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不動産屋のセールスレディをしているフリアはある日、客をアパートの一室に案内した。外見はボロボロなのに、室内は高級感が漂い、すぐにでも住めるように全てが整っていた。その部屋を気に入ったフリアは、夫を呼び寄せ、夢のような一時を過ごす。お気に入りのウォーターベッドで大喜びしていると、天井から水漏れが、しかもゴキブリまで降ってきた。消防士と一緒に上階の部屋に入ってみると、そこには老人のミイラ化した死体があった。運び出された遺体が落とした財布を拾ったフリアは中から暗号めいた紙切れを見つける。その紙にヒントを得たフリアは、床下から3億ペセタもの大金を発見する。それを独り占めしてアパートから持ち出そうとするけれど、アパートの住人たちがあの手この手で妨害する。それもそのはず、老人がキニエラ(サッカーくじ)で大当たりしてから20年間ずっと、住人たちは一致団結して、その金を狙っていたのだった。そんなことは知らないフリアに、住人たちも最初は遠まわしに探りを入れてくるが徐々に行動が過激になり、フリアと住人たちの全面対決が始まる。はたしてフリアは大金を無事アパートから持ち出せるのか?
どこかで見たような光景があちらこちらに散りばめられている。オープニングから007風で、物語の重要な鍵を握る住人の一人はダースベーダーのコスプレをした「スター・ウォーズ」マニア。フリアを追いかける住人たちは「ゾンビ」と化すし、オバサンの一人は「マトリックス」風アクションを見せる。誰もが知っているような有名映画をパクってみたりして、緊張感漂うシーンでも笑いを誘う。
原題の"La comunidad"は共同体という意味。この映画の場合は、老人の大金を奪うために協力しているアパートの住人13人が共同体を形成している。彼らは20年間、老人が金を持ち出さないように、交替しながら24時間体制で監視を続けてきた。彼らの夢は老人の金を手に入れてみんなで山分けをすること。「みんなのしあわせ」のためだったら何だってする。そのお金をフリアが横取りをして、独り占めするなんて許せるはずがないのだ。フリアだってこのチャンスを逃してなるものかと、ものすごいパワーを見せる。カルメン・マウラの迫真の演技は見もの。
人間の欲とエゴを描いているので、見ていてあまり気持ちがいいものではないはず。それに、冒頭から老人の死体を猫がかじるシーンが登場するし、エレベータに挟まれた人が体を二分に切断されてしまうし、血みどろの壮絶なバトルがあるし、どこをとってもあまり気持ちがいいものではないはず。それなのに、そんなに嫌な感じがしないのは、上に書いたようなパロディを取り入れて遊び心たっぷりに描いているからなのかも。それ以外にも細やかな配慮が感じられる。気に入っているのは、あのウォーターベッドの「びよぉん」という音。どんな緊迫したシーンでも、あの音を聞いたら笑ってしまう。アレックス・デ・ラ・イグレシアらしさはそのままに、ほどよく毒が抜けて、今までの作品に比べてわかりやすい(受け入れられやすい)ような気がする。やっぱりアレックス・デ・ラ・イグレシアは面白い!
そう言えば、フリア得意の口からでまかせで、死んだことにされちゃったダンナは、途中どこかでひょっこり現れるんじゃないか、と思ったけど、結局出てこなかったな・・・と映画を見終わってだいぶたってから思い出した。
ゴヤ賞(2001):最優秀主演女優賞(カルメン・マウラ)、最優秀助演男優賞(エミリオ・グティエレス・カバ)
サンセバスティアン国際映画祭(2001):主演女優賞(カルメン・マウラ)
第8回大阪ヨーロッパ映画祭(2001)上映作品(タイトル:「コモン・ウェルス」)
2002年1月12日日本劇場公開(公開時タイトル:「みんなのしあわせ」)
2002年8月2日ビデオ&DVD発売(アット・エンタテインメント)
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