趣味の殿堂「遊舟」2000

個人的マルチメディアの遊戯術
特別篇

筆者のメディア論、電子機器等の購入インプレッションを紹介。
まあ参考になるかは別ですが。その他特別篇もあります。
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第7回遊舟ダイナミック大賞各部門発表

年始恒例「遊舟ダイナミック大賞」。筆者の独断と偏見で2005年を振り返ります。


まずはコラム:2005年総括、景気回復乗って乗り遅れて
 皆さん、あけましておめでとうございます。昨年の紅白は白が勝ちましたね。今年もよろしくお願いします。閑話休題...2005年、清水寺で書かれた今年の漢字は「愛」。そもそもは日本漢字能力検定協会が全国公募、その集計された一位が「愛」だったという事。別に清水寺の大僧侶が選んだ文字ではない。しかし本当に今年を代表する文字は「愛」だったのだろうか。愛・地球博を引き合いに出すには短絡的過ぎるし、卓球の福原愛ちゃんや女子ゴルフの宮里藍ちゃんらの名から採ったのなら、オジサンのダジャレ以下。女性天皇の渦中の女子、その騒動に起因したのなら、それは筆者の好みの話題ではない。反面教師、世間を騒がせた犯罪に愛が足らないとのたまう方もいるだろうが、それは愛でなく単純にモラルの欠如に他ならない。

 確かに政治は好景気の兆しに助けられた感がある。だが小泉劇場はパフォーマンスを武器に大衆の興味に入り込んだ反面、徐々に本当の腹の底を現しつつある。その第一弾、数々の増税案の中、愛煙家のため息聞こえてきそう(ただ何度も言うが、喫煙者が社会の弱者だとは思わない)。もちろんそれだけでなく、貧富の差を増長させる増税案。総理は在任中は増税しないというが、2006年9月以降の保証は無い。マスコミ共々、もっと先にできる事を追求するが、そんな事何処吹く風。なし崩し的に政策を進めているのが、大衆の選んだ現政権なのである。ただ他に選択肢は無いのだが。

 なお昨年のこのコラムでも景気復調の兆しを述べたが、今年はそれが本物だと裏付ける出来事が多く現れた。個人投資家、デイトレーダーの台頭。みずほ証券の株式売買ミスは世間を騒がせ、20億円もの利益をあげた個人投資家まで登場。その一方、セキュリティ問題を提唱する結果となった。いやそれよりも4月、JR西日本の福知山線で起きた列車事故、トドメは暮れの団欒に衝撃が走った耐震強度偽装問題。ゼネコンを台頭させる構図を作った民間への業務委託が、その間隙を作った。内容はどうあれ、そのすべてにシステムの抜け道が見えてきた。確かに国、民間との役割を見直すいい機会なのだが、その代償はあまりに大き過ぎた。好景気の兆しは財布のヒモを緩ませる一方、時に身の引き締まる一年だったと思う。こんな年、どうみても「愛」じゃないでしょう。

 さてそんな一年を過ごし、買ったものを挙げていくと、かなり自分への投資に代替するものばかりだった。車、パソコン、ケータイ、携帯デジタルオーディオプレーヤーなど等。その中に新三種の神器の薄型テレビは含まれていないが、地上デジタル放送が広範囲となった2005年ゆえ、いずれ買う事になりそう。コンテンツの録画方法だけが宙に浮いているが、話し合いでなく時間が解決する方向で進んでいる。だが如何に情報を選別し、その中から有益なものを得るかがカギとなっていく。それゆえに街のお店で買い物をする事は限りなく少なくなった2005年。筆者が興味を持ったモノたちとは...?

遊舟ダイナミック大賞「オペルアストラ1.8SPORT」
オペルアストラ1.8SPORT
 今年最大の買い物、いや人生最大といっていい。それが新車購入だった。今年、いろいろなモノを買ったが、その中でもお気に入りはこのオペルアストラ1.8SPORTである。ヨーロッパでは多くの支持を集めているオペルアストラだが、こと日本国内ではあまり浸透していない。しかも2004年モデル(日本発売は同年秋)は自動車専門誌等でも高評価を得たが、ただアストラゆえのレアさまでもが引き継がれたままでいる。しかしドイツ車特有の足回りの硬さ加減に感激し、アクセルワークも楽しい。アグレッシブなフロントマスクは「アストラ顔」として今やオペルのアイデンティティーとなり、新型ザフィーラ(ミニバン)にも採用されている。ファン・トゥ・ドライブを体現したアストラ、やっぱダイナミック大賞はこれしかないでしょう。

