「温泉へ行きたい」

 久しぶりのオフだから、次はいつまとまった休みが取れるかわからないから、と駄々をこねられ、俺は円(まどか)と山奥の温泉に来ている。俺も円も世間に見つかるとちょっと厄介なことになるから、わざわざ人里離れた温泉を選んだ。俺たちのことを知っている若い奴らが行くようなところじゃなくて、湯治のじーさんばーさんが行くような温泉。なおかつ、絶対露天風呂がいい!という円のわがままもクリアできるこの場所をさがしだして、出かけてきた。

 俺の名前は常葉貴之(ときわたかゆき)。元ミュージシャン。現作詞家。作曲もやる。今の仕事は他人のために曲を作ること。年は28。業界では過去の栄光も含めて、そこそこ知られた顔というところ。

 そして傍若無人なお子サマは夏川円。若干17歳にして、日本の若者でこいつを知らない奴はいないってくらいに人気のあるアイドル(本人は「俳優」で「歌手」だって言ってるけど)。デビューしたのは15年前で、芸歴は俺より長い。出会ったきっかけは、CDデビューする円が、俺のプロデュースでなければ歌いたくないと駄々をこね、困った円の会社の社長が、円を連れて俺に会いに来たことだった。その頃15歳だった円は、まだあどけなさが残りまくった顔で俺を見上げ、「うわ、ホンモノの常葉貴之さんだぁ!感激です!俺、小学校の頃、常葉さんの曲すっごい好きでずっと聞いてたんですよ!!」と叫び、俺は一気に老けた気分にさせられたのだった。

「悪いんだけど、俺、今は誰のプロデュースもする気ないから」

「どうしてですか!?」

 めんどうだから、とは言わなかったけど、円は俺の表情からそれを伺いとったらしい。

「・・・どうしたらいいですか?」

 円は真っ黒ですこしつり上がった大きな目で俺の服をつかんだ。その頃、俺は他人に触れられることに拒絶反応があって、思わず身を引いた。しかし、あいつはかまわずにそのまま俺に抱きついた。

「円!」

 あわてて社長が円を引きはがそうとしたが、円は俺に爪をたててしがみついて離れなかった。そして、

「プロデュース、オッケーしてくれるまで離れませんからっ!」

と叫び、木登り中のネコみたいに俺にしがみついていた。

 後から聞いた話だけど、円があんなにわがままを言うのは初めてだったのだそうだ。普段の円は素直で従順ないいコだからびっくりした、と額の汗を拭いながら社長が言っていた。

 そうやって出会って、いつのまにかセックス10回で一曲プロデュースするというなんだかよくわからない契約をすることになり、円は暇を見つけて俺のところへ来るようになっていた。

 

 

 

「ん・・・・・・んっ・・・・・・・・・」

 口元をこぶしで覆って必死にかみ殺している円の喘ぎ声と、ぱしゃんという水音がかぶる。

「常葉さんっ・・・・・・・・・」

 華奢な見かけによらず適度な筋肉のついた身体を愛撫すると、こらえきれないといったように、円が俺の首にしがみついた。しっとりと濡れた髪が頬にぺたりと張り付く。

「声出すなよ。ここ、いつ誰が入ってくるかわからないんだから」

「でもっ・・・・・・気持ちいいんだもん・・・」

 甘えたかすれ声が耳元でささやく。

「常葉さん、すっげー上手だから・・・・・・」

 そう言って、ネコの目みたいにくるりとした大きな瞳で彼は俺を見上げ笑った。

「だから・・・常葉さんのせい・・・・・・」

 生意気なことを言う薄い唇をキスでふさぐと、下唇をやんわりと噛まれた。セックスの最中に身体のあちこちに噛みつくのは、こいつの癖だ。やめろと言っても、セックスに熱中するうちに無意識に噛みついているらしく、こいつを抱くたびに俺の身体には生傷が増える。他にも爪をたてるし、引っかくし、本当にこいつはネコだ。

