フォルクスホッホシュ−レ日記 1月
1月第2週 1月10日(月) 年末年始休みも明け、いよいよ今日から講座が始まる。前の夜と当日の午前中で、全く手をつけていなかった宿題を終わらせた。時間があったので予習もしておく。しかし、最後の晩に宿題をやる、裏返して言えばその時までやらないって、子どものときの夏休みの宿題そのまんま!全然成長してなくていやになっちゃう。 来た受講生は6人。先生は風邪気味でちょっとつらそうだった。 26課、テーマは「学校・職業訓練」。 Ich war stark in Mathematik. (私は数学が得意でした。) などのように、自分の得意不得意教科について話す。 各国の、学校の授業、教室の様子などについての違いがおもしろかった。ドイツでは、発言したいとき、「人差し指を立てる」手の形で挙手するそうだ。ところがある国(ハンガリーかポーランドだったかな)では、「2本(人差し指と中指)を揃えて立てる」形。先生が経験した当時のソビエトの教室では、肘を机につけたまま5本の指をぴんと伸ばして腕を立ててたそうだ。日本は、うーん、指はそろえてまっすぐと、かな、とやって見せた。 教室の机の配置、先生が、「ドイツではこういうロの字型の向かい合う形とか、横1列に並ぶ形とか、教師によっていろいろありますよ。」というと、東欧からの受講生は、「信じられない!学校の机はいつも黒板に向けて同じ並び方しかないと思っていた。」とかなりびっくりした様子。日本もドイツ式、だよな、少なくとも小学校では。 1月12日(水) 午前中、さてそろそろ宿題でもやろうかなと思っていると電話が鳴った。先生が風邪のため今日と明日、つまり今週一杯講座は休みとのこと。大丈夫かな。悪いインフルエンザじゃなきゃいいけど。 突然ぽっかりと時間ができたので、週末ぐらいに完成かな〜と思っていたホームページを一気に仕上げ、公開を始めた。 1月14日(金) 夜、相棒の友人の誕生パーティー。奥さんがシュヴァ−ベンの小さな村の出身、近くにいるその姉妹が集まったため、「シューシュー」という音が目立つシュヴァ−ベン訛りにとり囲まれることとなった。普通のドイツ語だってわかんないのに〜。 大人13人と子ども数人が輪になり、「伝言ゲーム」をする。日本語だったらかなりの長文でないと面白いゲーム(つまり最後の人でとんでもない文になる)にならないけど、ドイツ語だと極端な話「少し長めの単語ひとつ」でもかなり楽しめる。小声だと子音が伝わりにくいせいかな。 最初の言葉は「Maschendrahtzaun」(金網フェンス)。「隣の藪が伸びうちの金網フェンスにかかって錆びてしまった」とテレビで文句言いまくりのおばさん、ザクセン訛りで発音する「Maschendrahtzaun」が全国で大人気となり、CDまで出たそうだ。おばさんもなぜか超有名人。うーん、ドイツってよくわからない。日本の「人面魚」騒ぎみたいなもの? この言葉は知ってたからよかったものの、他は隣の人から始まったって「???」の単語ばかり、意味がわからない私にはすごいハンデ。ひたすら耳に意識を集中し、音の「柄」みたいなものを頭に刷り込み口で再生、を繰り返した。 何回目かで「今度はあんこが出題!」と、今日の主役からのご指名。断るわけにもいかず、そうだ、「マサチューセッツ」と「ミシシッピ」が出題されてたから、と思いつき、「ノースキャロライナ」と隣の人に耳打ちする。1周してきたら、最後には「○○??△△」(意味不明)となってすごくうけた。 |
1月第3週 1月17日(月) 1週間ぶりの講座。先生は少し咳が残っているもののすっかり元気でいつもの調子。前回欠席していた受講生も今日は残らず出席、全部で11名。 26課、今日は主にAusbildung、「職業訓練」がテーマ。 先生は以前「歯科技工士」の仕事もしていたそうだ。歯科医院で働きながら資格をとるため学校に通っていた当時、上司にあたる職場のチーフが意地悪で、雪の降る日に外で車を洗いなさいと言われたり、乾電池を買いに行かされ「種類が違う」と何度も往復させられた話などを聞かせてくれた。まるで「おしん」のよう。ふむむ、どこにも「いじめ・いびり」をする人はいるんだなあ。 文法事項は現在分詞。英語でいうと〜ing。動詞の最後にdeをつけ、名詞の前に置いて形容詞のように使うことができる。語尾変化も形容詞と同じ。 frustrieren(欲求不満を起こさせる)にdeをつけてfrustrierende、名詞と一緒にたとえば frustrierende Jobs (欲求不満のたまる仕事) のように使える。 