ハ行

作品名 媒体名 短評
「バイオハザード ツインパック」
(SPE BP-199)
オススメ
バイオハザード ツインパック
DVDVideo
片面2層
「エイリアン」シリーズの亜流、
派手に展開するゲームムービー
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語5.1ch
dts
英語5.1ch
 Tウイルスに感染したハイブ(地下研究所)の影響は、ついに地上のラクーンシティに及んだ。アンブレラ社は壁で囲み、ラクーンシティの隔離を図る。取り残されたジルたちは教会に逃げ込んだ。だが彼らを待ち受けていたのはゾンビたち。危機に見舞われた中、助けに来たのはあのアリスだった。前日譚的な扱いだった前作を受け、人気ゲーム「バイオハザード」の世界を映画化した第二弾(バイオハザードII アポカリプス)。
 今回はミラ・ジョボヴィッチ演じるアリスに加え、人気キャラであるジル・バレンタインが登場。しかも演じるシエンナ・ギロリーがなかなか似ていて、この点だけでもこの作品を観る価値がある。ジルがアリスに対し、「私も強いけど、あなたには負けるわ」のセリフは笑える。この映画の主役は女性コンビであり、「エイリアン」シリーズの亜流ともとれる。特に今回、『子供を守る』という点では「エイリアン2」からのインスパイアも感じる。製作と脚本を担当した前作の監督ポール・W・S・アンダーソンは、のちに「エイリアンVSプレデター」を手掛けているので、あながちこうした見方は間違っていないだろう。
 本作の監督はアレクサンダー・ウィットにスイッチ。ただ先の通り、アンダーソンは脚本と製作で参加しており、世界観は見事に引き継がれている。なおウィットは元々、アクション映画の第二班監督を経ているだけあって、見せ場は心得ており、ガンアクション、アンデッド(ゾンビ)たちとの戦いも迫力がある。女優陣のアクションも堂に入った印象(一部、スタントマンとの顔の差し替えがあったりするが。まるでシュワちゃんの「バトルランナー」ばり、映像技術の進化を痛感)。しかしながら過度な映像エフェクトが時折みられ、少々邪魔に感じた。
 今回購入したDVDは、前作とセットのツインパックを選択、特典映像も充実の三枚組である(前作は既発のものと同じ)。なお画質は前作のほうがやや優秀(北米盤の良さを継承)、画も音もクリア。本作単体で観た場合、画質はクールで可もなく不可もなくといった印象。ただ前作の画質を観てしまうと物足りなさは否めない。なおサラウンドは派手に展開するゲームムービーである。画質A、音質A、サラウンドS。平均ビットレートは6.55MB/sec。(05/03/19)
99年12月・この1枚
バグズライフ
(VWDS-4362)

バグズライフ
DVDVideo
片面2層
最先端のCGアニメ
ピクサーと組んだ、これぞディズニーの底力
レターボックス
TVサイズ
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語2ch
全編3DCGアニメ「トイストーリー」で世界の度肝を抜いたディズニーとピクサー社が送る第二弾。モチーフは一連の黒澤作品「七人の侍」や「用心棒」がヒントのような気がする。また公開時期が同コンセプトの作品「アンツ」(スピルバーグのドリームワークス製作)と重なったが、興行的にはこちらの方が上だったようだ。やはり一日の長、それもこれもトイストーリーで培った技術をさらに突き詰めた結果だろう。各キャラ全く同じ動きの無い群衆シーンやリアリティの高い背景やキャラ描写はそれを物語っている。ラストはCGキャラにNGシーンをさせる芸の細かさ。ただ一つ残念なのはCGシーンが優秀でも完全にリアリティ(リアルすぎるのも困るが)やキャラ描写が十分に伴っている訳ではなく、やや中途半端な感は否めない。そしてその辺が感情移入に水を差す結果になったかもしれない。ただそれでも面白い作品であることには変わりはないが。 このDVDは映像が4:3のレターボックスとTVサイズを同時収録。再生前にどちらかを選択できる。非スクイーズながらどちらも高画質。ダイレクトデジタル加工と銘打っているだけのことはある。またTVサイズリリースに際し、スクリーンサイズにより欠けた部分を再製作し画面を成立させている。これもCG技術の賜物だろう。音の方も最新作としては及第点。派手な戦闘シーンを彩るサラウンドは適度に派手で好感。画質Sクラス、音質Aクラス、サラウンドAクラス。 なお97年オスカーを受賞した「ゲーリーじいさんのチェス」が特別収録され、こちらも必見。
パトリオットゲーム
パトリオットゲーム
LaserDisc
CLV2面
サスペンスタッチのシリーズ2作目。映画会社の意向から、ライアン役はハリソン・フォードに代わった。アクションシーンや見せ場はシリーズ中最も少ないかも。ただストーリー自体はツボを押さえた作りで飽きさせない。画質AB、音質A、サラウンドA。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
「バック・トゥ・ザ・フューチャートリロジー」
(UJSD-01040)
オススメ
バック・トゥ・ザ・フューチャートリロジー
DVDVideo
片面2層
タイムトラベラーは射撃が得意?
ドクとマーティの感涙トリロジー。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語5.1ch他

dts
英語5.1ch
1985年11月、タイムマシンを完成させたブラウン博士。博士は友人の高校生マーティとテスト運転を行ない、愛犬によるタイムトラベルは成功、自らが未来に旅立とうとしていた。しかし博士は動力源であるプルトニウムを騙し取ったリビア人に銃殺されてしまう。そこでマーティはタイムマシンとなったデロリアンに乗り込むが...
