アニメーションで見る相対性理論


光のドップラー効果



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この章では、光のドップラー効果について説明します。 日常体験するドップラー効果に音波のドップラー効果があります。 歩道で信号待ちのとき、救急車が通り過ぎたことがあるかと思います。 簡単のため風はないものとします。 サイレンの音高く救急車が近づいてきて、 通り過ぎた後は、サイレンの音が低くなることに気付かれたでしょう。 これがドップラー効果です。 サイレンは一定の周期で音の波の山をつくりだしていますが、 空気に対してサイレンが運動しているので、 次の山を出す位置がずれるために、この現象が起こります。 サイレンの進行方向では音波の波長が短くなり、反対方向では波長が長くなります。

ドップラー効果には観測者の運動によるものもあります。 ある波長の音波が空気を伝わっているとき、 空気に対して観測者が運動すれば、波の山を聞いてから次の山を聞くまでの時間が変わります。 この場合、耳における音の振動数が変化します。 このように、 救急車が静止エーテルならぬ空気に対して動いていることによる波長の変化と、 観測者が空気に対して動いていることによる振動数の変化を分けて考える必要があります。

音波のドップラー効果では、 空気に対する音源の速度と空気に対する観測者の速度を両方考える必要がありましたが、 光のドップラー効果では、光源に対する観測者の相対速度のみを考えればいいです。 これは、音のドップラー効果で音源が静止している場合と全く同じです。 音源を座標系の原点に固定し、 観測者が運動しているとして扱うことが出来ます。 相対性理論に基づいて考えるならば、 音であろうと光であろうと、音源(光源)と観測者における時間の流れの違いを考慮する必要がありますが、 音の場合は、通常、音の速さも観測者の速さも極めて小さい場合を考えますので、 これを考慮しないで、 振動数の変化の式を求めます。 光のドップラー効果では、光がものすごく速いため、 観測者の速さが光の速さに対して小さい場合は、ドップラー効果は無視できます。 ドップラー効果が顕在化するのは、 観測者からみた光源の速さが光の速さに対して無視できないときであり、 この場合は、時間の遅れの効果が顕在化しています。 宇宙の彼方の銀河からの光を観測する場合などです。 このため、光のドップラー効果では、特殊相対性理論に基づく正確な式を用いるのが普通です。

光源を原点に置き、距離軸の正の方向を観測者のいる側にとって、 ドップラー効果における光源の振動数と観測振動数の関係を導きます。 光源 O' と、光源に対して速度 v で動く観測者 O を考えます。 以下の動画を見て下さい。光が観測者(赤丸)を追い越していきます。ブルーの矢印の変化が観測者の位置での光の振動(電界、磁界の振動)を表しています。観測者の位置での一回の振動(点Aが観測者に追いつくことや、観測者がひとつの波に追い越されたことに対応)にかかる時間を観測者の時計で測れば、観測される振動数がわかりますね。観測者の位置の「振動と時計」が同時に見えたら、観測者における振動数はわかる、というイメージです。視点は、光源の座標系においてもいいのです。

そこで、観測者の位置での一回の振動に対応する光源にとっての経過時間を求めてから、時間の遅れを考慮し、観測者における振動数を求めることにします。 図22を見てください。

図22

光源 O' から、 光源にとって波長 λ0 の光が放射されいるとします。 光源にとっての振動数を f0、 周期を T0 とします。 点Aが光波に乗っかって観測者に追いつくまでの光源にとっての時間を計算します。 点Aが、観測者に、光源にとっての時間 T' で追いついたものとすると、

 (30)

より、

 (31)

となります。これにより、観測者における周期 T は、時間の遅れを考慮して、

 (32)

となります(a は前章までに使用してきたものと同じです)。 観測者における振動数 f は、T の逆数だから、

 (33)

になります。ここで、

 (34)

より、

 (35)

となりますから、観測者が光源から遠ざかるときには、振動数は小さくなり、 近づくときには、振動数は大きくなります。 時間の進む速さが異なる効果を無視した式とは、違う式になっています。




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