じの作品ばかりとなるからだ。やはり傑作となるためには何らかのインパクトが必要。またストレートで来るか、あるいは変化球で攻めるか、それが作品取捨のポイントともなる。そうした宇宙モノの中でもこの「スペースバンパイア」は意外にストレートな作品である。

 宇宙船の中で発見された正体不明の男女。彼らは地球で調査を受けるが、彼らに接触したもの達は精気を吸われてミイラ化。彼らは宇宙を旅していた吸精鬼だったのだ。そして吸精鬼と化した人類はさらにその数を増やし、全世界はハルマゲドンの様相を呈していくというストーリー。「エイリアン」や「遊星よりの物体X」の亜流であり、「スペースバンパイア」以降も「ヒドゥン」や「スピーシーズ」も同じような作品が登場している。確かにこの作品のSFXのレベルは高い。「スターウォーズ」に参加していたジョン・ダイクストラが手掛けており、造形や視覚効果全体に手が行き届いている。ただ先の作品群とこの作品は何処が違うのか。それは次に述べる二点に集約されると思う。それが宇宙から来た吸精鬼を演じるマチルダ・メイとヘンリー・マンシーニのテーマスコア。これらは図抜けて衝撃的だ。

 「スペースバンパイア」と聞いて内容を思い出せなくても、裸の女性が出る宇宙モノとしてならば知っている人は多いと思う。この女性こそがマチルダ・メイ。作品中の冒頭からスッポンポン、ナイスバディで登場する。特に彼女の美巨乳は目の毒ならぬ将にトク(徳)。劇場での男性陣はさぞかし目のヤリ場に困っただろう(この作品のエロな部分は「スピーシーズ」に引き継がれる)。実は八十五年の日本国内興行収入トップテンに入った作品だから、意外と子供連れのお客も多かったのではないか。その描写をどのように子供達へ説明したのだろうか。ちなみにマチルダ・メイはその後、文芸モノに出たりしたがブレイクには至らなかった。

 さてもう一方のポイントがヘンリー・マンシーニのスコアである。一瞬、ジェリー・ゴールドスミスを彷彿とさせる荘厳で強烈なテーマ。ヘンリー・マンシーニといえばTV「刑事コロンボ」のようなイージーリスニング調の楽曲が有名であるが、本作は全く正反対のカラーを打ち出している。一度耳にしたら忘れず、ニュースやバラエティでも重宝がられるほど有名な曲でもある(結構、口ずさめるんだよね)。結局、マチルダ・メイの裸とこのテーマが相乗効果を示し、作品のタイトルと内容を忘れさせるほどのインパクトを残すのだ。
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第5回
「メガフォース」
1982年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ハル・ニーダム
出演:
バリー・ホストウィック、パーシス・カンバッタ、
ヘンリー・シルバ他。
絶句する六一八〇秒 チャチな特撮 何処に消えたか八十七億円
メガフォース
 金曜日の夕方、その新聞広告のほとんどが映画である。翌日、土曜からのロードショーが前提のため、その作品の広告が掲載されるのだ。広告の大きさは作品の規模に応じて異なり、ミニシアター系は小さく、大作ともなれば全面広告になることもある。ただバブルがはじけて以降、そうした作品は稀。記憶に新しいところではタイタニックやSWエピソード1等のイベントムービーが中心となる。それらの大作の莫大な制作費を回収すべく、配給会社は湯水の如く宣伝費をつぎ込む。だが悲しいかな、必ずしも結果が得られる訳ではないのが実情だ。

 一九八二年五月。ある日の夕刊に全面広告が打たれた。制作費八十七億円のSF大作。イラストの砂塵を上げる巨大な装甲車がSFファンである自分の心をつかむ。その映画のタイトルは「メガフォース」。キャストは映画ファン駆け出しの自分には知らない俳優ばかり(唯一の有名俳優は悪役ヘンリー・シルバ)。公開前は八十七億円と巨大装甲車にばかり目が行き、そんな事は気にならかった。果たして八十七億円の行き先とは??今思えば全く不安を持たなかったのが不思議なくらいであった。

 七月公開を前にして身近なところから「メガフォース」前線は近づいてきた。当時購読していたバンダイのPR誌「模型情報」に本作の第一報と「メガクルーザー」のスクラッチ記事が掲載されたのだ。明かされる巨大装甲車「タック・コム」、戦闘バギー「メガクルーザー」、同じくバイク「モト・デストロイヤー」のスペック。その兵器と重厚な装備に要らぬ想像ばかりが高まった。ちなみに「メガクルーザー」のスクラッチ記事はバンダイ製のバギープラモデルの改造でボディーラインの稲妻が印象的。その写真を見て「バギーを改造してメガクルーザーができるのか??」と当時のプラモファンは狂喜したものだ。