 スピルバーグ提供、ロバート・ゼメキス監督のSF映画の傑作。この映画、スピルバーグ印はついているものの、明らかにゼメキスと脚本を担当したボブ・ゲイルの映画である。ウンチク、含蓄があるし、何よりも何度観ても面白い作品。(全てではないが)単に爽快感だけを求めたスピルバーグ作品とは一線を画す。特にパート2以降の徹底したディティール、情報量が凄い。今回、DVDで観直す機会を得たが、その意を強くした。以前はパート2はやり過ぎ、パート3への中継ぎ程度と観ていたものの、ゼメキスのテンポのいい演出、未来は明るくという製作意図に同感。またパート1を下地にストーリーを成立させた手腕には恐れ入る。
 そして監督が最も作りたかった西部劇をパート3、しかもSFで実現させるあたりがゼメキスらしい。また三作に共通する時代の生むギャップが楽しい。そしてあらためて気づいたのはSF名作における意外な共通点。本作のマーティ、何とあの「ドラえもん」ののび太、二人とも射撃が得意という経歴を持つ。備えあれば憂いなし、タイムトラベラーは射撃が得意なほうが良いようだ。多くの80年代中毒者にとって本作パート1で作品を懐かしみ、パート2では複雑に入り組んだストーリーに感嘆、そして大団円を迎えるパート3に感涙すること必至。パート3のエンディングでドクの言ったセリフは琴線を刺激する。
 さて特典の多いこのDVDだが、画質はパート1がBクラス、パート2がABクラス、パート3がAクラスといったところ。ただパート3は画質にバラツキが多く、トータルでの評価。暗いシーンはダメだが日照下ではカラフルでいい。一方パート1のレストア度はLDから大きく前進した感がなく、物足らないかもしれない。しかし音質は向上、パート3でLDとの差が少ない分、パート1ではだいぶ良化している。一部クリップしていたセリフもクリアだった。サラウンドもやや強化された形、パート3の出来は出色。推奨盤。平均ビットレートはシリーズ通して約7MB/sec。一分当たり約28.6円。
バックトゥザフューチャー
バックトゥザフューチャー
LaserDisc
CLV2面
R・ゼメキス監督とスピルバーグのアンブリンが組んだSFタイムトラベルものの傑作。この作品でマイケル・J・フォックスは世界的に大ブレイク。タイムマシーンとなるデロリアンもSFチックなデザインだった。音質、画質はLD初期の定番で電気店のデモとしても重宝した。続編2作に比べると音のエネルギー感が乏しい。それでもキメ細かいサラウンドは良い。画質B、音質AB、サラウンドA。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
バックトゥザフューチャー2
バックトゥザフューチャー2
LaserDisc
CLV2面
3と同時進行で作られた2作目。元が35mmのテレビサイズで撮られているため、正直LBで無くても良いのでは。またテレビ用にBGMのレベルに対して台詞の録音レベルが高く、全体的に初めからレンタル市場を意識したソフト作り。まあ作品としては、1と3の中継ぎ的な存在であまり好きではない。画質A、音質A、サラウンドA。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
バックトゥザフューチャー3
(輸入盤)

バックトゥザフューチャー3輸入盤
LaserDisc
CLV2面
CAV1面
退屈だった前作のうっぷんを晴らす完結編。西部劇を中心としたパロディ満載。元々このシリーズで西部開拓時代を描きたかったゼメキス監督の意向がストーリー、音楽に反映されている。3面がCAV仕様。デロリアンが線路を疾走するシーンは手に汗握る。まさに最後に相応しい音作り。字幕がなくても楽しめる。画質A、音質A、サラウンドS。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
バックドラフトバックドラフト LaserDisc
CLV2面
ヒューマニズムならお任せのロン・ハワード監督による火、炎が主役といっていい映画。生きもののように這い、鋭く伸び人を襲う。とはいっても恐怖映画ではないが。TV「料理の鉄人」でおなじみのハンス・ジマーによる音楽も印象的。画質と音質は優秀、特に炎の包囲感や爆発は圧巻。画質A、音質A、サラウンドS。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
「初恋のきた道」
(SPE SDD-30386)

オススメ
初恋のきた道
DVDVideo
片面1層
急逝した父へ逢いに戻るションス。目にしたのは父の死に落胆する母。だが母は村のならわし通り、父を担いで村へ帰したいと懇願する。その裏には母の切なる想いが、そして描かれていく父と母の初めての出会いと物語。「この子を探して」のチャン・イーモウ監督による超々純愛ラブストーリー。この作品の魅力はチャン・ツィイーに尽きる。「グリーン・ディスティニー」でも同じ事を述べたが、本作はさらにその思いを強くする。特に快活だった「グリーン・ディスティニー」に対して初々しさという言葉が相応しいのが本作だ。特にツィイーの笑顔は罪、男を殺す武器なのだ。そしてこの作品を観た男性は皆同じように思うだろう。「こんな子に愛されたい!」だがツィイーは近作「ラッシュアワー2」で女殺し屋役で出演。裏の顔、やっぱり女の子は恐かった?もちろん前作譲り、演技を感じないイーモウ監督の素朴で自然な演出。またストーリーの中で衣・食・住の中国文化を描いている点は見逃せない。そしてラストシーンにはジーンと来ること必至。皆さん、ご両親は大切にしましょう。画はカラフル。食べ物は食欲をそそり、中国の大平原や自然の厳しさが伝える。ディティールより情緒的な画だ。音質もクリア。食器の当たる音が妙にリアル。オケもまずまず。サラウンドも雰囲気を伝える。画質A、音質AB、サラウンドAB。今年最高に泣ける一枚。「あの子を探して」とのセット品なら初期生産のみピクチャーディスク。一分当り約四十三円。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
中国語5.1ch
+日本語5.1ch他
パッセンジャー57
パッセンジャー57
DVDVideo
片面1層
ハイジャックされたジャンボ機と元テロ対策のエキスパートとの戦い。スターと呼べるのはウエズリー・スナイプスだけで作品中は孤軍奮闘、ジェット機の車輪にぶら下がったのを見たのは過去A・シュワルツェネッガーと彼だけだ。テロものにはありがちな馬鹿な警察も健在、84分の作品なのでストーリーは無駄なく見せる。画質は及第点だが、やや暗いかも。音はクリアではないが迫力がある。ただ機内中を含めて常時、サラウンド感はある。3400円で買うなら気が引けるかもしれないが、期間限定のワーナーの特別セール中(1980円)なら絶対買いだ。画質A、音質A、サラウンドA。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語 5.1ch
日本語2ch
バットマン
バットマン
LaserDisc
CLV3面
T・バートン監督による第1作。そしてビートルジュース以降の同監督のテイストを感じることができる。ダークなイメージは1・2作の方が良かった。ジョーカー役のJ・ニコルソンはパワー全開。画質・音質は水準だが、字幕は眩しいくらい明るく、目障りだ。画質AB、音質A、サラウンドA。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
バットマンリターンズ
バットマンリターンズ
LaserDisc
CLV3面
