わたしは足が小さい。手も小さいが足も小さい。だから昔の中国だったらすっごく美人でちやほやしてもらえて玉の輿に乗ったに違いないかどうかは、、残念ながらわからない、らしい、、。だいたいわたしの靴のサイズは1番痩せていた頃で22.5センチ、もの凄く太った時期あるいは妊娠後期で23.5センチ今は23センチで靴探すのに困るほど小さい足なわけでもなく、どっちかというと1番靴選びに困らないサイズの足の大きさです。その上足幅細めで外反母趾にならない体質なのでこの年になっても細いピンヒールの靴はいてもそう長時間でなければたいして苦痛でもありません。
それでもほんとに(言い訳がましいが!)足は小さいのですよ。わたしは今でこそ日本人女性の体位の向上により大きめの中背にランクダウンしてしまいましたが、10代の頃までは大柄クラスだったのです。つまり絶対的な足の大きさは中くらいでも相対的には小さいといえるはずなのです。
しつこいようですけれど、それでもわたしはたびたび人に指摘されるくらい足は小さいのです。でもかつての纏足していた女性の足の大きさというのはわたしの足がどーのという次元の問題でなく、うまく本当に文字どおり纏まった足は3寸!9センチだったという、、。これどう考えでもヘンじゃないか?うちで最初に買った息子のベビー靴は13センチです。うちは大きめの男の子で長じては184センチまで背がのびたのだから普通より足が大きかったんでしょうけれど、9センチや10センチの靴というか足の大きさというのはヨチヨチ歩き以前の赤ちゃんのサイズです!!??
不思議でたまらない、、。どうしたら成人女性の足を赤ん坊並みの大きさにしておくことが出来るのか?そしてそんな小さい足の婦人たちが履いていた纏足靴というのはどんなものなのか?そして纏足していたのは上流婦人や水商売関係の女性だけだったのか?それともみんなしていたのか?
わたし的解明したい世界3大不思議文化は、纏足、コルセット、日本髪なのですが、当然日本人で祖母の世代はまだ日常的に日本髪結っていた人がいたのだから、日本髪については若かりし頃周囲にいた老婦人、中年婦人に取材をしてまわりかなりの部分疑問解明に至りました。更にはまだ丈長いつややかな黒髪を持っていた頃、浅草に行ってお正月に島田に結ったこともあるんですね。詳しい感想はまた後日に譲りますが、あれは他人の髪の毛5パーツも入れてスキー板のワックスがけの如く鬢付け油塗りたくって引っ張って、結い上がるまでに涙出てくるし重たいしお風呂はいるのも寝るのも大変。
コルセットについては文化服装史の書籍で解明は進み、今の世の中でもウエストが10センチ以上もきゅーと締まるスカーレット・オハラが着用していたようなものが市販されていることを突き止めたので、次回の引越しのカタがつき次第買い求めて着用する予定です。
ところが纏足だけはどうしても解らないことだらけだったのですね。わたしの靴の傷みが早いのはからだのわりに足が小さいせいじゃないか?と常々思ってるのですが、23センチの足でそうなら9センチ10センチの足だったらどうなるんだ?
そんなこんなでわたしは馮驥才作納村公子訳の「纏足」という本に飛びついてしまったのです。ほんと言うと服飾関係の本か実話か?(それも確かめずに買ったのです。)と思ったのですが、これは小説です。まずは最初にわたしが不思議だったこのひとつをあっさりと解明してくれます。纏足しなかった女がどこにいたかって、(つまり漁師の娘でも百姓の女でも纏足してたって!)繁栄と滅亡の繰り返しの中でも足だけは縛りつづけていた。って、なんか前口上から、そーかそうだったのか!状態で長年の疑問がああーっという間に解けました。そして文章が語りかけてくれるようなリズム感のある文体でかなりの厚みのある小説ですが一気に読んでしまいました。
舞台は天津、ヒロインは香蓮。少女の香蓮がおばあちゃんに纏足を施されるのですが、やっぱ人間の足を9センチに纏め上げようって魂胆は半端じゃない。纏足の方法はこれといったきまりが特にあるわけじゃないらしいのですが、簡単に言っちゃえば骨が変形するまで布で縛り上げるわけですよ。そうですよね。そうじゃなきゃどう頑張ったって大人の女に赤ん坊の足くっつけられるわけないですよね。
かくしておばあちゃんの尽力と本人の頑張りで美しい纏足を手に入れた香蓮は玉の輿に乗るのですが、シンデレラのようにいつまでも幸せに暮らしました。で終わらないんですね。それからが永いんです。たしか星新一さんのショートショートでシンデレラの続編がありましたけれど、香蓮とてお屋敷に嫁いで小足を賞賛されて幸せにならなかったわけじゃないけれど、玉の輿はとんでもない針の筵なのも世の常。
更には時代が変わって小足が流行らなくなってきてしまった!そうでしょう。1000年続いたファッションとて廃れるときはあっと言う間だったりするのでしょう。そしてこれまたわたし的には目からウロコどさっっと落ちたのですが、纏足というのはいったん始めたらトコトン足を縛り続けなくてはならない。そうです。纏足してしまったあとに纏足ファッションが廃れたからって開放すると、足が腫れたり、爛れたり、痛くなって熱が出て歩行困難、歩行不能に陥り、それはそれは大変な事態に発展する。はぁー、凄まじいことですね。
髪結いの流行が廃れたら結った髪ほどいて切ってしまえばいい。(ただし長年日本髪結い続けてると髷の付け根あたりが禿げる。)砂時計スタイルの服が廃ればコルセットやめてズン胴服着ればいい。ってわけにいかないんですね。馮驥才氏の「纏足」単行本は「三寸金蓮」というらしいのですが、ところどころに挿絵があるのがいい。やはり日本で生まれ育って中国旅行さえしたことのないわたしには、家屋や衣装について想像力だけではどうにもならない部分が大きいのです。
これはピアノの楽譜や音楽関係書物とは全然関係ないわたしが最近読んで面白かった本について、です。