先生が説明してくれたあとも皆、「最後にdeつけて、それでなんか便利な言葉になるの?」ってな感じで今一つ納得しかねる様子。でも、英語の「現在分詞の形容詞的用法」(あーなんてカタイことば!でも易しい言葉で表現しようとすると長ったらしくなっちゃうんだよなあ。)と同じと考えるとすんなり理解できる。 「Schau die tanzende Frau!(あの踊っている女の人を見て!)のように使うんですか。」と質問したら、 「そうそう、Schau mal! Die tanzende Frau! って、いい例ですね。」 ひゃっひゃあ、少しは応用きくようになってきたぞ、って、ちょこっとうれしい。 それにしても。久しぶりの授業で何ができないかといえば、 1月19日(水) パパさんに車で送ってもらい、いつものように学校へ。ロビーに新しい講座案内の冊子が山積みになっていたので一冊もらい、教室で少し目を通す。次のコースの開始は2月中旬から。ドイツ語講座の種類、時間帯、担当教師、テキストなどは、現在のとほぼ同じ。うーん、どうしようかなあ。今とってる「2」を終えたら次は普通「3」をとることになるんだろうけど、語彙も会話もまだまだだからなあ。もう一度「2」のクラス取って、同じ先生と同じテキストでがっちりやり直すほうが力つくかも。少し早めに来た先生にその旨話すと、「私のクラスをもう一度とる?それはもちろんかまわないけれど、でも「3」に進んでも十分やっていけると思うわよ。」とのこと。あー迷っちゃう! das Lebenslauf、(履歴書)を書き、それをもとに「私は〜で生まれました。○○年に△△を卒業し・・・」と説明する練習。最初に隣同志のペアで練習し、次に全体でそれぞれのペアのパートナーについて発表する。 この頃やっと、Akkusativ (4格)と Dativ (3格)の感覚がなんとなくわかるようになってきた。同時に、格や語尾変化などの存在意義も。「このね〜、fragenの相手はね〜、これ、この人なのよ〜。」と、相手に確実に「行為の対象」を伝えたいと思うと、どうしても性に合った適切な冠詞や修飾語の正しい格変化が気になる。気になるものの咄嗟には出てこず悔しいような情けないような・・・といったところ。習熟の道筋の、最初の山のあたりかな。 新しく覚えた単語: pfeifen (口笛をふく) loben (ほめる) 1月20日(木) 26課「学校と職業訓練」、最後のページ。就職の面接のスキット。 面接時にはder erste Eindruck(第一印象)がとても大切、何を来て行くか(スーツか、カジュアルなものか)は職種によるけれど、色、柄、デザイン、メーキャップにアクセサリー、いずれも派手すぎず地味過ぎず、がよいとされる、との先生の話に、思わず日本を思い出す。 授業中、就職にあたって要求されるドイツ語能力は、という話題から自然に発展して、今後のコースの話になった。 今取っている、この、テキストMoment mal!「1」「2」「3」のコースはGrundstufeレベル、つまり「3」まで終えると基礎段階終了とのこと。(知らなかった〜、「3」が一番高いレベルかと思っていたよ。ちょっと考えればそんなわけないってすぐ気づくのにね。)この段階では、ドイツ語がほとんど要求されない単純労働以外への就労はまず無理。 次の段階、Mittelstufe(中級)は夜のクラスだけとなり、ゲーテ・インステテュートのZDaF(ドイツ語基礎統一試験)受験のためのカリキュラムが組まれている講座もある。 Mittelstufeの最後のコース終了、くらいのレベルにまでなれば、応募可能な職種の範囲もかなり広がるのでは、とのこと。 そういえば隣の肉屋さんの「掃除婦募集」の張り紙にも「要ドイツ語」って書いてあったっけなあ。 ちなみにその後Oberstufe(上級)のクラスもあり、こちらはKDS(ドイツ語小ディプロム試験)の準備も兼ねている。 「今は主婦で無職だけれど、いつかはドイツでも働きたい。」という人が多く(私も一応その一人)、皆真剣に聞き入っていた。 休み時間、廊下でおやつを食べつつクラスメートと話しているとき、「『3』は私には難し過ぎるだろうから、この『2』のコースもう1回とろうかなあと思ってる。」と言うと、「何言ってんのよー!『3』取らなきゃだめよー!」って全員猛反対。「だって会話は相変わらずひどいもんだし、語彙も全然ないし。」と私。「でもね、文法はよくできるじゃない。