|
バスク祖国と自由(ETA)のテロリスト、アントニオは任務遂行のため仲間と共にマドリードにやってきた。報道写真家を装い、テロの準備のために一人アパート暮らしをはじめる。その隣の部屋には服役中の夫を待ちながら売春まがいの行為をして生活をしているチャロという女性が住んでいた。テロリストという立場上、隣人と親しくなるのは危険なことであり、最初はチャロを冷たく突き放していたが、次第に2人は親しくなっていく。
反社会的ではあるがテロ組織の一員として規律を守り、真面目な生活を送るアントニオに対し、チャロは麻薬にも手を出し、売春まがいの行為をしながらその日暮らしをしている。生真面目で慎重なアントニオから見れば、チャロの行動は危なっかしくて放っておけない。チャロは挑発的な態度をとりながらも、夫への貞操を守り、「売春まがい」のことはするけれども、「売春」はしないことを誇りにしている。そのアンバランスにも見える真面目さが、アントニオを惹きつけていく。
任務遂行のためアントニオに残された時間はわずかだった。チャロの夫も間もなく出所する。そんな状況の中、アントニオはチャロに「今晩君と寝たいんだ」と告げる。夫への貞操を守ってきたチャロだったが、「グラナダでなら」と、2人はグラナダへ向かう。2人はグラナダのホテル(アルハンブラ・パレス?)でようやく結ばれるが、テレビのニュースでチャロはアントニオがテロリストであることを知ってしまう。
テロリストと売春婦。住む世界は違うけれども、反社会的な立場の2人の刹那的な愛の物語。テロという行為は決して許されるものではないので、この映画に感動してしまっていいものか、という気もするのだけれど、ぎりぎりのところに置かれた男女の愛の姿は、一時の夢物語のようで美しい。なんといっても、アントニオ役のカルメロ・ゴメスはカッコよすぎる。チャロの周囲の怪しい人たちの中の一人、ヤク中のリサルドをハビエル・バルデムが熱演している。
ちなみに、アントニオたちが行うテロは車爆弾を利用したもので、実際のスペインにおいてETAが常套手段としているものです。ハリウッド映画のようなド派手なものを想像していると拍子抜けするかも。
1995年ゴヤ賞:作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、助演男優賞など8部門
|