ガレージのパラドックス


ガレージのパラドックスとは、以下のような話です。
自動車とガレージがありました。自動車の長さはガレージの長さより少し長めです。 したがって、自動車はガレージに入りません。 ところが、相対性理論によると、十分な速さで自動車をガレージに突入させれば、 ローレンツ収縮により、自動車はガレージに入ります。しかし、 自動車から見れば、縮んでいるのはガレージの方であり、絶対に自動車は ガレージには入りません。どちらが正しいのでしょうか? ここで、地上から見て車の最後部がガレージに入ったところで、 シャッターを閉めてしまうとします。一時的にでも、車は壊れることなくガレージに収まります。 ところが、この様子は、自動車の視点からはどうなるでしょう。 車の最後部がガレージに突入し、シャッターが閉まってしまったという事実に変わりはありません。 では、車の先頭はガレージの奥の壁に衝突し壊れてしまっているのでしょうか? また、車とガレージが絶対に変形しない硬い材質でできていたらどうなるのでしょう。 シャッターは閉まったと同時に閉まらなかったのでしょうか。
 こうして見ていくと、深刻なパラドックスに見えます。順番に考えていきましょう。

 まず、地上の視点で、自動車がローレンツ収縮を起こして、ガレージに入るのは事実です。 これは、疑いようがありません。ただし、壊れることなくということはありません。 シャッターが閉まったという事実は、自動車の視点でも変わりがなく、 とすれば、自動車の先頭は、ガレージの奥の壁に衝突し、潰れているでしょう。 ここで、絶対に変形しない物質(剛体)の存在が相対性理論では否定されます。 自動車の最後部は、自動車の先頭の衝突に関係なく進み、ガレージに入ってしまいます。 これは、衝突の影響は、瞬時には自動車の最後部に伝わらないためです。 情報伝達の最高速は光速なのです。どのみち、シャッターは閉まるのです。
 では、自動車の先頭に人がいて、自動車が壊れないように、ガレージの奥の壁の直前で ブレーキをかけたらどうなるでしょう。急停止できたとします。また、ブレーキは、 自動車の最前部にあるとします。この場合も、ブレーキングの効果が 自動車の最後部に及ぶまでに時間がかかるので、その間に、自動車の最後部は進みます。 結局、自動車が壊れる(圧縮される)のは避けられないのです。
 仮に、地上の視点で、自動車の最前部がガレージの奥の壁に達するのと、 シャッターが閉まるのが同時に起きたとします。自動車の視点では、この2つの出来事は、 同時におきていないと解釈できます。(同時刻の相対性)

以下に、参考時空図を掲載しておきます。

ガレージのパラドックスの時空図

参考文献:
和田純夫著、図解雑学『時空図で理解する相対性理論』(ナツメ社)


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