 露天風呂に二人で入り、円にじゃれつかれていつのまにかこんなことになっていた。

 露天風呂でセックス。

 刺激的といえば刺激的だからまぁいいか。

 俺は相手が円だとどうやらガードが弱まるらしく、よくこうやってなしくずしに押し切られてしまう。初めてこいつと寝たのも、こいつのCDをプロデュースしたのも、温泉に来たのも、露天風呂でホンバンやってるのも、みんなこいつのわがままに流されたわけで。まぁ、こいつは、本当に駄目なときは大人しく聞き分けるからいいんだけど。

 時間は真夜中。

 明るいうちは人目があるからと、特別に通常の入浴時間の後に露天風呂をあけてもらったのだ。一応貸し切りということになっているから人は来ないはずだけど、でも、いつ誰がくるかわからない。俺はともかく円は顔が知られすぎてるから、こんなとこ人に見られたら芸能生命をたたれてしまうだろう。

「・・・それはちょっとやだな・・・・・・・・・・・・」

 喘ぎながら円が微笑う。

「俺、この仕事好きだし・・・・・・・・・でも・・・・・・」

 かぷっと俺の首筋をあま噛みして、なめる。

「常葉さんとのスキャンダルならいいかな・・・・・・・・・・・・」

「俺はごめんだ」

「えー、ひどいー」

「俺はおまえの恋人でも何でもないし」

「────────────」

 そう言うと、ふっと円の瞳がくもった。しかしすぐに笑みの形に戻り、俺の額に額をくっつけた。

「ん・・・ビジネス、だもんね・・・・・・プロデュースも、コレも・・・・・・・・・」

「ギブアンドテイク」

「でもさぁ、こうしてるうちに俺のこと好きになったりするかも?」

「それはないな」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 ぷぅっと頬を膨らませて円は唇をとがらせた。だけどそれは本当だから。初めてこいつを抱いたとき、円は、性欲処理係でいいから、俺を利用していいから、抱いてほしいって俺に懇願した。だから俺はお手軽なこいつを抱いてる。そこそこ気に入ってるからわがままを聞いてやってるけど、俺とこいつの間にあるのは「契約」であって「愛情」じゃないから。

「いいもんねー。常葉さんを俺の身体で魅了するんだから。気づいたら俺から離れられなくなってるよ、きっと」

「こんな貧弱な身体でか?」

 薄く肋骨の浮いた胸をなでる。コンサート中、服の合間からちらりと見えただけで、何千という女性ファンが絶叫するという胸。

「・・・これはちゃんと筋トレしてるのになかなか身体につかないだけで!ちゃんと腹割れてますよー、ほらほらっ」

 ふんっ、と腹筋に力を入れてみせた円の耳たぶをぺろりとなめると、途端に円の身体から力が抜けた。

「これくらいで崩れるようじゃ、まだまだ」

「常葉さん、反則ーっ」

 円は感度がよくって、ちょっと刺激してやるとすぐにへろへろになるのだ。特に弱いのが脇腹と内腿。露天風呂のへりに座らせて内腿を吸うと、円は俺の頭をぎゅっとつかんだ。その勢いに押されて、俺は肩まで湯に浸かってしまった。

「やっ・・・あん・・・・・・・・・っ・・・・・・常葉さん、そうしてると、河童みたい・・・っ」

 必死に刺激に耐えてるくせに、こいつは小憎らしいことを言う。

 お仕置きに、思いきり足を開かせると、円が慌てて俺の腕をつかんだ。

「やだっ!・・・恥ずかしいってばっ・・・!!」

「駄目」

 そう言って、だいぶ前から元気に脈打っている円の身体の中心にキスすると、びくびくっと魚のように円の身体がふるえた。そのまま根本まで円のモノを口に含むと、「あぁんっ」と円が吐息をもらした。

「──────で、やめて欲しい?」

「意地悪っ・・・!」

「円が嫌ならやめるけど?」

「───────────」

 円のペニスを口に含んだまま舌でくすぐると、円の色白な肌が見る間に薔薇色に変わっていく。今までいろんな奴と寝てきたけど、円の肌は他の奴と比べものにならないくらいきめ細やかで素直だ。これが心地よいから、円の「セックス10回で1曲」なんていう契約にも乗ってしまったのかもしれない。

