ペンタックスS3使用記


スクリューマウントのペンタックスS3


 最近、ペンタックスのスクリューマウント時代の機種の機械的な美しさに惹かれ、また、スクリューマウントレンズも何本か持っている事もあり、最悪、『部屋のインテリアとして飾っておくだけでもいい』というつもりでスクリューマウント機を入手してみようという気持ちになりました。

 ベストセラーになったSPや、その廉価版のSLでも良かったのですが、これだと現在所有しているKマウント機のKMとデザイン的に大差が無いので、これよりさらに古いSVS3にしようと思い、ネットオークションでいろいろ探していたところ、値段も手頃でそこそこの状態の雰囲気のS3が出品されていたので、これを落札しました。(入札したのは私だけでした(笑))

 このペンタックスS3というのは、ベストセラー機・SP(1964年発売)よりもさらに古い1961(昭和36)年の発売です。

 昭和36年というと、東京オリンピックも開催される前で、国鉄では蒸気機関車がまだ全国各地で活躍していて、新幹線も開業しておらず、特急型気動車キハ82が登場し、ようやく全国に特急列車網が整備されてきたという頃です。

 ちなみに近所を走っている京王線は、緑色の電車ばかりで、名車といわれた5000系もまだ登場しておらず、新宿付近は併用軌道だったそうです。

 このペンタックスS3という機種、ペンタックスとして初めて完全自動絞りを採用し、スーパータクマー以降のレンズを装着すれば、レンズの絞りの値に関係無く、開放状態の明るさでファインダーを見る事ができます。
 現在では当たり前の事ですが、この当時としては画期的な事だったようです。

 ただ、フィルムカウンターの復元は、手動で行なわなければならず、(これが自動になったのは、この翌年発売のSVからです)この当時の技術的な試行錯誤がうかがえます。
(復元は、カウンター上に付いている2つの小さな金具に指先をかけて『0』の位置に回して戻すという方法です)


手動復帰式のフィルムカウンター


 それで、シャッターはもちろん完全な機械式で、露出計も内蔵されていないので、電池も必要ありません。
(別売りのペンタックス・メーターという露出計が取り付け可能ですが)

 手元に届いたペンタックスS3は、オークション時の注意書きにあったように、外観に多少のキズやスレがあり、フィルム室内のモルトが劣化していたものの、シャッター幕はとてもきれいで、シャッターもしっかりと作動します。

 あくまで推測ですが、このカメラはそれなりに大切に使われていて、途中で修理またはオーバーホールにも出されたものと思われます。

 劣化していたフィルム室内のモルトを落とし、新品の2mm厚のモルトを約1.5mmの幅に切って貼り付けました。
 (この作業をしたのは初めてでしたが、何とか無事に出来たようです。)

 ※古いモルトを落とすには、消毒用のエタノール(薬局などで安価で売られています)を綿棒などの先に付け、モルトの部分にしばらく付けておき、その後、拭き取ると良いようです。 〜プラモデル用のシンナーでも良いようですが、これだと匂いがきつそうですし…

 シャッター速度が正確かどうかを確かめるため、リバーサルフィルム(フジRDPV)を装填し、現在(2007年12月)所有しているスクリューマウントレンズ・SMCタクマー28mm・55mm・120mmの3本のレンズ、そしてセコニックの単体露出計を持ち出して、さっそく近所に撮影に出掛けてみました。

 これまでもリバーサルフィルムで撮影する際は、単体露出計で露出を測り、シャッター速度と絞りをマニュアルで設定するという事をやっていたので、操作上の違和感は、さほどありません。

 それでも、最近はデジカメ使用がメインとなってしまっているので、フィルムを装填し、フィルムの巻き上げ、ピント合わせ、シャッター速度・絞りの設定を全て手動で行なうのは久しぶりで、本当に『写真を撮っている』という気分にさせてくれます(笑)

 ただ、ファインダーが暗いので、悪天候時や夜間、室内などでピントを合わせようとすると、とても目が疲れてしまいます(^^;

 撮影を終わり、フィルムを写真屋に出し、(これも久しぶりです(笑))出来上がったポジを確認してみると、モルトの貼り換えを初めて行なったにも関わらず、光線漏れは全く無し。

 高速シャッター域(1/500秒・1/1000秒)ではややシャッター速度が遅いようで露出がオーバー気味になりますが、(ネガフィルム使用ならほぼ問題無い範囲と思われます)それ以外のシャッター速度はほぼ正常のようです。

 今後も、機会があったらこのペンタックスS3を持ち出して使ってみようと思います。


『鳩』
アサヒペンタックスS3 SMCタクマー120mmF2.8
1/250秒 f2.8 1/2 RDPV
(レーザープリントをスキャンニング)


≪45年の年の差≫
ペンタックスS3(1961年発売・右)と
ペンタックスK100D(2006年発売・左)

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