練習問題だって、ちゃんとできてるんだし、先生の質問にも答えられるし、『3』でも大丈夫大丈夫!内容もそんなに難しくないって話だよ。」 そうかなあ、やれるかなあ。「3」でも何とかなるかな、という考えにけっこう傾いてきた。 家に帰り、パパさんと相棒に講座案内を見せつつ「3」取ろうかなと思っていることを話す。するとパパさんが、「どれどれ、申し込み用紙ももらってきた?じゃあ、これ記入して。」と。講座名、番号、名前・・・と、一つずつ確認しつつ私が記入する。書き終えた用紙と講座案内を手に、「それじゃあまたあした。おやすみ。」と去って行った。 次の日のお昼過ぎ。メイルを書いていると、パパさんが街から戻って来た。その手には、「申し込み完了」と「受講料納入済」のしるしである黄色い紙、それになんとMoment mal!3が!すっかり手続きをすませ、受講料を払い、おまけに本屋でテキストまで買ってきてくれたのでした。ありがとうパパさん、一生懸命勉強するからね! というわけで、2月21日から「3」のコースに通うことが決定いたしました。どうやらまだまだ続く「あんこのドイツ語学習日記」。 |
1月第4・5週 1月24日(月) 今日から28課に入る。(27課はあまり興味のわかない内容なのでパス、と先生。)題は「Beruf und Arbeit」(職業と仕事)。 テキストを開くと、左ページには農家、音楽家、スポーツ選手、パン屋、などのいろいろな職業の写真と単語、右には新聞でよく見る求人・求職の小さな広告がたくさん。 求職の広告には、自分を売りこむポジティブな形容詞が次から次へと出てくる。 belastbar(たくさん働ける) flexibel(柔軟性がある) ふむふむ。日本だと、長所をアピールしつつ謙虚さも忘れずに、ってところがすごく微妙で難しいんだよな。これだけすっきりと「私はこんなに優秀なのよ!」って主張できる文化は、ちょっとうらやましくもある。 休み時間に入るとき、先生が、先々週休講になった2日分のクラスを今週の火曜日と金曜日に設定してもいいかとのこと。何人かは仕事で来られないが、仕方がない。使える教室の確認もとれ、今週は毎日ドイツ語、ということになった。 うひゃー、ちょっときついなあ。1回3時間の講座とはいえ、家事ひととおり(掃除・洗いもの)やって夕食用に温めたら食べられるものを作り、それに宿題、予習、ネットにメイル書きしてると、要領の悪い私はもうそれだけで1日終わってしまう。夕食後は二人の時間、と決めているから、お互いなーんにもしないし。ドイツ語がない火曜日と金曜日は貴重な活動時間。でもまあ、たったの1週間だけだもん、何とでもなるわね。 1月25日(火) 採用募集に応募する手紙を書く練習。例にならって、ちょいちょいと自分の情報をつけ加える。ううー、書く練習はいつもながら苦手。特に、決まり文句でよく意味がわからないものを書き写すのってすごくむなしい。いちいち辞書で調べる時間もないし。慣れなきゃいけないってのはわかるんだけどね...。 休憩後は、動詞と前置詞の結びつきについて。あーむずかしいよう!やっと英語の前置詞覚えたら、今度はドイツ語かい、って感じ。ついでに動詞を名詞化した形での言い方も勉強する。あーこれこれ、何でも名詞で表現しちゃうの、英語でもよくあるよね。「よく寝た。」は、「I had a good sleep..」でOKって。 der Zweifel an + DAT = zweifeln an + DAT DATはDativで3格、AKKはAkkusativで4格。この、ドイツ語での格の言い方も、やっと慣れてきた。最初は1格=Nominativ、2格=Genitiv,...って、ノートの隅っこに書いといた表をいちいち見ないとわからなかったけど。 1月26日(水) 前置詞の穴埋め問題。はああ。こんな何十個もの動詞と前置詞、いっぺんに覚えられるわけがない。もうとにかく一つ一つやっていくしかないんだよな。日常よく出てくる動詞ばかりだし、使いながら覚えて行くしかないだろうな。 この課のテーマが職業とあって、話しているとどうしても自分たちの将来の就職の話になってくる。自分の国で大学を出、資格を取り、いくら経験があろうと、多くの場合ドイツでは通用しない。まず言葉の問題、そして母国での資格が有効でないこと。 まずドイツ語、ドイツ語。目の前に立ちはだかる大きな壁に、あちらこちらから思わずため息がもれる。ドイツで暮らすことになる生き方を自ら選んだのだから文句言えたことではない、とよーくわかってはいるのだけれど。 