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マドリード郊外のサーカスに新聞記者のマルコス(アントニオ・バンデラス)は取材でやってきた。サーカスの最後に白馬に乗った美女が登場する。アンナ(フランチェスカ・ネリ)は射撃の名手で、白馬にまたがり、ライフル銃を手に、次々と風船を撃つ。その姿に魅せられたマルコスはアンナに取材を申し込む。翌日、マルコスはアンナを訪ね、二人は急速に親密になり、一夜を共にする。その翌日、自動車の修理に来ていた3人の柄の悪い青年たちは、サーカスのアンナを見て、野次を飛ばす。サーカスが終わった後もアンナに執拗にまとわりつくがアンナは相手にしない。そしてその夜、アンナのトレーラーをノックする音が。アンナはマルコスがやってきたと思い、ドアを開けるが、押し入ってきたのは昼間の3人組だった。3人はアンナをレイプし、アンナは心にも身体にも大きな傷を負ってしまう。そして、復讐を決心する。ライフルを手に、3人の働く工場へ行き、次々と射殺する。そして、孤独な逃亡生活が始まる。もう頼れるのはマルコスしかいない。しかし、マルコスは出張中で、連絡ができず途方にくれる。事件を知ったマルコスは、アンナを探すが・・・。
アンナの気が強く、誇り高い性格は、最初から前面に出されている。その一方でマルコスに見せる笑顔はサーカスで見せる姿とは全く違う。タイトルのDISPARA!は「撃て!」という意味。そこから派生して、「突っ走る」という意味ももつ。まさに、アンナの暴走そのものをイメージする。レイプされ、その仕返しに射殺するのはアンナならではのやり方。それにどこまで感情移入できるか、は難しい。「どうして、こんなことになってしまったのだろう」というのは、アンナ自身も、間違いなく感じているだろう。そのどうしようもない絶望感と、悲しみが強烈に伝わってきて、やりきれない気持ちになる。犯罪の凶悪さだけがクローズアップされ、アンナの実像とはかけ離れた報道がされる。「繊細で、心優しい女だ」というマルコスの言葉を信じる者は誰もいない。何度観ても、最後の「アモーレ、アモーレ、アモーレ、アモレ、ミオ♪」と音楽が流れるころには、涙がボロボロ流れ出て、止まらなくなっている。
イタリアの作家、ジョルジュ・シェルバネンコの16ページほどの短篇を原作としている。映画のストーリー自体は単純なので、アンナがどうなっていくのか、なんとなくわかってしまう。でも、それが実は効果的で、結末が読めるからこそ、余計にせつなさが募る。
イタリア出身の女優フランチェスカ・ネリが気高く、美しい射撃手アンナを演じる。『ルルの時代』以来のスペイン映画への出演。後に『ライブ・フレッシュ』にも出演している。そして、マルコスを演じるアントニオ・バンデラス。この作品が作られたときは、すでにハリウッドに活動の場を移しつつあった。久しぶりのスペイン映画の出演となり、スペイン時代最後の作品でもある。(たぶん)
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