心を握る・・・おやじからのメッセージ

高輪の鮨屋、 もう、この音だけ聞いただけでも、凄く高い、高級なお店って思われるんだよね。

でもね、鮨って、江戸時代は庶民の食べ物、 まして、マグロなんか、下世話な魚だったんですよ。 いつの頃からかな、鮨=高級な食べ物になったのは。

鮨屋を30年以上やってるけど、 一応考えが有るんだよね、本当の事言えば、 利益の事を考えて、高級店にして、値の張る近海で取れた天然物を使って、 店の雰囲気も、高級な店構えにしてやれば、 皆さんがイメージする、高輪の鮨屋の出来上がり。 そんな、高級思考は、他のお店に任せます。

誤解しないでくれよ、そんなお店が悪いってわけじゃないだよ。 鮨屋、いや、俺は、 みんなが最後に美味しかった!! 言ってくれた時の笑顔が好きなんだよね。

うちは、鮨をいろんな人に食べてもらいたい。 ただそれだけだよ。 そして、最後に 「美味しかった!」って 言ってくれた時がいいね。(特に若い女性がいいね。)

近ごろ、回るすし屋が流行ってる。ネタもがんばってる。 でも、そんなやり方と自分のやり方とはまったく違う やっぱり、お客さんの顔を見て、握りたいね。 それも、「何から握りましょうか」と注文を聞て、「ハイ」と威勢よく返事をして、握る。

ただ握ってると思ったら、ちょっと違うよ。 若くって腹を減らしたお客さんにシャリを大きく、お酒を楽しんでいるお客さんにはシャリを少なくする。 いろんな人に合わせた、握り方がある。

そして、いつも、一緒ににぎるんだよ。

「店に来てくれて、ありがとうよ」という気持ちも。

ただし、気をつけてくれよ。遅い時間に店に来ると、ワサビがきつい時がある。 その時は、常連のオヤジ達に酒を勧められて飲んじまった後だと思ってくれ。まぁ、愛嬌かな。


 

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