フォルクスホッホシュ−レ日記 12月


12月第1週


12月1日(水)

テキストのテーマは、「祖国」そして「2ヶ国語を話すこと」
あなたにとって祖国とは、という問いかけに、モスクワから来たナターシャが熱弁を振るっていた。
あまりよく理解できなかったけど、「子どもの頃と較べて社会の仕組みや価値観が変わってしまい、自分の中で混乱したまま、はっきりした『祖国』観が持てない。」というような内容だったと思う。彼女は20歳代半ば。

先生に指名されて発言する機会があった。
「日本では日本語だけを話すのか。かなり多くの人が英語を話すと聞いたけれど。」という質問。

「英語を9年間学校で習うけれど、少数の人しかしゃべれない」と答えた。
ちがーう、9年ではなく中、高で、6年と言うつもりだったのに、
口が勝手にノイン、と言っていた。あわわ。

ぺらぺらと立て板に水のごとく話すアナマリア、副文で定動詞を最後に持ってくるのがいつもできない。
彼女の間違いを指摘したあと、先生が、「先週まで来ていたタイのブンスィリ、彼女は非常にゆっくりとだけれどとても正確にしゃべっていた。速くなくてもかまわない、文法を考えてきちんとしたドイツ語を話しなさい。」とクラス全員に語った。


12月2日(木)

今週から、休み時間に教室の外に出てクラスメートとお喋りをするようになった。
最初のころは、授業中に出てきたわからない単語を調べるのに必死で、休み時間どころじゃなかったのだ。(授業中急いでカタカナ書きでメモしておいて、あとから調べる)
それにここ数週間は、隣に座ってたアジア系(中国、タイ)の生徒とずっとおしゃべりしてて、席についたまんまだった。

みんなが話していること、ところどころわからないところもあるけど、まあまあ内容はつかめる。

パートナーを呼ぶ、「シャッツ」や「ズーセ」などの言葉、(英語だと「ハニー」や「スイート」?)それぞれ自分の国の言葉ではどういうか、なんてことを話してた。

「日本ではそういう習慣がないから、うまい言葉がない。愛してる、もあんまり言わない。」

というと、みんな一斉に「えええええぇぇぇー!!!

うーん、こればかりは文化・習慣の違いだからなあ。

ドイツ語のschmusenて言葉も、ちょっと対応する日本語が見つけられない。相棒に聞くと、これには「愛する人と二人、あったかくて、甘くて、居心地がよくて・・・」と、ロマンチック〜なイメージがあるそうだけど、手許の独和辞書で最初に出てくるのは「いちゃつく・べたべたする」と、何となくネガティブな感じのする単語。schmusenが人前では憚られる文化の国、だからそうなっちゃうんだろうな。
そういえば、「ラブラブ」って、使うにはちょっと勇気がいるけど、わりと肯定的な響きがしてschmusenにかなり近いかも。schmusenを人前で平気でできちゃう日本人の出現とともに生まれてきた言葉なのかなあ。

今週やってきた21課、今日テストやって終わりだろうと思っていたら、テストは家でやってくることになり次の22課に入った。
先生によると、この14週間で今使っているテキストを終了する予定、人数も減ったことだしスピードアップしてどんどん進みます、とのこと。

HOMEへもどる ドイツ語学習帳のトップへ

12月第2週


12月6日(月)

なんだか全然しゃべれない。
この週末、そして午前中宿題と予習をする時間がなく、何もしないまま授業を受けたらやっぱり全然頭に入らない。ひどい頭痛もあって、1時間早めに帰ってきた。

ワークブックで、語彙を増やすためのドリル、30個ほどの形容詞の中から反対語同志のペアを見つける、というのをやった。
あまりにも知らない単語ばかりでがっかり。どうりでしゃべれない、聞き取れないはずだ。ちょっと本気で語彙をやらなきゃ。

よし、新しく出てくる単語はとにかくその週のうちに覚えてしまおう、という目標を立てたんだけど、やっぱり無理かなあ。(と、弱気。)