 次点はバイオT[VGN-TX90PS]。2005年、糞ミソに叩かれたソニーだが、このノートパソコンだけはいい。2スピンドル機のトップレベル、薄く軽く(1kg)、しかもDVD再生にもってこいのワイド画面。パワーユーザーには物足らない部分は無くも無いのだろうが、ただ筆者的には気にならない。何より最近のノートはバッテリの持ちが驚異的。細かなパワーマネージメント、PentiumM採用の効果(ただしSony Styleのみ)だろう。ただあえて苦言を呈すなら、本来主眼を置くべき店頭販売品はCeleron採用のみという事。せっかく売れる要素のある製品、わざわざバッテリの持ちの悪い組み合わせで提供する事に疑問。しかしソニーの底力は感じる製品である。

 三番手はiPod。第5世代iPodはついに動画再生に対応した。エンコード方法の問題は残るが、それでもフリーソフト等で活路は得られるだろう。実際、サードパーティ、フリーソフトによるバックアップがiPodの強み。ソニーの十八番、シェアを奪ったアップルの力量は計り知れない。ポッドキャスト、シリコンメモリのiPod nano、そしてiTMS-Jによる日本国内での本格ネット配信と矢継ぎ早に話題提供。iTMSの楽曲ラインナップは十分と言えないが、いまだ沈黙の大手レーベルの参加も約束されたものだろう。なおiPodに対する動画再生に関する大きな問題点、それはiPodで何を観るかという事。ただユーザーが考えていくもの、というのがアップルらしい。だからこそあくまで[with Video]なのである。
ソニーのノートパソコン バイオT ついに動画再生に対応、5th iPod
ソニーのノートパソコン バイオT ついに動画再生に対応、5th iPod

遊舟特別賞「岡部幸雄さん[元JRA騎手]」
馬、優先主義
 ボクの競馬暦を語る上で外せない人物が2005年春を前に現役、ターフを去った。以前ブログでも二度採り上げたが、『競馬を始めて岡部無くして、今の自分は無かったと感じる事も少なくない』と言い表した通り、彼の競馬ぶりは日本競馬のスタンダードと言っていい。オーソドックスな騎乗スタイルはある意味、面白味が無いと思わせるだろうが、だからこそ勝った時の信頼感は大きい。展開任せでなく、好位から差す競馬。競馬ファンにとって馬券を組み立てる上で非常に重要な存在であった。

 岡部さんは現役時代、七冠馬シンボリルドルフの主戦騎手として最後まで全う、その後はルドルフの鞍上で学んだ馬優先主義を実践していく。また偉大なる先輩たちのエッセンスを転換し、世界に飛び出して結果も残した。特にタイキシャトルとのコンビでジャックルマロワ賞は記憶に残ります。またバブルガムフェロー、シンコウラブリイ等、名馬、名牝と呼ばれる馬たちは岡部を背にした事でその能力を開花させていったと言っても過言ではないだろう。

 個人的に最も熱くさせたのはトウカイテイオーとのコンビ。ぶっつけとなった秋の天皇賞で惨敗。コンビ4レース目のジャパンカップでまだまだ外国馬有利と言われる中、直線抜け出し、オーストラリアのナチュラリズムとの叩きあいを制した。ルドルフの子でもあるトウカイテイオー、そして鞍上は同じ岡部騎手という因縁。翌年、主戦となったビワハヤヒデで臨んだ有馬記念で、復活のテイオーに差されたのもこれまた因縁。両レース、馬券が当たっただけに強く記憶に残る出来事。とにかく岡部騎手の乗ったレースはボクの馬券暦に多く関わっているという事である。

