フォルクスホッホシューレ日記 10月


最初の1日 


10月4日月曜日

初めての登校日。前日にパパさんと下見しておいた、「短期集中コース1」の教室へ。すでに4,5人の受講生がおり、何か英語で話している様子。「ハロー」と挨拶し隅っこの席につく。ぽつりぽつりと次第に人が集まり、開始時刻の8時45分にはロの字型に並べられた机の周囲に生徒がぎっしり、全部で23人になった。

授業はまず先生の自己紹介から。そして一番近いところにいる受講生への質問。

Ich heisse Zita. (私はツィータといいます。)
Ich komme aus Deutschland. (ドイツから来ました。)
Wie heissen Sie? (あなたのお名前は?)
Woher kommen Sie? (どちらから?)

自分の名前と出身地を言い、次に隣の人に同じことをたずねる。その繰り返しで、受講生全員が自己紹介していく。

途中、先生から「テキストのここを開いて」との指示。
「え、テキスト?何のことかいな?」と周りを見まわすと、何人かはテキストらしきカラー表紙の本と、それと同じタイトルがついた白黒表紙の本を持っている。
これって、事前に説明会とかあったのかなあ、何にも聞いてないぞお。受講生の半数くらいはテキストなし、私も隣の女の子に見せてもらう。

名前と国籍をノートに書きとめてみた。スペイン、グァテマラ、イエメン、ハンガリー、フィンランド、リトアニア、ブラジル、コロンビア、ボスニア、ベネズエラ、ウルグアイ、モロッコ、ギリシャ、スペイン、イラン、イラク、オーストラリア、アメリカ、ベネズエラ世界19ヶ国!「ベネズエラからの生徒を教えるのは初めて。」と先生。

ボスニアからの女の子は中学生くらい。ドイツ語はまったく話せない様子。お母さんらしき人が付き添いで一緒に来ており、教室の隅で心配そうにずっと見守っている。

最初は黒板を使わず音だけで「イッヒ ビン ・・・、イッヒ コーメ・・・」と口移しでくり返させていたものの、どうしても耳からだけでは覚えられない受講生もおり、途中で板書して読ませるようにした。
ところがこれでも「Ich」を「イッキ」などとのように、つまりドイツ語の読み方がわからないので自国語で発音してしまう人も何人か。それをまた注意しchの発音を全員で練習したり、と、なんやかやで、一通り自己紹介し終わるのに約40分かかった。

次は「Ich spreche ..............」で、自分は何語を話すかを一人一人口頭で言っていく。
途中で、sprechen は ich spreche のように、つまり主語がich(自分)のときは動詞の語尾が-eになる、という説明がある。もちろん全部ドイツ語、板書やジェスチャーを併用しつつ進められる。

先生の話し方は非常にゆっくり、一語一語をはっきりと発音するので、聞いていてまるでスペルが次から次へと頭に浮かんでくるようだ。
一度だけ、ドイツ語だけではなんとしてもdu と Sie (親称と敬称、簡単に言うと君とあなた)の違いがわからないアメリカ人女性に、英語で説明していた。かなり英語も話せるらしい。

休憩時間。まわりの受講生とドイツ語で少し話してみる。右隣は、ギリシャから来た20歳代くらいの女性。ギリシャ料理店で働いているそうだ。左の若くて元気のいい女の子はモロッコから。近くの席の10代とおぼしき女の子たちときゃあきゃあと騒いでいる。

後半は「Was machst du in Deutschland?」(ドイツで何をしているの?)という質問、そしてそれに答える練習から。また隣へ隣へとリレーし始めたものの、machen(する)や、先生が例として出した arbeiten(働く)などの言葉の意味がわからない人が多く、すぐに止まってしまう。なかなか先へ進まない。

私の番が来た。
「Ich mache nichts.」 (「何にもしてません。」―教室の一部で爆笑)
「Ich bin eine Hausfrau.」(「主婦です。」―冠詞は必要なかった―)

duや3人称単数が主語の場合の動詞変化の説明、あとは単語をいくつかと、テキストを見ながら「彼女/彼はどこから来た、○○と言っている、」と描写する練習などをして、今日の授業は終わり。

この時間私が覚えた新しい単語は、
das Gegenteil(反対、反対語)、 die Kellnerin(ウエイトレス)、 verschieden(違う)、 die Hauptstadt(首都)、 die Frage(質問)、 die Antwort(答え) などなど。この程度の語彙もないんだから、これはもう立派な初心者だよなあ。

うーん、しかし、自分ではまるで初心者のつもり、そして実際そうなんだけど、このクラスの中では少しは「先に進んでるほう」のようだ。でも、冠詞とか性とか動詞の変化とかはあやふやだし、何よりまずまだ会話に慣れてない。文法事項はやさしくても、語彙のレベルは私にぴったり。よし、この授業受けながら地道にやっていこ。などということを考えながら、テキストの入手先を先生に聞いてみた。

