あらゆるメディアによって、
長い時間をかけて、
筑豊独特のイメージが形成されていった。

このページは筑豊という地域を再確認していただくためのもので、ここで取り上げた書籍(ほんの一部)は、すべて筑豊にとってかけがえの無い財産だと思っています。

日本の近代化を支えてきた筑豊という地域

日本は世界でもまれな経済成長を遂げた国として我々の誰もが知っているが、明治以来驚異的なスピードで近代化を果たし、それを支えてきたのがわが国の石炭産業だということはあまり知られていない。
あるいは忘れられたということかもしれない。
筑豊にはわが国最大に筑豊炭田があった。24時間体制で石炭を掘り出す不夜城・筑豊は、約100年間にわたってわが国の石炭の半分以上を産出し続けて、まさに日本の近代化を支えてきた地域です。


筑豊は日本でもっとも活気があった地方


筑豊には全国から多くの人々とが職を求めて集まり、暗い地底での苛酷な労働に従事し、わが国でもっとも活気のある地方でした。
同時に炭鉱では大小の事故が起こり多くの犠牲者を出してきたが、人々は日本を支えているという気概と誇りを持ち、地域社会は暖かく充実していた。



筑豊は「日本の三大吹き溜まり」と称された


そして、世界的なエネルギー革命とはいいながら、国の施策によって石炭産業は崩壊し、筑豊の炭鉱は次々と閉山に追い込まれ、数十万人ともいわれる人や家族がこの地を去り、高度成長期を迎えた日本の中で惨憺たる状況を呈した。
口さがない輩と共に一部週刊誌は、東京の山谷、大阪の釜ケ埼、筑豊を『日本の三大吹き溜まり』と称した。
人口五十万人にも及ぶ地域と人口数千人のドヤ街とを比べる見識の無さは論外としても、筑豊の惨状は規模が大きいだけに深刻で、あらゆるメディアが”屍に群がる蝿のように”筑豊の惨状を取上げた。



それは「黒い羽根運動」から始まった

 
 日本ボランティア元年といえる「黒い羽根運動」は、石炭産業の崩壊で壊滅的な打撃を受けた筑豊の子供たちを救おうと、福岡や東京の女性たちが中心となって起こした救援運動で、高度成長に入った日本中に大きなうねりとなって広がっていった。
 1959年9月に黒い羽根運動が実質的に活動をはじめてからわずか3ヶ月後の12月に、土門拳がはじめて筑豊を訪れ、約2週間で『筑豊の子供たち』を撮影した。
そして翌年、2月に写真集『筑豊のこどもたち』は出版され大ベストセラーになり、その年の夏の終わりには『筑豊の子供たち』が映画され、11月には東宝系で全国上映されてヒットした。
凄まじい限りのスピードだ。インターネット時代の今といえども、この猛烈なスピードを再現することは不可能だ。



マスコミの注目を浴びた絵になる筑豊

新聞・雑誌・ラジオ・テレビ゙などマスコミはじめ、写真・記録文学・小説・映画・テレビ゙ドラマなど、大袈裟ではなくあらゆるメディアが”絵になる筑豊”をターゲットにした。
ボタ山・煙突・廃墟となった巨大な建造物、誰もいない道を野良犬がさまよう炭住跡・・・筑豊はまさに絵になった。
東宝や松竹で何度も映画化された小説『白昼堂々』(結城昌冶作)は、20年ほど前にNHKでテレビドラマ化(人間模様という番組枠で一時間・連続七回)されたが、直前になって放送中止となったこともある。



あの『青春の門』の筑豊よ


 全国的にみれば、今では筑豊という地域を知らない人も多い。
 だけど、「ほらあの『青春の門』の筑豊よ。五木寛之さんの小説、映画になったりテレビになったりした」といえば、たいていの人が「ああ、あの筑豊ね」と応えるらしい。
 全国的に筑豊をイメージつけた大ベストセラー小説「青春の門」は、東宝と東映の二度にわたって映画化されて大ヒットし、毎日放送で製作された連続テレビドラマ(一時間・26回)はTBS系で全国に放送された。
 そして、何度か再放送されて、ほんのこの間も再放送されていた。



今もつい炭鉱の痕跡を表現したくなる

 残念なことだが、もうずいぶん以前から筑豊に残る炭鉱の痕跡は少ない。
 それでも、新聞・テレビなどを見ていると、筑豊を一枚の写真や映像で表現する時には、今でもボタ山の写真やカットが使われているようだ。
何人かのマスコミ関係者に聞いてみたが、どうしてもボタ山が見える光景になってしまうとの答えが多かった。
だから今も、筑豊はかつての炭鉱のイメージを、外に向って発信し続けていることになる。


『筑豊原色図鑑』はこのような状況が作らせた
 
『筑豊のこどもたち』
土門拳

「黒い羽根運動」が土門拳を筑豊に呼んだ。



『筑豊炭坑繪巻』
作:山本作兵衛

筑豊を超えて、日本の財産ともいうべき、
山本作兵衛の画文集。



『追われゆく坑夫たち』
作:上野英信

岩波書店からの書き下ろし作品で、
地方の記録作家としては画期的だった。



『写真万葉録 筑豊』
監修:上野英信・趙根在

全十巻に及ぶ筑豊の貴重な写真集。



『奈落の神々』
作:森崎和江

谷川雁・森崎和江・上野英信らが
「九州サークル村」を旗揚げし、創作活動に励む。



『闇を掘る女たち』
作:林えいだい

男と肩を並べて仕事をしてきた
「女坑夫」を取り上げている。



『青春の門』
作:五木寛之

誰もが知っている大ベストセラー小説。






現在、『筑豊原色図鑑』は福岡県下の小・中学校及び各市町村のすべての図書館に配布されています。他に、山口県、岡山県、大分県、高知県の各市町村の図書館にも配布されています。