 ディープインパクトが三冠馬になった年、その同じ年に岡部さんが引退。ディープの鞍上は現役トップの武豊。世代交代までとは言わないが、印象的な出来事だろう。今ではたまに競馬番組にインタビューで登場する岡部さん。そのコメントにも注目するし、今では馬券も買い始めたと漏れ聞いている(その戦績もボチボチらしい)。できたら「馬券優先主義」なコラムも始めて欲しいほどだ。そんな期待とこれまでの感謝を込めて、遊舟特別賞を岡部さんに与えたい。
遊舟映画賞「パッチギ!」
 2005年、劇場で年観た映画の数はは33本(前年比1本減)。個人的には「パッチギ!」「ALWAYS 三丁目の夕日」「ミリオンダラー・ベイビー」の三本が上位。世間的な評価で邦画は「ALWAYS 三丁目の夕日」となってしまいそうなので、「パッチギ!」を選んでみました。内容は青春グラフィティー的な作品ですが、物言う井筒監督らしいテーマも秘めています。ただそのテーマは観る人のイデオロギーに委ねる面が多々あるので割愛。とにかく痛々しいほど熱い青春ものとして最後まで突っ走っていきます。それが何とも心地良く、しかも泣けてくる。暴力的描写だと嫌気を差す方もいるが、コブシでしか語れない物語もある。もちろん一途な恋愛、友情もあって、青春ストーリーを彩ります。今年、最初に劇場で涙した映画でもありました。

 そういう事で押し出された次点は「ALWAYS 三丁目の夕日」。こちらは観客を問わないファミリームービー。しかも琴線に触れる昭和の温かさを再現した。演者の心温まる演技、その上で山崎貴監督の十八番であるVFXが、古き昭和の世界を甦らせています。一見、懐古主義的な作品に思えますが、それが違うのはラストシーンに集約されているといっていいでしょう。全ての要素が噛み合った時、与えられる感慨、それがこの作品には秘められています。東宝ブランド、邦画の底力、そして観て損は無しの秀作です。

 「ミリオンダラー・ベイビー」はご存知御大クリント・イーストウッドのアカデミー賞作品賞受賞作品。女性ボクサーと老トレーナーを追ったサクセスストーリーと思いきや、実は暗転する物語とそこに様々な問題を投げかけます。単純な娯楽作を撮らない、また過去に育てられた監督たちの遺志を継ぐイーストウッドらしさに溢れています。映像だけでなく、観客共々、ヒロインのコブシに殴られた感のある硬派な作品。イーストウッド、モーガン・フリーマン、そしてヒラリー・スワンクのオスカー級の演技は素晴らしいです。

 以下七作は短評を含め、順位はつけましたけど、気分的には順不同です。「サイドウェイ」は負け犬男の悲哀に溢れたロードムービー。「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」は長年の想いがあのシーンに集約されているといっていいでしょう。「インファナル・アフェアIII 終極無間」は三部作、無間道の収束は痛々しかった。「キング・コング」はハリウッドの王道にしてメッセージ性が溢れる大作。「ボーン・スプレマシー」は前作以上に地味さが増したスパイ合戦。「きみに読む物語」はこんな人生のラストを送りたいと思わせてくれた。「最後の恋のはじめ方」はやっぱ恋するっていいよねとうなずかせる小品。いずれにせよ、今年も当たりの多かった年だと思います。

 さて一方、ダメダメだった作品もありました。ワースト1は「宇宙戦争」。SFなのか、ヒューマンドラマか、どっちつかずな内容。しかもオチはオリジナルを遵守するにしろ、あのエイリアン像はないでしょう。近年のスピルバーグ作品らしく、公開前の仕掛けは素晴らしく世界的、興行的には大成功であっても、もう一度観たい傑作とは言い難い。オレ大好きなトム君の存在もハナにつく(これは完全に主観です)。ただ演出テンポよりもツッコミどころが勝ってしまい、超ど級なVFXだけは一級品な作品でした。

2005年の個人的映画ベストテン
1 「パッチギ!」
2 「ALWAYS 三丁目の夕日」
3 「ミリオンダラー・ベイビー」
4 「サイドウェイ」
5 「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
6 「インファナル・アフェアIII 終極無間」
7 「キング・コング」
8 「ボーン・スプレマシー」
9 「きみに読む物語」
10 「最後の恋のはじめ方」
ワースト1 「宇宙戦争」

遊舟音楽賞「サイドウェイ」オリジナル・サウンドトラック
「サイドウェイ」オリジナル・サウンドトラック
 今年買った音楽に変化が訪れた。それはネットショッピングでCDを買い始めた事。ソフトはディスカウント、パソコンで買うのが当たり前となった。もう一つはネット配信。今までもあったコンテンツだが、その壁をやっと崩し始めたのがアップルの存在。まだまだ楽曲の拡充は不可欠であるが、独自のコンテンツを擁する等、一部アーティストたちの支持も得ている。もう音楽はレコード店で買う時代ではない。また街並みが変わっていく。したがって今年は遊舟CD賞から音楽賞に改めた。ただレコード大賞もヘンだよね。