 そして同年七月十日、待ち望んだ「メガフォース」が公開された。もちろん初日に劇場入り。作品が始まり、最初の作戦に赴く無国籍軍隊「メガフォース」。輸送機から降下するメカ群。画面上には作戦完了時間までを追う時計が表示されている。夜明け前、薄暗い砂漠の中で作戦は遂行される。ミサイル、レーザー兵器で破壊される敵基地。作戦を終了する「メガフォース」だったが、基地へ帰るには輸送機に乗らねばならない。日中、白日の下に明かされる「メガフォース」。期待を持たせた巨大装甲車「タック・コム」はチャチな作り物。車に板を貼り合せた小さな車だった。所詮「メガクルーザー」はバギーの改造車。放たれるレーザー砲はバリバリの光学合成。そして極めつけは「モト・デストロイヤー」。クライマックス?輸送機に乗り遅れた主人公エース。迫る敵軍の追手。しかし間一髪、「モト・デストロイヤー」に取り付けられたボタンを押すと、ジェットエンジンと主翼が伸びて輸送機に向かって飛んでいく。だがその特撮(当時はSFXという言葉はない)は目に見えるスクリーン合成で超チープ。そんなエンディングを終えると劇場に大きなため息が起きた。砂塵の中に消えた八十七億円と「メガフォース」。映画の出来が制作費で決まらないのを初めて教えてくれた映画だった。
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第4回
「デッドリー・フレンド」
1987年アメリカ
(ビデオ有)
監督:
ウェス・クレイブン
出演:
マシュー・ラポート、クリスティ・スワンソン他。
露出するメカが痛々しい。ああ彼女がロボットに...
デッドリー・フレンド
 昨年の暮れ、横浜で行なわれたロボット博覧会には度肝を抜かれた。二足歩行のアイボはパラパラを見事に踊り、ホンダのASIMOはP1、P3からより小型化、さらに進化を遂げて、より人間の動きに近づいた。不可能と思われた二足歩行を現実化した日本の技術力。しかし今回の発表はそれを超えていた。二〇〇三年の鉄腕アトム誕生に間に合いそうはないが、十分に未来を感じさせるパフォーマンスだったと思う。

 映画の世界でロボットというと「メトロポリス」のマリア、「禁断の惑星」のロビー等、古典的なものがまず頭に浮かぶ。その後「スター・ウォーズ」のC3−POやR2−D2、人間を凌駕した「ターミネーター」のT−800まで名作、駄作を問わず、多くのロボットが登場してきた。ただ個人的には外せない一篇がある。それが「デッドリー・フレンド」という作品。「エルム街の悪夢」のウェス・クレイブンによるSFホラーである。

 主演はマシュー・ラポート。彼を知っている人はかなりの通ではなかろうか。ちなみに彼はこの映画以前に、NHKで放送された「マイコン大作戦」という海外テレビシリーズで主演している。メガネの似合うオタクっぽく、この作品でも同じようなキャラクターで登場している。そして彼は劇中「ショート・サーキット」のジョニー5を彷彿させるルックスのロボットを完成させる。手作りながらよくできたロボットだった。そしてその傍らには彼のガールフレンドがいつも居た。そこまでは普通のSF映画だった。

 しかし物語は急展開をみせる。ガールフレンドが事故でこの世を去ってしまうのだ。そして主人公の狂気の行動をとらせる。何と彼女を蘇らせるべく作ったロボットとの融合を試みる。つまり彼女をロボットに改造してしまうのだ。一見蘇った彼女のようであったが、中身は違う。やがて嫉妬を生み、徐々に本性をあらわす彼女。そして物語は悲劇に変わっていく。

 「エルム街」のクレイブンらしくティーンエージャーのホラーだが、何しろロボット化した彼女が痛々しい。メカニカルな骨格と人の組み合わせが苦手なのだ。メカの露出するともうダメだ。中でもユル・ブリンナーが出た「ウェスト・ワールド」は最も苦手とした映画だ。結局この傾向はシュワちゃんの「ターミネーター」が登場するまで続く事になる。
 人間同士の事件でも大変なのにこれにロボットが加わる。二十一世紀に入り、やっと第一歩を踏み始めたロボット文化であるが、その先に何があるのか?共存か、それとも...これはそんなロボットが事件を起こす未来を先取りした映画なのかもしれない。
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第3回
「激走!五〇〇〇キロ」
1977年アメリカ
(ビデオ有?、DVD?)
監督:
チャック・ベール
出演:
マイケル・サラザン、ラウル・ジュリア、ノーザン・キートン他。
あの月曜ロードショー定番作品、大陸横断レース「ガムボール」!
激走!五〇〇〇キロ
 小学校以前は東映まんがまつりこそが映画であった。学校でも割引券が配布され、夏休み、冬休み、春休みの年三回、親と観に行く事が楽しみだった。もちろん特製紙製キャップを頭に被って帰るのはいうまでもない(ウチの田舎の東映では上映前、何故か舞台に上がって騒ぐ子供が多かったなあ)。

