アニメーションで見る相対性理論

質量とエネルギーI


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前章では、運動量保存則を要請し、運動量(p)をとりあえず以下の式に決定しました。

 (再掲63)

しかし、前章では、y-方向の運動量保存則を要請しただけです。本章では、 前章と同じ状況を想定し、x'方向の運動量が保存されているか調べてみます。 その結果、運動量保存則が成り立っていないように計算されてしまうことを示しますが、 これは、特殊相対性理論が示す重大な事実のプロローグなのです。 一見成り立っていないかにみえる運動量保存則を強引に要請し、 重大な事実を引き出すための準備の章とします。

今、前章と同じに、小球2個が互いに相手を蹴とばして、対称な運動をしたものとします(下図)。

本章では、上図のように、最初に両球がくっついていた点を原点とする静止座標系(x", y")を考えます。 残りの二つの座標系は前章と同じですが、上図のように、それぞれ、 静止座標系に対して速さwで離れていくものとします。
ここで、前章で求めた運動量の式を用いて、左に運動している座標系において、 2球が離れる前後の運動量の x' 成分を求めます。 まず、2球が離れる前の全運動量の x' 成分は、

(64)
となります。次に、2球が離れた後の全運動量を求めますが、 左に運動している座標系から見た、右に運動している球の速度の x' 成分 (v) を求めておく必要があります。 以後の計算を簡単にするために、2球は、離れた後、x" 軸に沿って運動したものとします。 速度の合成式より、

(65)
となります。したがって、2球が離れた後の全運動量の x' 成分は、

(66)

となります。

さて、大変なことになりました。(64)式と(66)式を比べると、運動量が保存されていません。 では、上の計算をどう解釈すればいいのでしょうか。 よく考えると、(64)式の m(0) と(66)式の m(0) では、 状態が違うことに気付きます。前者は、小球が離れる前の静止質量であるのに対し、 後者は、小球が離れた後の静止質量です。これが異なっていると考えるしかありません。 そこで、球が離れた後の静止質量をm'(0)とおいて、運動量保存則を要請すると、(64)式と(66)式により、

(67)

となり、

(68)
更に、

(69)
が導かれます。
この式は、離れた後の小球の静止質量の方が、離れる前の小球の静止質量より小さいことを示しています。 これが何を意味するのか、次章以降で考えていきます。
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