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1802年、アルバ公爵夫人の屋敷で、彼女の姪の婚約を祝うパーティが開かれていた。そこには宰相ゴドイとその妻、そしてゴドイの愛人ペピータ、画家のゴヤなど公爵夫人を取り巻く人々の姿があった。そしてその翌日、アルバ公爵夫人は謎の死を遂げる。自殺か、と思われたが、グラスに有毒の絵の具「ヴェネローゼ緑」が付着していた。前夜、何故かアルバ公爵夫人は、その絵の具の毒性について皆に語っていたので、誰もが絵の具が猛毒であることを知っていた。そしてゴヤは自分のアトリエからは「ヴェネローゼ緑」の瓶が消えていることに気付く。公爵夫人は殺害されたのか、それとも自殺なのか、捜査の様子とともに、人間模様が断片的に描かれていく。
アルバ公爵夫人は王妃マリア・ルイサと対立関係にあった。ゴドイはアルバ公爵夫人と深い関係にある一方で、王妃の愛人でもあった。さらには、アンダルシアの田舎娘ペピータを見初めて自宅に住まわせ、政略のため枢機卿の妹チンチョン伯爵夫人と結婚する。気の強いペピータはゴドイがほかの女性と関係を持つのが許せないが、ゴドイはペピータを欺きながらこれまでと同様に関係を続けていく。それでもゴドイはペピータを特別に思っていたようで、彼はゴヤに頼んで、ペピータを描いてもらう。これがあの有名な「着衣のマハ」「裸のマハ」なのだけれども、その絵を見たアルバ公爵夫人は、描かれているのは自分の身体だと主張する。ゴヤもまた公爵夫人と深い関係にあった。
自殺なのか殺人なのか、殺人ならば犯人は誰なのか、また、「裸のマハ」のモデルとなったのは誰なのか、をめぐって、アルバ公爵夫人とその周囲の人々の過去が断片的に描かれていく。サスペンスタッチなのだけれど、結局はすっきりとしないまま終わってしまう。全体的にまとまりがないのは、断片のつなぎ方によるのかもしれない。突然、過去の断片が入り込むので、時系列が分かりづらい。単純に切ってつなぐのではなく、もうひと工夫して、パズルのように複雑につながれているので、登場人物をきちんと理解していないとわけがわからなくなるかもしれない。
映画の宣伝では、ペピータ役のペネロペ・クルスに重点が置かれているけれども、それは宣伝戦略であって、実際の主人公は、アルバ公爵夫人のアイタナ・サンチェス=ヒホン。ペネロペが演じるペピータも重要な役ではあるけれど・・・。
ビガス・ルナ監督はかつて「ハモン・ハモン」に出演したペネロペ・クルス、ジョルディ・モリャ、ステファニア・サンドレッリを再びこの映画に起用している。キューバ出身のホルヘ・ペルゴリアが演じるゴヤは重要な役ではあるけれど、アルバ公爵夫人やゴドイの脇を固めているという感じ。この映画のタイトルになっている"VOLAVERUNT"はゴヤの版画集の中の一枚の絵のタイトルで、「彼女は飛んでいってしまった」という意味のラテン語らしい。映画の中で、アルバ公爵夫人がこの言葉を残して死んでいく。
どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか、わたしたちから見れば乱れているとしか思えない人間関係はまんざらウソではないらしいけれど、はっきりわからないことが多いので、あまり信じないように・・・。
2002年5月日本劇場公開
関連書籍:ノベライズ「裸のマハ」(徳間文庫)
公式サイト(日本):http://www.cinemaparisien.com/volaverunt/
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