[ネットの時代:強いものが勝つのではない。環境に適合したものが勝つ。]

「強いものが勝つのではない。賢いものが生き残るのでもない。環境に適合したものが勝つ。」と自然界の掟を説いたのは、あのダーウィンである。この掟は今のビジネス世界にもピタリ当てはまる。これから急速に起きるネット革命では、どんな大企業でも技術革新に適応できない企業は淘汰されるということになる。この3年間だけ見てもすざましい勢いで変化し構造改革も急速に進んだ。インターネットの普及はまったく新しいビジネスを創造し、既存のビジネスの常識を変えようとしている。正にこれは世代交代であり、過去の商習慣と仕組みの破壊である。たとえば、Eメールはただ同然で世界中の誰にでもリアルタイムに連絡ができる、また、インターネットを利用した電話は従来の距離と時間に依存する電話の価格体系を根本から揺るがし価格破壊を進行させた。ブロードバンドのネットワークが普及すれば、今のCDとは比較にならないほど安価に音楽配信することができる。当然、レコード会社は今のままでは生きていけない。ここ数年のデジタルカメラとインクジェットプリンターの進化は、カメラメーカーの予想を上回るものだった。消費者は高い現像代を払ってネガを作りさらに好きな写真をプリントアウトする事から開放された。写真の内容は取った時点でデジカメで確認し、不要なカットはその場で削除できる。そして、好きなサイズで銀塩写真並みの写真をプリントできるようになった。カードサイズの1GBマイクロディスクを使えば千枚以上の写真を撮ることが可能だ。

今までの光学系技術を核としたカメラ業界はCCD液晶等のデジタル技術を持つソニー、サンヨー、カシオなどの参入で大きく変わった。もちろん、町のDPEショップなどが大きな影響を受けるのは必至である。

この革命は世界中で進行しており、もはや誰も止めることはできない時代の流れとなっている。このような中で変化をなるべく遅らせようとしたり、激変の波をかぶらないようにして突破しようというのは土台無理なことである。当然ながらこの変化に対応するには大きな痛みが伴う。この痛みに耐えられない企業は容赦なく淘汰されてゆく。

ネットの時代に生き残るのは、技術革新と時代の流れに適合できるスピードを持つことが必要条件である。現代の競争はマラソンではなく、100メートル競争の連続である。いくら体力があってもスピードが遅ければ勝者にはなれない。つまり、資産や優れた人材があっても俊敏さがなければゴールにはたどり着けないのだ。俊敏経営とは、適切な価値情報を元に良く考えたのち、適切な時期に正確な判断を下すこと、及び、スピードを武器にする経営である。納期短縮、迅速な保守サービス、素早いクレーム処理等はいずれもスピードを武器にするという意味で俊敏経営である。

GEのCEOジャック・ウェルチは17年かけて非常に官僚的で効率の悪い巨大企業体を、スピードと高い生産性がある小さな会社のように変身させた。プレイステーション2で全世界のゲーム市場を席巻しようとするソニーは38名の取締役を10名に削減した。同社が掲げるスピード経営を実践するのが大きな目的だ。今、時代をリードしている企業は例外なく俊敏経営を実践している企業と言って良い。

現代の技術革新がすごいのは人々の生活や嗜好にきわめて大きな影響を与えるということである。iMode携帯電話、GPS、カーナビ、ITS、500円硬貨と同サイズのディスク、MP3、衛星放送など技術革新は人々のライフスタイルを大きく変えている。ネットの時代になって変化のスピードは加速する一方である。ひとつの稟議決済に一週間もかかるようでは他の企業からも不適格のレッテルを貼られて相手にされなくなる。

俊敏経営をするには何層にもわたる中間管理職がいないフラットな組織とEメールやモバイルを利用した情報共有ができるシステムが必要である。昔のように目標を設定してそれを何がなんでも達成するという考え方では今のような激変する時代の流れに適応できない。刻々と変わる市場の変化に合わせて軌道修正できる小回りが利く組織と意思決定を支援する情報システムが必要である。もちろん、スピードはIT革命の土俵に載るための必要条件に過ぎず、成功が約束されたわけではない。実は、ネットの時代に生き残るには明確な経営戦略を持つということが極めて重要となる。多くのトップマネージメントがこの点の認識が浅いのは驚くべきことである。

IT関連企業というノレンさえ掲げれば、株価が上がった時代は終わった。ネットバブルがはじけてニューエコノミーの株価は急落したが、IT革命の本質は決して変わっていない。


                                                   Ani_007