少しアカ抜けた第2作。とはいえ相変わらずT・バートンカラー一色、ただ日本人の趣向にはやや合わないかも。影あるヒーローは相変わらず健在。対してキャットウーマンのM・ファイファーはモーレツに色っぽい。画質も前作に比べて向上した感がある。画質A、音質A、サラウンドA。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
バットマンフォーエバー
バットマンフォーエバー
LaserDisc
CLV2面
バートンが製作にまわった3作目。大作請負人、J・シューマッカーが監督。雰囲気は前作並で、内容は単なるアメコミ化してしまった印象。画質A、音質A、サラウンドA。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
バットマン&ロビン
(DLT-16500)
バットマン&ロビン
DVDVideo
片面2層
シリーズを支えてきたティム・バートンが離れた初めてのバットマン。世界観は継承しているものの、内容とキャラクターは若干変更された。ストーリーは子供だまし。バットマンとロビンはユマ・サーマン演じるミス・アイビーの色香にメロメロ。ヒーローの欠片もない。バートン印のダークなバットマンを期待した人はガッカリするだろう。それに彼のファンには悪いが、ジョージ・クルーニーのバットマンは不似合いだ。同じヒーローでも迷彩服でベレッタを構えた方が彼には似合う。とにかくトップクレジットのシュワちゃん一人(心臓手術前)が気を吐いている、彼あっての作品。それにアリシア・シルバーストーンのバットガールも似合っていたが、年齢的に続編での再登板は難しい?いや作品的にこのシリーズの存続自体が危ういのではと思わさせる。画質は色の洪水、暗いがカラフルでSクラス。オケも重厚、SEも見事。音質、サラウンド共にAクラス以上の出来。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語5.1ch
(ハル)
(バンダイビジュアル BCBJ-1083)
オススメ
(ハル)
DVDVideo
片面2層
インターネットブーム以前、
今を予見した新しい恋愛の形。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
日本語2ch
 パソコン通信「映画フォーラム」で交流するハルとほし。メールをやり取りするようになった二人は、メールの中で互いの親交を深めていくのだった。やがてチャットやメールは二人に欠かせないものとなっていく。だが突然、同じ男だと思ったほしが自分は女性だと告白するメールが送られてくる。インターネットブーム以前、まだパソコン通信がマイナーな存在だった頃を舞台に、新しい恋愛の形を描いたのがこの(ハル)である。SEのモデムの送受信音が今となっては懐かしい。
 "日本人にとっての映画字幕"、森田芳光は最も直接的なこの表現を逆手に取り、文字を主役にした映画を作った。映画の半分は大げさだが、その多くをチャットやメールの文字が占める。ただディスプレイの文字を映すのでなく、テロップである点がやさしい。手法は一見デジタルだが、アナログ的なアプローチ、上辺の言葉でなく心の交流を描いている。先見の明、メールなくして成り立たない今の生活を見越した訳ではなかろう。ただ今のメールがよりデジタル的で殺伐としている分、この映画にある表現こそ本来あるべき姿、純粋なものを感じる(ハリウッド産の「ユー・ガット・メール」なんてちゃんちゃらオカシイ)。
 ただし映画がチャットやメールが占める割合が多い分、映画として表現の仕方は難しい。だが本作は音楽、音を巧みに使いリズムを作っている。粋なジャズ、沈黙、SE等、ハルとほしの二人の感情を表すかのような使い方が観る側の心を捉える。奇をてらわず、オーソドックスなのも好感。八十五年の作品だが、時代を経ても全く色褪せる事のない恋愛映画だと思う。主役の二人、深津絵里と内野聖陽もピュアで印象的だった。
 さてそのDVD。まず森田監督のインタビュー画面、そんな本作を彷彿とさせる演出が泣かせる。全ての森田作品は好きでないが、監督の本作における行き届いた視点には納得した。さて画質はやや退色気味(ある意味バンダイの邦画DVDらしい)な面はある。ただキメの細かさを持ち、下町の名画座で観ている印象。すると何と平均ビットレートは8.46MB/secとハイレベルな収録。音声もドルビーデジタル2chだけ(5.1chはなし)。さらに少ない特典、ディスク容量も画質におごっている事が判る。画質とのバランスを考えれば、この音質も可もなく不可もないこのレベルが妥当なのかも。サラウンドは2chで派手さはないが、雰囲気はあって粋な演出である。画質Aクラス、音質ABクラス、サラウンドAクラス。一分当たり約29.6円。
パルプフィクション
パルプフィクション
LaserDisc
CLV3面
タランティーノのオムニバスっぽいが実は巧妙にリンクしたクライムストーリー。主演のトラボルタはこの作品で復活を決定づけた。S.L.ジャクソン、B.ウィリスと豪華なキャスティングも魅力。タランティーノは音楽の使い方がうまい数少ない監督の一人で、サントラもGood。画質、音質共に水準レベル以上でサラウンド効果もまずまずだが、ここぞという聴き所はない。画質AB、音質A、サラウンドA。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
バンデッドQ
バンデッドQ
LaserDisc
CLV2面
元ビートルズのジョージ・ハリスン製作、テリー・ギリアム監督のSFファンタジー。ストーリーはギリアム監督らしく子供っぽさが溢れる反面、ブラックなユーモアを散りばめてある。この作品の神様と悪魔の描写を漫画「ドラゴンボール」がパクッたと思わせるふしがある。画質は色数が少なく、音質も正直言って良くない。でも大画面向きの作品であることは確か。画質C、音質C、サラウンドC。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
ビートルジュース
オススメ ビートルジュース
DVDVideo 「バットマン」の監督に抜擢されるきっかけを作ったティム・バートンの作品。アニメーター出身らしく、出てくるキャラクターや色彩感覚はモダンアートのよう。そして死後の世界と笑いを融合させたセンスは、その後の「バットマン」シリーズやその他の作品で垣間見ることができる。また「バットマン」でも手を組んだマイケル・キートンが強烈な怪演を見せる。画質はそのセンスを裏付けるようにクオリティが高い。特にDVDらしく赤がよく出ているため、バランスが良い。ただ音の方は及第点だが、サラウンド感は高い。画質A、音質A、サラウンドA。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語 5.1ch
日本語2ch
99年11月・この1枚
ビートルズ/
イエロー・サブマリン

(DL-51170)
ビートルズ/イエロー・サブマリン
DVDVideo 画面に溢れる色の洪水
これこそビートルズの描くファンタジー
レターボックス
DolbyDigital
英語5.1ch
ビートルズのアニメーション、イエロー・サブマリンが2000年を前に復活、デジタルマスター化に加え、音はドルビーデジタル5.1chに対応。すべての鮮度が上がっての登場である。アナログレコード、CD、LDなどあらゆるフォーマットで発売されてきたビートルズは二十世紀を代表するアーティスト。そんな音楽メディアを語る上で欠かせないビートルズの作品がDVDでのリリース。時代を感じずにはいられない。作品的にはアニメというより、キャラクターの動きは少なくポップアートという表現が適切かもしれない。ただバックの映像のセンス、また当時としては珍しいアニメ手法など見るべき点は多い。特に色の洪水、ビートルズのヒット曲とのマッチングは秀逸。また今回のデジタルマスター化を経た映像はけっして古さを感じさせない出来。大画面にも十分に対応し、映像の破綻が無い。ただストーリー的には子供っぽさはある上、やや好き嫌いがあるかもしれない。
