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1982年1月1日マドリードの病院で1人の女の子が誕生した。彼女の名前はローラ・オテロ。祝福されるべき誕生は不幸の始まりだった。ローラの容姿は看護婦が絶叫してしまうほど醜く、彼女は家族に見捨てられ、孤児院で育てられる。唯一彼女をかわいがってくれたのは盲目のシスターだけだった。
2011年1月1日、老人ホームで1人の老女が殺害された。防犯カメラの記録から犯人は修道女の格好をした女性とわかる。ベテラン刑事アリバスが犯人捜査に乗り出し、情報提供のために電話をかけてきた医師のもとに部下と共に出向くが、その医者は思い違いだったと情報提供を拒む。彼の過去を調べるうちに、ローラ・オテロという美人モデルが捜査線上に浮かび上がった。醜かったローラはウェルナー医師によって美しく生まれ変わり、美人モデルとなっていたのだった。しかし、美しくなっても彼女は幸せを感じていなかった。幼少の時にいじめられた記憶、そして、大人になってから出会ったルイスの冷たい仕打ちが彼女を苦しめていた。仮面パーティでルイスに言い寄られたローラは、「外見よりも内面が大事」という彼の言葉を信じ、素顔を見せるが、言葉とはうらはらにルイスはローラの顔を見て嘔吐する。その後美しく変貌を遂げたローラはルイスに近づき、恋人同士の間柄になるけれど、幸せは長くは続かなかった。プレイボーイのルイスは彼女を捨て、ミス・スペインの女性と結婚してしまったのだった。美しくなったのにもかかわらず男に捨てられたローラの心は深く傷つき、彼女の歪んだ心が殺人へと駆り立てていた。
一方、警部は捜査を続けるうちにローラに親近感を抱き始めていた。クールで二枚目な刑事を演じているものの、実は頭はかつら、歯は入れ歯、目は義眼・・・彼もまた自分自身の容姿にコンプレックスを感じ、本当の姿を隠しつづけていたのだった。
殺人事件の共通点を探るうち、ローラの誕生日である1月1日に犯行が行われた事件の被害者たちは元ミス・スペインであったことが判明する。ミス・スペインに恋人をとられたことに強いコンプレックスを抱いているローラは、殺人を繰り返したのち、自ら美の象徴ミス・スペインの座を狙う。
ローラの素顔は最後まで明かされない。ローラの顔を見た人の反応を見ると、一体どんなに醜いのか、と好奇心をあおられる。最後の最後に明かされた彼女の容姿は、「そこまでしなくても・・・」というほどで、想像を絶していたけれど、もし、これが明かされなければ、それはそれで面白かったかもしれない。
美しくなってもローラは決して幸せになることはなかった。「美」というのは醜い彼女からしたら切実な願望だったであろうけれども、「美=幸せ」と信じていた彼女は、美を現実に手に入れたときにルイスによって見事に裏切られる。ルイスをとった相手がミス・スペインだったことから、ミス・スペインを標的に殺人を犯すというなんとも短絡的な展開。ミス・スペインになったらルイスを取り戻すことができるとでも思ったのか、その時点で、彼女は内面までもすっかり醜くなっているように思う。もうこうなったら救いようがない。わたしにはただ単に、
ルイスが女たらしだった、というだけのことに思えて、「美しくても内面を磨かないとダメよ」という話には思えないし、結局、全体的に見ると、「醜」と「美」がどれだけの意味があったのかイマイチわからないのだけれど、細部にはこだわりが感じられて、思っていたよりも面白かった。
舞台を近未来に設定したのは、美は永遠のテーマということなのか、ローラに施された整形の技術の進歩に合わせるためなのか、単に、音声感知式のテレビを使いたかったのか、それともハイル・ミュタンテを意識したのかわからないけど、B級っぽい雰囲気を出すのには貢献しているかな、という感じ。
ローラ役のエリア・ガレラはこれが初主演で、実は弁護士らしい。ぎこちなさは感じるものの、それがローラの無感情な雰囲気を助長していて悪くはないと思う。この作品が初の長編監督作品となるミゲル・バルデムは、名監督であり名優であるフアン・アントニオ・バルデムの息子。女優ピラール・バルデムの甥であり、俳優ハビエル・バルデムのいとこにあたる。出演している俳優たちはけっこう豪華で、特にハビビはいい味が出ていると思う。そして、なんと、スペイン共和国の大統領を演じるのはサンティアゴ・セグーラ!実際に登場するのはほんのわずかなのだけれど、この人が本当に大統領だったら、スペインはどんな国なっちゃうのか、ちょっと見てみたい気がした。
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