 映画を本格的に劇場で観るようになったのは中学以降の事。だからそれまではテレビで映画を観る事が多かった。何といってもテレビで映画といえば、月曜ロードショーとゴールデン洋画劇場である(ちなみに地元では水曜ロードショー(現金曜)と日曜洋画劇場はかなり後でネットされるようになった)。通常、この手の映画放送のパーソナリティーはかなりキャラクターが濃いのだが、月曜ロードショーの荻昌弘さんはその中でも大人しめ。でも的確な語り口、そして冒頭の「こんばんは、おぎーまさひろです」は当時の僕らの口癖でもあった。その後、荻さんが亡くなってからはパーソナリティー不在、日曜の昼間に時間が異動するが、TBSはゴールデンタイムから映画放送を撤退する事になる。

 さて月曜ロードショーで思い出される映画といえば「007は二度死ぬ」、何故かロッキーではなく「ロッキー2」、ピーター・フォンダ主演の恐ーい「悪魔の追跡」、そしてこの「激走!五〇〇〇キロ」である。前週でも触れたように筆者は幼少から車好きでこの作品も例に洩れない。大陸横断レースなのだがシリアスムードは微塵もない。気軽に始まったレースらしく、のんびりした雰囲気が漂う。ただ見渡す限りの大平原を車でぶっ飛ばす快感は画面からも伝わってくる。また気のいいバイク男は飛んでいってしまうことも度々、その度に笑いが起きる。その後、豪華キャストで作られた「キャノンボール」シリーズの原形のような作品だ。

 でもこの映画って地味なキャスト(のちの名優、故ラウル・ジュリアは出演しているが)、名車は登場するがスーパーカーらしい車は出てこない。ただ車を飛ばすだけで何も残らない作品ではある。だから放送があればその記憶を埋めるべく放送のたびに又観てしまうのだ。本当につまらない映画では中々そうはいかないもの。底知れぬ魅力か、単なる車バカのための映画か、その理由はいまだ分からない。でも一つだけいえるのは合言葉は「ガムボール!」。
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第2回
「デス・レース二〇〇〇年」
1975年アメリカ
(ビデオ有?、DVD有?)
監督:
ポール・バーデル
出演:
デビッド・キャラダイン、シモーヌ・グリフィス、シルベスター・スタローン他。
チープな二〇〇〇年に現在の暴力性を見事に予見!
デス・レース二〇〇〇年
 一九七六年の暮れだったろうか?記憶は定かではない。筆者の中学時代の出来事である。思春期真っ只中、初めて買ったエロ本は学研の「momoko」だった。男なら誰もが通る道。ただ学研といえば正式名称は学習研究社、だからエロ本といってもかなり可愛いものであった。元々は菊地桃子を売り出すきっかけとなった「モモコクラブ」が中心で内容的にはアイドルグラビアがほとんど、ちょっとだけエッチなページがあった程度だった。ちなみに学研はあの「パンツの穴」で有名な「BOMB」も発売、「学習」「科学」シリーズを売る裏では非青少年向け雑誌を売っていたのだ。

 余談はさておき、そんな初めて買ったエロ本に映画紹介のコーナーがあり、思わずその写真に心奪われた。猛牛をあしらいマシンガンを装備、そんな奇怪な車が砂煙を上げていたのだ。子供の頃から車が好きで「チキチキマシン猛レース」「マシンハヤブサ」「マシーン飛竜」等のアニメに目がなかった者にはとにかく気になって仕方がない。実在に在り得ない車、それを実写でやってしまっているのだ。そしてその映画こそ「デス・レース二〇〇〇年」。タイトルに負けない位、実にクレージーでカルトな映画だった。

 ところが筆者、この映画を劇場で観ていない。日本公開は七十七年。当時、自分から劇場へ足を運ぶ事がなかったからだ。初めて実物を観たのは日本公開から数年後の年始、テレビの地方ローカル局、深夜映画劇場で放送されていたものだった。今考えればテレビ東京で放送されたものをそのまま放送したのだろう。何処かしら吹替にもチープさを感じる。

 冒頭、絶叫、熱狂するレポーター。これから狂気のレースが始まるのだ。時は西暦二〇〇〇年、全世界は統一されアメリカ連邦とその名を変えていた。自由を失ったそんな世界で国民の人気は、人を殺す事で得点を得る自動車競走、デス・レースに集中していた。カルト的な人気を誇るフランケンシュタイン(カルト俳優D.キャラダイン)、切れたら恐いマシンガンジョー(あのシルベスター・スタローン)等、個性溢れる面々。そして彼らの駆る車達。しかし初めて見た写真と異なり、実際の車はかなりチープなものだった。