そして今回の目玉、ドルビーデジタル5.1ch
化。最新作に音質はやや劣るものの、鮮度という点では十分に高い。時に磨きがかかったサラウンドでの音の演出、リアチャンネルを意識した音作りは、アニメ映像と相まって効果を上げている。画質ABクラス、音質Bクラス。サラウンドAクラス。
二十一世紀を前にDVDで復活したビートルズ。その他の映像作品も同様の手法によりDVD化されるなら、喜ばしい限りなのだが...。
「HERO」
(レントラックジャパンREDV-00020)
オススメ
HERO
DVDVideo
片面2層
フィルムの落ち着いたトーンの中に、
鮮やかさが垣間見える
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
中国語5.1ch
日本語5.1ch
dts
中国語5.1ch
 遙か 太古の中国。秦の王の下へ、暗殺者を成敗したと名乗る役人が現れた。その証拠となる遺品の武器を見せ、王に近づく男、無名。無名と剣を交えた残剣、飛雪、長空ら三人の刺客。そんな無名に興味を持った王はその顛末を語らせたのだった。「初恋のきた道」のチャン・イーモウ監督が描く中国・香港スターによる本格時代劇。
 この作品の魅力はその色彩とテーマとなるアジア的な中国哲学にある。単に派手な戦いを連ね、終局を迎えるような作品ではない。確かにワイヤーアクションの多用は異論があるかもしれないが、その色彩設計と相まって効果を高めている。色は単純ながら、画作りや構成に深みがある。その動き、微妙に加わった風の揺らぎが映像を美しい。CG的に多少効果が過多なシーンもあるが、描かれるテーマで充分に余りあるだろう。
 HEROとは非常に深いタイトルだと思う。暗殺者たちの行動、考えを捉えたものでもあるし、秦の王がその第一歩を踏み出す過程かも知れない。DVDのインタビューでも製作者、スタッフ共にその点に言及している。いずれにせよ、国のためを思う気持ちを示したものだと思う。同じワイヤーアクションで度肝を抜いた「グリーン・デスティニー」よりもテーマ性は高い。(ちなみに配給会社はワイヤーアクション大作というのを嫌って全米公開を二年遅らせている。しかも二週連続全米興行収入第一位)。出演する俳優たちもそれぞれに見応え、存在感のある演技で応えており、テーマ性をより明確にしていて素晴らしい。
 そんな本作のDVD。画も音も比較的高くバランスしている。原色が命な映画なだけに、LD時代ならノイズに埋もれてしまいそうな映像だ。フィルムの落ち着いたトーンの中に、鮮やかさが垣間見える。底抜けのクリアさを感じ無かったのは砂漠のシーンの印象と、再生機器の限界かもしれない(室内セットの映像はソリッドでクリア)。音もレンジが広くクリアでダイナミック。周りの壁が弾けるシーンでは見事にサラウンドを演出する。DVDにあるメイキング、インタビューも作品をより楽しむために興味深い内容だ。画質A、音質A、サラウンドA。平均ビットレート8.5MB/secとハイレート収録。(04/09/17)
羊たちの沈黙オススメ
羊たちの沈黙
LaserDisc
CLV2面
MTVで頭角を表したジョナサン・デミ監督、アカデミー賞作品賞受賞、現在主流のサイコサスペンスの起点となった作品。A・ホプキンスとJ・フォスターの真に迫った演技はさすがアカデミー賞級、大画面では強烈だ。音も地味目にジワジワと迫る恐怖を演出。特に二人の初対面のシーンは秀逸。全般的に画質、音質ともに良好。画質A、音質A、サラウンドA。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
「ビルとテッドの大冒険」
(ハピネットJBIBF-5330)
オススメ
ビルとテッドの大冒険
DVDVideo
片面1層
キアヌのファンなら
思わず隠したくなるような出演作
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語2chモノラル
 ビルとテッドはおバカな高校生。二人はバンドを組み、メジャーデビューを目指しているが練習は進まず終い。それもそのはずで歴史で落第寸前、成果発表の日が迫っていた。そんなある日を前に、コンビニへ向かった二人の目の前に突然、嵐と共に謎の電話ボックスが現われた。電話ボックスから出てきたルーファスという男が二人を助けるという。二人はその提案に乗る事にしたのだが...若き日の「マトリックス」キアヌ・リーヴス主演のおバカでエクセレントなSFアドベンチャー。
 元々、キアヌ・リーヴスはSFづいていた役者だった。「マトリックス」「JM」とサイバーパンクな作品に出演、どちらかというとブレイクした「スピード」の二の線でそのまま進んだ印象だが、実は彼のファンなら思わず隠したくなるような出演作があった。それがこの「ビルとテッドの大冒険」「ビルとテッドの地獄旅行」のシリーズ二作である。少なくとも二作作られただけに、キアヌはこのようなコメディが嫌いなはずは無い。それ程にエクセレントなハマりぶりを本作で魅せている。
 このシリーズの特徴はおバカな高校生、そしてエアギターである。エアギターは今や全米選手権が在るほど有名。ギタープレイをギターを持たずに模してみせるパフォーマンスである。ビルとテッドが決めセリフを繰り出すたび、エアギターを見る事ができる。ハマり方は続編「...地獄旅行」のほうが決まっているが、キアヌのおバカな演技と相まって思わず笑ってしまう。本作の内容は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と「バンデッドQ」を足して2で割ったような雰囲気だが、すこぶるチープ。そして微笑ましい。歴史上の有名人が沢山登場するが、それぞれ個性的で笑える。中でもオススメはナポレオンとフロイトかなぁと。
 そんな一部にカルト的な作品だった「ビルとテッドの大冒険」のDVD。特典は予告編のみと至ってシンプル。だがコメディに必須の日本語吹替を付けてくれて二重丸。気楽に観られるのがいい。画質は古い作品(1989年)のせいか甘々な映像。音はBGMはクリアながら、セリフはナローで気になる。サラウンドもするが移動感はそれほど感じない。とはいえノー天気に笑えるこういう作品は貴重。画質BC、音質BC、サラウンドBC。平均ビットレート5.13MB/sec。(04/11/23)
「ビルとテッドの地獄旅行」
(ハピネットJBBBF-5329)
オススメ
ビルとテッドの地獄旅行
DVDVideo
片面1層
マトリックス以前、
死神との地獄七番勝負は
滑稽でおマヌケな面白さ
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語2ch
 無事に落第を逃れたビルとテッド。だが彼らの行く手を阻むべく未来から刺客が送られてきた。二人の前に現われた刺客。だが刺客はビルとテッドに瓜二つの姿。二人は未来の自分たちと信じたが、グランドキャニオンの果てで崖から突き落とされてしまう。絶命する二人。刺客はビルとテッドになりすまし、バンドコンテストに出場、彼らの存在を危ぶむよう仕掛けられたのだった。一方、ビルとテッドは現世へ戻るべく、地獄の旅を始める。ご存知?ビルとテッドのSFアドベンチャー第二弾。
 ビルとテッドのお約束、おバカな会話にエアギターは本作でも健在。特にエアギターは前作以上にキレの良さをみせる。だが本作の面白さは彼ら二人に絡む死神の存在。死神を演じるのはウィリアム・サドラー。「ダイハード2」で冷徹な敵リーダーその人である。しかし本作でみせるギャップがすこぶる可笑しい。おまけにラップまで披露(ご存知スティーブ・ヴァイによる楽曲。本作は音楽映画の側面も持ってます)。のちに「ショーシャンクの空に」でも好演が光っていたが、本作のキャラが地ではなかろうか。それ程のハマりぶり。ビル&テッドとの地獄七番勝負は滑稽でおマヌケな面白さがある。