12月9日(木)

昨日の宿題は、いつも読んでいる新聞、雑誌などから記事をひとつ選んで概略をみんなに説明するというもの。
ちょうど朝日新聞衛星版が手に入る日だったので、それを持っていった。

「日本から衛星を通じて記事が送られ、ヨーロッパで印刷される。日本の新聞は欧米の新聞でいうと最後の面が1ページ目。」

ということを始めに説明した。

事前に、Artikel (記事) drucken(印刷する)を調べておいた。
記事は、なるべく簡単で写真入りのものと思い、「北海道で大雪」のニュースに。雪かき、を表すのにaufraumen(かたづける)という動詞を使ってみる。

テキストのテーマは「外国人」。

ドイツに数多くの外国人労働者が暮らすわけ、その簡単な歴史など。
クラスに在ドイツ10年のトルコ人女性が一人いるので、いろいろと話を聞いた。

「ここドイツでは自分は外国人。でも祖国トルコに行くのは休暇のときだけ。それに、行ってももう知り合いはほとんどおらず、自分の居場所がない。」

なるほどなあ、複雑で難しい問題だ、と思う。

文法事項は、過去完了。
英語で理解していると頭に入りやすいかな。先生の説明1回では皆が納得せず、初めて10分くらい時間をとって、個々でテキストの文法がまとめてあるページをじっくり読んだ。

家に帰り、夕食後徒歩で買い物に。
連れ合いとドイツ語でいろいろ話してみた。「今日は寒いので〜」とか、簡単な文ばかり。なんとなく、何かが前に出てくると主語と動詞がひっくり返るとか、副文では定動詞を最後に置くとか、体になじんできたような気がする。

HOMEへもどる ドイツ語学習帳のトップへ

12月第3週


12月13日(月)

先週に引き続きテキストのテーマは「外国人」、文法は過去完了。

リスニング。ドイツに移住したイタリア人の家族がどうやってドイツ語を習得したか、息子が語っているのを聞き取る。

最初の質問、「父親はどんなふうにして?」で、いきなりあてられた。

え〜、父親?両親が最初ドイツ語講座に通ったってのは聞き取ったけど、父親だけについていえばこれくらいしか言ってなかったよなあ、と思い、
「Fernsehr」(テレビ)と答える。

先生は、「私はあなたに文で答えてほしいのですよ。」とにっこり。これは、単語だけが返って来たときいつも皆に言っているせりふ。

うーん、とちょっと(3秒くらい)考えてから、こう答えた。
「Mit Fernsehr hat er Deutsch gelernt. 」(彼はテレビでドイツ語を学んだ。)

わー、きっと冠詞とかあちこち間違いあるだろうけど、とにかく意味の伝わる文が、つるつるっと口から出た!うれしい!

今までは何か言おうとすると、「ええっと、動詞はこれで助動詞はこれで、でもってweilのあとで副文だから最後に持ってくるのは・・・・・」と、頭の中はひっくりかえったおもちゃ箱状態、もう自分で収拾つけられなくなっちゃうのが常だったから。
なんだかえらくしゃべれるような気分になってしまったなあ。

ところがところが!
30分後、この自信はあっけなくしぼんでしまう・・・。
今日やった文章のタイトル、「Integration」(統一、統合)について、先生が尋ねた。
「あなたにとって、「Integration」とは何?」

ぼけーっと考えていたら、一番最初にあてられた。
そ、そんなあ、こんな抽象的な問いにこの私に最初に答えろって???
あてられるのを全然予想してなかったこともあり、絶句してしまった。教室に数秒間沈黙が続き、結局何も言えず。

うーん、これは大いに反省。何も考えつかないならそれはそれで、「私には難しすぎてわかりません。」なり、「少し時間が必要です。」なり、反応すればよかった。何も言わないというのは最悪だ。かなり落ち込んで家路につく。

