TORREMOLINOS 73
トレモリノス 73
トレモリノス732003年 スペイン映画
監督・脚本:パブロ・ベルヘール
撮影:キコ・デ・ラ・リカ
音楽:マストレッタ
製作:トマス・シマデビリャ
出演:ハビエル・カマラ(アルフレド・ロペス)、カンデラ・ペニャ(カルメン)、フアン・ディエゴ(ドン・カルロス)、フェルナンド・テヘロ(フアン・ルイス)、マレナ・アルテリオ(バネッサ)
* sinopsis + comentarios *


 百科事典の訪問販売員をしているアルフレドはどこの家庭に行っても門前払いで営業成績が振るわなかった。家計は火の車で、家賃や光熱費の支払いも滞納している。そこで会社から提案されたのが、夫婦の営みを8ミリで撮影し、スカンジナビア諸国へ販売する、ということだった。大金を得られるこの仕事、ごく普通の夫婦にとってみれば、簡単に決心できることではなかった。しかし、悩みぬいた結果、アルフレドは今後の生活のことを考え、カルメンは子供を作るための生活基盤を築くため、この企画に参加することにする。大映画監督ベルイマンの助手だったという男とその妻からポルノ映画の撮影のノウハウを伝授され、さっそく撮影に取り掛かる2人。最初はぎこちないものの、徐々に趣向を凝らしたポルノを作り上げていくようになる。そして、ビデオは大ヒットし、気付かないうちにスカンジナビア諸国でカルメンは有名なポルノスターになっていた。しかし、いつまでたっても2人の間に子供が授からないことを気にするカルメンはアルフレドと共に病院で検査を受けることにする。その結果、カルメンはアルフレドが無精子症で子供を作れない体であることを知る。カルメンが深く落ち込む一方で、それを知らないアルフレドは、ベルイマンに傾倒し、ポルノ映画ではないホンモノの映画を作りたい、という気持ちが強くなる。そのために書き上げた脚本が認められ、主演にカルメンとデンマークの俳優を迎えて、アンダルシアのリゾート地トレモリノスで映画製作が始まる。

 実話にインスピレーションを得たというこの作品。70年代前半のスペインはフランコ政権下でポルノが禁止されていた時代。それを思うと、アルフレドとカルメンの決断はかなりの勇気が必要なはずで、当然、ビデオをスペインで販売することはできない。彼らのビデオを販売する形態であるパートワーク(週刊などで分冊で発行し、集めることで百科事典が完成するという形のもの)もこの頃登場したものらしい。そういう時代背景をうまく利用した作品で、70年代の音楽が多用され、ノスタルジックな雰囲気が漂う。素人っぽさ、垢抜けない感じ、胡散臭さなどもこの映画にとってはプラス要因となっているように思う。

 主演はアルモドバル作品「トーク・トゥ・ハー」などへの出演で注目を浴びているハビエル・カマラ。なんといっても、彼の演技がピカイチ。彼が演じるアルフレドは、ポルノ映画であっても作るからにはとことんこだわり、真剣に取り組む。その生真面目さと"やっていること"とのギャップが生み出す滑稽さを細やかに演じている。カルメン役のカンデラ・ペニャは「オール・アバウト・マイ・マザー」で見せたのとは全く別人のようなごく普通のかわいらしい奥様を演じている。2人とも体当たり演技を見せているけれど、変にすれたところがなく、自然なのがいい。アルフレドがマッチョな美男子でも、カルメンがホンモノのポルノスターなみのプロポーションでもきっとこの映画はダメだろうから。ポルノ映画を作る映画なのだから、エロティックなシーンは当然のようにたくさんあるのだけど、全然いやらしくないのは、この2人のおかげ。コメディだけれど、笑ってばかりもいられず、最後の方にはほろ苦い気持ちにさせられて、思っていたよりもずっと面白かった!

・マラガスペイン映画祭:最優秀作品賞、最優秀監督賞(パブロ・ベルヘール)、最優秀女優賞(カンデラ・ペニャ)、最優秀男優賞(ハビエル・カマラ)
バスクフィルムフェスティバル(2003年6月)で上映
・公式サイト: http://www.torremolinos73.com/


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