アニメーションで見る相対性理論
新たなる運動量
特殊相対性理論によると、ニュートン力学の運動量は保存されず、
物体の速度が遅いときの極限としてニュートン力学の運動量になるような、
新たなる保存される運動量を探す必要があります。それをニュートン力学の運動量の形式を保つように、
運動量 = 質量(速さの関数)×速度 と記述し、速さの関数としての質量の関数形を求めます。
この質量は、相対論的質量と呼ばれ、物体が速くなるにつれて増大します。
しかし、通常質量と言えば、物体が止まっている時の質量のことを指すのが慣例です。
今、以下の図のように、座標系の原点にとどまっていた小球2個が瞬時に互いを蹴飛ばして、
対称な運動をしたとします。ここでは、まずニュートン力学風に考え、小球の質量をいずれも m(定数)とし、運動量保存則を考えてみます。

このとき、上図のように (x', y') 座標系を、
左下に移動した球の横座標が常に x' = 0 になるようにとります。
(x, y) 座標系についても、右上に移動した小球の横座標が常に、
x = 0 になるようにとります。
この2つの座標系は並進運動するものとし、
小球が元あった位置が、
それぞれ y' = 0 と y = 0 を満たすようにします。
ここで、(x', y') 座標系の原点にいる観測者に対する、
(x, y) 座標系の原点の相対速度を v とし、
右上に向かう球は、
(x, y) 座標系において y-軸の正の方向に速さ u を得たものとします。
前章で述べた速度の合成則と、2球の運動の対称性により、
(x', y') 座標系における2球の速度は以下の図のようになります。
ここで、
 | (再掲4) |
です。
下に向かう小球の速度が -u になっているのは、2球の運動の対称性によります。

(x, y) 座標系における2球の速度は、
上の図との対称性を考えれば以下の図のようになります。

ここで、直上の図において y-成分の運動量保存則を要請します。
運動量保存則は物理学の基本原理で、これは常に成り立つことが要求されるのだそうです。
運動量保存則の式は、
 | (57) |
で、a が 1 になってしましました。
以下の(再掲4)式により、これは v = 0 を意味します。
 | (再掲4) |
この意味するところは、ニュートン力学の運動量の定義では、
運動量保存則は物体の速さが光の速さより極端に小さいときには近似的に成り立つということです。
物体の速さが光の速さに比べて無視できないときには、成り立つとは限りません。
光の速さに比べて極端に遅いものしか身の周りに存在しなかった当時のことですから、
これで十分だったのでしょう。
現在でも、通常はニュートン力学を使用し、相対性理論で補正された力学を使用する学問は限られています。
さて、質量を座標系における物体の速さについての連続関数と仮定し(相対論的質量)、
運動量保存則を要請して、これを求めてみます。
式(57)は、以下のように書き直されます。
 | (58) |
u はゼロでないことをを考慮すると、
 | (59) |
ここで、u をゼロに近づけると極限として、
 | (60) |
これをさらに変形すると、
 | (61) |
 | (62) |
となります。
これがとりあえずの相対論的質量で、
これは、物体が観測座標系に対して速く運動するほど大きくなります。
この式では、関数 m の定義域を負にも広げて、m(v) = m(-v) として、
 | (62') |
と書いておきます。
m(0) を静止質量といい、物体が観測座標系に対して静止しているときの相対論的質量です。
この結果によれば、静止質量をもった物体は、光の速さでは走れないことがわかりますね。
相対論的質量が発散してしまいますから。
ここでの結論は、相対性理論における物体の運動量(p)は(とりあえず)、
 | (63) |
で表されるということです。