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 終業式が終わり、東堂と別れ、僕は重たい足取りで家に帰った。

 うちのお手伝いをしてくれている佐紀さんが奥から出てきて「お帰りなさい」といってくれる。

「今日は寒かったでしょう?お部屋が暖まってますよ」

 おっとりとそう言って、佐紀さんはにっこりと笑った。

 佐紀さんは、僕が小さい頃からずっとうちで働いてくれている。音楽家の両親がたびたび家を空けるために、僕は今ま

で生きてきたなかで、両親といた時間よりも佐紀さんといた時間のほうが長いんじゃないかっていうくらい一緒にいても

らった。大好きな人だ。

 佐紀さんの後についてリビングに行くと、佐紀さんの言葉通り、リビングはほどよく暖かくなっていた。

「佐紀さん、今年は今日でおしまい?」

 佐紀さんは朝から夕方まで通いの家政婦さんをしてくれているのだけど、年末はしばらくお休みをするのだ。

「えぇ。でも明日は参りましょうか?お父さま方も日下さんもお戻りになれないんでしょう?」

「……ううん、大丈夫。今年はパーティもしないし、のんびりしてすごします」

 ひとりで誕生日を迎えることを心配してくれる佐紀さんに微笑み返す。

「佐紀さんもおうちでのんびりしてください。佐紀さんのご家族も佐紀さんのこと待ってるでしょ?」

「まゆさん…………」

 佐紀さんはそれでも心配そうにちょっとまゆをひそめた。でも、僕がにこにこ笑っていると、ようやく微笑み返してくれ

た。

「それじゃあ、そうさせてもらいます。……あ、まゆさんにお手紙が来てましたよ。テーブルの上にありますからね」

 そう言って佐紀さんは部屋を出ていった。

 僕はコートを脱いでカバンと一緒にソファにおくと、机の上の封筒に目をやった。

(誰からだろ……)

 手のひらくらいの大きさだけど、少し重たい手紙。

 その差出人の名前をみて、僕は慌てて封を開いた。

 手紙の差出人は、笹目さんだった。

 中に入っていたのは、メモ用紙と、ひもがついていて、ビニールでコーティングされたカードのようなもの。

「まゆへ

  もう学校は終わってるよな?

  25日のコンサート、見学においで。

  場所は下に書くから。

  時間は2時。

  バックステージパスを同封するので、忘れないように。」

 そして、文字の下にはコンサート会場への簡単な地図が書いてあった。

 同封されていたカードには、僕の名前と、先生の出るクリスマスコンサートの名前。

(これって……!)

 先生のコンサートへの招待状だ!

 僕は小さな固いカードをぎゅうっと握って抱きしめた。

(うれしい!)

 会えないと思っていた先生に会える。

 コンサートの前後は忙しいだろうから、話す機会はないかもしれないけど、先生のステージが見られるだけでもいい。

 さみしいと思っていた誕生日が、僕は急に楽しみになった。

 

 

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モドル