ネタバレなので小説を先に読みましょう。


安部公房の「箱男」は繰り返し読むことを前提に書かれたものであり、わかりにくいのでここに解説します。
新潮文庫版には平岡篤頼の解説(?)がついているが彼は一回しか読まなかったのだろう。ちゃんと働けよ〜。



             手紙や日記、報告書など書類の内容がそのまま小説になっている場合には決まりがある。
             リアリティとしては、劇中人が嘘や間違いを書く可能性があるが〔小説の機構としてはそれは無い〕ということだ。
             さもなくば読んで理解して楽しむことはできない。にもかかわらず冒頭「ぼくの場合」で書き手が屈折した変な奴と
             示されている。「中」をかなで書いたり漢字で書いたりしておりいい加減でもある。
             この設定を大前提〔読み物として成り立つ〕と折り合わせると、〔はっきり本当とはっきり嘘とニュートラルに
             読み分けて進むと面白い〕となる。これは誰でも直観することであり小説家と読者の約束である。
             そしてこの約束は守られる。読者が書物全般の本来の扱いを守る、すなわち繰り返して読むならば。

             安部は一流の書き下ろし作家であり作品を完璧に仕上げて発表していることはいうまでもない。
                唯一、字体と筆跡を混同しているが、これは作劇上のミスではなく専門用語の誤認。字体は文字個々の形のことで、「一の字体は横棒一本」という具合に使う。

てっとりばやく知りたい人はどの項目も赤い字だけ読んでください。
文中の数字は新潮文庫版のページ位置です。


ストーリーの簡単なおさらい

以下はなるべく推理の気分を味わえるよう構成したものです。
読み順を変えてもたいした違いはありません。

1 「箱男」は推理小説である
2 読み順に考える・一(37まで)
3 時系列
4 書類は誰が書いたのか
5 読み順に考える・二(45まで)
6 読み順に考える・三(82まで)
7 読み順に考える・四(131まで)
8 読み順に考える・五(終わりまで)
9 最後の別紙について
10 供述書について
11 物理的真相・一
12 物理的真相・二
13 心理的真相
拾遺
重要な補足


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