 実はだいぶ前に「ビルとテッドの地獄旅行」を先に観ていたのだが、前作「ビルとテッドの大冒険」を今回初めて観て判ったネタも多い。テッドの母親が意外な立場だったし、加えて両者の家族の関係が複雑だった事も発覚。それ以外にも二作を結びつける小ネタを満載。説明的な描写が少ないぶん(前作もそんなには無かったが...)、本作のほうが勢いとテンポがある。そしてシリーズ通しておバカで徹底してSF。いくら「マトリックス」でカッコよく決めていようが、本作のキアヌこそがホンモノだと信じたい。
 DVD化された本作は前作に比べ画質はやや向上。一枚ベールが剥がれた感がある。とはいえ近作に比べれば画質の物足りなさは否めない。ただカラフルな画面がいい。音質も同様でやや向上。極端な変化はないが観易く聴きやすくなった。日本語吹替は前作とキャスティングが違うみたいだが、違和感を感じるよりは吹替によるメリットを感じる。ただキアヌのおバカっぷりって吹替えでは出難いのだけど。画質B、音質B、サラウンドB。平均ビットレート5.49MB/sec。(04/11/30)
ファイトクラブ
(FXBA-14254)

オススメ
DVDVideo
片面2層
「セブン」のデビッド・フィンチャー監督とブラッド・ピットが再タッグ。ただ事実上の主演は孤軍奮闘のエドワード・ノートンである。CGを使ったオープニングからテンポよく、次々と起こる不可解な出来事。しかしタイトル通りの作品と思ったら大間違い。最終的には自問自答、自己啓発的なエヴァ系作品である。それだけにラストのオチは筆者の好みではない。ただ全般的にはこだわりと伏線が散りばめられ、観るほどに味が出るオタク向きムービー(劇場公開時、個人的にはワースト批評だった)。サブリミナル、モザイク有の一カット入りのエンディングまで枚挙いとまがない。またこのDVDは二枚組みでマルチアングルを用いたメイキングや未公開シーン等、一時間以上に渡る映像が別途満載されている。また北米盤を極力踏襲したパッケージも努力賞モノだ。画質は明るくはないがクール、メリハリがあって悪くないAクラス。音は格闘シーンを始めとして聴きどころが多い。レンジは広いがセリフがやや高め(ただしノートンの独白のため、意図的ではある)でAクラス。サラウンドは派手さはないが、よく作り込まれた印象でAクラス。特典含め一分当たり二十四円(特典無しなら四十一円)。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch+
日本語5.1ch
「ファイナル・カウントダウン」
(PAND-1135)
ファイナルカウントダウン
DVDVideo
片面1層
タイムスリップと戦争の先駆的、
If もしもの世界。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語2ch
ハワイ沖へ演習に出航していた米国原子力空母ニミッツ。しかし航海上、突如謎の嵐に遭遇してしまう。やがて同行した船隻は消え失せ、国籍不明の戦闘機に遭遇する。単葉機、日の丸、それがゼロ戦である事に気がつくのに時間は掛からなかった。そしてその日が1941年12月6日であることも...真珠湾攻撃を翌日に迫られ、ニミッツは究極の選択を余儀なくされる。タイムスリップと戦争の先駆的、If もしもの世界を描いた作品。
タイムスリップものの要、それは歴史の転換点を如何に描くかである。同じスタイルで作られた作品で邦画「戦国自衛隊」は天下統一におけるもしもだった。本作は第二次大戦を大きく進めた真珠湾攻撃にスポットを当て、第三者的に遭遇、その緊張感が伝わってくる。超越した軍力を有すれば、その力を如何に...と思うのは当然。歴史の力と対峙するという点は、くしくも前述の「戦国自衛隊」と同じである。ただその結末は尻切れトンボの感は否めないが、本当にやってしまったら二時間では収まらないだろう。だがタイムパラドックスを考慮したラストはニヤリ。
おそらく本作における兵器ファン興味の的は、ゼロ戦対F14トムキャットのドッグファイトだろう。軍のサポートらしい鮮やかな空中戦が展開される。特に発着艦は大迫力。轟音はサラウンドと共に迫ってくる。日本兵のセリフにはつい「速くしゃべろよ」とか「戦時中に"トリック"なんて言葉使うな」とツッコミを入れたくなるが、本作製作当時の日本人(日系人)役者の扱いってこんなものでしょう。そしてタイムスリップの際の画面エフェクトがあのモーリス・ヴィンダーが担当。シルエット、まさに吸い込まれるような嵐は、まるで007のオープニングのような構図は彼らしい。
さてそのDVD。一応スクイーズ収録だが、画質は正直云って悪い。前半はLDと同じマスターでは?と勘ぐってしまうほど、解像度に乏しく、モスキートノイズが目立つ(平均ビットレートは4.99MB/sec)。しかし途中から気にならなかったのは、この作品の魅力のせいかもしれない。音のほうもお世辞にいいとはいえないが、ドルビーサラウンドの威力で移動感は程ほど、リアはやかましいぐらいに迫力がある。ついタイムスリップのシーンでは劇中の乗組員同様に耳を抑えてしまったところだ。画質D、音質C、サラウンドAB。(03/04/10)
「ファイナル・デスティネーション」
(ブエナビスタVMDS3080)

オススメ
ファイナル・ディスティネーション
DVDVideo
片面2層
高校の修学旅行でパリへ行く事になったアレックス。しかし空港へ向かうも不吉な出来事、幻を見てしまう。そして出発の際、機上の彼が強烈な悪夢から目覚めた瞬間から、死神との死へのシナリオは始まっていた。そして現実が悪夢となった時...本国アメリカではヒットを記録したものの、日本では泣かず飛ばず。だがTV「Xファイル」に参加したジェームズ・ウォンが手掛けたストーリーは単なる青春ホラーには終わらない。伏線も見事だし、アレックスと死神との駆け引きはある意味で達観した強さを感じさせる。そして仕掛けられたホラー特有の突然のこけおどし、ショッキングな描写が観るものを襲う。個人的にヒロインの魅力に欠けるが、死と爽快感は紙一重だと感じさせてくれる傑作だ。劇場で既に観ていたが、今回観直してもその印象に変化は無かった。というよりむしろ恐さが増した感じだ。画は及第点レベルだが不満は感じない。明るさは少ないが、ホラーだから良かろう。音の方、セリフはイマイチ。むしろ音の演出に酔う。その点、筋の読める前半よりも後半の方は楽しめる。襲うカミナリ、サラウンドの醍醐味を味わって欲しい。テスティングを行なった製作秘話を含む映像特典も映画ファンには興味深いだろう。画質ABクラス、音質Aクラス、サラウンドAクラス。一分当たり約三十八円。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch+
日本語5.1ch
フィールドオブドリームス
フィールドオブドリームス
LaserDisc
CLV2面
古き良きアメリカと野球文化、そして親子の絆、おそらく個人的ベスト10には入っている作品。当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのK・コスナーが主演。そして何よりJ・ホーナーの音楽がストーリーとマッチしている。画質イマイチだが、ファンタジックなストーリーがいい。画質B、音質A、サラウンドA。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
「V DVDコレクターズBOX」
(ワーナー SD29)オススメ
V DVDコレクターズBOX
DVDVideo
両面1層2枚
片面1層1枚
SFの皮をかぶったトカゲ?