「どうする?」

 答えがわかりきっている問いを口にするのはなかなか楽しいということも、こいつと会ってから知った。

 円は耳たぶまで真っ赤にして首を振って、潤んだ瞳で俺を見た。

「・・・やめ・・・ないで・・・・・・・・・・・・」

「え?聞こえない」

 ぺろりと舌を動かすたびに円は身震いし、せつなそうに声をあげる。

「もっと・・・・・・して・・・・・・・・・」

「OK」

「─────────あぁあっ!」

 それまでじらすようにしか触れていなかったペニスを、思いきり吸ってやると、円の足がびくっと跳ね上がった。反射的に閉じようとするその足を両手で押さえながら、何度も顔を動かしてモノを刺激してやると、俺の動きに合わせるように円が声をあげた。

「円、声、誰かに聞こえる」

「んっ・・・・・・・・・・・・・・・!」

 注意されて必死に唇を噛んだものの、円はすぐにまた声をあげた。

「・・・仕方ないな」

 そろそろ足の抵抗も少なくなってきていたので、左手の指を二本、円の口に突っ込んだ。そのまま大人しくしていると噛まれるので、下のモノを刺激しつつ、口内も指でなぞってやる。応えるように、俺の指に円の舌がからみついてきた。

「うっ・・・んっ・・・ン・・・・・・っ・・・・・・!」

 唾液が俺の指を伝って落ちる。

「そうか、ここは風呂だから、どんなに汚れてもすぐ洗えるから便利だな」

「んんぅんんー・・・」

 指を突っ込まれたままだったから言葉にならなかったけど、表情から円が「何かするの?」と言っているのがわかる。

「ん?せっかくだから、円が一晩で何回イクか試してみようかって思って」

「!」

 反射的に逃げようとした円の腕をおさえ、ざばっと風呂からあがって、へりに座っていた円を後ろから抱くように座る。円の口から指を抜いて、唾液でぬるぬるしているその指で、円のペニスをなでた。

「────────は・・・っ・・・!」

 ぬるりとした感触がよかったのか、円は今までになく大きな声をあげた。

「やっぱり指がないと声出ちゃって駄目か。じゃ、俺が口ふさいでるから、円は自分でこっちやって」

 今度は右指を円の口に突っ込み、左手で円の手を取って、彼のペニスに添えさせた。

「・・・・・・・・・・・・」

 不安と羞恥の混ざった瞳で振り向いた円に俺は意地悪く微笑み返す。

「いつもやってるんだろ?俺に見せろよ」

 いやだ、というように円が首を振る。せつなそうに眉を寄せ、涙を浮かべて円は俺を見た。

「いやならいいよ」

 円の口内をかき混ぜていた指をすっと抜いて立ち上がる。

「やめるから。俺、風呂あがるよ」

「えっ?全部やめ・・・・・・?」

 ようやく口を解放された円が目を丸くして俺の足をつかんだ。

「なんで?なんで?」

「おまえが自分でできないっていうから、気分が萎えた」

「・・・・・・・・・・・・」

 とたんに円の表情がくもる。そして、しかられた子犬みたいにしゅんと肩を落とし、「ごめんなさい」とつぶやいた。

「常葉さん、怒った・・・?」

「───────────」

 わざと答えずにいると、円はよりいっそう肩を落として小さくなった。

 実は、こいつをいじめるのはかなり楽しい。

 根が素直で純粋だし、感情が表に出やすいタイプだから、からかいがいがあるのだ。わがままは言うけれど、俺には本気で口答えしないし。あまりに従順だから、ついつい無理難題をふっかけてやりたくなってしまう。

「・・・俺、やります・・・・・・・・・」

 絞り出すような声。

 俺がじっと円を見おろすと、円は恥ずかしさに全身を赤くしながら、そっと自分の性器に手を添えた。しばらくためらうような間があったが、やがて手でペニスを包むと、彼はそれを前後に動かし始めた。

