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アナは両親の絶えない口論に嫌気がさし、アンダルシアの核廃棄物処理施設で働く兄フアンを頼って家を出る。1年ぶりの兄との再会を喜ぶアナ、その一方で浮かない表情のフアン。アナがやってきたその日は村のお祭りだった。兄と一緒に過ごしたいアナだったけれど、フアンは恋人ロサリオとの約束を優先する。プラトニックな関係を続けてきたフアンとロサリオはその日、初めて二人で夜を過ごす。一方アナは放射能漏れの調査のために村にやってきた技師ニコラスに祭り会場で出会い、兄への思いを胸に、ニコラスと関係を持つ。次の日、アナはフアンの家に押しかける。アナを拒みつづけていたフアンだったけれど、その夜、二人はベッドで激しく求め合う。願いがかなったアナの満足げな様子とは対象的に、フアンの気持ちは複雑だった。フアンはアナとの関係を絶ち、彼女を忘れるため、自分のことを忘れさせるために家を出たのだった。アンダルシアの小さな村で、仕事も見つけ、仲間も恋人もでき、安定した生活を送っていたところに再びアナが現れ、また以前のような関係を持ってしまったことをフアンは後悔する。アナは二人でどこか遠くへ行こうと誘うが、フアンはそれを受け入れることはできずにいた。アナが来てからというもの、人が変わったようになってしまったフアンにロサリオは不安を抱く。ある日フアンは父親が亡くなった、という連絡を受ける。それを理由にアナを家に帰そうとするが、「母親のために」と言いながら自分を邪魔者扱いしていると感じたアナは激しく反発し、フアンの家を飛び出す。行き場所のないアナはニコラスのところに身を寄せる。アナが家に帰ったものだと思っていたフアンはそれを知り、ニコラスのところへ出かける。そして、ニコラスの侮辱的な言葉に激昂し、フアンは思いがけずにニコラスを殺してしまう。
確かに兄と妹のモラルに反した関係を描いた作品であるけれど、邦題はあまりにストレートで情緒がない。原題は直訳すると「風に逆らって」という意味になる。フアンが住んでいる場所はアンダルシアと言ってもたくさんの観光客が訪れるようなところではなく、荒涼とした大地が広がり、海からの風が吹き付けるアルメリア。そんなアルメリアの田舎町で過去を捨てひっそりと暮らすフアンの生活にも波風がたつ。嵐が去るのをじっと待つかのように、アナに接するフアンの苦悩が伝わってくる。
自分のまっすぐな気持ちを兄にぶつけるアナには罪悪感が感じられない。その一方で、アナのことを本当は思いながらも、それを認めることも受け入れることもできないフアンは頑なにアナを拒もうとしている。アナには迷いが感じられないけれど、物語の最後にフアンに「考えるのに疲れた」と自ら別れを伝える。しかし、これはすでに自分のものになった兄フアンの気持ちを確認するための手段でしかない。フアンは最初はアナを冷たく突き放すけれど、その思いはアナと体を重ねるシーンを見れば一目瞭然で、ロサリオとのときとは全く違う。それでも自分の気持ちに正直にはなれず、「以前とは変わった」と自分にもアナにも言い聞かせる。しかし、不慮の事故でニコラスを殺害してしまってからはふっきれたようにアナへの態度が変わる。
「暴走遊戯」でも共演しているアントニオ・バンデラスとエマ・スアレスが愛し合う兄と妹を演じている。そして、フアンの恋人役のロサリオを、歌手として活躍しているロサリオ・フロレスが演じているが、今のイメージからすると、このロサリオの役はなんだかとっても違和感を覚えてしまう。彼女はアルモドバル監督の"Talk
to her"(2002)で久々に映画に出演をしている。ロサリオの母親役はピラール・バルデムが演じていて、最初に見たときは気付かなかったけれど、意外と豪華なメンバーがそろって出演している。
日本劇場未公開
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