翌日、携帯の鳴る音で俺は目を覚ました。

 ピルルッ、ピルルッ、と鳴り続ける携帯を、寝ぼけ眼でさがす。

「・・・ん・・・?」

 俺の横で、シーナが眠そうに目を開けた。

 そうだ。ここは自分の家じゃないんだった。ゆうべ、シーナの家に来て泊まったのだった。

「携帯・・・・・・?」

 目をこすりながらシーナが起きる。

「ごめん、起こしちゃって・・・」

「大丈夫。それよりどこだろ、携帯」

「カバンの中・・・・・・カバンどこだっけ・・・?」

「あ、これ?」

 シーナがはい、と俺のカバンを渡してくれた。あわてて中を探り、叫び続ける携帯をようやく見つけた。

「―――――はい?」

「あっ、啓吾?ちょっとどこにいるのよー?」

「姿子?」

 にぎやかなその声は、いとこの声だった。

「今あなたの家の前にいるんだけど、いないみたいだからさぁ。せっかく遊びに来たのに」

「ちょっ・・・ちょっと待てよ!?家の前って・・・うち来るなんて言ってたっけ?」

「言ってないわよぉ。たまたま今日の勤務他のコと代わることになってヒマになったから来てみただけ。いま学校?」

「あ・・・えっと・・・・・・」

 ちらり、と隣を見る。シーナは布団の上にぺたんと座って首を傾げている。

「もしかして、例のカノジョのとこ・・・・・・!?やったじゃん、落としたの!?」

「馬鹿っ!違うよっ」

「いーのいーの照れないで。ごめんね、邪魔しちゃって。じゃーねー」

 ぶつっと一方的に電話が切れた。

(寝起きにあいつのテンションはつらい・・・・・・)

 はー、っとため息をつく。

「・・・本谷・・・・・・?」

「あ、ごめん、起こしちゃって。また寝る?」

「いーよ。もう大丈夫。お昼過ぎだし」

 髪の寝癖を直しながらシーナが時計を見る。午後2時ちょっと前。

「電話、なんだったの?」

「・・・別に」

「・・・・・・カノジョからじゃないの?」

「カノジョ?」

 目を伏せてシーナは立ち上がった。

「最近、よくうわさ聞くよ。本谷の彼女はすっごい美人だって」

「??」

 彼女?俺は大学入ってから彼女なんて作ってないんだけど・・・・・・

「大学にも来てたんだってね」

 その言葉にぴんときた。

(姿子か――――――――――!)

 確かにあいつは大学にも来たし、最近よく遊んではいたけど。

(でもあいつはなぁ・・・・・・・・・・・・)

 姿子が彼女になるわけがない。

「どこかの大学の人なの?」

 台所で紅茶を入れているシーナの声。

「もう卒業してる。看護婦してるんだ」

「ふーん・・・・・・」

「でも、あいつは彼女なんかじゃないんだけどなー」

「別に隠さなくてもいいのに。もしかしてキャンプ行ってるときにダイゴロー預かってくれたのもその人?」

「そう・・・・・・だよ」

 それは間違いじゃない。

 紅茶の入ったカップをふたつ持って、シーナがやってくる。

「今度会わせてよ」

「・・・いいけど」

 そう言うと、シーナは小さく笑った。

 

 

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モドル