|
一言: |
僕が歌謡曲にはまったのは間違いなく八神純子だ。確か小学6年生のころだと思うのだが、親のラジカセを借りて初めてラジオから録音したのが八神純子の『みずいろの雨』だった。それ以前もキャンディーズ、ピンクレディーといったアイドル歌手の曲は耳に入っていたのだが、明らかにそれらとは違う何かが響いたのだと思う。
歌のうまさや、楽曲の良さ、そして弦楽器を利用したアレンジなど、非常に高いレベルでバランスが取れていたというのを、幼いながら気づいていたのだろう。さらに、歌詞の意味は良くわからないが、切なさが伝わってきたのも印象的だ。そう、歌を聴いてその表現力が伝わってきたと言うのが、はまった一番大きな理由だと思う。
歌の下手な歌手に興味が沸かなくなったのもこのときからだな。
|
お友達のMASAさんから次のような一言があったので、早速フォロー。
すばらしい、僕は2枚目とベスト版(4枚目)しかレコードを持ってませんでした。3枚目は当初購入予定だったのですが、同時期にリリースされた矢野顕子の『ごはんができたよ』を選んでしまいました。アルバムを1枚買うと言うのは、寮生活で月の小遣いが5千円(土日の昼飯代込み)程度の当時の自分には、かなりの決断の必要な作業で、なおかつこの『ごはんができたよ』は2枚組というかなり理不尽なアルバムだったため、かなりダメージだったのを記憶している。しかも、矢野顕子のコンサートにも行ったので、八神純子のアルバムは到底手が出なかったのだ。 |
ところで、八神純子のアルバムを聴きなおすと、やっぱりうまいね、この人。多くの曲の、作曲とか編曲も手がけてるんだけど、自分の声を活かすのもうまい。『みずいろの雨』はリズムは実はボサノバなんだけど、歌自体はロングトーンを使ってちょっと演歌っぽいところもあったりする。その対比が非常に面白い。
『ポーラー・スター』なんか今聴いても新鮮なアレンジ。
八神純子の特徴は歌のうまさとその歌を活かす編曲の良さだという事を書いてきたのだが、もう少し突っ込んでみよう。
歌がうまいというのはまずはピッチの良さなのだが、八神純子のピッチの安定感は素晴らしい。『みずいろの雨』から『パープル タウン』は彼女が20歳から23歳くらいの頃の曲だが、この年齢でこれだけ安定したピッチが実現できるのは驚きだ。『パープル
タウン』のサビのところは半音階的に下がっていくところがあるのだが綺麗に歌いきっている。聴いていて気持ちがいい。
さらに、歌のうまさとしてはリズムやダイナミクスが重要になるが、この点に関してもレベルは高い。八神純子の曲は基本的にメロディーはあまり細かなリズムにならず、比較的大きな刻みで歌いこむものが多い。それに対して音数の多い伴奏でスピード感を出すという手が使われているが、そう言う演奏においても歌がせこくならないのがよい。
次に、ダイナミクスに関しては嫁が面白いコメントをしている。ダイナミクスを付ける時に、盛り上がってもシャウトしないという。通常、シャウトしてしまうと声は歪んで、聞き苦しくなったりするケースも多いのだが、そういうことはしない。ある意味、クラシックの歌い方に通じるものがあるそうだ。こういう歌い方をする人は年をとっても声を傷めない。僕自身は最近の八神純子は聞いていないのだが、嫁の話だと声が太くなって以前よりますます良くなっているそうだ。こういう歌い方で年をとって良くなる歌手を挙げると、渡辺真知子、尾崎亜美、といったところだ。彼女たちに関してはまた、レポートしてみたい。
さて、編曲にも触れてみよう。僕が編曲という意味で好きな曲は、『みずいろの雨』、『ポーラー・スター』、『パープル・タウン』、『恋のマジック トリック』ということだ。これ以降の曲も良いのだが、弦や管がふんだんに使われているこれらの曲はかなり面白い。さて、これらの曲、いずれも共通点があるのだ。それは全て同じアレンジャーによる作品なのだ。大村雅朗(マサアキ)さんという人で、『みずいろの雨』が出世作で、その後、八神純子だけでなく、大江千里、松田聖子、渡辺美里などの編曲を手がけている。松田聖子の場合、『青い珊瑚礁』、『白いパラソル』、『天使のウィンク』、『SWEET MEMORIES』などヒット曲の多くは、大村雅朗の編曲(一部作曲)なのだ。へぇ、こりゃすごいや。
そこで、大村雅朗の線で最近のJ-POPも聞いてみるか、と思ってインターネットで調べてみたら実は1997年6月29日に46歳でお亡くなりになっていた。なんて、残念なことだ。また、訃報ネタになってしまった。ということで、ご冥福をお祈りします。
| Copyright 2001, T.Fukuoka All rights reserved. |
Last Update :
10/08/2001 18:58