 ただそんな変化があった2005年だが、選びたい音楽はCDにしたい。映画にとって脚本と音楽は両輪だと思う。それを強く感じたのが映画「サイドウェイ」だった。他愛も無い、しかも負け犬男の物語をこれだけ小粋な雰囲気に感じたのは、音楽の良さに惹かれた点が大きい。ほろ苦い人生、そしてワインを巡るロードムービーにジャズテイスト満載の音楽がこれまた合っている。二時間を超す映画なのだが、それを淡々と音楽が補っていく。

 そんな音楽だからこそちょっと陰った日和、ドライブに出掛けた時にはベストマッチ。一人でもよし、二人ならなおよし。大人同士なら会話が弾むだろうし、そこにはもう一つの「サイドウェイ」が展開されていくだろう。このサントラをBGMに願わくばホロ苦は置いといて、楽しいドライブ、ロードムービーといきたい。なお音楽を担当したロルフ・ケントはアレクサンダー・ペインの前作「アバウト・シュミット」に引き続きの登板との事。大人のための映画が得意な感じがします。大作ばかりでなく、彼のような映画音楽家の活躍の場が増えるといいですね。遊舟音楽賞はそんな「サイドウェイ」オリジナル・サウンドトラックに決定です。




遊舟DVD賞「インファナル・アフェア トリロジーBOX」

 今年は劇場以上に観たDVDが少なかった。それでもDVD賞を選ぶのは気がひけたが、まぁいいんじゃないでしょうか。そこでDVD賞には、分厚い「インファナル・アフェア トリロジーBOX」を選んだ。第一作にハマって以降、この作品に対する想いは大きい。特に今年、三部作最後の「終極無間」が公開、ラウの物語に終止符が打たれた。いや、撃たれたというべきか、無間道の恐ろしさか。過去と現在が行き来する中、心が乱れたゆえのラストが痛い作品だった。

 そしてこのDVD-BOXを買った大きな理由。まして単品で三作共持っていながら買った理由とは、それは第一作の[中国大陸ヴァージョン]が収録されているからである。[以下はネタバレのため、未見の方は注意してください]
その違いとはわずかにラストシーンのみ。だがとにかく呆気ない。エレベーターから降りたラウがそのまま逮捕され、エンディングテーマで終局。いやだからこそ中国の人たちは納得するのだろう...と民族性の違いに唖然。以前観たインタビューでキャスト、スタッフの誰しもが、[中国大陸ヴァージョン]を支持しなかった理由がそこにある。無間道の趣きがあってこその作品が全くの別物になっていた。でもこれを先に観ていたら、この作品に対する想いは変わってしまっただろう。三部作を観終えてからで良かった。[以上ネタバレ終わり]
さて単品との違いは僅か。インタビューや会見で未見のものが少しあるだけ。だからあえてこのBOXを薦めないが、単品を持っていない方、また怖いもの観たさで[中国大陸ヴァージョン]と思う方にはオススメである。

 さてそれ以外では戦国青春グラフィティーと言うべき「戦国自衛隊DTSコレクターズ・エディション」。70年代最後に飛び出した角川映画の異色SFが、リメイクにあわせた新マスターで甦った。原作と矛先を変えた作品そのものも面白いが、この作品にハマった人には是非、同梱の特典ディスクが興味深い。キャスト皆がこの作品を愛していたんだなぁと思わせてくれる。また、あの戦車も現役とは恐れ入りました。

 あとは「エレキの若大将」。東宝黄金期はクレージーと若大将。特にこの「エレキ...」はシリーズ最強。和製音楽プロモの原点ともいうべき作風。それでいて笑いあり、恋あり、そして若大将の完全無欠な活躍ぶり。実際、主人公を演じる加山雄三その人とダブる面も多く、これもアリかと思わせる勢いを感じます。もちろん青大将こと田中邦衛を始めとして、内田裕也、寺内タケシ、黒沢年男ら盛り立てます。とにかくたのしい一本。
 最後は「特捜班CI5[The Professionals]傑作選」を推します。吹替ファンなら感涙のノリを秘め、しかもアクションファンを納得させる骨太なドラマ。とにかく言う事なし。いやあえてあるとすれば、このDVDボックスが傑作選にとどまっている事。できることなら全話通して観てみたい、そんな気持を駆り立てる作品です。

