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バレンシアの南、地中海に面したデニアの町の学校に、文学の教師として赴任したウリセス。ホメロスの長編叙事詩「オデュッセイア」の主人公オデュッセウス意味する"ウリセス"という名前を持つ彼は、「アイネイス」を愛読する文学青年。食堂の上階に下宿をはじめたウリセスは、その家の娘マルティナと親しくなり恋に落ちる。その一方で不動産業を営む青年実業家シエラもマルティナに言い寄る。しかし、マルティナはかつて出会ったことのないタイプのウリセスに夢中で、金持ちのシエラには目もくれない。ウリセスはマルティナに詩を語り、マルティナはウリセスに、"Son
de Mar"という名の船にまつわる思い出と、その船を自分のものにしたいという夢を語る。
マルティナがウリセスの子供を身ごもり、周囲に祝福されて2人は結婚する。家と小さな船を買い、2人の新しい生活が始まる。かわいい男の子が生まれ、2人はしあわせの絶頂、と思いきや、倦怠期が訪れる。招待されたシエラの新築パーティで、ウリセスは赤いドレスの女に魅了され、その様子を見て嫉妬するマルティナ。その翌日、ウリセスは「マグロを釣りに行く」と言って家を出た。しかし、大破したウリセスの漁船"マルティナ"が発見され、マルティナはウリセスが帰らぬ人になったことを悟る。
それから数年後、シエラと結婚したマルティナは、夢だった"Son
de Mar号"を手に入れていた。ウリセスとの間に生まれた息子アベルはシエラを実の父親と慕い、マルティナは豪邸で、贅沢で優雅な生活を送っていた。ある日、電話が鳴る。「世界中の海を旅して気づいた。僕は君なしでは生きられない」それは紛れもなくウリセスの声だった。ウリセスに呼び出された場所は、2人が新婚旅行で訪れたバレンシアのホテル。思い出の部屋で、2人は再び結ばれる。
マルティナはシエラの会社が建てた売却前のマンションにウリセスをかくまう。ブラインドを開けることもできない薄暗いマンションの一室で隠れて生活をするウリセス、そしてそこにマルティナは通い、2人は激しく愛し合うのだった。しかしそれにも限界があった。ウリセスはその抑圧された生活に耐えられなくなり、また、シエラもマルティナの不審な行動に気づきはじめていた。そんな2人に待ち受けていたのは...。
ウリセスの考えていること、ウリセスがどんな人間なのか、よくわからないまま話が展開していく。どうしてウリセスは家を出なければならなかったのか。この映画で示されるその理由は、あまりにわがままで、身勝手で、説得力がないので、せっかくジョルディがウリセスを演じているのに、ウリセスそのものに魅力が感じられなくてちょっと残念。実業家のシエラは、悪い人ではないけれど、金持ちで、誰からも好かれないタイプを絵に描いたような人。あれだけ嫌っていたのに、マルティナはどうして彼と結婚したのだろう?やっぱり生活のため?シエラとの優雅な生活は幸せそのもので、マルティナ自身も楽しんでいるように見えるのだけど、ウリセスが生きていることがわかった後、マルティナがシエラに抱かれるシーンは、その複雑な心境を考えるととても切なくなってしまった。
ペネロペ・クルスが注目を浴びるようになり、それと同時に、『ハモンハモン』でペネロペを見出したとされるビガス・ルナ監督への関心も高まっているらしい。そのビガス・ルナがこの作品で主役に起用したのはレオノール・ワトリング。わたしはこの作品で初めて見たのだけど、あまり個性が感じられない女優さんだな、というのが最初の印象。1993年にデビューしたようなので、新人ではないけれど、これからの活躍が期待される。(アルモドバルの最新作"Hable
con ella"にも出演しているね)
ビガス・ルナの作品というと、官能的で、乳房や男性器に固執していて、エロティックな内容や描写が注目されることが多い。この作品も、R15指定になっているように、性的な描写はやっぱり大胆。でも、わたしがビガス・ルナの作品で好きなのは、その舞台背景となる地方の風景や独特の事物が物語の中で効果的に映し出され、スペインの空気が感じられるところ。この作品でも、デニアやバレンシアの風景、マルティナのオレンジが地中海の空気を感じさせてくれる。
【ちょっとした疑問】マルティナがウリセスを車に乗せて、マンションの駐車場に入るシーン。駐車場の奥の壁に人影が映っているんだけど、あれって意味あり?それとも、映っちゃった!っていうやつ?
バレンシアで目撃した人がつけてきたのかな、とも思ったんだけど、それだとちょっとおかしいし、あのマンションって人気が無さそう(あったら見つかる!)だから人影って不自然なんだけど。
2002年2月日本ロードショー
公式サイト http://www.gaga.ne.jp/martina/
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