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バスティンとの出会い


出会いといっても私が直接ジェームス・バスティン及びジェーン・スマイサー・バスティンに会った。という意味ではありません。念の為。バスティンメソードとの出会いのことです。今を去ること7,8年前私は教材はメトードローズを使っておりました。一緒にソルフェージュのレッスンも取り入れていたのですが、ある時生徒さんのお母さんから相談を受けたのです。内容は子供のピアノの練習をみていると、弾けていても音符がよく読めていないらしい、ということでした。このへんの指導の甘さが当時の私の1番の弱点でもあったのですが、5線と音符の因果関係なんてもんは7つ8つの子供でもしつこく楽譜みてピアノ弾いてりゃ、教わらなくても理解しちゃうもんだし、楽典なんてピアノが弾けるって財産があれば中学生くらいになって抽象的論理に強くなったあたりで集中的に勉強すれば2,3ヶ月でモノになる。とタカをくくっていたところがあったのです。なんでそんな見解に達したかというと、私がそうだったからです。
しかし!私がこーだから他の人をこーだ。という考えこそ甘い、というのはまだ私が限りなく少女に近い頃ピアノ教えていた経験からもよく解ってたことで、更に私が自分の音感の鈍さに散々苦労してた学生の頃からして、音高こそはピアノ習っていればソルフェージュのレッスンなんて特に受けなくてもそのうち解るようになるもんだ。とタカくくっていた輩というのが何人もいたものです。
私は音符読みが下手で楽理の理解がいまひとつよくない生徒はきっと、音感がいいから楽譜をあんまり熱心にみなくても弾けてしまうんじゃないか。とも思ったのですが、これもあんまり根拠はないみたいで最近の優秀なる子供達は音感も良ければ楽典的理解も早いというのがよくいるのです。
そこで私は初心者子供向け楽典教授法を自ら開発してみせるー。と発起し今はなき私の恩師、小出浩平先生三室戸文光先生共著の楽典の教科書を引っ張り出し、これを子供向け初心者向けに解り易く教授してみよー。と思ったのはいいのですが、結果から言うと私はたちまちメゲました。それにだ!流石に私の先生達最初の但し書きにちゃんと書いてある。この手の本は面白くってたまらないものでは絶対にありません。と。思えばこれは私が高校生の時買った教科書、その高校はいくらお嬢さん学校風とはいえ立派な音楽の専門教育機関、楽典の教科書及び授業で覚えなきゃならないことがあんまり楽しくないこととて我慢して勉強するのが仕事。かたやうちは街の音楽教室、そして面白くないこと及び理解に苦しむことは速やかにやめてもっと面白そうなことを始めましょう。という雰囲気が満ち満ちている最近。なにも私ごときが初心者子供向け楽典教材を開発しなくったって、必ずうちの需要にあった教科書がもうある筈だ。
私は東急ハンズの隣の隣あたりに位置するヤマハに出向いてこの時は学童期の子供向け楽典の教科書を探しました。20世紀も終盤に向かっていたこの時期何の苦労もなく私は何冊もの本をみつけました。テクニック、ピアノ演奏の実践、聴音創作から楽典まで系統だっていっぺんに効率よく学んでしまおうという、20世紀後半的アメリカ的プラグマティックないくつかのメソードがありました。(このスタイルのメソードは私の知る限りじゃアメリカ系です。)私がその時選んだのがジェームス・バスティンのピアノベイシックスのセオリーで、このシリーズはこれとピアノ、テクニック、レパートリー4冊で同時進行する仕組みになっているのですが、その時点ではうちはピアノ教材はメトードローズを使っていたのでセオリーだけで楽典レッスンを始めたのです。


英語音名及びドレミの位置覚え


果たしてそれでもつまらないに決まってるセオリーを追加してどうなのか?と思いましたがこれはなかなか○でした。アメリカチックなとおってもカラフルなイラスト入りで音符をいくつも書いて覚える。シャープフラットの記号も音符に自分で書いて弾いて覚えて行く。
実はこのイラストについてはバスティンメソードのこの絵が嫌いだという人もいるのですが、私はこの絵が気に入ってしまったのです。なんでかっていうと生徒の反応が面白かった!「馬が靴はいてる。」という指摘。そっか馬が靴はいてるか。と思って仔細にイラストみると蛸が靴はいてる。ついでにヒトデも蛙も靴はいてる。音名アルファベットの行進まで靴はいてる。う〜ん文化の違いですな、もっとも生徒に指摘されるまで私はそこまでみてなかった。なおペダルのレッスンではちゃんとナイキショップあたりで売ってそうなスニーカーはいた足でペダルを踏む絵がはいってます。凄くアメリカ的!
話はそれますが私は本番前はコンサート用ハイヒールはいて練習してます。
この時点まで私がアメリカ系教材を使うことになんとなくためらいがあったのは、それは音名についてなのです。何故かホントに何故かピアノのお稽古ってのはドイツ音名使うのが正統派で、英語音名なのは準正統派??なんじゃあるまいか?という私の成長の過程のどっかで刷り込まれた思い込みの為です。
この思い込みがこのセオリー導入期の少し前に私の脳髄の1部からドサッと落ちて闇に消えたのです。この件につきましては話すと長くなり過ぎますので別の機会に譲ります。が、このメソードでは英語音名のCDE(ドレミ)を、しつこくイラストのピアノ鍵盤に記入して覚えてしまうようにする。これはいっくらなんでもしつこ過ぎやしないか?と思うほどに沢山出てくる。A(ラ)の鍵盤ポジションを覚えましょうというので3オクターブぶんの鍵盤のイラストの全Aの部分にAもしくはラと書いてつぎは本物のピアノで弾く。
私は最初これはちょっと親切過ぎというかうるさ過ぎというか、ここまでしなくてもいいんじゃないか?と思いました。でもこのメソードの講習会に参加したり、他の研究報告きいたりして納得できました。ここでも長年専門教育を受けてきた弊害というか傲慢さが出てしまったりしていたのです。教える側(つまり私)にはドレミの位置なんて氷河期以前から決まってて人類は1度聞けばドレミの場所はわかっちゃうものだ。それがわからないの覚えられないのというのは学習障害があるかよほどやる気がないのか私を困らせようとしているかに違いない!!という気持ちがどこかにあったのです。そーです。こんな感覚はムチャクチャ傲慢というものです。1回教えて覚えてくれたという生徒の場合は、それは音名と鍵盤位置の関連付けの天才かもしくは私に代わって親か学校か幼稚園の先生が根気よく教えてくれているかにほかなりません。


