* * *
保健室でキスされた後、オレはどうやってかはわからないけど、体育館に戻ってきていた。
呆然としたままフラフラ歩いていると、バスケ部の同期の奴らが駆け寄ってきた。
「どうだった?足!」
「しっかり歩いてるじゃん。怪我、たいしたことなかったんだ?」
「―――――――は?」
そこでようやく自分が両足をしっかり地につけて歩いていることに気づいた。保健室に行くまでは、怪我した足が痛くって引きずっていたのだけど。
(そういえば、全然痛くない)
「何だった?捻挫?」
「もしかしたら折れたんじゃないかって、部長も心配してたぞ」
「薫ちゃん、なんて言ってた?」
「薫」という言葉に反応して、顔がカッと熱くなった。
「薫ちゃん」こと薫先生は、保健室の先生兼美術の先生で、さっき、オレにキスをした張本人なのだ。その上、オレのこと、「好き」だとか言って・・・・・・
(なんなんだっ、あの人はっ)
まとわりついてくるメンバーたちに「今日は見学」と手を振って、体育館隅に座り、もう一度、さっきあった出来事を思い返した。
部活の練習中、たまたま転がってたボールを踏んで盛大に転び、保健室へ行った。自分自身、折れてるか筋を違えてるなってことがわかるくらいの怪我だった。大会前にそんな怪我をした自分の不注意さが悔しくって、ついていくといってくれたみんなを振りきって、ひとりで足を引きずりながら保健室へ行った。中にはちょうど保健医の薫ちゃんがいて、手当してくれて・・・・・・
(あのおまじないがきいたとか・・・・・・?)
「痛いの痛いの飛んで行け」っていう、子どもじみたあれ。
まさか、とは思うけれど、でも、あれをされてから痛みが遠のいたのを覚えている。
そして、それからあの人はオレにキスして、「好きです」って・・・・・・・・・
その場面を思い出して、また顔に血がのぼってきた。
(うそだろ〜っ)
薫ちゃんは、「ちゃん」って愛称が似合うくらい女顔で美人だけど、オレよりずっと年上の男なんだ!
-TO NEXT-
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