八十年代を代表する傑作SFテレビシリーズ
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語2ch

日本語2ch
 突然、全世界の上空に巨大UFOが出現。UFOには友好と援助を求める地球人と変わらぬ姿をした宇宙人がいた。地球の社会に溶け込む彼ら宇宙人、ビジター。しかしビジターの行動に不審を抱く報道カメラマンのドノバンは彼らの真の正体を知ってしまう。その真の正体とは?同時にビジターの進出が及ぶ社会に危惧し、ジュリーを中心としたレジスタンスは抵抗を試みる...歴史大作の多かったアメリカ三大ネットワークのミニシリーズ。そんな中で八十年代、SFを題材にした本格的なドラマがこの「V」。VはVisitorのVでもあり、VictoryのVでもある。本シリーズの人気は続編「V2・ビジターの逆襲」が製作されたほどであった。
 このドラマが秀逸なのは単なるSFに終わっていない事だ。第二次大戦の発端となったナチスドイツの台頭をSFという鏡に映し、さらに現代アメリカ自身が抱える民族問題をも含めてテーマとしている。原案のケネス・ジョンソンは本作冒頭のミニシリーズの監督も勤め、シリアスに進むドラマとして描いていた。如何に真摯な取り組みだったかは、数々のエピソードが語られる同時収録のコメンタリー(パート1、2のみ)と併せて鑑賞すると興味深い。その分、ジョンソン自身が降板せざる得なかった、パート3以降との描き方のギャップは顕著。やや後半は演出、ディティールが雑になってしまっている(後半の監督は「探偵マイク・ハマー俺が掟だ」のリチャード・T・へフロン)。それゆえにエンディングはジョンソンが望んだ結末かどうかは定かではない。
 もちろんビジターの真の姿、目的というSF的な見どころは大きく、特に小動物を食す姿、化けの皮が剥がれていくさまは今見てもショッキングだ。今ならCGで決めてしまうところだが、逆にラテックスや少々残るSFXのチープさがたまらない。コメンタリーにもある手押しした実物大宇宙船、特殊効果、爆発するたびにコストがいくら掛かったと回顧するジョンソン。製作当時の手作り感覚も伝わってくる。
 また凛々しく優しく勇敢な父親像、そんなドノバンを演じるマーク・シンガー、清楚で美しく力強いリーダー、ジュリーのフェイ・グラント、カナダのジャック・ニコルソンことマイケル・アイアンサイド、そしてビジターを演じるジェーン・バトラーの迫力。個性に溢れ、様々に絡み合う人間ドラマも本作の魅力だ。
 この作品の後、原案のジョンソンが製作、同じ宇宙人を扱った「エイリアン・ネイション」という映画でも、地球人と宇宙人の共存をテーマにしている。ある意味、異人種の共存は彼のライフワークなのかもしれない。一見冒頭のシーンから「インディペンデンス・デイ」と共通点を持つようだが、時期は遥かに早く、分厚いこの人間ドラマとは比べようが無い。
 さてそんな八十年代を代表する傑作SFテレビシリーズがDVDボックスになった。ただTV放映の作品ながら今回はスクイーズ収録という変則さ。画角的な違和感は否めない。ただそれ以外は聞き慣れた日本語吹替も入っているのは好材料(ただしこのDVDはビデオ版であり、TV放映時と一部吹替キャストが異なっている)。488分と長いだけに全てプロジェクターで観るのは疲れるかも。大画面では合成のアラも見えてくる。本シリーズはテレビでゆっくり観たい。画質BCクラス、SE、オケは迫力があるが、全般的な音質は劣る。英語音声はセリフも録音が古く音質Cクラス。低音も乏しい。サラウンドはやや弱くCクラス。逆に日本語吹替はセリフはいいが、他がダメでDクラスでこちらはモノラル。とはいえ内容的には推薦盤。ビットレート5.7から5.8MB/Sec。一分当たり約十八円。
ブエナ・ビスタ・
ソシアル・クラブ

(VPBU-11131)

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
DVDVideo
片面2層
一旦、音楽界からリタイヤしたミュージシャンを、キューバ音楽に魅せられたライ・クーダーがプロデュース。世界的なヒット、グラミー賞を受賞した彼らの足跡、そして憧れのカーネギーホールでの演奏を、ロード・ムービーならおまかせのヴィム・ヴェンダースが映像化したドキュメンタリー。何しろコンパイ・セグンド、イプライム・フェレール他90歳近い面々の熱くコクのある演奏に魅了される。今やキューバ国民にとって彼らはヒーローであるのだ。そんな彼らの姿をデジタル映像で迫るだが、これには大きな疑問がある。上映時はフィルム化された映像だったため、何らかの良さがあったのだが、このDVDではデジタルマスターからのコンバートなのだろう。この映像のギラつき、過剰なまでの色のりは筆者の好みではない。それなのに非スクイーズという不可解な仕様である。しかしリニアPCM音声がいい。ドルビーデジタルより鮮度、音場感とも明らかに上、サラウンドもコンサートシーンではリアからこれでもかの勢いで迫る。画質Bクラス、音質Aクラス、サラウンドAクラス。
レターボックス
リニアPCM
ステレオ&
DolbyDigital
5.1ch
フォード・フェアレーン
フォード・フェアレーン
LaserDisc
CLV2面
レニー・ハーリン監督のハイテンションムービー。この映画でブレイクすると思われたアンドリュー・ダイス・クレイはそのアクの強さから嫌われてしまったようだ。地元の映画館では一週間を待たずに打ち切りとなってしまった。観る人を選ぶ映画だが、オイらは好きだ。レア度高し。ただ画質、音質共に平凡。画質、音質AB、サラウンドAB。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
フォレストガンプ一期一会
フォレストガンプ一期一会
LaserDisc
CLV3面
トム・ハンクス主演、ロバート・ゼメキス監督でアカデミー賞作品賞受賞。アメリカの歴史と共に生きたフォレストの半生を描く。使われるSFXも音もさりげないが、60〜80年代を駆け抜ける姿を十分に演出。やや偽善めいた部分は目をつぶろう。ちなみに北野武監督は「この映画の冒頭のSFX(鳥の羽のシーン)で俺の映画が一本撮れる」と言っていた。画質A、音質A、サラウンドA。
レターボックス
DigitalAudio
DolbyDigital
DolbySorround
2002年5月・この1枚
「プッシーキャッツ」
(FOX GXBA-22453)
オススメ
プッシーキャッツ
DVDVideo
片面2層
レイチェル・リー・クックの可愛さ爆発!