 この映画の見どころは奇怪な車の活躍、そして哀れに死んでいく人々である。その死にざまは実にあっけない。自ら車に轢かれようとする者、工事現場でマヌケに死んでいく者、釣り場で追いかけられた末に死んでいく者等。この映画の特徴は人を轢き殺して点が得られる事なのだ。向かうは病院、高得点を狙って高齢者を轢くと思いきや、近くにいた看護婦を轢きまくる。ブラックな笑いに満ちたこの映画に高尚なテーマは無い。暴力的な爽快感だけが全て、まるで今の若者の行動を予見するかのような映画だ。
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第1回
「探偵マイク・ハマー/俺が掟だ」
1982年アメリカ
(ビデオ有、未DVD化)
監督:
リチャード・T・へフロン
出演:
アーマンド・アサンテ、ローレン・ランドン他
強烈なインパクト?走る!走る!ハマーにハマった「俺が掟だ!」
探偵マイク・ハマー俺が掟だ!
 キッカケはふとした事だった。高校の夏休み、田舎から東京へ出てきた時の事。友人が名画座でバート・レイノルズの「シャーキーズ・マシーン」を観たいと言い出し、付きあうことにした。それ程広くない映画館で夕時、ちょっと疲れが出ていたかもしれない。間もなく「シャーキーズ・マシーン」が始まるも、襲うのは睡魔だけだった。ただここは東京の名画座(詳しい場所は忘れた)、二本立て、三本立ては当り前。この名画座も例外ではなかった。学生時代、同時上映はすべて観ることが当り前だったので、僕らは当然のように席に残っていた。

 次の映画が始まる。考えてみればタイトルを観ずにこの映画館に入っていた。都会的なオープニング。冒頭、主人公の探偵が夫の依頼で妻の監視役を引き受ける。そして場面は変わる。電話に出た主人公は「奥様に変わりはありません」と答える。しかし...電話中、一緒にベッドインしているのは何をかくそう依頼人の妻だったのだ。失笑、しかしそんなこの映画の"つかみ"に見事にハマってしまった。

 正直云って「探偵マイク・ハマー/俺が掟だ」はとても下品な映画である。下品極まりないのはそんなジョークそのものを云っているのではない。映像もしかりだ。アメリカのハードコア俳優(日本でいうポルノ俳優)が大挙出演。劇中、モザイクの嵐が吹き荒れたのは「エマニエル夫人」とこの作品が位ではないか。もちろん主人公も例外ではない。主演のアーマンド・アサンテも共演のバーバラ・カレラ(ネバー・セイ・ネバー・アゲイン等)とのネチっこいベッドシーンがある。今なら「バトル・ロワイアル」と別の意味で間違いなくR−15指定だろう。

 ただここまで云うと単なるスケベ映画と思われるだろうが、この作品の良さはバランスとスピード感だ。バランス的にはスケベさとアクション(スケベなことではない)、そしてストーリーが秀逸。ミッキー・スピレーンの原作を八十年代向けにリメイクし、時代に合わせたハマー像を構築した。これをサポートするのが「ロッキー」でおなじみ、ビル・コンティの音楽。ピアノを上手く使ったリズムライン、アクションを盛り上げる。そしてこの探偵とにかく走るのだ。前半のカーアクションも見どころだが、街中を走るハマーの姿はさすが都会の探偵と思わせてくれる。昨今ある銃をぶっ放すだけの映画がアクションムービーではないのだ。

 ローレン・ランドンのアシスタントぶりも見逃せない。ハマーの使うブローニングを調整するとこなんかニクイ(ブローニングが登場する映画のオープニングタイトルがめちゃカッコいい!)。「コブラ」のレディ(もちろん漫画のヤツ)を彷彿とさせるナイスコンビネーションだ。アラン・キング、ポール・ソルビーノ(女優ミラ・ソルビーノの父)他の脇役陣もいい。またサイコなヤツも登場、時代を先取りしている。なお監督のテフロンはあのSFTVシリーズ「V」を手掛けている。

 でもこの映画、終わってみればビル・コンティの音楽とスケベな描写が強烈なインパクト、当時の僕らには刺激が強すぎたかもしれない。果たして虜にされた理由はこの映画がスケベだったからなのか。でもいまだこの作品を超える探偵モノには出会えていないことも確かではある。ちなみに初めて観た数年後。「日曜洋画劇場」でTV放映される事を知り、高校の部活内で他の友人に宣伝しまくった。翌日評判を聞くと彼らはすっかり「ハマー」にハマっていた...
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