1月27日(木) テキストは29課「ウィーン」。(30課は全体のまとめなので、講座ではやらない)そして最後の文法事項、接続法第1式。あー、ついにここまで来たのかぁ、と一人でちょっとしじみじみしてしまう。 先生がこの第1式の作り方と必要性について一通り説明。だが皆いまいち納得いかず、「なんでこれが必要なのー、普通に誰々が○○と言った、でいいじゃない!」と不満そう。 それに対して先生は、これ一つで「伝聞だ」ということが表現でき、それが本当かどうかは自分には実際のところはわからないのだ、聞いただけなのだ、ということが伝わる、と強調する。 ワークブックの問題をやっていたら、隣のアナマリアが「そこじゃなくてこっちやるのよ。」と教えてくれた。彼女、いつも言いたい放題したい放題のように見えるけど、実はけっこうまわりに気を配ってる。指示がよく聞き取れない私がとんちんかんなことしてると、いつもその気配を察して助けてくれて。 「娘でもおかしくない」(アナマリアの言葉!まったくもう。)くらい歳は離れてるのに、こうして机並べて勉強できるのって、なんとなくいいな。 1月28日(金) 朝の9時から講座。今週は連日授業だし、金曜日の午前中だし、あまり根詰めないでやりましょう、ということで、接続法第1式の練習問題とGrundstufe最後に受けられる検定問題を、ゆっくりと休み休みやる。 1月29日(土) ちょっと番外編。 この日は夜8時から、フォルクスホッホシューレの全ドイツ語講座の学期終了パーティー。校舎の一室、小さなステージとピアノ、PA装置があるホールに、100人近くが集まった。(でも全受講生数の半分くらい、らしい。)私たちのクラスからは4人参加。 食べ物は持ち寄り、飲み物は最初にシャンパンが振舞われあとはほとんど原価提供のビールやソフトドリンク。食器、紙ナプキンなどもちゃんと用意されている。 ステージでは、受講生による出し物いろいろ。始めはロシア人女性のアコーディオン演奏で、世界の音楽メドレー。カリンカから始まりカチューシャで終わる。そのほか、ギター演奏、歌、パントマイムなどが続く。 圧巻は「ブラジルショー」のお店のダンサー2名(彼女たちも受講生)によるサンバ。カーニバルの衣装みたいなTバックのビキニに羽根の背負子(?)、頭飾り、すごーい、近くで見られてうれしー!踊りもさすがプロ!音楽が切れ目なく続き、みんなどんどん席を立って一緒に踊り出す。夜11時まで続いた。 1月31日(月) ウイ−ンのカフェについて、読み取りや聞き取り。 テープの中で、一人の男の人が何故ここのカフェが彼のお気に入りなのかについて語っている。 「ファブリーエ コスティーエ」というような音が聞こえたので、うーん、きっとこれは「ファブリーク」(工場)の「コステューム」(服装)のまま、つまり労働着を着替えないでそのまま来られる気楽なカフェ、と言ってるんだろうな、と推理する。 で、その旨発言したら、先生もクラスメートもあっけにとられたような顔。「ええと、そういう言葉は全然なかったと思うけど、何のことかしら?」 ううう、どこでどう間違ったのか、私にも全然わかんない。でも、確かに「工場」と「コステュ−ム」の言葉の結びつきは変だ。日本語でだってコスチュームは普通舞台衣装なんかのこと、工場で着る服にはきっと使わないよな。 もう一度テープを聞く...あった!ここ、ここ!「ファミリエ−レ アトモスフェ−レ」、つまり「家庭的な雰囲気」って言ってたんだ。 うーん、「ファミリエーレ アトモスフェーレ」が「ファブリーエ コスティーエ」に聞こえたってわけか。ああ、あまりのリスニング力のなさに我ながらがっくり。 今日は講座の最終日、ナターシャが先生に贈るカードとお花(鉢もの)を用意しておいてくれた。休み時間にみんなでカードにサインし、それぞれお花代3マルクをナターシャに。そして、後半の授業が始まったところで先生にプレゼント。アナマリアが「あなたが一番いい先生って、みんな言ってる。」と言うと、先生はちょっと言葉を詰まらせた。うん、本当にいい先生に出会えてよかった。落ちこぼれもいいとこの私が楽しく勉強続けられたのも、先生のおかげ。心から感謝してます。もっとレベルが上がったら、またどこかのクラスで教えてもらう機会もきっとあるだろうな。その時「わあ、ずいぶん上達したわね。」と言ってもらえるように、がんばってやります! 以上でGrundstufe「2」の講座は終わり。次の「3」は、2月21日から始まります。 |