「んっ・・・・・・んん・・・っ」

 苦しげなその声は、どちらかというと自慰を俺に見られているという羞恥から漏れているようだ。唇を思いきり噛みしめて、俺から顔が見えないようにうつむき、円はぎこちなく自分を愛撫していた。

 俺はしばらくその様子を眺めてから、さっきと同じように円を背後から抱くように座った。

「・・・もういいよ。後は俺がイかせてやる」

「・・・・・・常葉さん・・・そそられた・・・・・・?」

 円はさっきまでしゅんとしてたくせに、もう立ち直っていた。赤らめた顔に不敵な笑みを浮かべて、ネコの瞳が俺を振り返る。

「おまえがヘタクソで見てられなくなっただけ」

「じゃあ・・・お手本に、常葉さんがしてるトコっ・・・・・・見たいな?・・・・・・」

「ほざくな」

 煩い口を手でふさいで、もう片方の腕で円の身体を少し浮かせる。

「ジェルとかないから、温泉のお湯が潤滑油代わりな」

「・・・お湯じゃ、駄目・・・じゃないですか・・・・・・?」

「とりあえずやってみたらわかるだろ」

「──────────うっ・・・っ!?」

 さらに何か言おうとしていた円の口をしっかりとふさぐ。そして指で円の尻の蕾をさぐり、ゆっくりと指を入れていった。

「──────────っ!!」

 びくっ、と円が身震いしたが、かまわずに入れる指を増やし、馴染ませていった。初めての時は痛くって泣いていたくせに、今となっては、指が動かされるたびに吐息をもらしていたりする。ま、それを仕込んだのは俺だけど。

 しばらくこね回すうちに、だいぶ入り口がほぐれてきたので、指を抜き、今度は俺のモノをそこにあてた。

「・・・円。力抜いて」

 こくん、と円がうなずき、その身体からわずかに力が抜けた。それを合図に円の腰を押さえ、俺のペニスを円の中に挿入していく。滑りやすくするローションやジェルを塗っていないせいか、いつもよりも抵抗が大きい。円も痛いらしく、ふさがれた口から声にならないうめきをもらしていた。

「やっぱりおまえに一回出させて、それ使えばよかった」

「!」

 カッと円が赤くなり力が抜けた瞬間、俺は思いきり円の腰を引き寄せ、モノを根本まで突っ込んだ。

「────────────っっ!!!」

 一瞬、円の身体が硬直し、それからぐにゃっと俺の胸に倒れ込んできた。気絶したかと思ったけれど、一応意識はあるらしく、顔をのぞき込んだ俺を弱々しい瞳で見上げてきた。

「痛いか?」

 円は何も言わなかったけど、そのかわり、ぼろぼろと大きな涙が目からこぼれていた。

「抜くか?」

 嫌、と円が首を振る。だけどそれはこいつの強がりだ。このまま動いてこいつの腸に傷でもついたら後が大変だ。俺は慎重に円からペニスを引き抜いた。

「常葉・・・さん?」

 不安そうに俺を見る円。たぶんまた俺を怒らせたんじゃないかと心配しているのだ。こいつはいつも俺にわがまま言うくせに、時々こうやって心配性になる。落ちつかせようと、めったにはやらないことだけど、頭をなでてやった。

「あのまましてたら、流血だ」

「でも・・・・・・」

 まだまだ不安そうな円を無視してその下腹部に手をのばす。

「さっさとイけよ」

 耳元でそうささやいて、俺は円のモノを激しくしごいた。

「ンぁっ・・・!」

 もう口を塞ぐのが面倒だったので、円には喘がせたまま手を動かす。今までじらしていたせいか、それとも自由に声を出させているせいか、ものの一分もたたないうちに、円は俺の手に白い液体を放っていた。