和声学


私が音楽理論なんかより聴音より嫌いだったものに和声があるのです。なんで和声学がそんな嫌いかっていうと講義が金曜日の午後だったからです。こんな時間の講義なんて眠いか週末なにをして過ごすのか考えるのにいそがしくて、まともに聞いてる筈ありません。次にこの頃の講義は簡単なことをわざとややこしく持って回った言いかたばかりしていてバカバカしかったのです。
あのー、このあたりが和声がイヤだイヤだと言ってた言い訳ですが、ほんとはなんでこんなにイヤだったかっていうと訳がわからなかったからです。わからないもんを試験があるから、問題と答えをおぼえなきゃならない。勉強嫌いに陥る1番効果的な状況です。
じゃあなんでそんなに私が和声がわからないかというと、そりゃわたしがバカだからというのが簡単な答えです。その傾向はないわけでもないんでしょうが、それ以前に和声というものを全然知らないでピアノ弾いてたという、今考えると叫びたくなるような凄まじい偏頗なレッスンを中学生まで受けていたのです。その弾いてたピアノ曲、というのも主要3和音も音階の根音も理解の外で猫ふんじゃたやちゅうりっぷ弾いてたっていうような生易しい問題じゃなく、私は主要3和音や音階の観念なんて全然なく(中学校の授業も楽典重視じゃなかったのでよけい)ショパンのOp.18のワルツ弾いてたんですよ。それで音大付属受かっちゃったもんだからその全然理解のない和声の基礎抜かして、いっくら簡単めといっても基礎の基礎なしで中途から理解しろよ。といわれても解らないものは解りはしません。結果私は和声が嫌いでした。
なにも100人にひとりいるかいないかの音大進学者が将来和声学の授業で苦労しなくて済むようにという祈りを込めたわけでなく、最初っから主要3和音が理解出来ていれば簡単な曲だったらメロディ譜があれば伴奏つけることくらい小学生の初心者だって出来るのです。このメソードではメロディに対して伴奏をつけて弾けるくらいになったところでちゃんと和音の仕組みを教えていくのです。最終的には全調の音階主要3和音ディミニッシュコードオーグメントコードあたりまで理解できたところで卒業になります。
和音の解説には和音記号とコードネーム両方が出てきます。これはとてもいいです。私が個人で即興演奏及びコード進行(和声学の実用バージョンよ。)のレッスン受けた時に先生から「あなたは、和音進行の説明に和音記号とコードネームどっちがいい?」ときかれたことがあります。私はどっちもヤですと言うわけにもいかずコードネーム選択しましたが、コードネームが読めるのはメロディ譜にコードネームが書いてある楽譜の多い今日この頃とても便利なものです。ただ初心者段階の生徒にコードネームの読み方のほうをあまり熱心に教えてしまうと、コードネームの利便性に慣れてしまい。へ音記号の譜表を読むのがいつまでも下手あるいは、コードネームとリズム譜を読むのが驚異的に上手になっていつまでもヘ音記号が読めないという事態に発展する恐れがあるので、コードネームはコードネームに慣れる。くらいにとどめておくようにしました。
この問題もコードピアノのレッスンや、ポピュラーピアノのレッスンならコード読みとリズム譜だけで弾けるというのは成功なのでしょうが、目的をクラシックの名曲を弾くということに置く場合、ベートーヴェンやショパンの楽譜は上にコードネーム書いててくれてませんから必ずどこかで行き詰まってしまうのです。
まあ、こんな感じで私はバスティンメソードと出会ってピアノ聴音楽典一体化レッスンを目指し始めたのですが、具体的には明日っから続編つくります。ここのところ更新サボってました。


(2002年8月31日)
バスティンWP2J ピアノレッスン レベル1
バスティンWP3J ピアノレッスン レベル2

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