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1938年春、アメリカで生まれ育った11歳のキャロルは、母親と共に母親の故郷であるスペイン北部の小さな村を初めて訪れる。スペイン内戦の真っ只中、アメリカ人の父親は国際旅団に参加し、パイロットとして戦地に赴いていた。村に到着するとキャロルはガキ大将トミチェとその仲間たちに手荒い歓迎を受けるけれど、やがてキャロルとトミーチェはお互いに恋心を抱くようになり、強い絆で結ばれる。母親が病気で急死し、キャロルは叔母の家に預けられる。しかしそこでの生活になじむことができず、祖父と暮らし始める。そして、母親の友人マルハやトミーチェに支えられながら父親の帰りを待ちわびる。
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内戦中のスペインが舞台となっているが、キャロルの過ごす村は平和でのどかな雰囲気が漂う。しかし、大人たちは決して戦争とは無縁ではない。キャロルの父親は国際旅団に参加し、パイロットとして、フランコ率いる反乱軍と戦っている。祖父のアマリオもまた共和国政府を支持していたが、叔父(母親の妹の夫)はフランコ派であり、人間関係は複雑だ。
スペインでは内戦に関わる映画が無数にある。内戦が人々に及ぼした影響は計り知れず、それぞれの監督にはそれぞれ描きたい内戦があるようだ。そしてこの作品がイマノル・ウリベ(「時間切れの愛」)が描きたかった内戦ということになる。
「内戦」と「子供」というと日本でも大ヒットした「蝶の舌」が記憶に新しい。スペインの田舎を舞台に、子供の目を通して、戦争が与えた心の傷と、子供の成長、そして将来への希望が描かれている、という点では非常によく似ていると言えるかもしれない。「蝶の舌」が衝撃的な結末で終わったのに対し、この作品は衝撃的な悲劇の後に、新な生活への希望が明確に描かれていて、すっきりとした後味が残る。でも、あっさりしすぎていて、なにか足りないというか寂しい気持ちもするのだけれど・・・。
子供と言っても、11歳という微妙なお年ごろのキャロルは、妙にしっかりしていて、頑固な性格。母親の死は案外あっさりと描かれているけれど、その後で、キャロルは父親を思いやり、母親の死を知られないようにとマルハの協力を得て、母親になりすました嘘の手紙を父親に送る。そういうところは子供っぽくてけなげでかわいらしい。
ただ純粋に父親の帰りを待ちわびているキャロルだけれど、国際旅団に参加していた父親が帰ってきたら、治安警察やフランコ主義者に追われることになるのを彼女はまだ知らない。そして大人には大人の事情があることを身をもって知ることになる。
キャロルの経験したスペインでの生活は、戦争に関わった多くの人たちと同じように心に傷を与え、一生忘れることのないつらく苦い思い出となるだろう。
"El bola"(日本未公開)でゴヤ賞最優秀新人男優賞を受賞したフアン・ホセ・バジェスタが好きな女の子をいじめちゃういじらしい男の子トミーチェを演じ、ポスターを見て、最初は「男の子?」と思ったキャロル役のクララ・ラゴは見た目の印象通り気が強いけれど優しい女の子を好演している。
・2005年日本劇場公開
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