ブラックテイストな超おバカ音楽ムービー。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
ジョシー、メル、ヴァルの三人はバンド仲間。地元を起点に地道な活動をしていた。ある日、ストリートパフォーマンス中を追い出された三人はある男に出会う。彼は大手レコード会社メガレコードのスカウトだったのだ。しかし彼らメガレコードには隠された大きな秘密があった。そしてメガレコードの目論見通りにヒットを飛ばす三人だったが...一見バンド立身出世物語と思いきや、ブラックテイストな超おバカ音楽ムービー。冒頭登場するデジューというバンドも聴きお覚えあるような曲調。その点からもこの作品は業界パロディなのである(何と音楽プロデュースはベビーフェイス)。出てくる業界話もある意味ナットク。なお登場人物でまともなのは主役の三人だけ...といってもちょっと可笑しなところもあるのだけど。本作はティーンのアイドル、レイチェル・リー・クックがめちゃキュートで可愛さ大爆発。演奏シーンもサマになってるし、プロモ風の作りも決まってる。彼女のファンなら絶対買うべきだよ。でもこの作品観てたら「ビルとテッドの地獄旅行」を思い出したな。作品の持つおバカ加減に共通性もあるし、それでも許してしまうのはアメリカ映画の持つ独特の土壌なのだろう。やはりおバカ映画はアメリカの専売特許なのだ。そして何故か日本劇場未公開作品である。さてそのDVDだが、画質は色合いがやや不自然なところもあるが、それが壁になるほどではない。まあコメディだし気にならない。音はライブ感と雰囲気を重視した音楽映画らしい作り。画質B、音質AB、サラウンドAB。待ち望んだDVD発売。でもこういうコメディこそ日本語吹替が欲しかった。それにジャケットデザインは北米盤のほうが良かったのになあ。一分当たり四十円位。
プライベート・ライアン
(PDF-20)
オススメ
プライベート・ライアン
DVDVideo
片面2層
第二次世界大戦の最中、米軍はライアン四兄弟のうち三人が戦死している事を知る。そこで残った最後のライアンを救うべく、威信を賭けて八人の兵士を助けに向わせた。S・スピルバーグがそんな戦時中のエピソードを基に作った作品。だがそんな話よりも冒頭の約三十分が圧巻。歴史的な日、ノルマンディー上陸作戦を再現したものだが、手持ちカメラの迫力、そしてこれでもかの砲弾、爆発。さらに銃弾に倒れ、爆風で吹き飛ぶ兵士。このシーンの全てを言葉で言い表せない。この作品を観てそれでも戦争が好きだという銃器マニアがいたら頭を疑いたい。それ程にリアルな描写で圧倒されるのだ。それだけこの冒頭の三十分にスピルバーグは全ての力を注いでいる。戦争には栄光も綺麗事もない。観終わった後はそんな気がしてならない。さて作品的には二時間四十九分と長尺、やや凡長な感は否めない。ただ戦闘シーンは締まっており、緊張感に溢れている。画質はフィルムテイスト満載、高解像度ではないが、それがドキュメンタリー風であり重い。画質はABクラス。音は素晴らしい。劇場の迫力を超え、ノルマンディー上陸では銃弾の中にいる錯覚に襲われる。音質はレンジは広くSクラス。重低音が凄い。サラウンド感も文句無しでSクラス。特典映像を含めた二枚組。推奨盤。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch+
日本語5.1ch
ブラックレイン
ブラックレイン
LaserDisc
CLV3面
日本を舞台にしたアクション映画。ブレードランナーのリドリースコット作品と感じられる位に徹底した映像。派手なトラックのイルミネーション、ネオン街、そしておなじみのスモークとこの映画での大阪は未来都市と化している。これが最後の映画となった松田優作もいい。ちなみにこの映画のシネスコ版はトリミングに無理があるらしい(元が35mmテレビサイズ)。画質AB、音質A、サラウンドA。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
2002年4月・この6枚
プリズナーNO.6
COLLECTOR'S BOX

(東北新社TVD9003)
オススメ
プリズナーNO.6 COLLECTOR'S BOX
DVDVideo
片面2層
6枚組
謎が謎を呼ぶ?
ある意味遥か昔の元祖「エヴァ」
TVサイズ
DolbyDigital
英語2ch
モノラル+
日本語2ch
モノラル
イギリスの秘密組織の情報部員。上司に辞表を叩きつけ自宅に戻るも、何者かによって拉致されてしまう。気がつけば村と呼ばれる場所に連れ込まれていた。そこで人々は名前でなく番号で呼ばれていた。そしてNo.6と呼ばれる彼に情報の要求を執拗に迫るNo.2。No.6の持つ情報とは?果たして彼は村を脱出することができるのか。「サンダーバード」で知られるイギリスITC、パトリック・マッグーハン制作・主演の実写TVシリーズ。この作品の魅力は謎が多い事だ。材料は提供されるが、そこが謎を呼ぶ。そして最終回は...ある意味「エヴァ」的であるが、こちらの方が遙かに元祖。各エピソードも秀逸だし、何よりも印象的なのがオープニングのカッコ良さ、テーマ曲、そしてマッグーハンのおでこ。この手のTVシリーズでは導入部の掴みが大事なのだ。やや哲学の匂いはするが、本分はサスペンス。押井守等、日本のクリエイターにも影響を与えた偉大な作品。気になる方は是非ご覧になってよろしいかと。さてそのTVシリーズのDVD化であるが、評価は分かれるところだろう。例えば現存する吹替音声が放送禁止用語の修正が掛かった初回NHK放送時のもののため、セリフの捉えにくいシーンが多い。その上、放送時間の都合で吹替のないところもある。字幕で観るのには差し支えないが、この作品の日本吹替版に愛着があるため、少々残念。画質はフィルム撮影の良さ、渋さが感じられる。小画面のTVサイズなら良好。ただ大画面ではやや苦しいか。音はモノラル、意外と吹替版が健闘。画質BCクラス(テレビサイズ、小画面前提ならBクラス)、音質BCクラス。意図的なのかわからないが、タイトル通り六枚組の豪華なボックス仕様だ。
ブルースが聞こえる
ブルースが聞こえる
LaserDisc
CLV2面
劇作家ニール・サイモンの自伝的戯曲を映画「卒業」のマイク・ニコルズ監督が映画化。第二次大戦下、ミシシッピー州ビロキシー軍訓練所での様々な出来事を通して若者達の青春をほろ苦く描く。もちろん軍隊ものにありがちな鬼軍曹(演じるは名優クリストファー・ウォーケン)も登場、地味な映画だが、ラストシーンでは何とも言えない気持ちにさせられる。画質は部分的に良い所と悪いところがあるが、総じてBクラス。音質も可も無く不可も無くBクラス。音場もナチュラルだが派手なサラウンド感はほとんど感じられない。あくまでストーリーを観るための映画。画質B、音質B、サラウンドB。
TVサイズ
DigitalAudio
DolbySorround
2001年6月・この1枚
「ブレイブハート」
(FOX FXBA-8908)
オススメ
ブレイブハート
DVDVideo
片面2層
血湧き肉躍る史劇
メル・ギブソン監督・主演、入魂の一作。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch+
日本語5.1ch他