「どこでテキストは手に入りますか?」(いちおうドイツ語で)
「○○とか、△△とか、本屋にありますよ。」

ふむふむ、そうか本屋で買うのか、じゃあ帰りに寄ってみようかな。すると先生が、

「あんこ、あなたにはひょっとしたらもう一つ上のクラスがいいかもしれない。今日の午後そのクラスがあるから、試しに受けてみたら?担当の先生には私から話しておきます。どっちをとるか決めて、それからテキスト買ったほうがいいでしょう。」

ひ、ひとつ上のクラス〜!?
確かこのコンパクトコースは1、2、3の3段階、1のこのクラスが初級だとすると一つ上の「2」は中級じゃないの!そんなの無理だよぉ・・・。どうしよう!うーん、でもものは試しかなあ。やっぱりこのクラスだと進み方すごくゆっくりだろうし。まあ、ダメもとだよね。よし、受けてみよ。

てなわけでいったん家に戻り、午後再び「短期集中コース2」を受けるためフォルクスホッホシュ―レへ。

玄関を入り教室に向かっていると、2人の女性がにこにこしながら話しかけてきた。「あなたもドイツ語2のコース?一緒に行きましょう!」
一人はハンガリーから来たカタリナ、もう一人はクロアチアのアナマリア。

「実は1のクラスを午前中受けたんだけどこれこれこういうわけで〜」と説明したかったけれど、私のドイツ語ではうまく表現できない。
「英語で話してもいい?」と聞いたら、アナマリアはわかるけど、カタリナは、「英語?全然だめ!」そうだ、ここでの共通語はドイツ語なのね、と再認識。

授業が始まった。受講生は12名くらい。
で、レベルはというと・・・・・

うっひゃーーー!!!こりゃあとんでもない!

クラスメートがぺらぺらと話しているのは私からみるともうほとんど完璧なドイツ語、先生はすごい早口で、まるで機関銃のように次から次へと言葉が飛んでくる。

でも、この日やった文法事項は現在完了の作り方と、不定冠詞の変化。あーこれなら知ってる!プリントの練習問題もだいたいできた。

結局、この「2」をとることにした。語彙もなければ会話もできない、レベルが高すぎるのは一目瞭然。でも「1」のコースでは少しばかりもの足りず、それに人数が多すぎ効率的に学習できるかどうかも気になる。それに、語学の授業を受けるなら、「自分のレベルよりちょっと上」のクラスが上達には一番いいはず。「ちょっと上」じゃなくて「かなり上」ってとこはかなり不安だけど、まあ何とかなるさ。

うぎゃー、がんばるぞー!

うちに帰りフォルクスホッホシュ―レの講座案内をよく読んでみた。
コンパクトコースの「1」は、Anfaenger/-innen ohne Vorkenntnisse対象、とのこと。そっかあ、「予備知識のない初心者」か。
午後の「2」のコースは Anfaenger/-innen mit Vorkenntnisse、「予備知識のある初心者」対象、うーん、でもみんな全然初心者には見えなかったけどなあ。

テキスト、ワークブックについての記述もちゃんとあった。
「2」のコースは、「Moment mal! 2」のLehrbuch (テキスト)と Arbeitsbuch(ワークブック) を使用。次の日、本屋を数軒まわったけどどこも在庫がなく、結局注文することになった。

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10月第1週


10月6日水曜日

講座の2回目。今日からテキストを使用しての授業。
私を含めクラスの半数以上がまだ手もとにテキストがなく、先生が今週分の課をコピーしてくれた。

もらったコピーをちょっと読んでみる。うーん、全然わからない。どうしたものか。出てくる単語がこうもわからないと、手のつけようがない感じ。しっかり予習しなきゃなあ。

テキストがわかんないのは予習すればすむけど、先生の指示が聞き取れない、理解できない、というのは困ったもんだ。まわりを見つつ、まねしてやってる状態。わからなけりゃ聞けばいいって?ところが「質問をする」ドイツ語さえわからないのだ。

ところが練習問題をするとなると、問題の指示文は理解できないのに何故か課題はこなせる。うひゃあ、設問のパターンを見ただけで出題の意図がわかるって、やっぱり日本人はテスト慣れしてるってことなのかなあ。

この課のテーマは「若いということ」。
文法事項は主文と副文、weil(〜なので)、wenn(〜のとき)、dass(〜ということ)で導かれる副文では、定動詞が最後にくると。

ふむふむ、そんなに難しくはないね、と頭では理解できるものの、いざ口から文を出そうとすると、「うりゃ〜!どれ最後に持ってくりゃいいの?kann? sprechen? わかんないよー!」と思考は大混乱。結局正しい文は一つも言えなかった。

かなりの「お客さん」状態ではあったけれど、なんとかこの日の授業は終了。
あー疲れた。


10月7日(木)

午前中、うちで予習する。テキストの今日進みそうなところまで知らない単語を全部調べ、書き込んでいたら、4時間もかかってしまった。

まずは昨日の復習から。
「私が17歳だったとき〜」という副文で始まる文を言いなさい、とのこと。

いきなり先生が私にたずねた。
「あんこは何歳?」
「え?は?うーんと、37歳です。」

ううううっっっそおぉぉぉぉぉ!!!!!
突然教室中が悲鳴で鳴り響く。

「あ、まちがえたまちがえた。」

と訂正しかけると、「そうそう、そうよ、そうよね。」ってな感じで安堵のため息。
みんなどうやら、私がドイツ語の数の言い方をまちがっていたのだ、と納得した様子。

「38歳でした。」(誕生日過ぎたってこと、つい忘れちゃう。意図的ではない!)

ええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!
またもや大騒ぎ。

先生は、黒板に「38」と数字をでかでかと書き、「これ?この数字?」と、何回も念を押す。

隣のアナマリアは21歳、私を同い年かそれ以下と思っていたそうだ。(これはちょっと恥ずかしい、というより、ひたすら申し訳ないような気が。誰に対して、ってわけじゃないけどさ。)

先生は、私にとってはおそらく17歳はまだそれほどはるか彼方のことではなく、このトピックのいい導入になるのでは、と考えていたらしい。そしてまた、普通ならプライベートに関することだから遠慮する事柄だけど、私ならまだ「年齢を聞いてもそんなに失礼にはあたらない年齢」かな、とも。

まあ、年齢にはそんなにこだわりがないから、いいんだけど。
そのあと、「なぜそんなに髪が黒くて白髪がないのか。」「なぜ日本人は若く見えるのか。」などと次々に質問ぜめ。
しかし私の貧弱なドイツ語ではあれこれ説明できるわけもなく、(ドイツ語できたって難しい!)、とりあえず「日本の食べ物がいいのだ。」「日本人は海草をたくさん食べるのだ。」と答えて納得してもらった。いいのかな〜。

水曜、木曜と、二日間の授業で新しく覚えた単語は、

wichtig(大切な) boese(悪い、怒っている) zufrieden(満足した)
ernst(まじめな) wuetend(激怒した)  veraendern(変える) 
brav(行儀のよい)  vergleichen(較べる) sammeln(集める)

などなど。 たくさん調べたのに、後から見なおすと半分も頭に残ってない。いやいや、一回で覚えるなんて無理な話、長期戦で行かなくちゃ。今はとにかく量をこなすことが必要だ。

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10月第2週


10月12日(月)

まだ「若いということ」の課。
でも今日は、それと関連してのファッションの話が中心。衣類の種類の単語が山のように出てきた。

die Muetze(ふちなし帽子)  die Kette(鎖、ネックレス)  der Guertel(ベルト)
das Hemd(シャツ)  der Mantel(コート)  der Anzug(スーツ)

スキーウエアは der Skianzug、パジャマは der Schlafanzug。スキーのスーツならまだわかるけど、睡眠用スーツ?笑ってしまった。

modisch(流行の)  schick(洗練された)  gestreift(縞模様の) 
gemustert(模様のついた) 
など、衣類を描写する形容詞もたんまり。

kariert(チェックの)なんて、一生かかっても覚えられないような気がする・・・。

文法は、名詞の前に置かれた形容詞の語尾変化。うーん、表を見てればわかるんだけど(あたりまえ)、いざそこから離れて「あの赤い帽子が欲しい」とか「白い靴はありますか」とか言おうとすると、相変わらず頭の中は???でいっぱい、大混乱状態。うちで「マイスタードイツ語コース」で復習しなきゃ。

テキストの写真を見て、いろいろな種類の衣類を形容する。形容詞を見つけるのに精一杯で、語尾変化まで手がまわらないよう!


10月14日(水)

授業の前半は、「若いということ」、16課のテスト。
(このテキスト Moment mal! は、「1」が1課から15課まで、「2」が16課から30課まで、という構成になっている。このコースは「2」なので、テキストは16課から始まっている。)
半分くらいの出来だった。

後半、17課に入る。テーマは、「人生の夢」。

文法事項はzu不定詞、テキストに載ってる語句を参考にしながら

Ich habe davon getraeumt, auf einer Insel zu leben.
(私は島に住むことを夢みていた。)

などの文をつくる。

英語のto不定詞に似ているので、そんなに難しい感じがしない。zu ナニナニ、を文の最後に置けばいいだけだもんね。

なーんていい気になってると、ついついzuをtoと発音してしまう!なんてこった。

コンパクトコース2の先生は、40歳代の女の先生。とにかく非常に早口。でも深みのあるきれいな声質で、教室の隅々までよく声が通る。親の仕事の関係で10代後半までカザフスタンで育ったそうだ。そのあとドイツの学校へ進み、ロシア語、ドイツ語の完璧なバイリンガルだとのこと。
例をあげての説明がかなり多く、授業全体をみると生徒より教師の話している割合のほうが圧倒的に大きいけれど、不思議に退屈しない。話がうまいんだろうな。受講生も、みんな授業に満足しているようだ。


おことわり

実は日記を書き始めたのは「ホームページを作ろう!」と思い立った11月後半から。この10月の日記は、当時のノートのメモ書きと記憶を頼りに書きました。最初の頃の授業はやはり印象が強く、よく覚えています。しかし、このあと3週、4週目となると、もうとにかく予習と復習と宿題で精一杯、の記憶だけ。なぜかノートもあまりとっていません。というわけで10月の日記はここまでとなります。

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