アニメーションで見る相対性理論


双子のパラドックス



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双子のパラドックスとは、以下のような話です。

双子の兄と弟がいました。ある日、 兄は弟を地球に残して、宇宙船に乗って旅立ちました。 そして途中で正反対な方向に向きを変え、地球に帰ってきました。 さて、兄と弟のどちらがより年をとっているでしょうか。
弟から見れば、兄の時間は、行きも帰りも遅れます。 したがって、兄は若々しく、弟が年をとっているはずです。 ところが、兄からみても弟の時間は、行きも帰りの遅れます。 したがって、今度は弟が若々しく、兄が年をとっているはずです。 これは、矛盾ではないかというのです。

よく考えてみると、兄は途中で向きを変えているので、 兄と弟では、条件が違います。 兄は、途中で座標系を乗り換えています。 このことにより、 兄か弟のどちらかが年をとっていることが事実であると想像できます。 そうでなければ、特殊相対論自体が間違っていることになってしまいます。 順番に見ていきましょう。 兄は、兄の時間で出発後 1 だけ経って向きを変えたものとします。 まず、行きの時のローレンツ変換を以下の図19に示します。 ここでは、弟からみた位置と時間を (x', t') とし、 兄からみた位置と時間を (x, t) としています。 また、宇宙船の速さは行きも帰りも v とします。

図19

図19によると、兄の時刻 1 が弟においては、 1/a に、 弟の時刻 a が兄においては 1 に対応しています。 兄と弟は離れているので問題はありません。 帰りのときのローレンツ変換を以下の図20に示します。 しかし、図20では、兄の座標系と弟の座標系の関係がまだ正確でありません。 兄にとっての位置 0, 時刻 1 を正しい位置に置く必要があります。

図20

図21では、兄の行きと帰りの座標系がともに描かれています。 兄の位置 0, 時刻 1 は、弟にとって位置 v/a、 時刻 1/a に対応していますので、正しい図といえます。

図21

まず、弟にとって兄の時刻は、図の赤線矢印の対応が付き、 常に a 倍遅れて(a < 1)います。 ただし、兄の時計までの距離が変化していますので、 実際に a 倍遅れて見えるわけではありません。 実際にどう見えるかについては、また、別の計算が必要です。 結果は、弟の時刻 2/a に兄が帰ってきて、 兄の時計は、2 を指しています。つまり、兄が若々しく弟が年をとっています。 次に、兄にとっての弟の時刻は、図の青線矢印の対応が付きます。 兄が反転するまでは、やはり弟の時刻が a 倍遅れています。 ところが、兄が時刻 1 に反転した瞬間に弟の時刻は、 2/a - a に飛びます。

 (28)

ですので、今度は、弟の時刻が進みます。 結局、この進みはとりかえせずに、地球に帰還した時には、 弟の方が年をとっているのです。 弟の経過時間を実際に計算してみると(図より明らかですが)、

 (29)

となります。 ですから、双子のパラドックスの話は、矛盾ではないと解決しました。


関連:対称な双子のパラドックス
付記:
 よく、双子のパラドックスにおいて、兄のほうが加速度運動するから重力がかかり、それによって兄の時計が遅れるとの記述を目にする。実は、これだけでは、意味不明である。というか、間違いである。兄の視点においては、「弟までに距離がたくさんあるから、非常に高いところにある弟の時計が進む」というのが正解である。重力を感じているのは、(弟ではなく)Uターン中の兄のみであり、兄の視点のみにおいて、この説明は正しい。決して、兄の時計が受ける重力の作用によって時計が遅れるわけではない。

 典型的な間違いは以下のような「流れ」になる。
・双子のパラドックスでは、兄が加速度運動し、重力を受けることにより、兄と弟は対称ではない。(これ自体は正しい)
・一般相対論によると、重力場では時計が遅れる。(×)
・したがって、遅れるのは兄の時計の方である。(×)

こういった話の流れで必ずでてくるのは、「兄が1G減速でUターンしたとして、地球の弟も1G下にいるわけだから、弟の方の時計が遅れているのでは?」という考えである。重力によって時計が遅れると説明されて、そう悩んでしまうこと自体は正しい。しかし、事実は、再会時には、兄の時計が遅れているわけだから、どこがおかしいのだろうか。実は、高さといっても、巻き尺で計るわけではなく、重力的な高さのことである。兄が見る重力場は、全宇宙に及び、その意味で、兄にとって地球は非常に高い所にいる。しかし、弟の見る地球の重力場は、局所的で、これは無視できるのである。

相対性ということを考えてほしい。 相対性理論では、常にだれから見てということを強く意識しなければいけない。 例えば、ブラックホールの近くで時計が遅れると表現した場合、たいがいの場合、 ブラックホールから遠く離れた高い所が視点である。 ブラックホールのそばでホバーリングしている人の時計がその人から見て遅れるわけではない。 同様に、高いところで時計が進むというのは、低いところの観測者が基準なのである。 重要なのは、重力と時計の進みの関係では、相対的に高い、低いが問題になるのであって、 観測者にかかるその場所の重力が観測者や時計の進みに影響を与えているのではないということである。



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