十三世紀末のスコットランド。イングランドの支配、度重なる無法な侵攻の果てに愛する人を失うウイリアム・ウォレス。そして彼のスコットランド開放への険しい道が始まった。そんなウォレスの人生をメル・ギブソンが主演、監督。見事にオスカーを手にした約三時間の大作。同じオスカー作「ダンス・ウィズ・ウルブス」のケビン・コスナー同様にフロンティア精神、魅力溢れる登場人物、中でも大人数のエキストラを使った合戦シーンは見どころ。その迫力は「グラディエーター」を超える。そして印象的なのがクールに描かれる当時のスコットランド人とウォレスの人生。そこには絶望感があふれているが、逆にそれがこぶしを挙げる残された人々を鼓舞するのだ。そんなメル・ギブソンの堅実な演出はアクションに留まらず、隅々まで行き届いて三時間を飽きさせない。そしてラストに目を伏せず、この壮大な歴史絵巻を見届けて欲しい。個人的にはパトリック・マッグーハン(あのプリズナーNo.6)の起用が嬉しいし、彼の存在がカギとなっている。このDVDはメイキングを含めた二枚組。本編は冒頭、ヒスノイズ(?)感を伴う音。だがそれ以降は全編でジェームズ・ホーナーのオケはスコットランドを想起させて印象的、また迫力があって聴きどころとなっている。サラウンドは「グラディエーター」程のものはないが、それでも画面の迫力と相まって効果あり。画はクール。だが明るいところは明るく、暗いシーンは雰囲気たっぷり。画質Aクラス、音質Aクラス、サラウンドAクラス。一分当り約二十二円。
ブレードランナー完全版
オススメ ブレードランナー最終版
LaserDisc
CLV2面
サイバーパンクの決定版。SF、ハードボイルド、徹底した世界観はリドリー・スコットの真骨頂。とにかくこの作品が与えた影響は大きい。レプリカント役のR・ハウアーは切なく演じ、ラストシーンは空しい。LDの画質、音質には不満がある。画質B、音質B、サラウンドB。
レターボックス
DigitalAudio
DolbySorround
DVDVideo
片面1層
LDでの画質不満をほぼ解消、1ランク上の画をみせてくれる。解像度が向上、細部の表現も目にみえて良くなっている。同じ盤を買うことが不安だったが、これならLD版お持ちの方にもおすすめできる。音の方はLD並で大きな変化はない。画質A、音質B、サラウンドB。
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
2ch

DolbySorround
「ボーリング・フォー・
コロンバイン」
(東芝デジタルPIBF-7549)
オススメ
ボーリング・フォー・コロンバイン
DVDVideo
片面2層
「笑いという攻撃には誰もが屈する」
を地でいく作品
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語5.1ch
 1999年4月、米国政府が行なったコソボ爆撃とちょうど同じ日、コロンバイン高校銃乱射事件が発生...高校生二人の起こした事件は多くの死傷者を生み、社会に大きな影を落とした。マイケル・ムーアはこの事件を取材しながら、アメリカの恥部である銃犯罪の原因に迫る。2003年、長編ドキュメンタリー部門でオスカーを受賞した問題作。
 この「ボーリング・フォー・コロンバイン」はマイケル・ムーアの主張の塊(かたまり)である。例えば映画「JFK」におけるオリバー・ストーン。背景には原作者ジム・ギャリソンの姿があるものの、この映画自身はオリバー・ストーンが、持論に観客を引き込む手腕に溢れた作品となっていた。特にラストの法廷シーンではやや強引さがあったものの、それが映画「JFK」の魅力と感じたものだ。ドキュメンタリーとドラマと手法に違いはあれど、この作品でのムーアの主張はストーン同様に、強引ながらも病めるアメリカに対するアンチテーゼを感じる。
 米国の圧倒的に高い銃犯罪の犠牲者、コロンバイン事件、そしてその根幹にある米国民の心理、メディア、巧みに心理をついた銃器産業。時に可笑しく、時に寒くなるような事実。沢山のインタビューと検証を通じ、ムーア監督独特のユーモアを交えて真相に迫っていく。特典映像のインタビューで「笑いという攻撃には誰もが屈する」というマーク・トウェインの言葉を引用していたが、まさにこの言葉を地でいく作品。そしてKマートの件、さらにNRA会長チャールトン・ヘストンとの一本勝負は笑いの後にシリアス度の増す場面である。一方で勝利するも、対NRAに対しては銃器産業の壁の厚さに屈してしまったが、一石を投じるには充分なインパクトがあった。
 本作で興味深かったのはマスコミの扱いである。犯罪が欧米化していく日本において、けっして他人事ではない。むしろ悪化する一途の中、共通点とも思える部分だと感じた。真相を追究するより、視聴者を煽るような報道。本作で明かされた米国人と同じように脅える日本人。情報化社会はより日本人を欧米化させてしまったのかもしれない。とはいえ、本作自体にも同じような煽りがないわけではないが、アメリカの持つ正義と自浄作用は強く感じる作品だと思う。
 さてそんなDVD。画質は記録フィルムやビデオ映像、フィルムと玉石混淆。フィルムは明るさと色たっぷりだが、それ以外を含めて全体を平均するとABクラス程度か。平均ビットレートは6.43MB/sec。音もこれに同じ印象でABクラス。ただドキュメンタリーに画質音質云々は必要あるまい。映像特典のインタビューもユーモアたっぷり、そちらも必見。現在全米で大反響の「華氏911」への布石として本作を観てみると面白い。本編のみで一分あたり41.1円。(04/07/04)
ボーン・アイデンティティー
スペシャル・エディション」
(ユニバーサルUNED-33445)
オススメ
ボーン・アイデンティティー スペシャル・エディション
DVDVideo
片面2層
地味さの掛け合わせに派手なアクション、
だからこそ惹き込まれてしまう
レターボックス−スクイーズ収録
DolbyDigital
英語5.1ch
日本語5.1ch
 嵐の中、海上を漂流していた瀕死の男。イタリア漁船に助けられたが、彼には何一つ記憶がなかった。だが唯一、背中に埋め込まれた情報を頼りにスイスへ赴く事に。そこには様々な国のパスポート、それぞれに名の違う自分の姿。やがてその存在を知ったアメリカCIAは、彼の元へ刺客を送り込んだ。ロバート・ラドラム原作のベストセラー小説を、マット・デイモン主演で映画化したヒットシリーズ第一弾。
 そもそもマット・デイモン=アクションスターという印象を得なかったのだが、それは杞憂に終わる出来な本作。まずしっかりした原作の持つディテールを感じる作り。まるで本を読み進めていくような印象で次々と謎が提示されていく。そしてそれを少しずつ暴く中、マット演ずるスーパーエリート、ジェイソン・ボーンのアクションが冴える。もちろんスタントダブルを含めてだが、それでも肉弾戦、痛みを感じるCGとは違った世界。これは先日紹介した「マッハ!!!!!!!!」と同じ、あの007でさえ失ってしまった、アクション本来の持っているカタルシスでもある。
 ハリウッド産ながら、他のアクション大作と異なった印象を与えるのは、やはりヨーロッパロケを前面に出し、しかも何となく漂う地味さがスパイものである本作にあっている事。その上主演のマット・デイモンはけっして色男とは言い難いが、インテリらしい別の魅力を持った俳優である。そんな地味さの掛け合わせ、そこに派手なアクションが繰り出されれば、思わず作品に惹き込まれてしまう。しかもラストまで緊迫した展開が待っており、その演出もニクイ。唯一、ラストはハリウッドライクな結末が控えるが、それが打ち砕かれる続編(現在公開中)に期待大である。
 さてそのDVD、既発売のものと異なるスペシャル・エディション。大きな違いはdts音声が収録されていない事。さらにロングバージョン再生が可能な事だが、特に後者は未公開シーンから再生途中でアスペクト変更を余儀なくされ、正直いうと不便である。ただ本編は画も音もサラウンドも素晴らしく、そんな事も忘れてしまう。画はストーリー同様に派手さはないが、色濃くコントラストに溢れ、ディテールも良い(dtsの容量を画質にふったのではないか)。音はそれと相反し、派手さを前面に出しつつ、時に緊迫感を与える演出をサラウンド共々織り込んでいる。特にクライマックス、最後の刺客との息が詰まりそうな場面は、間(ま)、効果音の使い方とも秀逸である。なお画面にやたら入る日本語字幕(英語字幕は無いのに)はウザったく覚めてしまった。画質は限りなくSに近いA、音質S、サラウンドS。平均ビットレート6.41MB/sec。(04/02/20)