 全体的には買ったのに観ていないDVDは多かったのだけれど(もちろんここで推した作品は観てますよ)。各盤について詳しくはソフトインプレッションで。
遊舟競馬賞「福永祐一騎手」
アメリカンオークスを勝ったユーイチとシーザリオ
アメリカンオークスを勝ったユーイチとシーザリオ
 2005年、競馬はディープインパクト一色の一年だった。圧巻だった若駒S、スタートでヒヤッとしながら直線は呆気なかった皐月賞、レコードタイで圧倒的な強さを示した日本ダービー、そして菊花賞で感動の無敗三冠達成。京都競馬場、生で観た感動は今も忘れられない。四冠目を目指す有馬記念で古馬の強豪ハーツクライに屈したが、来年に向けてさらなる飛躍を期待したい。だからこそ期待を込めて、この賞からは除外した。

 かつて騎手の年間100勝は大台として認識されていた時代があった。しかし今は違う。とにかく年間最多勝212、武豊の存在感がダントツである。さらにペリエ、デザーモ、ルメールら外国人、さらに多くの騎乗数で腕を振るう地方競馬騎手たち、そしてリーディングを争う騎手に騎乗依頼が集中するゆえ、勝ち星はより強い者に流れ始めた。騎手たち自身、今まで以上に生き残りのかかった時代に突入した。

 そんな中、武豊の牙城を狙う騎手も少なくない。その一人が福永祐一だと思う。上半期GI、メイショウボーラーのフェブラリーSから、オークスのシーザリオまで四勝。特にラインクラフトとのコンビで三才春統一マイル王になった手綱さばき。桜花賞では八枠ながら馬を信じた騎乗が光っていた。秋GIシーズンも一見ふるわない様に見えるが、ハナ差惜敗の秋華賞、三着に善戦したマイルCS、フサイチリシャールの朝日杯勝ちと堅実な成績を残した。

 そして特筆すべきはあの武豊にして、いまだ達成できていなかった米GI勝利(アメリカンオークス)をシーザリオで達成。しかも日本馬、スペシャルウイーク産駒による勝利である。この勝利はディープの三冠にも負けず劣らないとにかく痛快で価値あるもの。以前、競馬番組で福永騎手の努力はうかがえ知る事があったが、お手馬に対する信頼、引き出そうとする勉強に余念が無かった。それが2005年に開花したといえよう。偉大なる彼の父親にまた一歩近づいた。

 フサイチリシャールで二才チャンプ、またこれからが注目されるマルカシェンクとのコンビにも注目、クラシックに間に合うといいですね。とりあえず2006年牡馬クラシックはユーイチを中心に動いていくでしょう。外人、アンカツらカタカナ騎手に負けない若い力。牝馬、マイルに良績が残るが、今後は更なる飛躍と期待を込めて、福永祐一騎手に遊舟競馬賞を与えたい。

遊舟テレビ賞「夢で逢いましょう」
 先日、オリコンから『2005年 年間連続テレビドラマ満足度ランキング』が発表された。そのラインナップを見ていくと、観たドラマもあれば、観なかったドラマのほうが圧倒的に多い。それだけ時代に置き去りにされているのかもしれないが、正直ドラマにだけ時間を費やす事もあり得ないし、これだけコンテンツが溢れた時代に、テレビドラマだけが孤高だとは言い切れない。ただプロの作るコンテンツだからこその質、そこに食指を動かすITの寵児たちの行動も目立った2005年。まだまだテレビが主役なのだと思わせる出来事でもあった。そんな年、気になったドラマとは...

