INTACTO
10億分の1の男
INTACTO2001年 スペイン映画
監督:フアン・カルロス・フレスナディージョ
脚本:フアン・カルロス・フレスナディージョ、アンドレス・M・コッペル
撮影:ハビエル・ヒメネス
編集:ナチョ・ルイス・カピージャス
音楽:ルシオ・ゴドイ
美術:セサール・マカロン
出演:レオナルド・スバラグリア(トマス)、エウセビオ・ポンセラ(フェデリコ)、モニカ・ロペス(サラ)、アントニオ・デチェント(アレハンドロ)、マックス・フォン・シドー(サム)
* sinopsis + comentarios *


 トマスは飛行機事故で唯一の生存者。そのトマスの強運に目をつけたのがフェデリコという男だった。フェデリコは幼い頃、地震で倒壊した建物の下敷きになっていたところをサムという男によって助け出された。そのサムによって他人の運を奪い取るという不思議な力を授けられたフェデリコはサムの経営するカジノで働いていたが7年前にそこを飛び出していた。
 トマスは銀行強盗をし、逃走中に飛行機事故に遭遇していた。フェデリコは警察の監視下にあるトマスに接近し、あるゲームに参加することを条件にトマスを病院から脱出させる。そしてトマスの強運を利用したゲームが始まる。
 ゲームの内容は・・・目隠しをした3人のうち、昆虫が頭にとまった者が勝ち。捕虜と呼ばれる人間の運を奪って自分の運を増強しダイスを振って目を競う。目隠しをして森の中を疾走し、木にぶつかったり転ぶことなく最後まで残った者が勝ち。そして最後にはウカンカでのサムとの対決が待っていた。

 強運の持ち主が集結し、その運を競い合う。「運がいい」とか「運が悪い」とか、何を基準にして計ったらいいのかわからないもの。飛行機事故での生存者であるトマスと現役時代に一度も怪我をしたことがない元闘牛士のアレハンドロでは果たしてどちらの方が強運を持っているのだろう?同じ宝くじを買って、当たった人は「運がいい」し、外れた人は「運が悪い」というのならわかりやすい。同じ土俵に立つことが大前提となるけれど、それは宝くじのような穏便な方法ではなくこの映画では命がけの勝負の場が与えられる。本当の強運とは命をかけてこそ発揮されるものなのかもしれないし、命を守ることができる運こそが真の強運と言えるのかもしれない。
 運を強くするために他人の運を利用するのも面白い。ポラロイドを使って人間が賭けられ、写っている人間の運(命)は勝った人のものとなり、運も蓄積されていく。自分の運と他人の運との因果関係はもちろん目に見えるものではないと思うけれど、トマスと恋人アナの関係に象徴的に描かれていて面白い。運の相互作用を見ると、マーフィーの法則ではないけれど、物事には全て理由があるように思えてくる。

 運というテーマの深さは言うまでもなく話の展開も面白い。トマスが順調にゲームを勝ち進んでいくのかと思いきや、途中で負けてしまったりもする。自分の運に影響を与える他人の運の複雑さ・・・。この映画の中で生き残った人間が背負っているものを見ると、強運は決して幸せなことではないように思えるけれど、(他人も自分も)命が関わっていないレベルであれば、やっぱり運は良い方がいいよな・・・と思ったりして。

 主演のレオナルド・スバラリアはアルゼンチン出身の俳優で、スペイン映画にも多く出演している。日本で公開予定の「ユートピア」や「カルメン」にも出ているので、これから目にする機会が増えそう。彼はこの「10億分の1の男」でゴヤ賞最優秀新人男優賞を受賞している。
 この作品が初の長編監督作品となるフアン・カルロス・フレスナディージョはゴヤ賞最優秀新人監督賞を受賞した。これも彼の強運がなせる技?・・・というわけでもないだろうけど。

2003年9月20日日本劇場公開


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