一緒に…

 

 寒い冬の朝。

 午前中の講義がないから、布団の中でいつまでもごろごろしていられる朝。

(しあわせだー)

 平凡だけど、そういう小さなことにしあわせを感じられるのって、結構いい。それに、俺の腕の中には、この世の中で一番大切な人がいるのだから、しあわせを感じないはずがないのだ。

「本谷?どうしたの?」

 腕の中のグレーのパジャマがもそもそ動く。

 布団の中から顔を出したシーナに俺は微笑んだ。

「おはよう」

「おはよ」

 朝の挨拶と、キス。

 俺と暮らし始めて一週間たつけど、シーナはまだキスをするたびに顔を赤くする。キスも、キス以上のことも、もう何度もしているのに。

 シーナは色白だから、顔に血が上ると、頬が綺麗な朱色に染まる。セックスの最中には、きっと身体もそんな風に紅潮しているんだろうと思う。予測しかできないのは、明るくして襲おうとするとシーナが恥ずかしがるから。だけど、いつかは明るいところで飽きるまでシーナを見たいなぁ、なんて思う。

(させてくれなさそうだけど…)

 キスするだけで照れるくらいだから。うっとりするくらい手触りのいい肌をしているのに。雪国の人は色白もち肌とか言うらしいけれど、シーナの肌は、本当にすべすべしていて、手触りが良くて、触れているだけでも気持ちよいのだ。

(ま、とりあえずはいいか)

 シーナが俺の腕の中にいてくれるんだから、贅沢はいえない。

「にゃー」

 俺たちが起きた気配を感じて、ダイゴローがベッドによじ登ってきた。そして、俺の邪魔をするように、俺とシーナの間に割って入った。

(ダイゴローめ……)

 このネコは、ことあるごとに俺とシーナの邪魔をしたがるのだ。シーナと暮らすようになってからも、ダイゴローとのライバル関係は続いている。飯を食うときも、寝るときも、必ず俺とシーナの間に入りたがる。シーナが本を読んだりしているときは、ひざの上で寝てるし。

(俺もひざ枕してほしい……)

 なんて、ダイゴローがうらやましくなることも多い。シーナもダイゴローをかわいがるから、俺はネコ相手にやきもちを焼くことも多々あるのだ。

「ダイゴロー。熱いって」

 無理やり布団からダイゴローを引っ張り出すと、ダイゴローは俺の腕につめを立てた。

「痛っ」

「にー」

 邪魔するなよ、というように俺にすごんで、ダイゴローはまた布団に潜っていく。

(飼い主に何すんだっ)

 むかっとしたけど、シーナの手前、こいつに手荒なことはできない。耐える。

 シーナは身体をすり寄せてくるダイゴローを愛しそうになでた。

「おはよ、ダイゴロー」

 にゃあ、とダイゴローが答える。俺のときとは違って、鼻にかかった甘えた声だ。シーナはダイゴローをあやしながら俺を見た。

「朝ご飯、食べようか」

 そうして、いつもどおりの朝が始まる。

 これからも、ずっとこんな風にふたりと一匹で目覚める朝が続きますように。

 いつまでも、一緒に…

 

end......    

モドル