 先のオリコンの満足ランキング外であったが、TBSの「夢で逢いましょう」が良かった。オーソドックス、TBSらしい古き良きドラマの流れを汲みつつ、結婚に至る娘と父親の姿を描いている。今や渦中、ドラマを地で行く演者たちの場外でのロマンスはさておき、ドラマ自体は主人公ハツミと父・恭太郎との心のやり取りが何とも言えず心地いい。特に主人公を演じる矢田ちゃんと長塚京三とのぶっきら棒ながら心温まる親子の会話。毎回、何かが通じ合う二人。しかし嫁ぐ娘、送り出す父親の時間は徐々に僅かとなっていく。

 このドラマは、取り立てて何か目新しさ(といっても恭太郎は自衛官だけど)や驚かす展開を秘めているわけではない。ネタバレだが、皆が思ったとおりにドラマは展開していきます。もちろん主演の二人はそのままゴールイン(実生活も近いか...それはさておき)、でもそれだって大事なこと。しかも本当に描きたかったのは、父と娘の正しい関係であり、娘を持つ父親たちに捧げるような娘のピュアな気持。ユーミンの主題歌「ついてゆくわ」はそんな父親たちへ捧げられる歌として、これから結婚式場で聴く事が多くなりそう。オープニングで縁側で寝ている矢田ちゃんとこの主題歌が合っていて、何とも言えずいいのです。長塚さんと押尾学(あえて長塚さんを意識した演技)がドラマの中で存在をダブらせ、矢田ちゃんが惹かれていくのも納得。あくまでドラマのほうだけですけど(苦笑)。このドラマがぼく的には一番よかったなぁ。DVDも買ってしまいました。

 あとはあくまでファンタジーとして楽しめたドラマ版「電車男」、久々倉本聰の親子ドラマ「優しい時間」、実話ベースの「1リットルの涙」、タイムリーなテーマが生きた「救命病棟24時」、近場でロケした「あいくるしい」あたりが印象に残った(毎回観ていた)ドラマだった、そんな感じです。

講評.
 2005年を筆者的に振り返ってきたが、そんな目で一年間を見てきました。例えば昨年のこのコラムでPSPがカギとソニー評を展開したが、アップルが別の土俵から迫ってきた。既にウォークマンは土俵の外に寄り切られ、PSPも俵際まで追い込まれている。しかしiPodも磐石とは言い難い。如何にコンテンツを取り込むか、それゆえポッドキャストはアップルの興味深いアプローチに思える。コンテンツはユーザーに委ねる、そんな姿勢も垣間見えてくる。また2006年中にはインテルMacが登場、アップルは新たなステージを迎える事になった。席巻とまでは行かなくとも、市場に対する大きな刺激となろう。既に筆者は2005年、アップルユーザーになっている。

 確かに周りを見渡せば、パソコンはアップル(メインはデル)、車も外国車に切り替えて徐々に国内色を失いつつある。何が魅力かとたずねられれば、それぞれの『アイデンティティー』と答える。時間を掛けて築いてきたブランドは伊達じゃない。国内の活況とは裏腹に、ニートと貧富の差の拡大は社会問題。それだけに国内企業の頑張り、如何に良いものを作り続けるか?それが本格的な景気回復への礎となっていく。今はまだ本物ではない。今回もゲーム賞を挙げなかったが、任天堂は早くもニンテンドーDSでそのキッカケを掴んだよう。しかもボクも持っているゲームボーイミクロと、携帯ゲーム機市場でPSP包囲網を築きつつある。ソニーさん、起死回生のウォークマンで修正パッチの連発は無いでしょう。

 映画も音楽も、その入手経路は完全にネット化された。劇場で観る映画もネットでチケットレス(近々近所にシネコンが完成予定)、パッケージ化されたDVD、そして音楽はアマゾンに代表されるネット販売。ネットの優位性は言うまでも無い。でも何か足らないもの、それは近年に皆が飛びついたコンテンツに秘められていると思う。懐古主義でなく、その奥にある何か。それを産業、商機に導き出せれば良いと思う。最後は人対人なのだから。ヤフーもアマゾンも楽天、そしてライブドアも、その先に居る人を感じ取るまでに至っていない。

 映画も一時のくだらない、企画だけの作品作りから脱却。テーマ、メッセージ性を織り込んだ作品が多くなった。ただ映画やドラマに限らず、心の安売りだけはして欲しくないと祈るだけだ。実はホームページから一歩進み、先の人対人に近づいたメディアがブログなのだけども、こちらの展開もこれから楽しみだよね。そんな心の先で求めた今回の遊舟ダイナミック大賞でした。(2005/01/01)

本来ならBOOK賞やゲーム賞もありますが、ますますます、これらに触れる機会が少なかったので割愛しました。

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