「あっ・・・常・・・葉、さんのっ・・・手・・・・・・汚しちゃっ・・・・・・・・・っ」

 息も絶え絶えなくせに人の心配をしている円。

「いいんだ。これが欲しかったんだから」

 精液でぬるぬるさせた指を、再び円の入り口へと差し込む。今度はスムーズに指が動かせた。これなら大丈夫そうだ。

「もう一回、いれるぞ」

 今度は円を向かい合って座らせて、モノを彼の中へとさし込んだ。

 ぬるり、という感触と共に、彼は俺のモノを深々と受け入れた。今度はたいして痛みがないらしく、円も甘ったるく吐息をついた。

「大丈夫だな?」

「─────ハイ・・・・・・」

 痛みではない感情に瞳を潤ませて円がうなずく。こういうときの円は、妖艶っていうくらいに綺麗だ。本人にはそんなこと言ったことないけれど、そこら辺の女じゃかなわないくらい艶めかしい表情をする。可愛い系の整った顔立ちをしているから、そのギャップがすごい。この表情をされると、さすがの俺も理性が吹っ飛びそうになるのだ。

「常葉さん・・・・・・」

 ぎゅっと俺の首にしがみついて円がささやく。ゆっくりと腰を動かすと、その腕に力がこもった。

「気持ちイ・・・・・・イ・・・」

 お湯と汗で額にくっついていた円の髪をかき上げてやると、円は喘ぎをこらえながら小さく微笑んだ。

「・・・・・・惚れてくれました・・・?」

「まさか」

「そうかなぁ・・・・・・」

 余計なことをしゃべる前に、と腰の動きを激しくすると、円はびっくりしたように俺にしがみついた。同時に、円の中にいる俺もきつく締め付けられる。

「痛っ・・・・・・おい、円っ・・・・・・・・・ちょっとゆるめろ!」

「っ・・・ダメっ・・・・・・ダメ・・・・・・・・・」

 ふるふると首を振って、円は自ら腰を使い始めた。あきらめて俺も円に合わせて動くことにした。

 俺に揺さぶられるごとに、少しずつ円が背をのけぞらせていく。そのまま倒れて温泉に落ちないように片手でその背を押さえ、もう片方で腕をつかまえる。

「アッ・・・・・・あっ・・・・・・・・・あっ・・・・・・・・・」

 徐々に円の喘ぎが小刻みになり、全身に震えが走り出す。これが円が絶頂に達するときの身体の合図だ。俺もそれに合わせられるように動きをより激しくし、円の奥深くまでえぐるように彼の内をかき回した。

「・・・ッ・・・・・・あ、あッ・・・・・・・・・ッ!」

 円の震えが大きくなり、身体が跳ね、俺の下腹部にどろりとした液体が放たれた。同時に、後ろの俺に、脈打つような強い刺激が与えられた。

「────────っ・・・」

 円に数秒遅れて、俺も彼の内に熱い液体を迸らせた。その感触に、また円の身体が震える。そして俺の精が出尽くすと、ゆっくりと、大きく息をはいた。

「こんなに・・・気持ちいいの・・・・・・初めて・・・・・・・・・」

 目を閉じたままかすれた声で円がささやく。その唇にキスをし、貪っているうちに、円の中に入れたままだったモノがまた大きくなりだした。それを感じて円がうっすらと目を開けた。

「・・・もう一回・・・・・・?」

「さぁ。とりあえずおまえが保つだけ」

「俺より先に、常葉さんのほうが・・・バテちゃうんじゃないですか・・・・・・?年、なんだし・・・・・・・・・」

 いたずらっ子のように笑いながら言った円に思い知らせてやるために、その夜、俺は円が気絶してしまうまで抱いてやった。そのせいで、汚れた風呂の後始末だとか、なかなか目を覚まさない円に浴衣を巻き付けて部屋に運ぶ役目だとかをする羽目になってしまった。その時になって後悔したけど、まぁ今回は仕方ないかとあきらめた。

 ちなみに今夜の回数は合計6回。

 ただし円がどれだけ覚えているかは知らないけど。

 とりあえず、そろそろこいつのために次の曲でも考えてやるか。

 部屋の布団の中で、幼稚園児みたいな表情で転がっている円の寝顔を眺めつつ、俺は五線譜を取り出した。

 

 

 きっと、あと4回のセックスなんて、すぐに消化してしまうだろうから。

 

 


モドル