夕食後、夫の友人のスージーから電話がくる。
明日の午前中手芸を教えてもらう約束だったけど、だんなさんの仕事が休みでクリスマスプレゼントを買いに行きたいから来週に延期してほしいとのこと。

わーいわい、彼女の言ってること、ほとんど聞き取れた。
単純なもので、これで一気に自信を取り戻した。

「ドイツ重要単語2200」という本で、今語彙がどれくらいあるのか見当をつけてみた。
赤刷りになってる最重要語1000語を、、さささっとチェックしていく。

うん、これも知ってる、これも、これも、あ、これは知らない・・・・・。
だいたい8割はわかる。ということは800語か。
英語でいうと、中学2年生にちょっと毛の生えた程度かな。VHSに通い始める前は、きっと500語くらいだったのじゃなかろうか。毎週30語くらいは語彙が増えてるように思うから。

うーん、これが2倍の1600語になったらかなり楽だろうなあ。よっしゃ、地道にがんばろ。


12月15日(水)

授業が始まる前、先生がプリントを見せながら私に尋ねた。
まず、私がクリスチャンではなく、違う宗教であるという確認。その次、「では・・・・・?」という質問が全然わからなかった。
Religion(宗教)と、文末のaus だけは聞き取れたけど、全体の意味はまるで見当がつかない。

ぽかんとしつつ何のことだろうと考えていたら、アナマリアがすかさず
先生に「彼女は全然理解してないわよ。」
そして私に向かって「あのね、あなたはクリスチャンじゃないけど、このキリストの話、宿題に出していいかって」と簡単な単語で説明してくれた。

時々短い物語文をうちで読んできて、次回の授業で見ないであらすじを話す、という宿題が出る。
今回はそれがクリスマスにちなんでキリスト生誕の話なのだが、かまわないか、ってことらしい。もちろんかまわない。その旨答えたあとで、気がついた。

そうか、文末にaus!
それってもしかして、nichts ausmachen かまわない、気に障らない、
が使われてたのかな?

nichts ausmachen だったら、よく使ってるんだ。
Es macht mir nichts aus, dass mein Mann dumm ist.
(別にいいんです、私の夫ちょっとバカでも。)
が、初めて耳で覚えてつるつると言えるようになった文。

ドイツに来たばかりの頃、夫が何かちょっとした失敗するたびに冗談でこの文を言わされた。当時は分離動詞も副文もなんにもわかってないままひたすら覚えただけだけど、
今なら、これがこうで・・・って説明できる!やった〜。


12月16日(木)

新しく25課に入る。テーマは家族、友達、祝事。
ueblich(普通)、guenstig(有利)、Einteilung(分担)という言葉が何回も出てきて、頭にしっかり残った。

Verwandte(親戚)という単語、突然出てくるといつもわからない。でもこの課では何度も耳にしたので、きっと定着するだろう。
Verantwortung(責任)、なんでverとAntwortung(答え)がくっつくと責任て意味になるのかな。きちんと答えることが責任をとることにつながる、からかな。

リスニングと読み取りは、昔と今の家庭での役割の違いなど。

授業の後半、独身、結婚して子ども5人、離婚、結婚して子どもなし、の4パターンについて、長所短所をグループで話し合う。

私たちのグループは独身を担当。
利点を話し合ってるとき、ナターシャが「うなぺんぎひ」という単語を出した。
へ?ウナギペン?どんな意味かまるで見当もつかない。
辞書で調べてみると、unabhaengig、独立しているという形容詞。そうか、independentのことかあ。
ふむふむ、abhaengig、依存している、にunがついてるだけね。で、もとの動詞はabhaengen・・・・なあんだ、〜次第だ、に使うあれだ。ウナギなんとかでこむずかしい単語に聞こえたけど、中身はすっきりわかりやすい単語だった。よし、覚えたぞ。

Veranwortung も unabhaengig も、英語で言うと中学校では出てこない単語だよなあ。でも、今の私にはどちらも絶対確実に覚えたい単語。このあたりが、年齢による必須語彙の差かな。

