EL MAR
エル・マール(海へ還る日)
エル・マール1999年 スペイン映画 (カタルーニャ語)
監督:アグスティ・ビリャロンガ
脚本:トニ・アロイほか
撮影:ジャウマ・ペラカウラ
原作:ブライ・ブネット
出演:ブルーノ・ベルゴンシーニ(トゥール)、ルジェ・カザマジョール(ラマーリョ)、アントニア・トレンス(フランシスカ)、エルナン・ゴンサレス(ガリンド)、アンヘラ・モリーナ(カルメン)、シモン・アンドレウ(アルカンタラ)
どうしたら僕の思いが通じるでしょうか。
* sinopsis + comentarios *


 内戦下のスペイン・マヨルカ島で、父親を殺された少年が、自分の父親を殺した男の子供を殺し、自殺した。少年の友だちだったラマーリョとトゥール、そして少女フランシスカはその場に居合わせ、一部始終を目撃してしまった。
 それから約10年が経ち、3人は結核療養所で再会する。フランシスカは修道女となり、療養所で患者たちの介護にあたり、トゥールは患者として入所していた。そこへラマーリョも患者としてやってきたのだった。陽気で、話好きで、人気者のラマーリョとは対象的に神と向き合い、静かに祈りを捧げる日々を送るトゥール。ラマーリョに思いを寄せるトゥールは、再会してからというもの、思いが一層強くなり、欲望と罪悪感の葛藤に苦しむ。一方のラマーリョも苦しんでいた。彼は生きていくため、裏社会に身をおき、ボスのエウジェニに体を提供することで仕事を得ていた。そうした状況から抜け出せずにいる自分に苛立ちを感じていたラマーリョは療養所に面会にやってきたエウジェニを拒絶し、行き場のない気持ちが暴力的な行為に現れる。その姿を見て、心を痛めるトゥールとフランシスカ。2人をそっと見守るフランシスカもラマーリョを愛していた。彼女もまたあの思い出を胸にしまっていて、人間はなぜ罪を犯すのかを知るために修道女となり人生を模索していた。トゥールは自分の死を目前に、運命を受け入れようと祈りを捧げる一方で、ラマーリョへの思いは日増しに強くなり、欲望を押さえ込もうとするが、強い罪悪感にさいなまれ、自分を戒めて信仰の中に解決を求めようとする。一方、死に抗おうとするラマーリョは閉塞感に耐え切れなくなり、自分を抑圧してきたエウジェニを裏切り、最後には殺害を決意する。

 白いサナトリウム、赤い血。透明感のある映像の中に織り込まれる残虐な行為。全体に静かで張り詰めた空気が漂う。死にゆく男の報われない思い、欲望と葛藤・・・究極のラブストーリー、という感じ。この映画を好きか嫌いか、と聞かれたら、返事に困るのだけれど、禁断の愛に弱いので、映画でこんなに泣いたのは久しぶり、というくらい泣いた。わたしはトゥールに感情移入をしてしまったので、一番泣けたのは、カルメンに聖書を読ませるシーンと最後。とにかくトゥールの苦悩が、痛くてしかたがなかったのだけれど、あの結末のトゥールの心境を考えると、いたたまれない気持ちになる。彼はあのとき、なにを思ったのだろうか・・・。

2000年ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品作品
第10回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2001)上映作品:「エル・マール〜海と殉教〜」

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