HOMEへもどる ドイツ語学習帳のトップへ

12月第4週


12月20日(月)

講座に来たのは全部で6人。
何人かはクリスマスを故郷で過ごすため、もう祖国に向け旅立ったようだ。

いつもながら、月曜日はドイツ語用の頭が全然働かない。たぶん、週末ほとんど話さないのが原因。「家ではコミュニケーション第一!」と思って英語ばかりだったけど、やっぱりもうそろそろ変えていかなきゃ。

授業の最後、クリスマスの歌を何曲か歌う。

そういえば週末にパパさんと相棒と車で買い物に行ったとき、私が「オー タンネンバオム〜 オー タンネンバオム〜♪」(『もみの木』)と歌っていたら、パパさんがすかさず「オー ツヴェッチゲンバオム〜 オー ツヴェッチゲンバオム〜♪」(「おープルーンの木〜、おープルーンの木〜」)と。ドイツでもやっぱり替え歌歌うんだ、っておっかしかった。

相棒が歌ってたのは、「O, Backsteinkaes, o Backsteinkaes〜♪」という替え歌。「バックシュタインケーゼ」とはものすごく臭〜いチーズだそうだ。その後「おまえは何と臭いのか〜夏ばかりでなく雪の降る冬にも〜」と続く。「もみの木」の、「nicht nur zur Sommerzeit, nein, auch im Winter, wenn es schneit.」という歌詞そのままでぴったり合っちゃうのがすごくおかしい。


12月21日(火)

相棒の友人、スージーが、「樹脂状絵の具でビニールシートに絵を描き乾いたらはがしてガラスに貼るとステンドグラスのようになる」手芸を教えにうちに来てくれた。1歳3ヶ月の女の子、ニーナも一緒。

スージーがニーナに話しかけるとき、「du, du,」って、duで呼びかける。日本語だったら、「○○ちゃん、ほら、みかんだよ〜」と絶対名前で呼ぶ場面。うむむ、こんな小さい時からich とかdu とか「人称代名詞」に囲まれて育つわけだ。

なるほどね〜生まれも育ちも日本の私、er (彼)とsie (彼女)いつも混乱しちゃうはずだよ。って、これは全然理由になってないか。


12月22日(水)

今日で年内の授業は終わり、明日から約20日間のお休みとなる。
1時間ほど授業をしてから、教室でクリスマスパーティー。

飲み物や食べ物、みんなそれぞれ何か持ち寄ることになっていた。
「手のかかる料理じゃなくて、スナックでも何でもいいから。」と言われていたのに、テーブルの上はかなりの豪華さ!全然食べきれなかった。

グリュ−ワイン、ミネラルウォーター、ジュース、クリスマスクッキー、チョコレートの詰め合わせ、ココア味の焼き菓子、けしの実のロールケーキ、クリームチーズのディップ(キャビアとにんにく入り)、層になったケーキ、ハーブ入りご飯をブドウの葉に包んだもの、甘い蜜がたっぷりかかったトルコ風のクッキー。
私は小魚ナッツ、甘納豆の小袋、ミニ羊羹と、巻き寿司(ツナマヨネーズ、卵焼き、練り梅の3種類)を持参。

巻き寿司がすごく人気だったのにはびっくり。みんな口々に、「一度sushiを食べてみたかった〜」と。四方八方から手が伸びて、あっという間に消えていった。

この季節、講座が終わる時刻にはもう真っ暗。でも照明はつけず、先生が持参したキャンドルの灯だけでいろいろ語り合う。これで年内の講座は終わり。残った食べ物をみんなで分け、「よいクリスマスを!」と声をかけあって家路についた。


1999年の日記はここまで。
明けて2000年、フォルクスホッホシュ−レは1月10日(月)から始まります。
そして1月31日で今のコースが終了。

HOMEへもどる ドイツ語学習帳のトップへ 1月の日記へ